“のん” の検索結果 | ページ 3 | 今日もだらだら、読書日記。

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ドアーズ 1 まぜこぜ修繕屋

[著]神坂 一 [絵]岸和田 ロビン

ある朝、目を醒ましたら何故か家中にドアがあって、しかも全世界の妹がリスになっていた!ドアから現れた修繕屋・シュリンが言うには異世界の『普通』が混ざり合って、おかしなことになってしまっているという。一人だけ元の世界の「普通」を覚えているミヤはリスになった妹のチサとシュリンと共に土日を利用して並行世界の修繕に乗り出すが!?
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「スレイヤーズ!」の神坂さんの新シリーズ。なんというか、ヤバイくらいに面白い。初めてスレイヤーズを読んだときの感覚を思い出しました。正直、近頃のスレイヤーズすぺしゃるがあまりにもマンネリ展開に突入していたので「この人の作品ってこんなに面白かったんだ」というのを改めて思い知らされた。

世界の「普通」が変になって、ミヤ以外の人間はその「異変」を感じ取る事が出来なくて?…というのが微妙にミソになってて、面白い。黒船をもののふキャノンで追い払った日本が第五次・第六次スーパー世界大戦で連勝したり、全世界の妹が触手になったり、上空を巨大ロボの群れが飛んでいったり、行き過ぎた妹文明が世界に牙を剥いたり…って妹ネタばっかじゃねえか! 妹のチサは旅にはついてきて「普通」がおかしくなってることは知ってますが元の「普通」を記憶しているわけではないので自分がリスだったり触手だったりするのが当たり前ーだとおもっていて、姉の苦労が偲ばれます。特に妹が触手になる話は光景を想像すると笑いが止まらなくてしょうがなかったです。モンスターに襲われて叫ぶ触手……

なんかもう、「スレイヤーズすぺしゃる」シリーズから連綿と受け継がれる、コメディのセンスが最高に好きだ。ファンタジーやSFなのに登場人物の言動が異様に地に足が付いてるというか、時間を止める必殺技を「心の余裕が無いから」と一蹴したり、魔王を「シロウト」呼ばわりとか、浴びると体がひりひりするビームとか、触手がツヤツヤしちゃったりするこのセンス。ノリの良いボケツッコミ的な会話も健在で、とにかくゆるく軽く楽しめる、息抜きにぴったりのシリーズでした。

是非ともこのノリを維持したままゆる?くのんびり続編を続けて頂きたいです。シリアスも嫌いじゃないんだけどシリアス方面行かれると後味悪くなる事が多いんだよなこの人の作品…。


なつき☆フルスイング! 2 真夏の夜のケツバット

[著]樹戸 英斗 [絵]ほんだ ありま

夏希に夢魔の研究協力を依頼しにやってきた虚像機関のスタッフに憑いていた夢魔が逃げ出した!虚像機関に協力するのは面白くないが夢魔の被害を広げるわけには行かない…と夢魔の捜索をはじめる二人だったが、先日の戦いで停止寸前に追い込まれたアルブバスターは、あと1回しか使えなくて!?
 

前巻と比べるとはっちゃけぶりが足りない気もしたけど(ケツバット描写が殆ど無い…!)、落ち着いた分爽やかな青春小説ぶりが増してるように感じるシリーズ第二段。夏希とその周囲の出番が抑え目な分、ストーリーが1つ1つ独立して「短編集」という印象が強くなりました。前回サブヒロイン格だった美姫子に至っては殆ど出番無い状態で、その辺はちょっと寂しいかも。

虚像機関からやってきた二人のうち、なりゆきでオズワルドに着いて来る事になったジェシカがオズワルドや夏希に振り回される姿が哀れ。毎晩の飲み比べを通して(?)最終的には夏希ともすっかり良い喧嘩友達状態になっていたけど、かっこいいお姉さんだけどどこかドジッ子で振り回され体質だなんてツボすぎます。今後の活躍に密かに期待w

1話は面白いけどそれなりという感じでしたが、2話以降右上がりで面白くなっていきます。泣かせて来る3話も面白かったですが、個人的には2話がお気に入り。就職活動が失敗続きの女子大生と、以前ダウジングで有名になった小学生が友達になるという話でしたが、最初後ろ向きだった二人がお互いの存在に感化されて前向きになっていくという過程が良かったです。直接的ではないけど何気に絡んでくる、夏希とジェシカの飲んだくれコンビも最高でした。

3話に登場する赤羽さおりの話は、展開が、露骨に智紀が夢魔に取り憑かれた時と同じだったのできっとそうなんだろうなあ…と思っていたら予想以上に重い話で、どんどん話に惹き込まれました。ラストはいい具合に夢魔に取り付かれていた事が良い方向に作用してくれて、ほっと一息。

毎回後ろに向かうにつれて加速度的に面白くなっていく感じのシリーズなんですが、ちょっと高低が激しい気がしなくも無いかな。1話も面白かったのですが、2・3話が飛びぬけて面白いからちょっと残念な気がしなくも無いです。

今回の最後で虚像機関の中でも過激な一派が登場してストーリーが大きく動き出す予感。今回みたいなのんびりした爽やか青春ストーリーが気に入っていたので良くも悪くも楽しみという感じですが、続編期待しています。


愛玩王子

[著]片瀬 由良 [絵]凪 かすみ

飼い犬・ハリーが口に咥えていた指輪をなんとなく指に入れてしまったら、指輪が抜けなくなってしまった。さらに指輪の持ち主と主張する10cmサイズの“魔界の王子様”が現れて!?その王子様が言うには、その指輪を王子の伴侶となる女性以外が身につけると死んでしまうらしい。指輪をはずすために魔界に行く羽目になった比奈だったが…?
 

おうぢかわいいよおうぢ。

「読了本棚」さんの感想が気になって手にとって見ました。タイトルを聞くとどう見ても少コミ系ですが(小学館だし…)、中身はほのぼのとしたかわいらしい少女小説でした。

本当に典型的な「少女小説レーベルのライトノベル」って文体で、読んでいてものすごく懐かしくなってしまった…女の子の口語体一人称なんて、新井素子以外では読むの久しぶりすぎる。故・ティーンズハート辺りに居ても違和感のなさそうな文体でした。

典型的なツンデレで中々本心を打ち明けられない王子と、ちょっと恥じらいが薄くてドンカンなヒロイン・比奈の掛け合いには終始ニヤニヤしっぱなし。特に崖から落ちそうな比奈を励まそうとしてドサクサに紛れてお嫁に貰ってやるっ!と叫びだすシーンには、緊迫感も忘れて大爆笑。王子の「心に決めた人」の話はちょっとそうなるんじゃないかなーと読めちゃった部分もありましたが、むしろその辺はお約束な展開ってことでアリ。

指輪の呪いで10cmサイズになってしまった王子の可愛さはもう半端じゃないのですが、それ以上に魔界の面々が可愛い。コワモテ…と思わせて実はめっちゃくちゃ子煩悩な魔王パパンには和まされまくりました。しかし個人的に最もツボヒットしたのが側近のフォルカスです。そのクールな顔で魔王パパンのオヤツを盗み食いして涼しい顔してるとか、こぶしを握り締めて「ラブパワーですよ!」とかほざきだしたり…とにかく行動と顔にギャップありすぎですから!!!こんな素敵な魔界なら私も住み着いてしまいたい!というくらいのんびりした世界に癒されます。

正直10cm王子が可愛すぎだったので王子は最終回まで大きくならなくていいよもうとか思いましたが、ツンデレの上に俺様属性まで加わった王子はそれはそれでなんか良し。ラストの辺りの俺様炸裂な言動には萌えさせてもらいました。しかし、比奈じゃないけどやっぱ10cm王子のほうが(略)

続編があれば、やはり学園ラブコメになってしまうんでしょうか(笑)ちょっと見てみたいけど、その際は時々でいいから10cm王子に戻ってやってください。そりゃもう切実に。お願いします(笑)


ダナーク魔法村はしあわせ日和 ひみつの魔女集会

[著]響野 夏菜 [絵]裕龍 ながれ

今日は「冬始まりの日」。新しい冬服に身を包んだイズーは突撃魔女・ビーから今夜は外に出ないよう、念押しされる。なんでも男子禁制の「ひみつの魔女集会」が行われるらしい…。好奇心をそそられはするものの、もう「ま」のつく面倒ごとに巻き込まれるのはこりごりだ、と家でおとなしくしていたイズーだったが、あろうことかダナーク署署員のシーカーが魔女集会を覗いてしまって…?!
 

長らく放置してました、「ダナーク魔法村」シリーズ第二段。好奇心から「ひみつの」魔女集会を覗いてしまったシーカーを助けるためにイズーとビーが奔走するというお話。

どう考えても一大事だっていうのに、妙に緊張感の無い村人の一連のやり取りが素敵過ぎます。魔女鍋にぶちこまれることよりも、自分を煎じて出来る薬が単なる軟膏だという方に文句をつけるシーカーとか、とりあえずシーカーがぶち込まれた牢屋に色々運び込んじゃう村の男達とか…軟膏のくだりについては、本気で飲んでたお茶噴きそうになりました。もうほんと、常識人なイズーの苦労が偲ばれます(笑)

ただ、逆にそれだけのんびりしたやりとりがあるからこそ、魔女達のはっきりとした態度に薄ら怖いものを感じてしまいました。村の男達もシーカーに差し入れをするくらいはやるけど、助命嘆願みたいな話には絶対に乗ってこない。ほんと、こういう“伝統”だの“慣習”のたぐいって怖いです。

シーカーの罪を帳消しにしてもらうため、「まくらの森」と呼ばれ、普段はダナーク村の人々が近づかない闇の森に向かうイズーと、魔女長アガードの命令でイズーについていくことになったビー。ビーをはじめとしたダナークの魔女、特にマリーク家にまつわる確執などといったダナーク村の影の部分が少し明らかになって、今後の展開に影を落としてきそうな感じです。いつのまにか3巻が既に発売されているようなので近いうちに買ってきたいと思います。

それにしても、本編もさることながら今回は普段とは違ったビーの一面を見て、内心右往左往するイズーが非常に良いですね!特に元気の無いビーを励まそうと孤軍奮闘し、我に帰って自己嫌悪に走る辺りのくだりなんか最高!!しかもそんなイズーの心遣いを知りつつもさりげなく焦らして美味しいところを持っていくビーが可愛い。

何も知らないまっすぐな少女と思わせておいて(それもまた彼女の一面ではあるのですが)、今回は完全にイズーより一枚上手でした。この二人のやりとりは是非もっと見てみたいです。

女の子はみんな魔女!!


今度はマのつく最終兵器!

[著]喬林 知 [絵]松本 テマリ

ひょんなことから異世界・眞魔国の魔王に祭り上げられてしまったごく普通(?)の高校生・渋谷有利。再び召喚された眞魔国では戦争の話が持ち上がっていた。小市民的正義感からなんとか戦争を止めたい有利は、魔王のみが持つことを許されるという魔剣「モルギフ」を求めて旅に出る。のんびりと船旅を満喫できるはずが婚約者のヴォルフラム(男)がおしかけてきたり、船は海賊に襲われたりで大変なことに…!
 

ヴォルフラムがすっかり女房気取りな件について。
前巻でのツンケンっぷりはなんだったんだろうってくらいユーリに「なついてる」ヴォルフの姿が偉い可愛いんですけど。いや、ツンツンしてる態度は変わらないんだけど台詞が思いっきり…嫉妬旋風巻き起こしまくりで独占欲丸出しで!何このツンデレ!!!

ストーリー本編も前作と同じくハイテンションなギャグストーリーなのですが…今回は人間と魔族の考え方の違い等が露骨に見え隠れしたり、魔族側もユーリをまだ魔王として認めていない動きがあったりして、前回に比べて少し重くなっていますね。ユーリが必死になって人間達を助けたのに、それによって正体がバレてしまうと凄く冷たい態度をとられたり。そんな中でも、それらの罵倒を前向きに受け止めて少しずつでも成長しようとするユーリの姿に好感が持てました。特にラストの“魔剣”に対する処断を決めた時の姿は確かな成長を見て取れて読んでいるほうとしても嬉しかった。
やっぱり主人公はこうじゃなくちゃね!

しかしすっかりツンデレ女房ポジションを確立してしまった(?)ヴォルフも大分アレですが、どんどんユーリバカと化していくギュンター(陛下ラブラブ日記とか謎の占いの数々とか…)や、今回で意外な趣味が発覚したグウェンダル等、キャラクターの暴走っぷりが楽しいです。特にギュンターは…国の中枢の役割を担うはずの人が陛下の不在ごときで機能しなくなっちゃっていいんですかっ!!(笑)眞魔国の今後が非常に心配です。