クラスメイトの佐藤から恋愛相談を受けた軽井沢。彼女の片思いの相手は、なんとあの綾小路で!?なしくずしに平田を加えてクリスマスにWデートをする計画が持ち上がるが、綾小路のことが気になり始めている軽井沢は心中穏やかではなかった。一方その頃、綾小路は三学期に向けて複数の人物と接触をしており……。
クリスマス前後の3日間の出来事を描く連作短編集。綾小路は3日の間に一体何人の女と二人きりになってるんですか!?学園ラブコメかなにかか!?そしてメインヒロイン然としていた堀北や櫛田の出番の少なさは一体。いや、櫛田は一瞬の登場なのにめちゃくちゃ存在感ありましたが……。
そんなラブコメ展開(笑)の裏で、並み居るヒロイン達を雑にあしらいつつ三学期に向けた地固めに動き始める綾小路。これ以上面倒事に関わりたくはないが、掘北元会長の「頼み事」で新生徒会長・南雲降ろしを手伝うことになってしまう。その件で、よりによってクリスマスイヴに龍園と元会長の男三人で会談してるの俺得でしかないんですけど、特にCクラスのリーダーを退いた龍園と綾小路の絡みがとにかく美味しかった。戦略の建て方、考え方は似ているがなんだかんだでクラスのために動いていた龍園と徹頭徹尾自分のためにしか動かない綾小路という間逆な立ち位置の二人の関係が印象的でした。というか前巻から引き続き綾小路と龍園で挿絵を対でもってくるのなんなの大きいお姉さん向け?(ありがとうございます)龍園と対というのも大変美味しいのですが、生まれて初めての雪に浮かれてる感が漂う、頭に雪を乗せたままの綾小路の挿絵(ただし無表情だ)がめちゃくちゃ好き。
そして軽井沢さんがとにかく恋するイイ女なので困る。いやもう綾小路の闇まで知った上でついていくと言ってるんだからどうしようもないのだけど、やはり綾小路はやめておいたほうがいいって!!と言いたくなる。軽井沢さん、相手が平田でも綾小路でもいいから最後には幸せになってほしすぎるんだけど、イイ女すぎて途中退場しそうなフラグを感じるんだよな……綾小路をかばって死にそう(人死にが出る話ではない)。
はじめての雪に対する反応もそうだし、佐藤と会話が続かなくて内心で慌ててたり、佐藤との関係を切り捨てることに少しだけの未練を感じていたりと綾小路の情緒面での成長(?)を感じる展開が多かった。感情が無いわけではなくて、感情で動くことがないというか打算でしか動けないだけなんだよなあこの男。周囲に「合わせよう」とする動きも現在手に入れた人間関係への執着を僅かながらに感じるし、なにより一瞬でも軽井沢との「未来」を思い描いてたのなんか本当に衝撃的で……軽井沢さんマジヒロイン……。
例によって本編より気軽に楽しめてそれでいて今後の本編への仕込みたっぷりの一冊でした。いよいよ次巻からは三学期。どう転がっていくのかとても楽しみです。
しかし、以下は考察以下の何かなんですけど
綾小路が過去に居たという「ホワイトルーム」、遺伝子操作とか強化人間とかそういう系の科学的にやばい施設だと思ってたんですが今回の話を総合するとひょっとして「感情が擦り切れるまで徹底的に人間の時間を管理して無茶苦茶努力させたら完璧超人が出来るかも」とかそういうコンセプト?ひょっとしてほぼただの根性論なのか…?
坂柳との会話を聞く限り、綾小路父のやってたことって「行き過ぎた努力は天才をも超越する」とかそういうアレに思えるんですが、そうだとしたらある意味薬物や肉体改造なんかよりも遥かにクレイジーな話だなあ……。
ようこそ実力至上主義の教室へ7.5
過去の呪縛から救ってくれた綾小路のことを意識するようになってしまった軽井沢恵。そんな彼女に、友人の佐藤麻耶から綾小路とのクリスマスデートについて相談が持ちかけられる。さらに同時に綾小路からも、佐藤について知っていることを教えて欲しい、と軽井沢に連絡が!?綾小路の行動は純粋な異性への興味のためのものなのか、それとも佐藤を利用するためのものなのか。「あーもう!何なのよあいつはあ!」クリスマス目前、軽井沢のモヤモヤは止まらない。一方、綾小路は新学期に向けて複数の人物と接触。一之瀬帆波のウィークポイント、新生徒会長・南雲雅の抱える闇、新たな情報は今後の波乱を予期させるもので―!? (「BOOK」データベースより)