推しの敵になったので | 今日もだらだら、読書日記。

推しの敵になったので

 

女性に発現しやすい異能力《天稟》が発現されて百年。世界は男女逆転社会の様相を呈していた。 ところが、この世界に転生した大学生イブキは男でありながら《分離》の《天稟》を持つ。 人智を越えるパワーの反面、隣人とのボディタッチを強制させられる《代償》を持つ不便な力だ。 彼がこの世界で成すのは──まさかの推し活!? 彼は正義の組織【循守の白天秤】に所属するヒナタが大好き! 新人隊員の彼女は天真爛漫。《天稟》の《代償》でちょっぴり(!?)食いしん坊なところもとても愛らしい。 ある時は幼馴染の兄として、またある時は悪の組織【救世の契り】の構成員として、ヒナタたち推しを最前線(・・・)で見守っていることは絶対に秘密だ。 そんなある日、ヒナタの相棒・ルイに正体がバレそうになって……? 推しの未来は俺が守る! 愛だけで突き進むシークレット・イルミナティ!

前世で好きだった漫画の、第一話で主人公に倒されて退場する近所のお兄さん・指宿イブキに転生してしまった主人公。原作通りに悪の組織【救世の契り】に所属し、第一話の破滅フラグを乗り越えた彼が目指すのは『推し』こと主人公のヒナタの活躍を最前線で目に焼き付けること!!……のはずだったのだが、少しずつ原作と違う展開になってきて……!?

悪役モブ転生×現代異能のハイブリッドバトル!!

昔から変わらず大好きジャンルである現代異能バトルと最近の流行(というほど新しくはないか?)である悪役転生、好きな要素と好きな要素を掛け合わせて好物しかない!!みたいな物語でした。

《天稟》と呼ばれる異能力が女性に発現しやすいということから強固な女尊男卑思想が根付いてしまった世界。不自然な世界の成り立ちと、それによって巻き起こる様々な社会の歪み。読者気分のまま正体不明のモブ悪役として推しの活躍を最前線で見守ろうとしていた主人公のイブキが、漫画の主人公であるヒナタや彼女の相棒であるルイ、悪の組織の幹部であり幼馴染でもある少女クシナを中心にした転生後の世界の人々と関わっていくことによって「傍観者」から「当事者」となっていく展開が印象的。特にイブキ・ヒナタの幼馴染であり、強力な能力を持つ代わりに深刻な代償を併せ持つクシナの立ち位置が良かったなあ。物語でしかなかった時には描写されなかった彼女との「物語」が、世界の傍観者であろうとしていたイブキを「現実」の舞台に引きずり下ろしていくのがアツい。物語としては自分の立ち位置を改めて見定めたところで次巻に続く……という感じだったので今後どうなっていくのか楽しみです。

重たい物語の合間に挟まれる、コテコテのラブコメ展開も好み

異能によって歪められた女尊男卑社会とか能力の代償とか……全体的に重ための世界観のお話ではあるのですが、その一方でコテコテのラブコメ展開もしっかり混ぜ込んでくるのが大変好みでした。主人公であるイブキの能力の代償が「他人と触れ合わないといけない」=定期的に否応なく発生せざるをえないラッキースケベの数々!!だったり、ちょっぴり天然で聖域なヒロインの相棒が一見クールだけどヒロイン大大大好き独占欲つよつよ少女……とか、「お約束」の使い方が上手い。お約束の多用によって細かい説明を抜きにして細部に説得力を持たせていくの上手いんだよなあ。

そして、その最たるが主人公であるイブキの「近所に住むお兄さん」という立ち位置。いやほんとこれ絶妙ですよね。1話で主人公を裏切って退場するって展開も割と容易に想像できるし、主人公の幼い初恋の相手という立ち位置も容易に想像できちゃうんだよなあ。ヒナタちゃんがやたらと「イブキお兄さんLOVE」なのも、細かい過去のエピソードとか抜きに「まあ近所のお兄さんならありうる……」ってなるし、その上でしっかりと甘酸っぱい初恋エピソードを描いてくるのが大変ズルかったです。いや知ってた、知ってた展開だけどご褒美なんだこういうのは!!

ところでそれはそれとしてこのヒロインちょっとヤバい方向に拗らせちゃってませんかね……!?天然素材とおもいきや存外に強かというかなんというかまぁ…次巻が楽しみ(コワすぎ)です!!

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