[著]氷室 冴子 [絵]後藤 星 乳兄弟の高彬が“物の怪憑き”と噂される瑠璃姫と結婚するのがどうしても気に食わない守弥。そんな折に吉野で静養中の瑠璃姫に関するとある噂を聞きつけた彼は、噂の真相を掴み今度こそ高彬に瑠璃との結婚をあきらめて貰うため、自ら吉野へと向かう。ところが崖から落ちて記憶喪失になってしまい… |
守弥と小萩の短編はそれぞれ、一人称からでは見えてこない瑠璃姫の一面を見ることが出来る、貴重な短編。特に吉野君との思い出を振り切れず、いつになく弱気な瑠璃姫は非常にかわいらしかった。そんな彼女の姿に(記憶が無いとはいえ)グラグラしてしまう守弥の姿にニヤニヤ。小萩のお話からも、両親を失った彼女を不器用な形で慰めようとする瑠璃姫の姿が新鮮で、面白かったです。
そして本編3巻へと続いていくラストの「瑠璃姫にアンコール!」。瑠璃姫が京都に帰ってきたら、何故か弟の融が行方不明になっていて…というお話。融の乳兄弟である「夏姫」にまつわるお話となっていくのですが、彼女の生き様がかっこよくて…後書きで書かれているように、「鮮やか」な彼女の姿がとても印象的でした。
しかし、2巻と3巻の間に「アンコール!」2冊が挟まってる形式って判りづらいよね……自分は再読だったので順番覚えていたけど、アンコールの存在に気付かず3巻に手を出したら話がエラく飛んでてびっくりしてしまいそうです。