ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた 1 | 今日もだらだら、読書日記。

ネットの『推し』とリアルの『推し』が隣に引っ越してきた 1

 

VTuber・声優・幼馴染――『推し』たちが家にいる夢のような生活
大人気VTuberアンリエッタとアイドル声優の八住ひよりが『推し』の大学生・天童蒼馬。ある日彼が住むマンションに、なんと『推し』たちが引っ越してきた! アンリエッタに扮する林城静、八住ひより改め支倉ひより。ある日、上京したての静に、寂しいから夕飯を一緒に食べてほしいとお願いされる。それをきっかけに静、ひよりと食卓を囲むことになった! 夢みたいだと思っていた蒼馬だったが、過ごしていくなかで見えた彼女たちとの「素」に、理性が崩壊寸前!?  「いい……よ? ぎゅーって……して、あげても」「いっしょにいて……お願い」 どうしてこうなった!? 隣の『推し』たちと始まる、半同棲ラブコメディ!!

ひとり暮らしの大学生・天童蒼馬は、ひょんなことから隣に引っ越してきた美少女・林城静の正体が自分の推しのVtuber「アンリエッタ」であることを知ってしまう。Vtuberとしてのキャラクターとは裏腹にポンコツ気味な彼女の世話を色々と焼いている内に、なぜか推し声優の八住ひよりや同じ大学のマドンナ・水無瀬真冬(実は幼馴染)までが隣に引っ越してきて…!?

Vtuberと声優と幼馴染がヒロインの四角関係ラブコメ

どちらかというとVtuberもの、推し活要素強めのラブコメを想像して手に取ったのですが、思った以上にそっち系の要素は薄くて、普通に「そういう職業の女性」がヒロインをしている四角関係ラブコメでした。個人的には前者を求めていたので思ってたんと違うだったんですけど、Vtuberやアイドル声優が「オタクもの」という括りではなくて普通にラブコメのヒロインとして出てくるのは凄く時代の変化を感じて感慨深いものがありますね。なんというか、「オタク」や「推し活」をメインにしなくても物語が成立する程度にその要素が特異なものではなくなったということなんだよな、多分。それはそれとして、ひよりさんの出世作がどうよんでも○ャニマスでフフ……となってしまった。

個人的にVtuberの中の人なヒロイン・静と主人公・蒼馬のお互いに気を使わないけどしっかりお互いのことを異性として意識しているという関係性がとても好きで、そんなふたりを見守っているのかそれともヒロインとして名乗りを上げたいのか微妙に真意がわかりづらいアイドル声優なお姉さんヒロイン・ひよりさんの距離感も凄く好み。最初はミーハーな一目惚れからはじまった静が少しずつ蒼馬の人となりを知って改めて惚れていくまでの流れがとても甘酸っぱいし、「推し」としての彼女達のプライベートな姿を知ってちょっとがっかりしつつも推しではない彼女達自身に好意を感じていく蒼馬の心の動きも良い。ただ鈍感なだけではなく、男としてしっかり感じるところは感じつつも彼女達との温かい時間を大切に思っているというバランス感覚も良いなあ。ラブコメはあまり得意じゃないのですがこういう赤の他人からはじまって紆余曲折ありつつステップアップしていく三角関係モノが大好きなので、そのへんは凄く楽しく読みました。

ただ、途中からヒロインが増えて四角関係になるんですが、その最後に生えてくる幼馴染ヒロイン・真冬まわりの展開にちょっとノれなくて。理由もわからず久しぶりに再会した顔もろくに覚えてない幼馴染から一方的にヤンデレに近いくらいのレベルで執着されるの普通に怖い。無許可で合鍵作られて主人公のベッドに潜り込んでくるのも怖いし、学校でわざと蒼馬とイチャイチャして他の男子生徒達のヘイトを向けさせて悦に浸ってるのは可愛いというより性格悪……って思ってしまった。彼女がそこまで蒼馬に執着する理由、蒼馬と再会する前のクールビューティーな彼女がもう少ししっかり描かれていればそのギャップで可愛いな〜〜!!と思えたのかもしれないけど、プライベートでの描写が最低限しか無くてこちらには久しぶりに再会した幼馴染の男に異常な愛情を向ける所しか伝わってこなくて可愛さの説得力が薄いまま作者のお気に入りらしくてどんどん出番が増えてくるの怖い。普段は気遣いの人である蒼馬がこんなとこだけ古の鈍感主人公みたいな察しの悪さを発揮してあからさますぎる真冬の好意に全く気づいてないのがまた怖い。読み手の視点だと蒼馬って凄いかっこいい主人公だと思ったしヒロイン達からの共通認識もそうだと思うんですが学校だと冴えないオタクのフツメンみたいな扱いをされていて、真冬ちゃんに似合わない!!って言われまくるのもこちらにはホラーしか感じませんでした。みんなだまされてる。

真冬の件もだけど、全体的に脇が甘めな登場人物たちの動きを見てそんなことしたら炎上しちゃう!!とかリアル住所特定されても知らんぞ!!とかばっかり考えてしまって、オフコラボの展開やクライマックスのホラゲ配信でのラッキースケベを楽しみきれなかったのもめちゃくちゃに感性の老化を感じた。合わなかった、という以上に年取ってこういうラブコメを楽しいと思える感性が死んでしまったんだなあ……という悲しみ。それはそれとしてリアルとプライベートでそれぞれに二面性のあるヒロイン3人の「両面」が伝わりづらく感じたので、もう少し丁寧に描いてほしかったなとも思いました。真冬の可愛さが伝わってこないは前述しましたが、静のVtuberとしての清楚な姿・ひよりのアイドル声優としての姿もちょっと本文で言われてるほど違いがあるように思えなくて。

静はメインヒロインだからか時々一人称視点が入ってそこが凄く人格の掘り下げとしてよかったので、特に真冬視点の描写とかはもう少し増やしてほしかった気がしました。(ひよりさんは真意が解らないところが良かったのでこのままでいいけど……)

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