温泉の気持ちよさで気が緩んだパンダが島の住人となり、前々から親交があったフラワー島と同盟を結んだおじさん島の面々。子どもたちの為に学校を開いたり、からあげや滝で童心に還ったり……とスローライフを満喫していたが、島ランキング2位の島・異色の武闘派集団「ぶどう島」がやってくる。あにまる達をわかもの支配から開放したいと言う彼らに、おじさん島の面々が出した結論は……!?
学校の開設・他島との交流により更に広がっていく世界観が楽しい
「俺より強い島に会いに来た」「ジャンル変更!?」などとあらすじで煽りつつ(それにしてもヒーロー文庫のあらすじ長過ぎる定期)、基本は変わらず気の良いおじさんたちのスローライフとあにまるたちの成長を描く物語で楽しかった!あにまるの子達がどんどん頼れる存在になってきたせいか、おじさんたちのハメ外しぶりがすごかったですね。温泉とビールとからあげでテンション上がるのは正直わかるんですけど、「滝」ってそんなにロマンなの!?わからない世界だ。生活基盤が安定してきて前巻で開設された「学校」を中心にこれまで手の回らなかった知識の共有を進めたり、新たな知見を得たりしていく展開が興味深い。特にパンダを島民に引き込んだのがデカくて、あにまる社会の中心にいた彼の口から語られる話によって「あにまるわーるど」そのものへの理解も深まっていく。あにまるの子どもたちと一緒に送るスローライフという根幹はブレないまま自然に物語の謎にも迫っていくの凄かった。
そんな展開の中で本能で拒否られているのか、ぶどう島の面々が度々居留守使われてるのには腹抱えて笑ってしまったけど。
なにもかもが正反対な「ぶどう島」との対比が印象的
おじ森プロジェクトのランキング第一位である「おじさん島」に乗り込んできたのが2位の「ぶどう島」。強さこそが正義でライオンのライオネスをリーダーと仰ぎ、ランキングを上げるためには生活を犠牲にしてひたすら岩を砕き続けるという脅威の脳筋おじさん達の集団でした。ただひたすらに強さを求め、わかものに支配されたあにまるわーるどの開放を目指す──というと無骨でかっこいい感じに聞こえるんですけど、ぶっちゃけ融通の聞かない・他人の話をちゃんと聞かないダメなおじさん達の集団だったりするんだよなあ。というか次巻で更に詳しく語られるんですけど、ほんとぶどう島のおじさんたちの生活能力の低さがヤバい。人の話をあんまりよく聞かない上に下戸、おじさん島の伝家の宝刀であるビールでの接待すら通じない相手にどう戦う!?とおもったら普通に同じ土俵で叩きのめしにかかるのあまりにも強かった。確かに彼らと「わかりあう」にはこの解決しかなかったんですけど!!!進さんがどんどんチートになっていく……。