無人島でのサバイバルが終了したのもつかの間、クルーズ船内を舞台に各クラス3人×4クラス=12人のグループ毎で行う新たな「特別試験」を提示される。Dクラスのカースト上位に君臨する女子・軽井沢と同じグループになった綾小路は、この機会に彼女が自分にとって「使える」人材か見極めようとして――
特別試験の内容はグループの中に一人だけいる【優待者】を1時間の話し合いを繰り返すことで探し出すという頭脳ゲーム。「人狼ゲーム」ライクなシステムにこの作品独自の要素である「クラスポイント」「プライベートポイント」のシステムが加り、更に各クラスの思惑と個人の思惑が交錯して……ただ犯人当てをすればよいというゲームにはなっていないのがちょっと(かなり)複雑だけど面白かった。
それにしてもクラスメイトの闇がどんどん出てくる。平田も3巻の時点で割と怪しい気配を漂わせていましたがだいぶ危なっかしいし、軽井沢の過去がまた壮絶。そしてその軽井沢の深い闇をわざと引き出してそれ以上の闇で屈服させようとする綾小路がもう完璧に主人公ムーブをしてないんですけど!?っていうかほんと綾小路はどんだけ深い闇を身の内に秘めてるんだよ。いやなんか、いちおう一之瀬や平田あたりの目はあるものの、堀北・櫛田と別行動になっているぶん逆に好き勝手やってるなという印象がありましたね今回。まあいくら共犯者関係でも堀北の目のあるところであれはできないよな。3巻も大変にひとでなしの顔をしていましたが、4巻もクライマックスで軽井沢さんを壁ドンする綾小路の顔が大変にひとでなしで最高です。本文では一切描写せずに挿絵のみで伏線バラまいてくる序盤の櫛田といい、ほんと挿絵がいい仕事している。
クラスメイトだけでなくBクラスのカリスマ女子・一之瀬がなかなか食わせ者感出して来たり、今回は綾小路がそっちまでカバーする気がなさそうだったとはいえCクラスの龍園にはすっかり出し抜かれた形だったり。先生たちにも色んな思惑があるようで、本当にこの学園まだまだ闇深そうな人いっぱい出てきそうですね!?大丈夫か!?ラストの堀北しか見えてない須藤が唯一の癒し。
最後の最後で龍園に出し抜かれた綾小路が初めての「感情」を得る姿が印象的というかでもほんとこの感情の得方は主人公としてどうなんですか最高だな!?ここめっちゃ挿絵ほしかったやつだ…。
ようこそ実力至上主義の教室へ4
著
衣笠 彰梧絵
トモセシュンサク夏休みを利用した特別試験前半戦―無人島サバイバルは無事終了。舞台は豪華客船でのグループ戦に移る。後半戦の試験内容は打って変わって、思考力が試される頭脳戦。A~Dクラスの全ての学生を干支になぞらえた12のグループに分け、各グループごとに一人だけ存在する『優待者』を見つけるというもの。クラス対抗という考え方を破壊する試験に驚愕する生徒たちだったが、葛城、龍園といった各クラスの実力者達は試験の狙いを見極め、暗躍を開始する。一方、清隆は同じグループに入ったクラスメイト軽井沢恵の持つ異質さに気づき―!?「私は―寄生虫。ひとりで生きることの出来ない、弱い生き物」清算できない過去との決別!学園黙示録第4弾!? (「BOOK」データベースより)