第四次聖杯戦争から帰還した後、時計塔の講師として頭角を顕したウェイバー・ベルベット。エルメロイ家の仮の当主として「エルメロイII世」を名乗るようになった彼が、ひょんなことから剥離城アドラで行われる、とある男の遺産相続に巻き込まれ……。
魔術が絡んだ謎解き要素と、内弟子・グレイとのやり取りという形で差し込まれる「教師もの」要素が絡み合う物語。魔術にかかればアリバイ工作からトリック、はたまた人の生死まで信じられないというフリースタイル感がすごくて、そんな"なんでもあり"な状況で、手段もアリバイも捨てて動機から攻めていく謎解きが楽しかったです。謎を解いた後はド派手な力技で解決していくのも、Fate感あるよなあ(偏見)
「ZERO」の頃とは別人のように大人になったエルメロイII世が、内弟子であるグレイの前ではどこか子供っぽい発言をしたり、研究室にゲーム機を隠し持っていたり……と、かつての「彼」を思い起こさせる言動をするたびにニヤニヤしてしまう。教育者としての名声を得た一方で、魔術師としては平凡なレベルでしかないということを自覚し受け入れながらも妬まずにはいられない姿が印象的でした。というかちょうどFGOでゼロイベ復刻をやっていた最中だったので、なんというか新たな気持で(イベストを)読みました。
それにしても、最後の最後で征服王との絆で殴ってくるのはずるくないですか…!?
ZEROリアルタイム勢としてラストの展開だけでももう感無量というかキャパーオーバー感があり、大変燃えました。面白かった……。
ロード・エルメロイII世の事件簿 1 「case.剥離城アドラ」
著
三田 誠絵
坂本 みねぢ「……ある意味で、現代の魔術師とは、天使を蒐集する職業だといってもいい」『時計塔』。それは魔術世界の中心。貴い神秘を蔵する魔術協会の総本山。この『時計塔』において現代魔術科の君主(ロード)であるエルメロイII世は、とある事情から剥離城アドラでの遺産相続に巻き込まれる。城中に鏤められた数多の天使、そして招待者たちそれぞれに与えられた〈天使名〉の謎を解いた者だけが、剥離城アドラの『遺産』を引き継げるというのだ。だが、それはけして単なる謎解きではなく、『時計塔』に所属する高位の魔術師たちにとってすら、あまりにも幻想的で悲愴な事件のはじまりであった──。魔術と神秘、幻想と謎が交錯する『ロード・エルメロイII世の事件簿』、いざ開幕。