色々あって(本編15巻分)里帰りをすることになったリナとガウリイ。仕事は受けないつもりだったが、故郷であるゼフィーリアの国境にある町で野盗(?)からの護衛を頼まれ、引き受けることに。しかしこの案件、ただの野盗ではないようで……!?
何を言ってるかわからねえとおもうが18年ぶりの「本編」新刊。ゼルとアメリアの本編再登場が24年ぶりだとか、うっかり計算してしまって戦慄が走った(なお短編の方の出番はカウントしない)。リナとガウリイのコスチュームが大幅にチェンジしていたことにものすごく時代の流れを感じましたがこれガウリイのコスチュームは……どうなって……?(正面図が無い)
魔族との戦いがメインだった本編とは少しだけ毛色を変えつつも、いつものメンバーが一同に介してドタバタ騒ぎしながら強敵をぶち倒していくという展開がまさしくいつものスレイヤーズで、ものすごく童心に帰れる。二部メンバーが出てこないのは少し寂しいけど(展開的に仕方ない)けど、それ以外のメインメンバーはほぼ総出演で懐かしさがヤバイ。あとがきで触れられていますが「同窓会」という表現がまさしくそれという感じだし、何よりあとがきの対談形式が懐かしすぎてもう一回ダメージを受けるまでありました。ていうか、対談形式のあとがき懐かしすぎじゃない!?あらゆる意味で心が震えた。
内容に関してはもう「いつものスレイヤーズ本編でした」というのが最高に正しい感想だとおもうんですけど、人馬さんの中の人の顛末のあの一度おもいきり笑わせておいて後から何度も何度も蒸し返してくる感じとかまさしく「スレイヤーズみ」を感じた。最高に好き。あと、新キャラであるアライナと呪文の話してるところ。軽快なノリもさることながら、スレイヤーズ世界の呪文まわりの話ってむちゃくちゃ楽しいんですよね。
今回は周年記念のお祭り短編の予定だったとのことで、一夜かぎりのお祭り騒ぎ感が大変に強い巻だったのですけど、ほんと時を超えて変わらぬ面白さだったなあ。評判が良ければ今後もあるかも…?みたいな書き方もされていたので、ときどきでいいので続きが出てきてほしい。本当に楽しかったー!!
「うらら」一覧
彼女のL 〜嘘つきたちの攻防戦〜
とある少女の死の真相を探るために、苦手としていたクラスメイトの佐倉から話を聞くことになった遠藤正樹。話を聞くうちクラスメイトたちに見せる学園のアイドルとしての彼女とは少し違った彼女の一面に触れることに──嘘を見抜けるがゆえに嘘が嫌いな少年と、嘘をつかない少女と、嘘つきな少女が織りなす青春ミステリー。
嘘つきの佐倉と嘘をつかない川端、間逆な二人の少女と接するうちに、潔癖症的ですらあった遠藤の嘘に対する見方が変わっていく。それを許容し、使い方によってはそれは悪いものではないのだと。優しい嘘つきもいるのだと。と同時に、小さな嘘がきっかけで距離をおいてしまった父親との関係を再構築していく。
最後の最後に暴き出された「真実」はとても悲しい結末だったけど、二人の少女がその事実を彼女たちなりに受け止めて、前に進もうとしていく姿が印象的でした。誰も彼もが相手を思いやり、それゆえにすれ違っていく姿がやるせなく、それでもどこか温かい気持ちにさせられる。とても優しい「嘘」のお話。
ミステリーとしても青春ストーリーとしても家族の物語としても大変おもしろかったのですが、主人公と二人の少女の恋愛とも友情ともつかない感じの、なんとも言えない距離感がまたとても好きです。というかもうとにかく佐倉が可愛すぎてツライ。一行でまとめろといわれたら「佐倉が可愛かった」になるくらいに可愛い。イラストの凛とした表情も、状況によってころころ変わっていく変幻自在で小悪魔な姿も、そして最後の最後で覗かせる彼女の本当に表情も、最高に可愛かった。いや川端も可愛いんですけれども!
とっても面白かったです!
七星のスバル
MMORPG・ユニオン内でのゲームオーバーと共に、現実でも息を引き取った旭姫。彼女の死をきっかけに、ユニオン内最強のパーティーにして小学校の同級生同士(+α)だった"スバル"はバラバラになってしまう。6年後、高校生になった陽翔はクラスメイトの頼みを受け、"リユニオン"と名を改めたそのゲームに嫌々ながらログインすることに。ところが、ダンジョンの最深部の宝箱から出てきたのは、死んだはずの旭姫本人で……。
幼馴染の死をきっかけに心を閉じてしまった主人公が、亡くなったはずの幼馴染との再会をきっかけに失ったものを取り戻していく。絆と約束の物語。
6年前の出来事を昨日のように語り"スバル"の復活を疑わない旭姫と、その6年間ですっかり変わってしまった幼馴染達との心の距離が胸に痛い。いや実際、6年前に亡くなってお葬式にまで参加した相手が突然出てきても困惑するし、変わってしまった元凶は旭姫の死なわけだから余計混乱しますよね。しかも、最強の闘気使いと言われた能力を失ってしまった陽翔をはじめ、他のメンバーも本調子とは言えない状態でゼロからどころかマイナスからのスタート。かつて潜在的にあった恋の鞘当ても顕在化しており……一筋縄ではいかない状態なのがもどかしかった。
そんなところから、まずは旭姫と陽翔ともうひとりのスバルメンバーである咲月の三人が気持ちを通じ合わせて"スバル"の復活を目指そうとする流れが胸に熱かったです。アニメがきっかけで手に取った作品でしたがアニメではあまり描かれなかった彼らの心の動きがしっかり描かれていくので面白かった。しかしアニメはこれ原作の展開最後までやっちゃうな!?と思って最後の2話だけ見るの止めてるんですけど……。
それにしても、アニメでも大変お気に入りのキャラだったんですけど貴法のこじらせメガネぶりはとても良いですね……初恋の幼馴染の遺品のリングを自分のと接合しちゃう系男子……。
魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?3
魔王の一人から夜会の招待を受けたザガン。こちらを監視していたとしか思えない招待の言葉に罠の気配を感じるが、敢えて全員で夜会に向かう事を決意する。一方、自分とそっくりなダークエルフと対峙したネフィはある不安にとらわれて……。
相変わらずザガンとネフィのイチャイチャっぷりが限界突破で私はもう駄目です。少しずつ距離が縮まって、初期よりも糖度が増していくので本当におやばい。キスとかそれ以上とかこう性的なことはなにも進展していないのにこんなに甘々なのズルくないですか!?今回はフォルとの「親娘」っぷりも入ってきて、本当に永遠にイチャイチャしててくださいおねがいします!!!という感じ。
少しずつ「仲間」らしくなっていくザガン一行の姿と、魔術師達が就任したばかりの「魔王としてのザガン」を認めていく姿が印象的なお話でした。他の人間を信用できず独りで生きてきたザガンが、仲間や護るべき一般人だけではなく同じ魔術師達と「共に戦う」という展開が胸熱。すっかりザガンの従者として執事面してるラーファエルさんやちょっと思った以上に義理堅い悪友バルバロスというこれまで敵としてザガンの前に立ちふさがった彼らの姿にもニヤニヤしてしまうのですが、(一応1巻の時点で名前だけは居た)新キャラの魔術師達も良いキャラしてる。
そして彼らに立ち向かうのはザガン達とは対称的な関係の「魔王」ビフロンスと「ダークエルフの少女」ネフテロス。ネフテロスの事を道具のように扱うビフロンスの行動は胸糞すぎるし、ネフテロスの葛藤と絶望には胸を刺すものがあるんだけど、そんな二人の関係にも色々と変化が訪れそうな気配。これは次回の登場に期待しか出来ませんっていうかこれは完全に尻に敷かれる奴でしょう…!?
ファイフステル・サーガ2 再臨の魔王と公国の動乱
フライスランドとの冷戦状態が続く中、自分がセシリアとの結婚式の最中に毒殺される未来を見てしまったカレル。僅かな手勢を連れて調査を始めるが、見えてきたのは領内の「身内」の裏切りで……『自分が死ぬ未来の夢を自分と伴侶に見せる』という能力を駆使して、未来の魔王との戦いに備えていくシリーズ第二巻。
前回は中ボス的な立ち位置だったコルネリウス隊長の味方としての序盤の無双っぷりが大変良かった。前巻に散々(夢の中で)殺されまくった相手というだけにその実力は折り紙付きで、それが味方というだけでも頼もしくて仕方がないのですが、小柄で寡黙なヒットマンで戦いとなればぶっちぎりの強さを発揮するけど○○好き……とか、色々設定盛りすぎじゃないですかねーー!?ヴィルの件で、後ろから威圧を掛ける姿に思わずニヤニヤしてしまった。
一方、戦士としてはそこまでの強さではないカレルの「将」としての器が試される後半。前巻と違ってセシリアの「夢」による助けもなくてあっちもそっちも敵だらけの中、倍の量の敵軍を蹴散らしていく展開が爽快でした。勝つだけなら練度もあってそこまで難しい話ではないけど、いかに「味方」に損害を与えずに勝つかという視点は一軍を率いる将としての視点だなあと。なにしろ、未来の魔王との戦いを考えたら今目の前にいる敵だって「味方」になる訳ですもんね。
などといろんな建前もあるんだけど、結局は「セシリアを悲しませたくないから」犠牲を少なくする方向で策を練るカレル、実に思春期の青年という感じで良いですよねえ。すっかりセシリアの膝枕に味を占めてしまった彼の童貞臭い発言がイチイチ可愛い。一人寝の夜を寂しがるセシリアの姿にも思わずニヤニヤしてしまって、とても世界の未来を賭けた政略結婚からはじまった関係とは思えないラブラブっぷりが最高でした。そして結婚式の後の初夜のやりとりがもう可愛すぎて……初夜の詳細早くお願いします!!!!
そして今回なんといっても欠かせないのは1巻から中心人物として描かれてきたカレルと、もうひとりの主人公ともいうべき摂政ヴェッセルの邂逅。もういろいろな意味でニヤニヤが止まらない展開だったのですが、ヴェッセルの方も留守を開けている間に話が大きくなって色々大変なことになっているような!?これはいろいろな意味で3巻が楽しみ。
転生先が少女漫画の白豚令嬢だった2
ダイエットを重ねた結果、無事に40kgのダイエットに成功した──となったのもつかの間、ストレスやらなにやらであっさり20kgのリバウンドを果たしてしまったブリトニー。王都で王女主催のお茶会に出席するため、ふたたびダイエットするよう厳命されてしまって……二か月後までに、見事体重を取り戻すことができるのか!?
1巻であっさり「白豚令嬢」を返上してしまい、どうなるのかと思っていたらリバウンドが待っていた……ストレスで無意識に甘い物とか解りすぎるしとてもつらい。しかしこれ、このパターンを使えばいくらでも主題をダイエットに出来るな!?(名推理)
前巻に引き続き、元婚約者であるリカルドとの関係がもどかしくて好き……まだ自覚までには至っていないブリトニーがストレスでリバウンドしてしまうのとか、ほんと可愛すぎた。無自覚だった2人がお互いに気持ちを自覚しあって、段々ラブラブになっていくのにニヤニヤするんだけど、あっさり気持ちが通じた分、逆にどんどん外部で障害が乱立していく感凄い。というかリュゼと言いマーロウといい、これは恋愛フラグも乱立するパターンじゃないですかね!?ルーカスは別のフラグを感じるけどな!!
破滅フラグを回避するために「厄介事」には近寄らないと考えていたブリトニーが自らの生い立ちを重ねて、忌憚していた悪役王女アンジェラの孤独に共感し、寄り添っていく。並行して、記憶を取り戻す前のブリトニーも確かに自分自身なのだと受け入れていく流れがとても良かった。関わらないで済むようにしようという後ろ向きな方向性から、少しずつ「自分が関わることで良い方に変えて行けたら」と前向きになっていったのが印象的でした。
ブリトニー自身が絶妙にメインキャラではない分、転生元で読んだ少女漫画のストーリーが適度にしかネタバレしてこない感じの匙還元も良かった。少女漫画の世界観的にはむしろこれからが本番で、どうなっていくのか楽しみです。
それにしてもブリトニーと接して少しずつ良い方に変化していくアンジェラ、ちょっとプライドが高くておしゃれに敏感で友達想いって、普通に可愛いんですけど……。
転生先が少女漫画の白豚令嬢だった
少女漫画と美容と化粧品づくりが趣味の大学生が転生してしまった先は、好きだった少女漫画の悪役王女…の取り巻きのふくよかな令嬢ブリトニー。性格の悪さとその見た目で読者から「白豚令嬢」と呼ばれていた彼女は、物語の中では悪役王女の罪を押し付けられて処刑されている。最悪の未来を阻止するためダイエットを始めたが、これがなかなか前途多難で……!?
悪役王女の取り巻きになったから無実の罪で殺される→悪役王女は自分よりブスな女しか取り巻きに選ばない→彼女の目に止まらないために、ダイエットして美人になろう!!という感じで、一見関係なさそうな「痩せる」という目標が破滅フラグの回避と密接に結び付けられているのが面白い。デブの悪臭をなんとかするために温泉を引いたり、石鹸や化粧水を自作していくとそれが口コミで広がって家計を助ける……と他の問題の解決にも次々と繋がっていくのも楽しかった。
体型の件もあるけど、それ以上に性格が悪くて愚かだったブリトニーと周囲の関係はほぼ最悪で。甘やかしで孫をダメにする系の祖父しか味方の居ない状態から、少しずつ足場を固めて周囲との関係を改善していく流れが印象的でした。最初は取り繕って「いい兄」を演じていた従兄・リュゼがどんどん本性出してくるのには笑ってしまったけど。
そしてなにより、物語のしょっぱなで婚約破棄された元婚約者・リカルドとの関係が良かった!最初は婚約破棄を逆手に「取引」という形で関係を持っていたのが、こちらが誠意を見せることで改善していって、少しずつ距離が縮まっていくのがめちゃくちゃ可愛い。最後の最後で吊り橋効果的に一気に距離が縮まるのにもにんまりしてしまった。
それでも、ブリトニーを性格と体格が歪んでいたのは元からではなく、幼い頃の家庭環境にあったというのがなんというか、本来の少女漫画での彼女の末路を考えると複雑な気持ちになる。「白豚令嬢」という単語からしてデブへの当たりがキツくて軽く敬遠していたタイトルだったんですが、読んでみたら予想以上に面白かったです。デブが悪いんじゃない……歪んだ環境がデブをうむんだ……(私もブリトニーを見習ってちょっとお外歩いて来ます)。
ところで、個人的にこの手の悪役令嬢物、割と前世の記憶を思い出した後は前世側の人格に上書きされることが多くてもう少し本来の人物の人格が残ればいいのに……みたいなこと思うんですけど、物語の途中で「寝てる間に無意識にブリトニーの身体が食べ物を求めて夜食を漁っていた」設定には笑ってしまった。心は(前世に)屈しても身体までは自由にならなかったかーーー。
腐男子先生!!!!!2
同人活動をしている女子高生と、彼女の面倒くさいファンだったイケメン教師(※隠れ腐男子)が繰り広げるオタク系ラブコメ。1巻からめちゃくちゃ間が空いたのでこれは2巻が出ないコースかなおのれエンブレと思っていたのですが……続きが出ました!!
序盤のオタクネタがとにかくキレッキレで、今リアルタイムでオタクしてる私がめちゃくちゃ楽しい。二次創作や腐女子あるあるを盛り込みつつも、ここ数年をオタクとして生きてきた人ならピンとくるあのネタこのネタがこれでもかというほど詰め込まれているのが楽しくて仕方がない。特にここ4年ほどアイドルマスターSideMのオタクをしているので、私はとある腐男子先生の国民のチョコレートの日直前休日の話でわかりすぎて死んだ。っていうか現地に居た。分かる人は是非原作該当部分を読んでから一覧に戻って投稿日時を見て欲しい。……ねえこれリアルタイム過ぎない!?Web小説ってすごい!!
どちらかというとオタク男女のドタバタが中心だった前半から、朱葉の進級が近づくに従って少しずつラブコメ比重が高くなって来る気がする。トリプルフェイスで執行するけど。信者から粘着される話はリアルで想像すると怖すぎるんだけど、読んでいくと最終的に一番ヤバイのって先生じゃない!?ってなるの本当に不思議ですね……なんでこの人、朱葉のフォロー関係からリプライまで朱葉自身よりも把握してるんだろう。いっそ粘着犯の言い分の方がある意味「オタクあるある」的だったな!!(普通はそこからリアル粘着はしないけど)
三年生になり、ただの「同じ学校の教師と生徒」から「担任と教え子」にランクアップしてしまった二人。一見距離が縮まったようにも見えるけれど、むしろ以前よりも不自由になった事の方が多くて。物語の舞台も放課後の生物準備室から教室と部室に。朱葉の大ファンである後輩の咲やリア充クラスメイトの都築を加え、少しずつ変化していく二人の関係が印象的でした。
2巻ラストを飾るカラオケボックスのエピソードはなろう版と商業版でオチが違うと聞いて、なろうの該当箇所を読み直しに行ったのですが、あっちの話もめちゃくちゃ好きなので単行本からの人は是非原作版も読んでください。該当箇所は61〜62話です。
書籍版は口から砂糖吐く感じで大変けしからんのですけど!!
「早乙女くんに向けて歌うよ」のあの遠回し感も!!
「そういうプレイ」って嘯くのもすごい好きで!!!
(ところで早乙女くんに向けて歌うやつの元ネタがわからない…)
↑これの話言及いただきましたありがとうございます……某スケートアニメだそうです。
余談なのですが電子書籍版特典のおまけ小説がすごく良かったです。リアルでの付き合いがある気のおけないオタク友達の家で泊まりで遊ぶってまじこういうノリになりますよね……空気感の再現度が高すぎる。
ロード・エルメロイII世の事件簿2 「case.双貌塔イゼルマ(上)」
至高の美を追求することで根源に至ろうとする魔術師の一族・イゼルマ家の社交会に招かれたエルメロイ二世の義妹・ライネスと、彼女の護衛として同行することになったグレイ。ところが社交会の翌日、とんでもない事件が発生して、二人は容疑者の疑いをかけられてしまう……。
イゼルマ家が生み出した至高の美「黄金姫」「白銀姫」を巡って発生した怪事件と、その裏で蠢く時計塔内の派閥争い。れっきとした殺人事件であるはずなのに、犯人探しはそっちのけでドロドロの派閥争いが始まってしまうのはいかにも魔術師らしい。
遅れてやってきた探偵役・エルメロイ二世を交えて、推理に必要な手札が揃った所で終わったような、エピローグを読む限りまだまだ裏がありそうな……どう決着がつくのかとても楽しみです。
それにしても、まさかの橙子さん登場!!前巻でもサブヒロイン的な立ち位置で二世の後の教え子となるルヴィアが登場したりしましたが、今回は他にもどこかで見た名字の人が登場したりしていて、知らなくても楽しめる範疇ではあるんだけど型月オールスターズ感があってワクワクしてしまう。
『矛盾螺旋』での魔術師としての橙子さんの姿を知っていると、もう最後の流れだけでこいつはヤバいことになってる!!!とワクワクしてしまって駄目です。続きがどうなるか、本当に楽しみ。
「その条件なら、私は彼の──ロード・エルメロイ二世の敵に回ろう」
ロード・エルメロイII世の事件簿 1 「case.剥離城アドラ」
「……ある意味で、現代の魔術師とは、天使を蒐集する職業だといってもいい」『時計塔』。それは魔術世界の中心。貴い神秘を蔵する魔術協会の総本山。この『時計塔』において現代魔術科の君主(ロード)であるエルメロイII世は、とある事情から剥離城アドラでの遺産相続に巻き込まれる。城中に鏤められた数多の天使、そして招待者たちそれぞれに与えられた〈天使名〉の謎を解いた者だけが、剥離城アドラの『遺産』を引き継げるというのだ。だが、それはけして単なる謎解きではなく、『時計塔』に所属する高位の魔術師たちにとってすら、あまりにも幻想的で悲愴な事件のはじまりであった──。魔術と神秘、幻想と謎が交錯する『ロード・エルメロイII世の事件簿』、いざ開幕。
第四次聖杯戦争から帰還した後、時計塔の講師として頭角を顕したウェイバー・ベルベット。エルメロイ家の仮の当主として「エルメロイII世」を名乗るようになった彼が、ひょんなことから剥離城アドラで行われる、とある男の遺産相続に巻き込まれ……。
魔術が絡んだ謎解き要素と、内弟子・グレイとのやり取りという形で差し込まれる「教師もの」要素が絡み合う物語。魔術にかかればアリバイ工作からトリック、はたまた人の生死まで信じられないというフリースタイル感がすごくて、そんな"なんでもあり"な状況で、手段もアリバイも捨てて動機から攻めていく謎解きが楽しかったです。謎を解いた後はド派手な力技で解決していくのも、Fate感あるよなあ(偏見)
「ZERO」の頃とは別人のように大人になったエルメロイII世が、内弟子であるグレイの前ではどこか子供っぽい発言をしたり、研究室にゲーム機を隠し持っていたり……と、かつての「彼」を思い起こさせる言動をするたびにニヤニヤしてしまう。教育者としての名声を得た一方で、魔術師としては平凡なレベルでしかないということを自覚し受け入れながらも妬まずにはいられない姿が印象的でした。というかちょうどFGOでゼロイベ復刻をやっていた最中だったので、なんというか新たな気持で(イベストを)読みました。
それにしても、最後の最後で征服王との絆で殴ってくるのはずるくないですか…!?
ZEROリアルタイム勢としてラストの展開だけでももう感無量というかキャパーオーバー感があり、大変燃えました。面白かった……。