[著]神坂 一 [絵]芳住 和之 クラウスと叔父のルグナードは傭兵として仲間達と山賊退治に向かう。ところが、山賊達は目の前で邪悪な“海”・アビスゲートに飲み込まれ、依頼料が出なかった事に腹を立てた傭兵仲間の一人が依頼主を刺殺してしまう。二人はアリサという少女と共に、依頼主を殺した男を追う羽目になるのだが… |
しかし、どうしても上記2作品を中学・高校生時代にリアルで追いかけていた人間としては主人公が「盗賊虐めが趣味の貧乳天才美少女魔術師」だの「祖母コンでマントマニアな刃物マニア」くらいキャラがトんでないと物足りない気分になってしまうのです。あと妹が触手とか。
今回の主人公・クラウスは確かに多少ヘンな所はあるけど(魔力を使うと●●になる…という設定には噴いたw)凄く正統派なキャラクターでした。以前家族をアビスゲートの災害で失ったらしい描写があって、その為アビスゲート災害には過剰に反応してしまうっていうくらいで、それ以外はいたって普通。……彼のキャラは「スレイヤーズすぺしゃる」で毎回依頼を持ちかけてくる依頼人達よりも余程薄い気がする。
でも「キャラクターが濃くない」以外は流石ベテランというか、安定した面白さでした。轟音と共に、突然海が現れて世界の一部を飲み込んでしまう災害“アビスゲート”や、その仲から現れる異形の怪物たちという設定は面白かったし、バトルも結構熱いし、主人公クラウスと謎の少女アリサもなんかの伏線がありそうで……と、普通にファンタジーを読みたいならかなり楽しめる作品だと思います。とにかく“アビスゲート”という災害の設定が面白くて、異形の怪物達のおぞましさにゾクゾクしながら先を読み進んでいきました。
ただ、ひたすら濃ゆいキャラクターたちの破天荒な行動に振り回されるような展開を楽しみにしていたので、ちょっと個人的に「読みたい」と思っていた神坂作品とはズレていたかもというのが印象だったり。