[著]久美 沙織 北端にあるスノーマンの町で小さな教会で両親とささやかでも幸せな暮らしを送っていたアナ。しかし、母親が他の町に出かけたまま行方不明になってしまう。彼女の安否を心配する一方、アナは自らの超能力によって世界の危機と、いずれ仲間になるであろう少年達の事を毎晩夢で見るようになって…… |
「ドラクエ」ノベライズの久美沙織ということで、知ってる方も多いかもしれませんがこちらの作品もふんだんにオリジナル要素が追加されています。アナのPSIのコントロールが不安定だったり、イヴの製作者が違う人になっていたり、オリジナルキャラクターが登場したり。結末も原作とは違うものになってます。キャラクターの差異については原作自体がどちらかというとキャラクター性を低くしている部分があると思うので(特に主人公)、キャラクターに重点を置いたノベライズ版では原作から追加された部分があっても許容範囲かな?と思いますが、ストーリーの本筋が結構変えられているので、苦手な人は合わないかも。サブタイトルにあるとおりの「オリジナルストーリー」です。逆に私は1回しかプレイしていない原作「MOTHER」よりこっちのイメージの方が強かったりしますw
ケン・ロイド・アナ3人のワクワクするような冒険を描く一方で、なかなか複雑な三人の恋愛関係も描かれていたり。ケンもアナもかなりのツンデレなので素直になれない二人の様子が微笑ましいと言うかかわいいと言うか。特にツンデレなケンの態度にはいちいちニヤニヤしてしまいます。
しかし、もどかしくも甘酸っぱい二人の関係が素敵なだけに、ホーリーローリーマウンテンでの謎のラブシーンはいろいろな意味で衝撃だったり…というかギーグの基地での「おかあさん」たちとアナのやりとりといい、この二人の謎のラブシーンといい、なんというか精神的なグロ描写……といえばいいのか、兎に角そんな描写が上手い。それは続編となる「2」でも存分に生かされてきますが。他にも色々印象深かったシーンはあるのですが、何よりもインパクトあるのはやはりこの2シーンだなあ。
余談ですが、GBAでリメイクされたゲーム版をプレイして一番衝撃的だったのは、小説版では結構役立たずイメージ強かったイヴが鬼強かったことと、アナのPSI最凶すぎだった事でした。というか、PKファイヤーΩ最強すぎだろ常考。アナをレベル34まで強引にでも育ててしまえば、雑魚はもう全く怖くないと言うそんな世界観に絶望した!!!小説版での最強っぷりはまだ抑えてた方だったんですね!
原作とは大分かけ離れた物語なので人は選びますが、文句なしの名作。
原作との差異が気にならないと言う人は、この機会に是非どうぞ。
…ところで、エピローグを数年ぶりに読み返したら、一瞬アナ妊娠エンド、という言葉が浮かんだんだけどこれってきのせい?