[著]久美 沙織 普通の少年・ネスが暮らす田舎町オネットに隕石が落下した。隣の家に住む乱暴者のポーキーに無理やり連れられて隕石の落下現場に行く羽目になったネスは未来から来たというカブトムシ・ブンブーンに地球の危機と自らの使命を聞かされる。世界を救うため、旅に出たネスだったが… |
原作ゲームとの一番大きな違いはポーキーの扱い、ジェフに兄が居て両足義足という設定のあたりでしょうか。トニーが自らホモなことを思いっきりカミングアウトしてたり(笑)ネスの父親が借金苦だけど社長だとか、プーが現人神(クマリ)という設定もありましたが。しかし大幅に基本設定の変更がある割には作品自体は上手い事原作ゲームの雰囲気を踏襲していたように思えます。ゲームとしてのやりこみ度が全然違うのでなんともいえませんが、「MOTHER」の方は結構露骨にベツモノっぽい印象を受けたのですけど…。原作にある、敵との実力差が歴然としてくるとオートモードで戦闘が終了するシステムを文章で表現したのは面白かったですね。あと、ちょっとおしゃまなポーラが可愛いのなんの。あの手この手で男の子やオトナ達を篭絡する姿と、「女って」「怖い」と呟くネス&ジェフの姿にとてもニヤニヤします。
ちなみに私はフォーサイドのバーガー騒ぎの話が一番好きだったり。ネスがかっこいいというのもあるんだけど、何よりあのハンバーガーが美味しそうで美味しそうで!ネスパパの作ったハンバーガーを一度でいいので食べたみたいです。というかこの小説を読むと必ず直後にハンバーガー屋に足を向けてしまう。
そんなこんなで様々な魅力はありますが、物語はやはりネスとポーキーの友情がメイン。かつてはそれなりに仲の良い幼馴染だった二人が些細な事件をきっかけに道を別つことになり、いつしか運命は二人を世界を背負った対決へと導いていく……というお話です。原作ゲームのマジカントで、僅かにポーキーがネスに対して本音を漏らす場面がありますが、その辺を膨らませた感じですね。結末も大幅に変更されており、あとがきの通りまさに“MOTHERがBROTHERになってしまいました。”な展開になってます。
小説版でポーキーの様々な本音や、態度とは裏返しな寂しがり屋の一面を知ってしまうともう、ポーキー憎めないません。MOTHER3のラストのポーキーの扱いが酷い事になってて本気で哀しかった私。というかMOTHER3はポーキーのネスに対する執着が様々な所で透けて見えて、プレイしながらポーキーの心情を思い遣ると寂しくなる。MOTHERというよりも明らかにBROTHERな展開といい、MOTHER3の欝展開は微妙に久美テイスト入ってると思うのは私だけですか。
そんなわけで、久美さんのMOTHER3のノベライズが読みたいなぁ。
ゲームだけでは見えてこないポーキーの心情を是非とも描写してほしい。