テレビアニメ「Free!」の面々の小学生時代を描く原案小説。水に入るのは好きだけど勝ち負けに拘ることがあまり得意ではない遙が一方的に遙の事をライバル視する転校生の凛に誘われ、幼馴染の真琴や後輩の渚と共にメドレーリレーに出場することになる、というお話。
序盤はとにかくころころ変わるキャラの視点に戸惑ってなかなか読み進められなかったんだけど、後半の盛り上がりぶりは凄かった!視点がわかり辛いのは本文装丁の微妙さも手伝ってる気がするんですけどそこんとこどうなんでしょうね。下手すると段落の切り替わりがわからないまま気がついたら視点が変わってて困惑、とかあった。多分文章をページの内側ギリギリまで入れすぎなのと、全体的に行間詰まってる印象受けたんだけど……
真琴や渚の水泳選手としてのスペックとかは今までのアニメの物語だけだとどうしても分かり辛い部分があったので補完的な意味でもありがたかった。アニメでも凛が解説者状態で頑張ってくれてましたけど!!真琴が背泳ぎしてるときのなんとも言えない開放感とか、渚と凛が平泳ぎ勝負をするシーンでの得体の知れない恐怖感とか、文章でなければ出せないなんともいえない迫力があって凄く好き。渚は小学生時代からあざと怖いショタでした。
勝ち負けに意味を見出せない遙やそれぞれの過去に縛られている真琴や凛など、ばらばらだった彼らが本当に少しずつ、自分のコンプレックスと折り合って目的のために歩み寄っていく姿がアツい。そして直前ギリギリまでなかなかまとまらなかった彼らがドタンバで発揮した一体感に胸が熱くなる。本当にあの、リレーの場面は良かった…!!
それにしても、正直なところ凛と遙のやりとりも時々あれれだったけど、遙と真琴の関係はどこか小学生男子の健全なそれを越えているというか……真琴のトラウマのせいもあるんだろうけど、どこか不健全なやらしさがあるなあと思ってしまうのは私が腐っているからなんでしょうか。ちょっと共依存してるよね、というか……。凛と遙も互いを過剰に意識しすぎ感あるんだけど。