ページ 117 | 今日もだらだら、読書日記。

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マテリアルゴースト

 

「死にてえ」が口癖の高校生・式見蛍は交通事故に遭って2ヶ月間入院して以来、霊が見える&半径2m以内の幽霊を物質化してしまうという能力を得てしまう。退院当日に駅のホームでかわいい女の子(の幽霊)に出会うが、ひょんなことから彼女につきまとわれることに!?

「生徒会の一存」シリーズの葵せきなさんのデビュー作。死にたがりだけど実際にその勇気は持ち合わせていない、“自殺志願”の主人公が美少女幽霊やら幼馴染の巫女娘やらちょっと変人な先輩やらに囲まれてラブコメったり自殺しようとしたり悪霊にモテたりするお話(違)です。

個人的には、回りくどい文章がイマイチ性に合わなかった。「戯言」のいーちゃんや「みーまー」みーくんも同じ理由でとても苦手なんだけど、思考そのまま垂れ流しというか余計な情報が地文に多すぎて、それが少々うざったく感じる事が…まあこの辺は好き嫌いの問題なんですが。

一時ラノベ感想サイトで話題になった主人公の性格については、ちょっと精神的に病んでる部分はあれど、根っこは基本的に中二病作品によく存在する「周囲の迷惑省みず自己犠牲になろうとして終盤で仲間に説教されるタイプの主人公」という範疇にギリギリおさまっているように思えました。ただ、このタイプが得てして抱え持つ病的な部分が悪い意味で強調されているので、ものすごく好き嫌い別れるかも。あと、この後の展開をある程度ネタバレで聞いているので許せるという部分はあるかな。前半のだるだる空気から一転、やたらと熱血王道な後半の展開+蛍が後でそんな自分を思い返して悶絶するエピローグは結構好き。

戦闘描写では「霊体を物質化する」という蛍の特殊能力ゆえの強み・弱みが存分に生きてくるのが興味深い。「霊体を強制物質化=霊体(魂)を自分の攻撃として使うために外に出したら外で勝手に物質になっちゃうから、使った後戻せない」とか良く考えてるなあ、と思った。しかし、この調子で霊力使いまくってると、そのうちどっかのバイトで魔術師やってるラノベの主人公みたく自滅しそうだな…。

それにしても、つくづく思った。
葵せきなのラノベで一番「非日常」なのは女子高生の制服のデザイン。
こんな美少女じゃなかったら全力で似合わないような洋服を学校の制服に指定されたら、発狂するわ!!!

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NO CALL NO LIFE

 

ある日、有海の携帯に残っていた奇妙な間違い電話。何故か着信履歴には10年前の日付けが記されており、留守電には母親の帰りを待つ男の子のメッセージが残されていた。その間違い電話に導かれるようにして向かった東京湾を望む埠頭で、有海は2つ年上の春川と出会い……

まろんさんに背中を押されて、7月末の文庫化を前にいまさらながら読んでみた。発売日に買ったまま3年弱積んで熟成してたのは内緒だよ!

過去のとある出来事のせいで心に深い傷を持つ二人・有海と春川が織りなす、今にも擦り切れそうな青春と恋の物語。不思議な留守番電話を巡るミステリーっぽいお話を想像していたら、ものすごく青春でサツバツで病んでました。そうかこれは退廃的といえば良いのか…(←最後はざっと感想サイトを巡っての感想)

有海と春川が少しずつ近づいて行き、とある事件をきっかけに同棲するようになるのですが、読んでいる方には明らかに終わりの見えてしまっている二人の刹那的な幸せがなんともやるせない。もちろん当人達にもこの生活を長く続けられないことは判っているはずなのですが…「無敵になった気分」「怖いものなんて何もない」と根拠なんか何もない万能感に満たされている二人を見ると、ますますやるせなくなってしまう。

「欠落を埋め合っているような気がする」という言葉とは反対に、同じ場所にある欠落をただ舐め合っているだけの二人の姿を見ると作中で有海の従兄が言うとおり正直「一緒にならない方が良い」二人ではあるのだけど、あまりにも幸せそうな二人を眺めていると、“こういう形もありなのかもしれない”と思ってしまう不思議。でもやっぱり、二人の関係を見ているとその先には“何もない”のが判ってしまってなんともやるせない気分になってしまいます。

ラストは、ある意味ベタな展開だとは思うけど泣いた。
もっと本当の意味で幸せになった二人の姿が見てみたかったけど、心に残るエピローグでした。

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真・運命のタロット1 《教皇》がiを説く

 

記憶を失い、自分が誰であるかも忘れて1996年の街を彷徨う少女。菊沼と織藤は少女が“荒サン”という菊沼のかつての渾名を知っていた事から彼女を保護するが、少女の周りでは次々に不思議な事件が巻き起こる。しかも、彼女からは脳波が出ていないというのだ……

新展開で送る“運命のタロット”シリーズ第二幕。《教皇》とのフェーデの最中に起きたアクシデントで記憶を失ってしまった(らしい)《女教皇》がかつて知り合い達に偶然保護される…というお話。13巻のラストから続くのかと思ったら、プロローグが予想外の展開過ぎた!しかもライコが既に○○○○○になってるし!!新しいタロットの精霊や曰くありげな人物がばんばん現れて、気になるのなんの。前巻からこの物語に至るまでの空白期間に何があったんだろう。気になりすぎる。

それにしても学園異能系ラブコメ小説だったかつてのノリはいずこに……あとがきでホワイトハート移籍の噂もあったということですが、正直かつてのティーンズハートからは想像も付かないほど難しいお話が展開されてます。「虚数意識論」とか、高校時代に数学落第寸前だった私としてはとてもわけがわからなかったんだぜ…っていうか“虚数”とか普通に習った事さえ覚えてなかったんだぜ……初期のドタバタキュンキュンラブコメ時代もあまり得意ではなかったけど、ここまで跳躍されると逆にあの初期のノリが懐かしくなってしまうのはなぜだ…!!もうライコは学生には戻らないのかなあ…。

ラストはとても重い展開に。まだ記憶を取り戻していないライコにとって、荒サンと織藤さんと島津は唯一といっていい「身近な人」だったわけで、彼らを助けようとした結果として拒絶されるというのは痛かっただろうなぁ……。

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EVE TFA?亡き王女のための殺人遊戯

[著]桜庭 一樹 [原作]C's Ware

うだるような真夏の昼下がり、ふとしたきっかけで天城小次郎が知り合った不思議な少女・セシル。本屋と喫茶店、それっきりの邂逅だと思っていたがその晩彼女は小次郎の探偵事務所に依頼を持ってきて…。一方、小次郎の元恋人・桂木弥生の元にはとある少女を探してほしいという依頼が舞い込み…。
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ノベライズとしては最古の「桜庭一樹」名義(※オリジナルの方ではこの前に既に「ロンリネスガーディアン」とかが出てます)。アドベンチャーゲーム「EVE」シリーズを元にした外伝ノベライズ作品。久しぶりに読みたくなって再読。TFAの名を冠してはいますが特にストーリー的なつながりは一切ありません。エルディアをはじめとしたシリーズ独自の設定も出てこないので、メインキャラクターの基本設定さえ知ってれば読める感じ。

小次郎・弥生の両視点から別々の依頼を操作しているうち、“殺人遊戯”と呼ばれる連続殺人の核心部分へとつながっていくという辺りはゲームと基本的に同じ流れ。以前読んだ「EVE ZERO」ノベライズは原作の「マルチサイトシステム」の特性を無理に小説に持ち込んで時系列がわかり辛いという状態になっちゃってましたが、今回は基本的に時系列順に物語が語られるので凄く判り易い。

特に、小次郎と弥生の邂逅が両視点から見れるのは面白いなあ。小次郎が「弥生が追いかけてくるような気がした」と語ったのと同時刻、弥生が本当に小次郎を追いかけようと動き出していたり…と二人のすれ違いやシンパシーがもろに伝わってくるのが面白い。というか桜庭さんは本当に弥生好きだね!小次郎に今も心囚われ続けてもがく彼女の心理が痛いほどに伝わってきます。

今回のゲストキャラで物語の鍵を握る少女・セシルのなんともいえない妖艶な無邪気さみたいなのが物凄い印象に残った。掴み所のない蝶のような少女ってこういう事を言うんだろうなあ。

まりなさんの出番が必要最低限に絞られているため、まりなファンの私としてはそこだけとても残念だったのですが、ラストは彼女が美味しいところをまとめてもっていってくれるのでとてもニヤリとする。エピローグでの小次郎との同性の友人のようなさっぱりした会話も好きだなあ。しかし何度読んでもこれ、オチが色々と酷いwww

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夏コミ当選しました。

夏コミ当選しました!
スペースは8/16(金)西1ホールむ-18a 「CELESTE BLUE」となります。
また「バカとテストと召喚獣」でギャグ本とか出す予定。新刊入稿したら告知ページ作ります。

ついでに、これまで発行した同人誌のリストを作成したのでよかったらどうぞ。
通販もまだ受け付けてます。
こちらからどうぞ。

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運命のタロット13 《女教皇》は未来を示す

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

《魔法使い》への気持ちを自覚したライコは、坂崎と戦っている彼を助ける為に《女帝》とのフェーデを受ける事を決意する。ところが、彼女とのフェーデで提示された“改変”の内容は、ライコにとって思いもよらないものだった。“改変”を阻止するか、躊躇ってしまうライコだったが…
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『女教皇』は未来を示す—運命のタロット〈13〉 (講談社X文庫—ティーンズハート)
やっぱり表紙はネタバレか!恐ろしい子!!様々な謎の一端が明かされる、シリーズ第一部完結編です。

大河と大河兄の関係とか、ライコ&《女帝》&《女教皇》の関係とか、おおむね予想したとおりだった。しかし、未来の唯との別れや《女帝》とのフェーデの場面は本当に胸に痛かった。大河兄があの時代に存在したという事は……というのは予想できていたけど、ライコ・大河・唯の報われない一方通行の姿が凄く悲しい。大河兄の名前も、いざ物語のキャラクターの言葉として聞かされるとまた全然重みが違う。しかし、唯の物言いから言うと、ライコがあの時点で消えてから13年間一切会ってないような言い方に思えるのは気のせいかしら。《女教皇》の事を考えると、どこかの時点で……というのは間違いないとは思うのですが。

《女帝》とのフェーデの内容も、これまで「誰かを救いたい」という形で“改変”を食い止めていたライコにとっては、その逆に回らなければいけないという事はこの上なくつらいことで……でも、ある意味それが致命的な形となって彼女の前に提示されるような形になるまえに自覚出来たのは不幸中の幸いというべきなのか。今後ティターンズのやってることの一端を知ったライコがどう動くのかも気になる。

ラストで漸くライコと《魔法使い》、二人の思いが通じた……と思ったらこういう形になるのか!!《女帝》の最期を見ていると、ある意味この後のライコが辿る道は読者には見えてしまっているわけで、第二部ではイチから二人の関係をリセットして、待ち受ける運命を“改変”していくような方向になるのかなあ。第二部の物語がとても楽しみです。

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運命のタロット12 《女帝》1995

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

《月》の“体験”によって《魔法使い》や《女帝》の過去を知り、《女帝》に対して嫉妬している自分を自覚して動揺するライコ。ところがそんな彼女の元に「会堂」から抜け出してきた坂崎と彼を回廊に戻そうとする《世界》が現れ、その力の余波で時の縦軸に弾き出されて13年後の世界に飛ばされてしまった!右も左もわからないライコの前に現れたのは……
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『女帝』1995—運命のタロット〈12〉 (講談社X文庫—ティーンズハート)
素直になれない《魔法使い》の行動にニヤニヤしたり、少しずつ自分の気持ちに気が付いて《女帝》への嫉妬で葛藤するライコにニヤニヤ……とかしてたらいきなり急転直下の展開だよ!!!なシリーズ第12巻。《魔法使い》はツンデレさんですねわかります!

ライコ、《女帝》、《女教皇》、《魔法使い》、《皇帝》ときて大混乱する《魔法使い》の過去関係に、今度はさらに男性の協力者がいたことが明らかに!?これ以上この周辺のキャラは増えないと思ってたのでびっくり。

1995年というとちょうど自分がリアル学生時代だったので、ギャップに戸惑うライコの姿だけじゃなくて身に覚えのある懐かしさににやりとしてしまう。「SD(=SDガンダム)?CD?LD?この時代のものには何でも“D”がつくのね!」ってコメントには爆笑してしまった。しかし平成世代はそもそもLDの存在を知らないのか…考えると、作品の舞台からは更に14年の月日が流れているのですよね。

大人になった唯と再会し、大きくなって夢を叶えた彼女との(唯にとっては)13年ぶりの語り合いの場面ではそれまでの急展開を考えると心が和むけど、なんだか歯に物が詰まったような物言いの彼女の姿を見ていると、色々不安が押し寄せてくる。というか、この唯の反応ってひょっとしてそういうことじゃないのかなあ、と思ったり大河兄はやっぱりどう考えても……とか。ラストの唯の涙とか、もう不吉な予感しか思い起こせない。ここからどうなってしまうんだ……!!!

以下、次で最終巻なので真相推理。
ぶっちゃけライコ→《女教皇》→《女帝》という流れがあるんじゃないかと思ってるんだけどどうなんだろう?前巻の「未来のラスプーチンと戦った」という記述を見る限り、少なくても2つ目までは間違いないと思ってはいるんだけど。《魔法使い》←→《皇帝》という流れがアリなら、ライコが人間から三段変化するのもアリな気がする。

あと、《魔法使い》かつての協力者って誰?予想が当たっていて前巻のような状況がありうるなら、意表をついて《魔法使い》と《皇帝》が協力者関係というのもアリな気がしてきたけど、それはさすがに飛躍しすぎかな。ああいう伏線を張るからには、今まで出てきたキャラクターのだれかな予感がするんだけどなあ。

というかそういう予想が脳裏を渦巻いているせいか、13巻の表紙がどうかんがえてもネタバレやってるようにしかみえなくて困ります。…いや、これだけ露骨に示唆されるとミスリードの危険性もありそうですが。

それにしても《女帝》と《女教皇》の表紙はどっちもツボにハマりすぎで困るー。

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運命のタロット11 《神の家》は涙する

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

2週間の行方不明の罰として自宅謹慎を言い渡され、唯と大河には真実を問い詰められ……と散々なライコは《月》から呼び出され、勝利したフェーデの報酬として《魔法使い》の過去を彼女の象徴の力で見せてもらうことに。でも、《皇帝》と《魔法使い》の間にとある疑念を抱くライコは《魔法使い》が記憶を取り戻すことに一抹の不安を覚えていて…
  個人的お気に入り度数
運命のタロット〈11〉「神の家」は涙する (講談社X文庫—ティーンズハート)
シリーズ11巻目はまるまる1冊、《魔法使い》の過去が語られるお話。

タロット側のお話も気になるんだけど、そろそろ唯と大河には何らかの形で報いてあげてほしいなあ…という気が序盤のお話でむくむくと。ここにきてもまだ適当なこと言って誤魔化そうとするのは、さすがに本気で心配している彼女たちに対して不誠実なように思える。唯みたいな子だったら「事件には巻き込まれているけど、事情は明かせない。これからもこんなことがあるかもしれないけど、心配しないでほしい」とかタロットの事以外は全部素直に打ち明けてしまった方がしこりが残らない気がするのですが。あと、前巻から気になってたんだけど、大河兄ってひょっとして未来n……ゲフンゲフン。

時間の制約から解き放たれているタロットたちの過去話は、様々な時間の人たちが入り乱れていてますます物語を読み解くのが難解に……《女帝》は?《女教皇》は??ライコはどうなっちゃうの?うーん……!?《太陽》の元協力者である彼女も今後物語にかかわってくるような展開になるのでしょうか。もう、続きが気になりすぎて仕方がない。

ラストで《月》がライコに思いを託す場面はただただ、切ないな。
彼女は何年も矛盾した2つの記憶を持ち続けたまま自分をだまし、せめぎあっていたのか……と思うと、胸が痛くなります。

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サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY

 

『リセット』たった一言。それだけで世界は三日死ぬ。
異能を持つ人間が集う街・咲良田。記憶を保持するという特殊能力を持つ少年・浅井ケイと時間を3日間巻き戻す「リセット」という能力を持った少女・春埼美空は高校の「奉仕クラブ」の活動の一環として“死んでしまった飼い猫を生き返らせてほしい”という依頼を受ける。時を遡り、いなくなった猫を探し始めた二人だが……

スニーカー文庫の新人さんの作品。煽り文句で衝動買い余裕でした。この煽りはずるい!!3日前に時間を戻すことができるけど、リセットした分の記憶を持つことができない少女・春埼とリセットされた間の記憶を含めた記憶を保持できる少年・ケイのコンビが、猫探しをきっかけに大きな事件に巻き込まれていく…というお話。

物語も面白かったけど、それ以上に透き通るような爽やかな透明感と、独特なテンポで語られる綺麗な文章がとても良かった!椎名優さんのイラストがまた物語の持つ透明感を引き立てていて、作者・絵師・この組み合わせを選んだ編集併せての良いお仕事だなあという印象。個人的には、序盤はこのちょっと独特な物語のテンポと主人公&ヒロイン双方の視点から語られる地文に戸惑ってなかなか読み進められなかったのですが、文章に慣れてからはむしろこの感覚が心地よかったりも。

「3日前までで“セーブ”を取った任意の時間に時を巻き戻す」という、春埼の能力・『リセット』。使い方によっては死者すら生き返らせてしまう可能性を持つ万能能力なのですが、これには様々な制約があって、そこをうまく使いながら事件を紐解いていく。リセット前の世界で起きた事との些細な違いが徐々に大きな波紋となって、「前回」とは全く違った思わぬ展開に発展していくというのがなかなか面白かったです。ちょっと不思議な能力と心の傷を抱えた少年少女たちが思い悩みながら自分の思いを遂げる為に動いていく姿も印象的。

上手く言葉に表現できないのがもどかしいけど、ちょっと綺麗で爽やかで、残酷だけど優しい物語でした。無理やり例えるなら「ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート」を読んだ時の感覚に近いかも。そして「中二系異能要素と暗黒成分抜いて硝子と晶が人助けするレジンキャストミルク」みたいな(意味不明)。

とりあえず、表紙やアオリにキュンとなれる人は、買って損はしないとおもうよ!!
2巻の刊行がすでに決まっているようなので、続きが読めるのがとても楽しみです。お勧め!

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真・恋姫†無双 蜀書・外史 〜荒野の決戦!

[著]小林 正親 [絵]片桐 雛太、かんたか 他 [原作]BaseSon

現代から「三国志」の時代にタイムスリップしてしまった本郷一刀。何故か史実とは違って美少女ぞろいの猛将達と出会い、流星とともにあらわれた“天の御使い”として蜀軍に力を貸すことになるが、赤壁の戦いで魏軍をあと一歩のところまで追いつめた際に魏軍に人質として誘拐されてしまって…
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美少女ゲーム「真・恋姫無双」の(多分)外伝ノベライズ。

ストーリー以前に表現的な部分で引っかかる部分が多くて、その辺がちょっと残念。説明の多い序盤ではやたらとカッコ表記が多かったり(しかも何故か“”や『』ではなく[]で記述されていて、見慣れないせいかなんとなく落ち着かなかった…)、何よりしょっぱなで突然一刀の一人称を間違えていて、「!?」となってしまったり……いや、大体の誤字はあまり気にしない私ですが、一人称はキャラクター付けにおいて大事だと思うのは私だけですか?特に「俺」と「僕」では受けるイメージに天と地ほどの差があるよ!?いや、私が「僕」キャラフェチであることは否定しませんけどね!!!…正直、「僕」「ぼく」「ボク」の3種類から受けるイメージの違いについて語らせたら、20分くらいは語り続けられる自信があります。

あと、魏メンバーがオチるの早すぎる印象がなー……華琳様が徐々にデレていく姿にはニヤリとしたけど、春蘭はもうちょっとデレないでほしかったというか。楽進なんか序盤で速攻デレ入ったようなもんだし。華琳様も若干デレ度高めの印象。いえ、私まだ原作ゲームの方で華琳様落としてないんで、どのくらいの速度でデレが入るのか知らないのですが(私の「恋姫」知識はPS2版の途中まで及びなごみ文庫のノベライズのみという…)。

ただ、若干の気になる部分は多かったものの、ストーリーそのものはかなりハチャメチャで結構面白かったです。特に終盤での貂蝉の活躍っぷりには一本取られた。二人で1500人もの軍勢に挑む星と恋とか、名乗りを上げる愛紗と春蘭の腹心コンビとか、いがみ合う蜀魏両軍が共闘する場面とか、この作品らしい熱さも健在。偵察隊を出す場面で蜀軍メンバー全員に何故か居る袁紹までが加わってしっちゃかめっちゃかする場面では、原作ゲームを思い出してニヤリとしたなあ。

……せめて、しょっぱなの一人称間違いさえなければ、もっと素直な気持ちで楽しめた気がするんですけど……。

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