セオドーラから自分に戦い方を教えた勇者エリザベートと似たマガツの話を聞き、彼女の故郷の島に赴いた雷輝。その島には、シズルのかつての友人であった少女が理事を務めるハンター養成校があり、不審な地震の頻発によって経営難に陥っていた。天堂兄妹にとって「師」と呼べる存在であった夫婦との因縁と、シズルの友人である二人の少女達を巡るお話。
世界を裏から支配する「帝国」とビジネスで渡り合っていく1巻と違い、「勇者」としての雷輝の一面が強調されたお話でした。成長途中の少女たちを次代のために育成する姿や、妻の幻影を追い道を踏み外してしまった男が得た紛い物の力を、圧倒的な「本物」の力で打ち負かす展開は正統派に熱く、面白いんだけど、1巻の無法すぎるチート能力とビジネスマンならではの駆け引きでなんでもかんでもスマートにサクサク片付けていくノリは薄くなってしまっていて、少し残念。ビジネス要素も地震で安くなってる土地を買い占めて自分で解決してウハウハみたいな話だけだったので、ちょっとキレがなかったなあ。
むしろ、かつての師匠との対決や友人達とのやりとりもあり、「妹」シズルのマッド具合が輝いてた気がします。妹としての一面、マッドサイエンティストとの一面、そして年頃の少女としての一面の全てを併せ持つ彼女の姿が印象的。っていうか1巻でも彼女がなぜ雷輝の「武器」に変身するのかはふせられたままでしたけど、自分で改造しちゃったという設定には度肝を抜かされました。
個人的にはもうちょっと1巻のときのような短編何本かの詰め合わせみたいな話のほうが好みだったので3巻はまたそういうノリを期待したい……とおもったら打ち切りなのか。そうか……。