“風見 周” の検索結果 | ページ 2 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:風見 周 (45 件 / 5 ページ)

H+P(5) —ひめぱら—

 

「恭太郎さま!メインディッシュの準備ができましたわ!」港町ナトリアの館で、カタブツ侍少年・神来恭太郎を待っていた美味しい料理。それは、エリス作の豪華な刺身の盛り合わせだった。しかし、活きのいい魚の切り身が盛られた器は、船の形をしたベッドに横たわった半裸のエリス!?こ、これはいわゆる○○○○!?最強のご奉仕技が恭太郎に炸裂する!そんな彼に追撃が!!「メインディッシュを食べてくださいまし…」なぜ恭太郎の食事が、そんな嬉しい、いや悩ましいことになったかというと、カルタギア帝国からのある申し込みのせいで…。嬉し恥ずかしなハーレム・ライフは今度こそ限界ギリギリです。 (「BOOK」データベースより)

宿敵・カルタギア帝国との講和を受けて攫われていた2000人の王仕様たちが変換されることとなり、その際に本来他の国の人間である恭太郎は後宮を追われる…という話になり、その話を聞かされた下4人の王女様達が恭太郎を引き止めるため決死のラブアタック作戦を…!!というお話。

今回のテーマはギャップ萌え!というわけで甲斐甲斐しく恭太郎の世話をするしおらしいエリス、ギャップを見せようとSM嬢になりきろうとして別方面の才能を開花させてしまうレイシア、大胆にも公衆の面前で羞恥プレイに挑戦!で大胆さを見せようとするアルト、うってかわって大人の魅力と持合の純粋さで迫るメルル…と相変わらず頭の悪い(褒め言葉)エロが満載。しかし5人の「らしくない」大胆さはこのままでは後が無い…と思っての事なわけで、いつになく恭太郎のカタブツブリにもどかしさを感じてしまいました。素直に理由を話した方がオチる可能性は高かった気がするけど、それはそれで双方にしこりが残りそうだし、作戦に失敗して落ち込んでいる王女達の姿が痛々しい。一方、彼女達の作戦には参加しなかった第一王女・ユフィナも憧れのガイルーンと恭太郎の間で揺れ動いており…エロ増量ながらも端々からシリアスの雰囲気が漂ってます。

しかし、全作戦に失敗した王女たちがピコルから指示された最終作戦には思わず噴出してしまった。そういえば、確かに●●●禁止的なキマリがありましたね……開き直って恭太郎をモノにしようと迫る王女たちと、彼女達の大胆さに圧倒されて思わず襲撃も忘れて様子を見守ってしまう刺客達の興味津々な様子に大爆笑。

ラストは少しシリアスな終わり方でしたが、単にハーレム要員追加の前準備なだけという予感がしなくもなく…色々な意味で、次回に期待(笑)


H+P(4) —ひめぱら—

[著]風見 周 [絵]ひなた 睦月

未だお姫様に手を出そうともしない恭太郎に業を煮やしたピコルは情に厚い彼の性格を利用し、一計を企てる。それは「お姫様達5人の寝室に忍び込み、理由を明かさず下着の中に仕込んだ“あるモノ”を取ってこい」というものだった!ピコルの計画通り5姉妹の寝室に忍び込んだ恭太郎だが…
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富士見ファンタジア文庫で異彩を放つエロコメ第4弾は短編集。とはいえ敵国絡みのネタがないだけでいつも通りという説が。しょっぱなから「ちちおん」で噴いた。あと、ピコル&アレスタの「出番ない組」に加わりつつあるアルト姫哀れすぎる…

3巻で「次はこれ以上エロくなる」みたいなことが書いてあったのでどんな大惨事になっているか戦々恐々でしたが、意外にエロは控えめだったように思えます。というか、個人的にはエロエロなお話よりもお姫様達とのほの甘い日常を描いた短編の方が印象に残っているかも?あ、あと夜這いの話でヒロインはアレスタだとおもった私は多分間違ってない。

特にレイシアと城下に買物に行くお話と、エリスが恭太郎にキスをねだる話が可愛かった。特に後者。エリス様可愛いよエリス様!!!「恭太郎のことなんてなんともおもってませんのよ!」って言いながら恭太郎の一挙動一発言に胸を踊らされ、心の中でキュンキュンしちゃってるエリス様が可愛いのなんの。こういう、糖分高めのツンデレもいいよなー!私が恭太郎なら全力でエリスルートを選ぶね!!

しかし、恐らくメインヒロインポジションな気がするユフィナの影が薄いなあ…レイシアとエリスの猛攻に押されてどんどん影が薄くなってる印象があるんだけど。正直キャラの魅力としても今のところレイシア&エリスの方が上なので、今後の彼女の(ラブコメ的な)活躍に期待したいところ。…いえ、エリスルートだったらそれはそれで私はうれしいけどね!!

次巻では一気に話が動きそうな気配なので、次巻も楽しみです。あー、でもエロはやっぱりもうちょっと控えめにしてほしい………とはいえ、エロが薄めの今回は正直物足りなかったんだけどもう自分どうしたらいいのか…orz


女帝・龍凰院麟音の初恋3

[著]風見 周 [絵]水月 悠

悠太と付き合っている事が発覚して以来、麟音の元には交際を求める男子生徒が殺到。そして悠太は嫉妬に燃える男子生徒達から追い掛け回される日々を送っていた。そんなある日、麟音のピンチを颯爽と救ったのは、彼女の執筆している小説の主人公“カケル”にそっくりなイケメン・天王子翔。彼はかつて悠太によって婚約を破棄された麟音のもと許婚で…
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世間知らずで”自称・非モテ”貧乳お嬢様・龍凰院麟音と巨乳至上主義の非モテ男子・悠太が恋人ごっこを繰り広げるラブコメ第3弾。今回は麟音の元許婚・翔があらわれて悠太に勝負を挑むというお話。メイドvs執事のマジバトルもあるよ!!一迅社文庫の公式ブログで「カバーめくったカラーページ1P目が凄い」とか書いてあったけど、「これのどこが…?」とか思った私はひめぱらに毒されすぎでしょうか。

今回はいつも以上に2chネタやパロネタ多かったような…男子生徒たちが「女帝は俺の嫁」って言いながら襲ってきたり、ボクシング部の主将が「麟音たんを開放するお!」って言い出したときには思わず噴出した。そして良いシーンで「この長い生徒会坂を…」とか出てきて決壊した!!良い意味でも悪い意味でも「やりすぎ感」を感じて、それがこの作品の魅力といえば魅力なんだろうなあ…西尾維新の「化物語」的、趣味でうっかり突き抜けちゃいました感が結構楽しい。

しかしそろそろ悠太は自分の置かれてる状態に気付くべきというか、ある意味不自然なまでの鈍感さにもどかしいものを感じなくもなかったりします。というか、「気付いてないから」というのを盾に、完璧な麟音と美麗の二股状態に突入してるのがちょっとなぁ……“気付いてない”では済ませることと済ませないことがあるよ!悠太が麟音に惹かれているのをある程度認識した上で麟音を助けようとする悠太に手を貸す美麗の姿なんか、ちょっと切ないものがある。

二人三脚の下りや今回のクライマックスなど、普通にかっこいい姿も見せてくれるだけに、そろそろこの辺で自分の気持ちが本当はどちらに向いてるかを認識してほしいです。でも、悠太かっこいいよ悠太とか思ってたら、オチが色々酷かった。いやどこまでも基準は“おっぱい”かよ!!!という意味で酷かった。いや、良い意味でどこまでも「おっぱい好き」を貫く主人公という意味ではよかったというべきなのか……

それにしても噛みまくりつつテンプレ通りのセリフを量産する麟音、お嬢様らしいプライドの高さが邪魔してなかなか本当のことが言えない美麗、そして天然で本心に気付いてなくて対麟音専用ツンデレ状態の悠太。麟音も悠太も美麗もどんだけツンデレなんだよ!

次の巻からは美麗お嬢様のラブコメ本格参戦+新ヒロインを加えた四角関係なお話?悠太もなんだかんだいって麟音への気持ちが育ち始めている感じなので、次でその気持ちがどのような意味を持ってくるのか、ちょっと楽しみ。そしてそろそろ二股状態からは脱却してほしいなあ……

ところで、創平の女装姿に挿絵がないのはなぜですか。
いやむしろあそこは創平よりも悠太が女装すべk……ゲフンゲフン。


H+P(3) —ひめぱら—

[著]風見 周 [絵]ひなた 睦月

姉妹の中で自分だけ魔力が低いことを気に病む第四王女・アルト。姉達や妹や恭太郎達と一緒に赴いたリゾート地で「誘惑の聖杯」を手に入れていた彼女は、とある出来事がきっかけとなり思いあまって聖杯を使ってしまう。ところが、それが原因で後宮を揺るがす大騒動に発展して!?
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表紙絵の通り、第三弾は第四王女のターン。引っ込み思案で目立たない王女様の、意外な一面が覗けるお話です。

まったく、今月の富士見ファンタジア文庫はグッジョブすぎるな!!
恭太郎の女装メイド姿の挿絵だけでもおなかいっぱいです本当にありがとうございます。主人公の女装はネタとしてあっても真面目に挿絵入れてくれるラノベ意外に少ないからなあ!恭太郎が羞恥心と決壊しかけの理性を必死にこらえながらピコル師匠にセクハラを強要される姿が本当にたまりません。師匠グッジョブ一生ついていきます!!でも本当は女装だったら胸はない方がいいね!!(聞いてない)

アルトが仕込んだ「誘惑の聖杯」から生成された媚薬を飲んでしまったおかげで、女だらけの後宮はただ一人の男(=恭太郎)を喰らおうとする(性的な意味で)野獣達の檻と化した!というお話。一言で要約すると恭太郎総受け

魔力を持たないアルトが自分の両親に対して抱く不安や、恭太郎や姉姫達に「好きになってほしい」と願う気持ちにはきゅんとなったのですが、1巻2巻と比べると微妙だったかなぁ。序盤で媚薬を飲んでしまった王女様達が次々に羞恥心を捨て去って(いろいろな意味で)迫ってくる場面が様々な意味でインパクトありすぎて、他あんまり印象に残ってないというか…こんなに、文章内で「はーとまーく」を使いまくってるラノベって久しぶりに読んだ…。

後書きによると、まだまだ序の口だよ!巻を重ねるごとにエロくなるよ!ということなのですが、個人的には2巻くらいのエロさで止めておいてほしいなぁ。2巻のレイシア様のカラーページのアレとか、エリス様のツンデレ具合とか、エロくて素晴らしかったと思うんです。何が違うんだ、といわれると説明できないんですけど。

しかし、次の巻ってこの調子で行くと第五王女のターン?いろいろな意味で犯罪スレスレなりそうだねそれ!


H+P(2) —ひめぱら—

[著]風見 周 [絵]ひなた 睦月


次代のお世継ぎを作るため、5人のお姫様たちの“王仕さま”として異世界に召喚された神来恭太郎。しかし、いまどき珍しいほどのカタブツである彼はどんなに誘惑されても彼女たちに手を出そうとしてこない。業を煮やした第三王女・エリスがピコルに相談を持ちかけたところ、リゾート地でのバカンスを提案されて?!
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5人のお姫様+カタブツ侍少年が織り成すちょっぴりエッチなラブコメ第二弾。今回は「たゆんたゆん」な第二王女・レイシアとツンデレ高飛車第三王女・エリスのターン!挿絵がいちいちエロくて間違っても公衆の面前では開けません!!ていうか本を開いたとたんにカラーページでたゆんたゆん王女が触手に絡まれてるのはどういう了見ですか!!!

海辺のリゾートでオイル塗り、エッチな罠が目白押しのアトラクション、トドメは無人島で二人きり……とお約束すぎるエロハプニングの連続(笑)特にオイル塗りをせがまれて、必死に冷静を保とうとする恭太郎にすごい勢いで追撃をかけていく王女達の姿に爆笑してしまいました。相変わらず頭をからっぽにして楽しめる頭の悪いラブコメぶりが最高です。

わかりやすい高飛車ツンデレ娘なエリスが、恭太郎に惹かれて行く姿もものすごくかわいいのですが、それまでいまいち底が見えなかったレイシアの本音が一瞬だけ覗けたのも面白かった。「世継ぎを作って国を護るために」本人の意思とは無関係に向けられていた恭太郎への好意が、少しずつ本物の好意に変わってく様子が微笑ましい。ラストでメルルがそれとなく二人の変化に気づくシーンも面白いです。

…さてさて、ラストで第四王女が怪しげな動きを見せているのですが次は順番からいっても、このメガネっ娘のターン?いろいろと予想外の動きを見せてくれそうな予感がするのでとても楽しみです。


女帝・龍凰院麟音の初恋 2

[著]風見 周 [絵]水月 悠

夏休みが明け、2学期も継続して麟音と恋人ごっこを続けることにした悠太。風紀委員長として恋愛を取り締まってきた麟音の交際を学校内で公にすることは憚られ、周囲には知られないようにしてきたつもりだったのだが、ライバルにして巨乳生徒会長の姫神美麗に勘付かれてしまう。麟音を挑発する為、悠太を誘惑する生徒会長におっぱい道3段の悠太はメロメロだが…!?
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世間知らずの"非モテ"貧乳お嬢様・龍凰院麟音と巨乳至上主義の非モテ男子・悠太が恋人ごっこを繰り広げるラブコメ第二弾。今回はラブコメ戦線に巨乳生徒会長乱入でどうなるどうなる!?というお話。相変わらずあざといツンデレっぷり全開の麟音と超鈍感でおっぱい至上主義な悠太の掛け合いが面白い。1巻と比べてもコメディとしての楽しさは爆発的に上がっていたような気が。電車の中で何回か決壊しそうになりました。

麟音のライバルで生徒会長で悠太には憧れの巨乳生徒会長こと姫神美麗の誘惑にすっかりメロメロな悠太にヤキモチ焼きまくり、舌噛みまくりの麟音の姿に思わずニヤニヤ。見た目とのギャップが大きい美麗さんとの遊園地デートで、美麗がだんだん悠太に惹かれていくあたりは思わずきゅんきゅんしてしまいます。悠太の身の翻しようは正直女としてはヒくものがあったのですが…まあ元々憧れの女性だったというんだからしょうがないのかなぁ。あのメロメロっぷりがあるからこそ、悠太が麟音の不在に徐々に物足りなさを感じていくあたりが最高に引き立ってる感じがしますし、終盤の熱血展開も凄く良かったし。

ただ、なんかちぐはぐなモノを感じて戸惑う場面も。
どんなに後で「実は頑張りやさんな良い人」みたいな描かれ方をしても、序盤で麟音に対して行われた虐めがあまりにも陰湿すぎてちょっとドン引きしてしまった、というのが最大のネックでした。なんか後半になると皆が「あの虐めは麟音の今までやってきたことが酷すぎたからしょうがないよね」みたいな感じになってるのが凄い不思議で…もう明らかに「自業自得」で済むレベル超えてたと思うんだけどなあ。あれってヘタすりゃ怪我人や自殺が出るレベルなんじゃと思ったし。……あの場面がもうちょっとライトなものだったらまだ許せた気がするんだけど……なんだろう、この得体の知れないモニョモニョ感。

その部分以外は文句なしに面白かったんですが。悠太のバカかっこよさも相変わらずだし、ギャップ萌えの私としては実は努力屋で可愛い人な生徒会長にも、基本的にはとても萌えておりました。時々麟音のツンデレっぷりや悠太の鈍感ぶりがあざとすぎるなあと感じる場面もありましたが、あれはあれでこのシリーズの味ってことでなんとか…。

今後は生徒会長も恋愛戦線に加わってきそうだし、麟音と悠太の失われた1ヶ月についても新展開がありそうなんで、続きがとても楽しみです。

あ、個人的に今回一番ツボったのは各章毎に差し込まれるメールのやりとりだったかも。誤字脱字だらけ、トンチンカンな顔文字・絵文字使いまくりな麟音の文章も相当おかしいのですが、冷静すぎる悠太のツッコミと蘇芳さんの絶賛ぶりの対比に噴いた。お嬢様莫迦もいい加減にしろよこのメイド。(←褒めてます)


ラッシュ・くらっしゅ・トレスパス!

[著]風見 周 [絵]おときたたかお

“侵入屋”とはお金持ちの家に実際に侵入し、警備のアドバイスをするという職業。マナ達の営む“侵入屋”・トレスパスでは侵入に成功しない限りお代は頂かないという方針を持っている。ところがここ何回か、侵入の仕事は失敗続き。食事も切り詰めるほどの経営難を打開するため、伝説の怪物・ヴァンパイアを甦らせることを思いつくが…!?
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風見周さんのデビュー作。買ったあとしばらく積んでいたのですがちょうど今月風見さんの新シリーズラッシュだったので手を出してみました。魔法と科学(蒸気機関)が共存する世界を舞台とした、かなり正統派なファンタジー作品です。

うーん、なんというかキャラクターや設定をいっぺんに出しすぎてもてあましている感じが物凄い気になる……本線のストーリーは悪くないんだけど、とにかく空気なキャラ・設定が多すぎて「え?それなんだっけ?」と気を取られてしまうのが物凄く残念。敵勢力は2つとも物凄く中途半端な印象だったし、仲間内ではジャックスの空気っぷりとか酷かった。「マナに好意を抱いているトレスパスメンバー」以外の設定が何も見えない……いっそのこと、レイヴァを巡って完全にマナとは反対立場を取ってくれたら良かったのになあ。読んでる間中「いっそレースのライバルもヴァイスにしちゃえば良かったのに」とか「ファンあたりにその設定を任せてジャックスは削ってしまっても良かったのでは…」とかひたすらお節介な事ばかり考えてました。

でも、メインとなるマナとレイヴァの関係は物凄く良かったです。マナの真っ直ぐな信頼が少しずつ堅く閉ざしたレイヴァの感情を開いていって…という一連のやりとりがベタベタなんですけど王道だからこその良さみたいなものが。そしてこの人は本当に世間慣れしてない天然ツンデレっ子を描くのがとても上手いですね!!自分が目覚める前には無かった蒸気機関に興味シンシンで、気がついたらマナに上手い事餌付けされちゃってるレイヴァの姿には思わずニヤニヤしてしまう。サクヤや龍凰院麟音の可愛さと同じものを持ってるんですよ、このツンデレ吸血鬼は。

そんなわけで読み終わったらそれなりにおもしろかったですが、続編を読みたいとは思わないかなあ…というのが本音だったり。「龍凰院麟音」と「ひめぱら」の続きが読めればいいかなあ。


H+P(1) —ひめぱら—

[著]風見 周 [絵]ひなた 睦月

魔法の力で諸外国の脅威から守られていたトレクワーズ王国は未曽有の危機にあった。病に倒れた女王の位を5人娘たちが継ぎ、王国の危機を救うためには強い魔力を持つ『お世継ぎ』を持つことが必要条件となる。ところが「王仕さま」として選ばれ、異世界から召喚された高校生・神来恭太郎はものすごいカタブツで…!?
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風見周さんの新シリーズその2。なぜか異世界のお姫様5人姉妹とお世継ぎを作らなきゃいけなくなったカタブツ少年のお話。ツンデレ長女、おっとりエロな次女・天然タカビー三女、自虐系ドジっ子な四女、大胆幼女な末っ子ととりあえず人気のありそうなヒロインをまとめて取り揃えてみましたという感じが素敵。ちょっとエッチなギャグコメです。

いやー、なんていうか、ほんとバカだなーこの人たち(爽)最近流行の、一連の「バカ小説」とは違う方向でオバカなお話で、気も張らずに軽く読める感じが素敵。エロコメといっても描写が行き過ぎてないのも個人的には好印象。つか、女の身としてこれ以上の表現描写があったら“ギャグ”として受け取れないだろうなぁ…そういう意味でこの描写表現はいろいろな意味でギリギリだと思う。

良い意味でも悪い意味でも90年代のあかほり作品(「MAZE」とか「爆れつ」とか「セイバーマリオネットJ」あたり)を彷彿させる、ちょっぴりお下品でテンション高くてちょっぴりバトルもあるよ!なラブコメで、とても面白かったです。ヒロイン的にはタカビーなのに超初心な三女様がお気に入り。そして戦線からは一歩外れた感じの四女様にヤンデレフラグが立ってる気がするのにもちょっぴり期待。正直「エロコメ」と聞いてジャンル的にほとんど期待してなかったんですが、ヒロインに露骨な狙いすぎ臭と前作ヒロイン臭を感じてしまった「女帝・龍鳳院麟音の初恋」よりも素直に楽しめたかも。こちらはバトル要素もあるみたいなんで、ぜひとも適度にシリアスバトル展開も加えつつ、頑張ってほしいです。

…しかし、個人的に「殺×愛?きるらぶ?」がドツボだった私としては、2本も同時に新シリーズ始めるなら1本くらい旧シリーズ路線で行ってくれれば良かったのに、と呟かざるをえないです。10月に一迅社文庫でもう一本新作の予定があるらしい?ので、そちらに期待するか。


女帝・龍凰院麟音の初恋

[著]風見 周 [絵]水月 悠

巨乳をこよなく愛し、学園でも“変態”と親しまれるエロ少年・月見里悠太。ひと夏の出会いに胸を躍らせて夏休みに突入……した筈が、目を醒ますと“学園の女帝”と呼ばれる貧乳風紀委員長・龍凰院麟音の屋敷に居た。二人はこの夏休みの間に出会い、恋に落ち、そしてその記憶を亡くしてしまったと言う。半ば強引に1ヶ月間の記憶を取り戻すことを強要されるが麟音には秘密があって…
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「ジョルジュ長岡」って何者かと思ったら2chのAAキャラかよ!!!
というわけで、「殺×愛?きるらぶ?」の風見周さんの新シリーズその1。序盤で「ジョルジュ長岡」だの「おっぱい!おっぱい!」だの「非モテ」だの「プギャー」だの「ただの○○に興味はありません」だの「中二病」だのと、2chニコニコ中心にメタネタ乱発状態で「これは、最近やたら流行しているオタク系メタ小説の類かーーっ!」と思ったら後半は普通に王道ラブコメでした。

巨乳をこよなく愛しジョルジュ長岡を心の師と仰ぎ、女の価値は胸のサイズにあると言って憚らない変態少年・悠太と傾国の美少女だけど胸はなく、何かと長刀を振り回すキツイ性格から“学園の女帝”と怖れられる恋愛嫌いのお嬢様なんだけど、その実態は少女小説家希望(小説はひたすら邪気眼中二病風味)で恋に恋する自称“非モテ”の女の子・麟音がお互いの喪われた1ヶ月間の記憶を求めていくというお話。

カタブツのお嬢様で、恋を恋愛小説でしか知らない麟音の初心な反応がとても可愛い。普段の態度と日記に描かれる浮かれ具合のギャップにもニヤニヤしてしまうし、恋に…というよりもこの場合、記憶を失っていた間の自分に恋い焦がれて一生懸命その記憶を取り戻そうとする姿が微笑ましいじゃないですか。興奮すると噛み噛み言葉になっちゃうのは正直狙いすぎで勘弁してほしかったんですが…。あと何度読み直しても「きるらぶ」の有栖川咲夜に見え(強制終了)

そして、どうしようもないおっぱいバカで変態の悠太が時々見せる“バカかっこよさ”にきゅんきゅん。また、「貧乳好きはアウトオブ眼中」といいながらも少しずつ麟音本人の可愛らしさに惹かれていく様子が描かれていて、その心の動きが凄く良い。ジョルジュ長岡の使い方が特にうまかったなあ。終盤の展開はある意味王道中の王道なのでむしろそこでそう来なかったらダメだろう!という感じなのですが、『再現デート』の顛末があまりにも反則だと思うの……正直ものすごいときめいた。

シリアス鬱グロなバトル展開がなくなってしまったのは個人的にはちょっと寂しいのですが、ハイテンションなラブコメとしてとても面白かったです。正直「きるらぶ」のラブコメパートはあまりツボにこなかったのですが、こちらはものすごく面白かった。もろにシリーズ化という感じの終わり方だったので次巻を楽しみにしたいです。

ところで、あとがきでラノベ作家さん達との合同職場を持つに至るきっかけが語られてますが、これは来月発売される杉井光さんのライトノベル作家擬美少女化コメディ(勝手に命名)「ばけらの!」を受けての内容なんでしょうか。各先生方のブログを拝見する限りいろいろな意味で楽しそうな1冊なのですごく楽しみだったりします。ていうか新ジャンル「ラノベ作家801」を作家自ら推奨しようとしているようにしか思えない。(勘違いです)

鈴木大輔×風見周ですよね?わかります。(ひどいオチ)
479735061Xばけらの!杉井光 / 赤人
ソフトバンククリエイティブ 2008-09-11

by G-Tools


殺×愛 7—きるらぶ SEVEN—

[著]風見 周 [絵]G・むにょ

オメガではなく“椎堂密”という人間として来夏と最後まで生きようとした。しかしその結末は、幼馴染の死…—打ちひしがれた密は運命に流されるまま、終末を見届けようと決心する。しかし、そんな密を立ち直らせようとサクヤは必死に立ち回る。
終わり行く世界で、遂に迎えた卒業式の日に待ち受ける二人の運命は—?
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あとがきでも書かれている通り、非常に賛否両論分かれそうなエピローグでしたが。
だからこそ、敢えてこれこそ最高のエンディングだ!!!と絶賛したいです。

もう予定調和でもご都合主義でもいいじゃない。
(ていうか絶対そういう感想になる人多いと思う…!)
だって、これは「物語」なんだもの。
っていうか、愛さえあればオッケーだよ!

もうなんというか、許す。どんどんやってください。大歓迎です。

卒業式までの、「期限付きの」平和がどうしようもなく幸せそうで哀しそうで、少しずつ語られる卒業式中のエピソードに涙を拭い、サクヤの最後の悪あがきに涙を流し…なんていうか、これまで正直ぐだぐだだとまで感じていた日常パートの輝きが、読んでいるこちらにも「彼ら」がどれだけ懸命に生きたか伝わってくる。密やサクヤだけじゃない、終末を生き延びた人々がどれだけ儚く、それでいてしぶとく生き抜こうとしているかが痛いくらいに胸を刺して……だからこそ、「ご都合主義」と言えなくもないこのエピローグを、最後まで希望を見失わずにこの物語の中で一生懸命生きた人々が勝ち取った当然の結果だと感じて違和感無く受け止められたんじゃないかと思う。

主人公である椎堂密が優しいと見せかけて鬼畜でワルワル(byにゃみちゃん)で、しかしその本質はやはりどこか優しくて暖かい、「正義」を目指す一人の少年であったように、この物語もどこまでも見せ掛けはほの甘く、それでいて中身はひたすら切なくて、ある時は容赦なく残酷で、それでもその本質はとびっきり優しい恋物語でいてくれた事が凄く嬉しかった。エピローグで、最愛の人を探すだけじゃなくて、自らの見てきた“起こったかもしれない未来”を自分の力で変えようとしていく密がすごく愛しい。なんていうか、たとえどんな批判の意見を目にしようとも、私はこの作品ばっかりは、こういうラストにたどり着いてくれたのが凄く嬉しい。


本当に、この物語に出逢えて良かった。


それにしても、なんといっても高天原センパイには「最優秀助演賞」をあげたいです。もうこの人、意表つきすぎ()大きすぎ美味しいとこもってきすぎ。


あと2巻とかの日常ほのぼのラブパートで止まってる人方は、このラストを読むだけでもこのシリーズを読破する価値はあると思うので是非読んでほしいです。自分自身もそうだったし、他の人の話を聞いていても結構そういう人が多いっぽい気がするので。