

ようやくパートナーらしくなってきたカートとジョエル。ところが、ある日二人も良く通っていた“神話的人類”が多く集う店<十字路亭>の看板ウェイトレス・サブリナが<パッシング禁止法>(種族を偽ることを禁止する法律)違反で逮捕されてしまう。一見人間にしか見えないサブリナだが、1/32だけサイレンの血を引いていたのだ。二人はサブリナを救う為、ある人物に弁護を依頼するのだが…
Vであるカートにも物怖じしなくなってきたジョエルのお陰で少しずつ職場の雰囲気が変わってきて、思わずニヤニヤとしてしまいます。まだまだしこりはあるけど、ムーニーやパーカーとのやりとりなんかはすっかり普通の同僚同士のやりとりという感じになってきて、1巻でのカートの態度を思い出すと非常に微笑ましい。
『32分の1のサイレン』は↑の粗筋でも紹介している通り、法廷バトル。敏腕かつかっこいいVの弁護士・デウローが絶望的な状況をひっくり返す姿はまさに爽快。ていうかこれ、なんて逆転裁判?
次の『赤革の手帳』はこのデウロー弁護士とメイドのミリシャが出会う話。過去を乗り越え、前向きに歩き出すミリシャの姿は凄く感慨深いんですが、デウロー弁護士が…あああ。いいキャラだっただけにもう少し彼女の活躍を見たかったです。やっぱりもう2?3巻続いてくれても良かったのになあ。
そしてラストでせっかく良い感じに築かれてきたジョニーとカートのコンビに亀裂が…人間&異種族コンビのお話だと良くあるパターンといえなくもないのですが、二人がどうやって亀裂を修復するか、最終巻を楽しみに待ちたいと思います。
ていうか、ラストのあの展開を読んだ後だとラストの短編『クリームソーダ・ウォーズ』が非常に切なく思えるのはなぜだろう。あくまで無意識に昔のいじめっ子を追い詰めるジョエルが実に良いです。ぶっちゃけラストの短編が一番ツボだったかもしれない(笑)