企画元:ラノベ人気投票『好きラノ』 - 2019年下期
ちょっと前に書いた2019年面白かったラノベと半分くらいタイトルかぶってますが!!!今回も参加させていただきます。2019年はここ数年来だと比較的ラノベを読んでいた年だったなと思うので、2020年も同じくらいは頑張っていきたいです。
Twitterからの投票も受け付けられてますのでお気に入りの作品があるかたは是非ご参加ください。
「うらら」一覧
トラック受け止め異世界転生ッ!熱血武闘派高校生ワタルッッ!! 1
ある日、暴走する10トントラックを受け止めたことで、異世界へと転生した熱血武闘派高校生・伊藤(いとう)ワタル。 「自分より強いやつに会いに行く」という熱い信念を持つワタルは、その世界を恐怖と絶望で支配する魔王(糖尿病患い中)と手合わせするため、異世界の住人・アリアとともに旅に出ることを誓うのだった。 魔王四天王や魔王の狂信者。 アリアを筆頭に、なぜか場をかき乱す仲間たち――。 数多の強敵(とも)が立ち塞がるも、ワタルの心に燃える炎が、消えることは決してない。 「さて、と……悪いが異世界(ここ)の温度、ちょっとばかし上げさせてもらうぜッッ!」 最強の熱血武闘派高校生が、異世界の全てを蹂躙するギャグコメディ、開幕!
登校途中、走ってきたトラックを受け止めようとしてトラックに弾き飛ばされ、昏睡したワタルッ!!!彼が意識を取り戻すと、そこはなんと異世界だった───ッ!!!""最強の""男子高校生が、異世界の魔王を倒すため、今、立ち上がるッ!!!
暴力ッ!!!やはり暴力はすべてを解決するッ!!!
なんの異能もチートスキルもなく身一つで異世界転生した男子高校生が、拳一つで異世界の魔王やら四天王を圧倒する。どんな強敵だろうが面倒くさいギミックだろうが火力特化のバーサーカーの赤いカードでひたすら殴ればいつか解決する、という論法で最初から最後まで貫いてしまうのが潔い。やはり暴力はすべてを解決する……ッ!!!ひたすら語尾に「ッ!!」がつく地文と、ツッコミ不在のままその場の勢いで進行する物語に困惑しながらも笑ってしまった。
ラップバトルも料理対決もピブリオバトルも全ては「拳」で解決ッ!!!
ただ殴り合うだけではなく、唐突にラップバトルが始まったり料理対決が始まったり小説のレビュー対決が始まったり、案外色々なバトルが繰り広げられる。ただし最終的にはすべてワタルの「拳」で解決していくッ!!…突然始まったラップバトルは割と勢いで押し切った感がありましたが、料理対決については若干勢いでごまかせなかった感を感じてしまった。いやある意味あのオチは "新しい" のかもしれない……けど……?料理対決のあたりマジでワタルのキャラが定まってない印象を受けた(小説対決のあたりで開き直った感があった)のに原作なろうらしいライブ感を感じる。
小説レビュー対決はなんというか、題材に選ばれた小説の「できの悪いなろう小説」感と、レビューの「amazonにありそうな参考にならない信者レビュー」「amazonによくある粗悪レビュー」感の生々しさに不意打ちで笑ってしまったのですがキャラのことしか褒めてないのとか微妙に見に覚えがあって心臓に痛いぞッ!!!
ついてこられるか──この“結末”までッ!!!!!
個々のネタを上げていくと面白いんですけど、若干勢いだけで最後まで読ませてくれなかった感じがあって、油多すぎカロリー高すぎで胃もたれするところあった。料理対決の所でワタルのキャラブレを感じてしまったのが敗因というか──最初に感じた""勢い""のまま最後まで読めるかにすべてが掛かっているッ!!!あと、これは編集の問題なんですけど良くも悪くもWeb小説をそのまま書籍にした感というか、4つ以上ビックリマークを全角連打してるところとかは横書きWeb小説なら気にならなかったと思うんですけど縦書きのスマホ画面サイズの電子書籍リーダーで連発されると結構気になるんですよね。会話文の前後に一行ずつ改行を入れるという入れ方とかもものすごく「Web小説感」を感じてしまうのですが、電子書籍で見るとものすごく画面に余白が多いように感じられて気になってしまった。
特徴的な「ッ!!!」語尾もなんか不自然に入ってない部分があったりしてちょっと気になったので、この辺だけでもちゃんと書籍化にあたって統一・校正されてると良かったなあ。
地獄に祈れ。天に堕ちろ。
冥界の荒事屋とイカれた聖職者のアクションエンタメ! イカしたDJが今回のお話を大紹介ダ! ミソギ、死者。嫌いなものは聖職者。犯罪亡者をぶっ飛ばし、地獄の閻魔に引き渡す荒事屋にして……シスコン(妹)! アッシュ、聖職者。嫌いなものは死者。聖なる銃をぶっ放し、死者を殺しまくる某機関の最終兵器にして……シスコン(姉)!! こんなチョイとオカしな二人が、何の因果か亡者の街『東凶』で、「魂」に効くヤバーいおくすりを大捜索! 聖職者嫌いの死者と死者嫌いの神父が!? ハッ、まったく上手くいく気がしてこないね! しっかーし! 困ったことにこいつら実力は折り紙付き。おいおい頼むから『東凶』を壊滅させちまったりすんなよ!? 電撃小説大賞《大賞》受賞作家・九岡望が贈る、ダークヒーロー・アクション!
生き残った妹の為に閻魔の使いとして蘇り、亡者でありながら亡者を狩るミソギ。死んだ姉の存在に心を囚われたまま、死んだように生きる亡者狩りの聖職者・アッシュ。亡者の街『東凶』を舞台に正反対のふたりが街を揺るがす陰謀を追う物語。
シスコン亡者×シスコン聖職者が繰り広げるバディアクション
初対面では普通に殺し合うし、協力することになってからも剣呑な会話ばかりのミソギとアッシュ。立場的にも性格的にも相容れないはずの彼らが利害の一致をもってひとときのバディになる……とかもう好きに決まってるんですけど!?何かと交わされる剣呑な掛け合いと、中二心をくすぐられるスタイリッシュな言語センスにニヤニヤしてしまうし、仲が悪いのに妙に息が合っている二人のやりとりに更にニヤニヤしてしまうし、正反対の二人が胸のうちには全く同じ「家族を守りたい(守りたかった)」という出発点を秘めているということにもニヤニヤしてしまう。そしてオタクは好きなことになると語彙力をうしなってしまう。
亡者の街を生き生きと駆け巡る、人間達が印象的
男同士のバディもの大好きオタクとしてはどうしてもミソギとアッシュの関係ばかり強調してしまうのですけど、彼らの周囲のキャラクターたちも最高に魅力的でした。特に、アッシュの仮初の姉として任務についた聖職者の少女・フィリスの葛藤と、そんな彼女がアッシュの姉ではなく「フィリス」としてアッシュに向き合っていく姿が印象的。姉の死を受け入れることが出来ず、仮初の『姉』の存在を与えられることで組織の尖兵として制御されていたアッシュが、ミソギをはじめとした東凶のひとたちやフィリスの姿に感化され、姉の死を受け入れて前に進もうとする姿がアツかったです。
自らが死ぬことも計算づくでとにかく『面白い』ことがしたい酔花、世界を滅ぼしてでも金儲けがしたい敵組織の頂点・真淵……と、いろいろな意味で頭のネジの外れた生者達の大暴れも楽しかった。というか、周囲の被害もお構いなしの手加減なしのエゴのぶつけ合いなんて、楽しくないわけがないよね。
怒涛の如く展開される戦闘シーンに圧倒される
作者さんの作品を読むのはこれが初めてだったのですが、文章を擬音を単語を弾丸のように矢継ぎ早に撃ち出していくクライマックスの戦闘シーンがとにかく印象的で、圧倒されました。文章でありながら、密度の高い大ゴマが連続する少年漫画を読んでいるような感覚。主人公二人が並び立つ挿絵も相まって、めちゃくちゃ迫力ありました!あとがきで「B級2時間映画みたいな火薬特盛バディアクション」と言われていたけどまさにそんな感じで真面目なことやりながらも最後はひたすら火薬と勢いで押していく感じが爽快で楽しかったです。
唯一、電子書籍で読んでいるとアッシュが救済兵装(ガトリングガン)を撃ち出すシーンが文字なのに挿絵扱いになっていて、フォントや背景色の設定を変えて読んでるせいでちょっと気分削がれてしまったのですが、こればかりは仕方ないのか。図表を使ってるページとか、特殊な文字配列するSFなんかは既存の電書システムだと文字データに出来ないみたいなのよく見るので仕方ないんですが…続編が出た時は紙で読もう……。
2019年読んで面白かったラノベ10選
あけましておめでとうございます。
今年もこのブログをよろしくお願いいたします。
10年代ベストを作った際に「やはり1年分のまとめは下半期まとめとは別にほしいな…」とおもったので2019年読んで面白かったラノベのまとめです。ぶっちゃけこの後に投稿するであろう「好きラノ2019下期」とネタがかぶる予感がするのですが(投票は12日までですよ!)、自分がこれから期日までに何冊か読んで顔ぶれ変えてくれることを信じて!!
なお、10件ぴったりだったのでこの記事の内容をほぼそのまま「マニアック・ライトノベル・オブ・ザ・イヤー」にも投票してきました。投票は明日までなので10タイトル思いついた人が居たら投票してくると良いと思います。
2010年代ベストも頑張って書いたのでよんでね!
エリスの聖杯
「いいこと、コンスタンス・グレイル。お前のこれからの人生をかけて、わたくしの復讐を成功させなさい! 」 誠実だけが取り柄の地味な子爵令嬢コニーは、とある夜会で婚約者を奪われ、窃盗の罪まで着せられる絶対絶命の窮地に陥っていた。しかしそんな彼女の元に、10年前に処刑された希代の悪女、スカーレット・カスティエルの亡霊が現れる! かつてその類稀なる美貌と、由緒正しき血統と、圧倒的なカリスマでもって社交界の至宝と謳われたスカーレットは、コニーに憑依するや瞬く間に形勢を逆転し、危機を救う。だが、その代償としてコニーが要求されたのは、スカーレットの復讐に協力することだった!? 利害関係から始まった二人のコンビは、貴族社会に潜む悪意や陥穽を蹴散らすうちに大切な絆で結ばれた真の相棒へと成長し、やがて過去から続く巨大な陰謀と対峙していく……!
婚約者の浮気相手から身に覚えのない罪を着せられて糾弾され、絶対絶命の大ピンチになっていた子爵令嬢・コニーを救ったのは10年前に処刑されたはずの令嬢・スカーレット(の亡霊)だった。婚約者の浮気やなにやらの傷心に浸る暇もなく、助けられた対価としてスカーレットが処刑された事件の真相追求と復讐を請け負う事になってしまう…!?正反対の二人の令嬢が過去の事件を追って貴族社会の闇に踏み込んでいく物語。
コニーとスカーレット、正反対の二人の令嬢が繰り広げる「相棒もの」
家訓である『誠実』を頑なに守る地味で平凡だが優しい令嬢・コニーと稀代の悪女と名高く圧倒的な美貌と高い知性を兼ね揃えるスカーレット。正反対の二人の令嬢がひょんなことから運命共同体となり、ある時は協力しある時はぶつかり合いながらも少しずつ仲良くなっていく姿が微笑ましかった。優しいけれど弱腰で臆病だったコニーが逃げ道だった偽りの「誠実」を捨て、強く成長していく姿が印象的でした。また、水面下で手を組むことになったランドルフとの恋愛的な意味での進展も気になるところ。
それにしても、貴族社会の闇が深すぎる。
ちょっとでも隙を見せれば食い殺される、貴族社会の闇がひたすら怖い。しょっぱなでコニーに罪を着せようとしてコニーじゃない人たちに「やり返された」パメラどうなったの……。犯罪行為が横行するあやしげな『夜会』やら不審死を遂げた事件の関係者などなど、一寸先は闇といわんばかりの展開が満載。女は消えるしイケメンだって気を抜いたら喰われる(性的な意味で)。いや、スカーレットの存在以外のオカルト要素はないんですけど、完全にホラーですよねこの貴族社会!!コミカライズに「ひぐらしのなく頃に」や「ルートダブル」のコミカライズをされている桃山ひなせ先生を当てたのが大正解すぎてガンガン編集部のわかりみの高さに膝を打つ。(ルートダブルはいいぞ……)ただ、そんな陰鬱でホラーな展開をコニーとスカーレットとの掛け合いが適度に薄めてくれるので、怖くなりすぎず楽しく読めました。また、章ごとに入っている登場人物紹介がいい感じにテンション高くてガス抜きをしてくれる。
それにしてもなんてところで…
謎の死を遂げたスカーレットの親友・リリィが残した「エリスの聖杯を破壊しろ」という遺言、キリキ・キリククなる謎の言葉……と謎が謎を呼ぶ展開の中、とんでもないところで次巻に続いたーー!?2巻は春に発売が決定しているようなので安心ですが、うっかりこれが発売未定とかだったら卒倒していたところです。続編が読めるのを楽しみに待ってます。
面白かった本3冊×10年分挙げて2010年代を振り返る
ラノベ読み界隈の「2010年代おすすめ作品」の流れを見て、私も軽く10〜20作品程度まとめられたらいいなとおもったけど結局30冊構成になりました。自分の毎年のまとめとブログ記事の記載を元に作成しているので10年代ベストではなくイヤーズベスト3×10になっていたり、当時面白かったもの優先でまとめているので最新刊までおいつけていない作品が混ざっていたりしますがそのへんはあらかじめご了承ください。おすすめ作品というよりもおすすめ作品で語る2010年の思い出の趣が強い。
タイトル多いのでコメントは撒いていきます。
2010年
「魔王城」は異能の力を持って生まれたがゆえに迫害される子どもたちを守るため、軍から派遣されてきた青年が「魔王」を名乗るまでの物語。ファミ通文庫で屈指に好きな作品なんですが何故か電子書籍化されていないので2020年度も「魔王城電書化しろ!!!」と叫び続けていく所存であります。あと同年1巻発売、少年少女の“空想”が世界を塗り替える「空色パンデミック」も最高に面白いんですがなんでこっちも電子書籍化してないんですかファミ通文庫ーー!!!
2011年
あと10年代で一番おもしろかったノベライズは?と聞かれたらとりあえず「円環連鎖のウロボロス」を推します。原作ゲームの展開を踏襲しながら少しずつ本来の展開から外れていく構成と、それでも間違いなくこれもシュタインズゲートに繋がる物語であると思わせていく展開が秀逸。本編も文句なしに面白かったですがファンディスクのノベライズである「比翼連理のアンダーリン」もめちゃくちゃおもしろかったです。なんであの恋愛脳寄せのお気楽ファンディスクがあんなクソ重展開になるんだよ…天才か。
あとこちらはカドカワサブスク対象作品おすすめまとめでも取り上げてしまったのですが、同年完結の「Re:バカは世界を救えるか?」。なんちゃって邪気眼の青年が本当の異能(ただし弱い)を手に入れ、たったひとりのヒロインを守るために本当の「正義の味方」として成長する展開が最高に好きでした。
2012年
「僕の妹は漢字が読める」はオタク文化が進化しすぎて文字文学が衰退した未来を舞台にした時間改変SF系兄妹ラブコメ。頭の悪い作中作のイメージとは裏腹に、めちゃくちゃ真面目に文字文学が衰退する未来の話を描いてるんですけど、それと並行して主人公と彼の「妹」達を巡るラブコメが邪魔にならず空気にもならずで進行していくのが凄いバランスだった。あと私はこの作品で黒ストに目覚めました。
「ボンクラーズ・ドントクライ」は転校生の少女を巡る甘酸っぱい恋のお話。男2:女1の三角関係でありながら、ヒロインに確かな恋心を芽生えさせていく反面、それと同じかそれ以上にいつでも一緒にやってきた親友を取られてしまうとヒロインへの嫉妬心をつのらせていく主人公の複雑な心情が、甘酸っぱい青春模様が最高に燃える。
2013年
この年は「東京レイヴンズ」も第一部クライマックスだった頃で、こっちも最高に面白かったです…次々と展開されるド派手な陰陽術バトルが楽しすぎたし、春虎を中心にその周囲で繰り広げられる様々な登場人物たちの葛藤と成長、それを見守る大人たちの因縁と激突、そしてその合間に次々と明かされていく真実に震えました。レイヴンズはなんというか…来年こそ完結すると良いですよね…。
発売自体は全然この年ではないんですけど、単巻きれいにまとまってる枠で「消えちゃえばいいのに」がめちゃくちゃ面白かった…ただひたすら淡々と一方的な愛と死体を積み上げられる物語なんだけど、このどこまでも救いの見えない理不尽な物語が最高。
2014年
数年ぶりに新刊が出た「踊る星降るレネシクル」も楽しかった…傷つけることを恐れていた主人公が、闘いですべてが決まる街の落ちこぼれ少女の面倒を見ることになって…というお話。「個性」と呼ばれる異能を使い戦う少年少女たちと、その裏で蠢く大人たちの陰謀!という王道ド直球の異能バトルが楽しかった。あと私は主人公に愛をささやきまくる親友の乾が好きです。
アニメ「K」のノベライズをまとめて読んだのもこの頃なんですけど、やっぱり「K -Lost Small World-」での八田と伏見の巨大感情の持て余し合いというかすれ違いというかなんかそういうのが本当に好きだったなと思い返すと思うんですけど、コレに関してはとにかくこのあと劇場アニメ化で改めて殴られ直した感が強い。八田と伏見はアニメの序盤までは好きそうであと一歩好きになれない奴らだったんですけど、2期の着地点があまりにも完璧に好みで後追いで撃ち抜かれました…これまでの物語全てを踏まえて、彼らがありえない夢の中で背中合わせに共闘する劇場版「CircleVision」も好き。
2015年
新刊が出ないまま来年いよいよ4年目を迎えてしまう「甘城ブリリアントパーク」ですが、可愛らしい女の子達と可愛らしいマスコットたち、そして主人公が男ひとりという一見ハーレムに見えそうな構図をしておきながらもその実は中身はオッサンなマスコットどもが酒のんでぐだを巻く裏で、元天才子役である主人公が様々な遊園地内の厄介事を一手に請け負って胃を痛めながらヒロインの生命が掛かった遊園地再生を目指して死ぬ気で頑張る(頑張らないとヒロインが死ぬ)お話です。良くも悪くもかわいいイラストと毒っ気の強い展開が癖になること請け合い。来年こそ新刊出るのをお待ちしています……。
この頃アニメ合わせで一気読みした「銃皇無尽のファフニール」も面白かった!ドラゴンに立ち向かうため集められた「D」の少女達と、ただひとりの男性の「D」であり特殊部隊で兵器として育てられた少年がドラゴンに立ち向かいながら絆を深めるお話。ハーレムラブコメ的な構図でありながら主人公の悠がヒロイン達のひとりひとりに真摯に向き合っていく姿と、ヒロイン達全員の固い絆が印象的で嫌味なく読める。あと主人公の元職場の上司(男)があまりにも主人公のこと好きすぎていかがわしいのでそういう意味でもよろしくおねがいします。
→「好きなライトノベルを投票しよう!! 2015年下期」投票します。
2016年
そしてアニメのノベライズとして描かれたダッシュエックス文庫版の3巻(※3巻自体は2017年発売)の破壊力が高すぎる。アニメもめちゃくちゃ楽しく見たんですけど(作画のことは言うな)、あの壱弥と霞の衝突の話に渡航先生の男男間の巨大感情がたっぷりつまったモノローグがたっぷりつくわけなのでまぁ死なないわけがなかったね!!!しつこく言うけど渡航作品における男男間の「お前が嫌いだ」は愛の告白と同義だと思います。
→「好きなライトノベルを投票しよう!! 2016年下期」投票します。
2017年
同じ望先生の作品で「ラノベのプロ!」もよかった…実体験らしきネタも織り交ぜつつ、ライトノベル作家の主人公と幼馴染ヒロインのあれこれを描く業界系ラブコメ。友達少なくてちょっと拗らせ気味の主人公が作品作りに対しては高い意識を持っているのがかなり新鮮でした(ラノベ作家もの、割とぐうたらというか締切とデッドヒートしてる人が多い印象だった)。あととにかく業界ネタとか置いておいて幼馴染ラブコメとして破壊力が高いのでオサナナジミストは読め。
そしてオタク女子高生の主人公と隠れオタクの腐男子教師が繰り広げるWeb原作のラブコメ「腐男子先生!!!!!」。書籍化は途中までしかしてないのですが(いつか最後まで書籍化してくれるって信じてる…)、「オタク楽しい!」を肌で感じられるWeb原作ならではのライブ感の強いオタクネタ満載の序盤から、「書き手」と「読み手」の関係、ついには「生徒」と「教師」の恋愛ものとして少しずつ移り変わっていく二人の関係性が楽しかったです。
→「好きなライトノベルを投票しよう!! 2017年下期」投票します。
2018年
続きが出るの出ないのと別の意味でハラハラしっぱなしの「ファイフステル・サーガ」もなんとか2019年のうちは生きてて良かった…別々の立場で少し不思議な力を持つ3人の主人公を中心に恋愛や政治、そして戦争…と様々な物語が繰り広げる壮大な戦記ファンタジー。同じ方向を向きながらも味方同士ではない彼らの関係性や、彼らの周囲で繰り広げられる人間関係等も魅力の一つ。
割とこの路線の青春ラノベは避け気味なんですけど、表紙買いした「彼女のL 〜嘘つきたちの攻防戦〜」は本当に面白かった……「嘘」を見抜くことができる少年と、少女がついた「優しい嘘」にまつわる物語。恋愛未満の彼らの距離感が心地よく、読み終わるとどこか温かい気持ちになれる一冊でした。
2019年
今年は色々と悪役令嬢物を読みましたが、その中でも一番個人的に面白かったなと思うのが「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました」。破滅ルートしか無い悪役令嬢に転生した主人公が生き残るために隠しルートのヒーローであるラスボスの男を落としに行く。落としに行ったはずがすっかり手のひらの上で踊ってしまっている姿が可愛すぎるし、巻を経る毎に魅力を増していく正ヒロインにして最大のライバル・リリア様がまためちゃくちゃに良かった!
そして超今更すぎるんですけど今年ようやく「ようこそ実力至上主義の教室へ」読んだめちゃくちゃ面白かった……。とある事情で天才的な能力を隠して「事なかれ主義」と嘯く主人公・綾小路が時折見せる人でなしっぷりが最高に興奮するし、表面に出ないようにしながらもそんな彼が同じ学年の食わせ者達と渡り合っていくのがめちゃくちゃ楽しい。ちょうど今第一部が終わって来年からは新展開がスタートするのでそういう意味でも良いタイミングで読んだなと思います。いやもうほんと2020年が楽しみだなあ!!!
→2019年読んで面白かったラノベ10選
読み放題が来た今こそ読みたい「ちょっと古め」のラノベ20選。
先週末からBOOK☆WALKERで角川文庫・ライトノベル 読み放題というサービスがはじまりました。
しかも、2020年の1/31までは無料で読み放題になるそうです。
というわけで、対象作品の中で私が完結(最新巻)まで読んでいるタイトルの中からちょっと古め(2000年代中心)の完結済(多分)作品のなかからおすすめラノベを20作品リストアップしました。なんで「ちょっと古め」の「完結作品」なのかと申しますとそういうやつはリアルタイムで巻数が増えないため後回しにされがちだと思うからです。私がそうです。新作は多分他にまとめる人がいると思うのでそっちで探してください(「錆喰いビスコ」と「ファイフステル・サーガ」が個人的におすすめです)
何か気に入ったものがあれば手を出してみていただけると比較的古産なラノベ読みとしては冥利に尽きます。
※なお、この記事は書影を引っ張るためにKindleへのリンクを併用しています。Kindleの方の読み放題タイトルではありませんのでご注意ください。
1巻完結 / 3〜5巻 / 6巻以上
1巻完結
3〜5巻
6巻以上
性春デイズ 〜男子高校生の性の心理戦〜
見栄をはりがちな主人公の桜井、陽気でおバカなルームメイトの菊市、コワモテだが料理が得意で心は乙女の先輩・藤川、爽やかだが性の探求に余念のない先輩・蓮見、童顔でピュアな後輩・椿木。幼い頃からの“腐れ縁”である5人が全寮制の男子校で偶然再会し、一緒に食事を取ったりしながらシモネタで盛り上がる。男子高校生達のゆる〜い日常のお話。
ほぼ100%「シモネタ」でできた小説です
読み終わって振り返ると最初から最後まで本当にシモの話しかしてなかった。舞台も男子寮から全く動かないし、ヒロインはおろか彼ら5人以外のキャラは一切出てこない。一時期流行った会話劇主体の謎部活ラノベの男子校バージョンという雰囲気だけど、なんていうかここまで徹底的にシモネタに振り切ってしまってるのはなかなか凄い。「思春期」って面倒くさい。
自分のチ●コが一番大きいと思わせようとして必死になったり、自己発電の回数でお互いを牽制しあったり、お互いの性癖を探り合ったり…性欲を持て余した彼らが繰り広げる、面倒くさいプライドと見栄の張り合いと、そこから始まる駆け引きがどこまでもバカバカしくて楽しい。ただ無邪気にシモの話題で盛り上がっていればよかった子供時代を少しだけ通り過ぎた彼らが、必死に大人の男ぶろうと友人たちに対して見栄を張ろうとする。「普通」の面白くないヤツだとは思われたくないけど、一方あまりそこから大幅に逸脱はしたくないという彼らの駆け引きが微笑ましかった。それにしても男子高校生って思ったよりも面倒くさいな!?
面白かったけど好き嫌いは分かれそう。
会話文主体の軽い話が3本収録されていて、中だるみせずサクッと読めるボリュームも丁度良く、楽しく読めました。これもうちょっとボリュームがあったら胸灼けしてたと思うのでそういう意味でもちょうどよいかと。表紙イラストや装丁は女の子向けを意識したデザインになっているような気がするのですが、割とこれ女子が好きかどうかといわれると好き嫌いが分かれる気がする。いろいろな意味でシモネタ会話が生々しく、男子高校生5人のキャッキャウフフや濃厚な絡みに萌えるというよりは弟の自家発電の一部始終を部屋の扉の前で聞いてしまったお姉ちゃんの気持ちになれる一冊でした。そういう意味で望先生の最近の十八番である「年の離れたお姉さん(の気持ちを味わえる)ラノベ」ではあるのかもしれない……(誤解)。
個人的には男子高校生にもう少し夢を見ていたいという自分の気持ちを否定はできない。
アルバート家の令嬢は没落をご所望です
アルバート家の令嬢メアリはある日突然前世の記憶を思い出した。しかもここは乙女ゲームの世界で、悪役令嬢である自分の失敗によって実家は没落し、メアリは僻地に追放されることになるということも。「それなら派手に没落してやるわ!」とゲームのヒロイン・アリシアにつっかかりはじめるが、いつも失敗してしまい…。
破天荒だが思慮深くて気高い主人公がめちゃくちゃかっこいい!
主人公のメアリが思い出した「前世の記憶」を元に乙女ゲームの展開をなぞりながら実家を没落させようとするけど、ヒロインから嫌われるどころかどんどん好感度が上がっていってしまうのがあまりにも楽しいラブコメ。とにかく他人が不幸になるようなことを望まないメアリの行動は原作通りの悪……どころか完全にただのいい人だし、悪役になれないことを自覚しながらもひたすら没落道を突っ走ろうとする姿が微笑ましい。一見破天荒な残念キャラのように見える彼女だけど、実際は貴族としての本当の気高さと大局を見極めることが出来る視点を持っている。貴族らしくないといわれる行動も家族や友人を慮った結果であることが多いし、没落したいという願いも彼女なりに実家のことを考えた上でそれが家のためになると判断しての行動であったりする。マイペースでありながらも自己の信念に基づいて行動する彼女の芯の強さが印象的でとにかくかっこいよかった。ノブレス・オブリージュの化身か。
二重に展開される、身分違いの恋に胸キュン。
主人であるメアリに不遜な態度を取りながらも影に日向に支える従者アディとの関係性も良かった!お互いに遠慮のないテンポの良い主従の掛け合いを見ているだけでもニヤニヤしちゃうんだけど、そんなアディが誰よりもメアリのことを大切に思い、身分違いの報われぬ恋心を抱いているというのがたまらない。そんな彼が庶民出のアリシアと生徒会長のパトリックの身分違いの恋にやたらと入れ込んでしまうのには甘酸っぱいものを感じてしまう。アディのいない未来を想像した途端、いつもの自信満々な態度はどこへやら不安にかられてしまうメアリの姿が最高に可愛いし、本当の思いを伝えることが出来ないアディが「どんなことがあっても一緒にいる」と言い続ける姿に胸が熱くなりました。
「ゲーム」の記憶と現実世界との関係は…
ゲームでの「イベント」をなぞりつつ、しかして微妙に全く同じというわけではない展開が印象的。何度真っ直ぐにしようとしても戻ってしまうメアリの縦ロール、経緯が多少違っていても絶対に発生するゲームと同じシチュエーションのイベントなど、世界に強制力が働いているような気がして。それでいて本来のゲームとは違う部分もかなり多いというか、まずメアリの人格が全くの別人なわけですが……(前世の記憶は一切元の人格に影響を及ぼしていないため)。
このへんは1巻では明かされなかったけど、今後明かされていくのかな。楽しみです。
転生先が少女漫画の白豚令嬢だった 4
最大の懸案事項だった処刑フラグを回避したブリトニー。リカルドとは婚約関係に戻ったし、心のバランスとともに体重も落ち着いてきて一安心、と思ったのもつかの間、その裏ではふたたび北の国の陰謀が動き始めていた。久しぶりに王都にやってきたブリトニーを待ちうけていたのは、嫁ぎ先で不遇な扱いを受けているノーラと、「転生者」を名乗る北の王女ヴィーカで……。
ツンツンだったリカルドがこんなにイケメンになって…(ホロリ)
リカルドからのイケイケ攻勢にタジタジなブリトニーが可愛い。リュゼをはじめとした恋敵にヤキモチを焼く姿は微笑ましいものの、物語開始初期のツンデレ…というかツンツンだった頃を思い出すと見違えるように大人な貴族の好青年へと成長して、感慨深さもひとしおでした。というか作中ではブリトニー12歳から始まっていてそこから5年も経っているんですね。男子の成長がすごい……。素直になれないアンジェラ王女とそんな彼女を理解して受け止めてくれるエミーリャ王子が少しずつ想いを寄せ合っていく姿も印象深い。唯一の懸案事項だったノーラの周辺もある意味上手いこと膿出しができたというか、実家や嫁ぎ先でのトラブルを経て一つ前向きになった彼女の姿が印象的でした。開き直って独りででも生きていく覚悟を決めた彼女だからこそ、幸せになってほしい。
北の国の王女の正体とは──いよいよ明かされる世界の謎。
ノーラの嫁ぎ先での問題、北の国の王女ヴィーカとの出会いにより浮かび上がってくる、この世界の未来たる少女漫画の「第二部」以降の話と世界の成立にまつわる謎。阿片の流行や武器の輸出など、国全体が不穏な気配に少しずつ蝕まれていくような展開が不気味で重苦しい。今巻は特に誰が味方で誰が敵なのかわからない展開が多くてハラハラしっぱなし。自らの境遇を嘆いて奪い取ろうと足掻くヴィーカと、自らの境遇を少しずつ受け入れ共存することで新たな未来を切り開いていったブリトニーの対比が印象的でしたが、それにしても序盤の繊維談義といい中盤以降の阿片の話といいブリトニーの前世知識が普通に専門的すぎて戸惑う。やはり転生令嬢たるもの専門知識の2つや3つ趣味で持っててなんぼなんでしょうか…繊維の知識とか明らかにちょっとお洋服が好きですくらいでなんとかなるレベルじゃないと思うのですが。
チキチキ!手に汗握る体重リバウンドレース!
王の不在によって揺れる中央の国、姿を消したアンジェラ王女と彼女に全ての罪を着せようとする内通者の存在。裏切り者を牽制し、内通者を抑え、アンジェラを奪還するために実行犯を抑える──という、一連の手に汗握る展開の合間に流れるように挿入される高カロリーの姿とそれが自然に(ブリトニーの胃袋の中に)消えていく流れが秀逸すぎて全く別の意味でも手に汗握らされる。いやもうほんと自然に混入しすぎでは!?無意識ってこえーな!!前半のエレフィス嬢のダイエットを手伝う話でもありましたが、ブリトニーはストレスを感じると無意識に暴食してしまうタイプであり、どちらかというとエレフィスのような「食べることが大好きなので太ってしまった」タイプではないんですよね。終盤ではそんな彼女の悪癖が存分に発揮されるというか、これは確かに良いこと無いし身体にも心にも良くなくてちゃんと痩せたほうが良い……。
割とこれまで肥満=悪くらいの勢いだった本作ですが、今回は食べるのが大好きなエレフィスとストレス太りのブリトニーを比較した上で「エレフィスのような人を無理に痩せさせる必要はない」という結論に持っていくのが好感度高かったです。いや、エレフィスのタイプだってやっぱその体重は明らかに健康には良くないから長い目でみたら絶対に痩せたほうが良いのだけど…。
それにしても、一度限りのネタになるのでは…と危惧していたダイエットネタがリバウンドを交えつつこんな終盤まで物語にしっかりと絡んでくるの楽しい。色々駆け込み気味の終わり方で完結編なのか?と思いましたがなろうの原作を見たらまだまだ続くようなので、続きを楽しみにしてます。