ページ 58 | 今日もだらだら、読書日記。

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東京レイヴンズ8 over-cry

 

白日の下に晒された夏目の本当の姿。「約束の男の子」は夏目ではなく春虎―。真実を知った京子は春虎たちを避け続けていた。一方、シェイバとの戦い以来、春虎は呪力を制御できず不安定な状態に陥っていた。幾つもの不安を抱える春虎たち。そんな折、土御門宗家が何者かによって襲撃される事件が起こる。動揺する夏目のもとに現れたのは、あの赤毛の少女、多軌子だった。「ぼくが目覚めさせるんだ。―夜光の生まれ変わりを」運命の歯車は、軋みを上げて回り始める。後戻りすることのできない、未来へと向かって―。 (「BOOK」データベースより)

 夏目の正体を知って以来、春虎達を避け続ける京子。陰陽塾に現れた相馬多軌子。呪術の制御が出来ず思い悩む春虎のところに、土御門宗家が襲撃され焼失したという報が飛び込んでくる。様々な事態が動き出す中、鈴鹿達の提案で墨田川花火大会に行く事になり……。

 春虎の正体に関しては1巻の序盤くらいから実はそうじゃないかなあと思っていたし、それをにおわせる描写は7巻以降各所であったのでなるほど納得という感じなんだけど、考えていた以上に土御門家の事情は入り組んでいたなあ。『しきたり』がそんなところに繋がっているとは思わなかった。そして最後が衝撃過ぎる……。

 裏で暗躍しはじめる大人たちの動きが凄い。土御門家の大人たちや夜行信者側の重要人物も次々に登場して、これまでばら撒いてきた伏線を次々と回収していくのがアツい。しかし、同時に解けかけてしまった糸を一生懸命手繰り寄せ、元通りにしようとする子供達の思惑を無視して動き始める彼らの思惑には、やるせないものを感じました。なんだかんだで春虎夏目や京子が心配な鈴鹿さまが可愛すぎて死ぬ。そして衝撃のラスト。9巻まで一気に読んだからいいですけど、ここで止めるのは卑怯ですよ…!!

 それにしても、親世代の活躍に今後を期待せざるをえません。鷹宏と千鶴の空気を読まないバカップル夫婦ぶりにも萌えましたけど泰純とのツーカーぶりなんなんですか!!親世代が式神契約結ぶまでの過去編ください!!!

「私の出る幕はあるまい。こういうとき、私の式神は極めて優秀だ」
泰純が平然と答えたときだった。

「いやいや。千鶴の言う通りだ。ちったあお前も働け、泰純」

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ハルカせんせいと絵本の中の王子

 

『王子様は約束しました。1000日の間に必ず運命の相手を見つけると。』幼稚園教諭の晴夏が大学時代に課題で作った絵本は、未完成のまま実家の納戸の中…だったはずが!絵本の中の王子が見つけた運命の相手は晴夏だった!煌めく薔薇のような笑顔で、自分を創り出した晴夏へ愛を紡ぐ王子。しかし、晴夏が王子のために完成させた絵本の結末に、王子は傷付き、さよならを告げ―。(「BOOK」データベースより)

白 馬 で 来 た(攻が)

 うまくいかなかった合コンの帰り道、幼稚園の先生をしている晴夏の前に現れたのは、文字通り白馬に乗った王子様だった。歯の浮く台詞の数々に最初はただただ困惑していたが、彼の正体がかつて晴夏が大学の課題で制作し、未完のままとなっていた子供向け絵本の主人公であると気づいて……。

 王子の歯の浮くような言葉の数々に爆笑していたら最後はきっちり泣かせる展開にもっていくのがズルい!中盤のアクシデントからはじまる展開で一山越えたかとおもったら、絵本の結末に関してでまた一波あって。最初はただ迷惑していたのに、人懐こくて良い人な王子に段々愛着がわいて、そのうちかけがえのない大切な相手になっていく課程にニヤニヤが止まらなかった。

 性格は男前なんだけど「いっそ王子に迎えに来て欲しい」なんてボヤきだしちゃうハルカ先生の行動がほんとかわいかった。そして、王子にはちゃんとした「お姫様」と幸せになってほしいと嘯くハルカ先生にきっちり気持ちを自覚させちゃう王子、ズルい。本人も言っている通り、決して綺麗なだけの純粋王子ではないところがよかった。

 カラー挿絵が女装受だったのでどうなるのかとおもっていたら最後の展開で爆笑。(女装が)似合わないからこそかわいいんだ!と言い切る王子とは美味しい酒が飲めそうです。あと、女装エロは脱がせちゃだめなので!!!素敵な挿絵ごちそうさまでした!!

 …それにしても、サブキャラだった晴夏の通う幼稚園のおませな園児・蓮君とシルキーの出番がもうちょっとみたい。もういっそこの2人で番外編とかありませんか。蓮君は良い年下攻(属性そのままで実際は男前受だとなお美味しい)になれるとおもうんですがどうですか。

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魔王と姫と叡智(えっち)の書

 
Syroh

転職して美人のお嫁さんと静かに暮らしたい。 そんなささやかな夢を抱いた、世にもやる気のない魔王様。 魔王らしく悪事を働けと迫るウザい側近を どう殺そうかと悩むだけの絶望的に不毛な日々を送っていたが―― 「魔王様、お会いしたかったです! 」 攫われてきた姫・アンジェの可憐な容姿が超タイプ! まさに理想の嫁候補キター!! しかもなぜか初めから好感度激高で、遂に春到来!! と、思いきや、姫様のご趣味は…… 「陵辱もののエロ漫画を少々! 」 「は!?」 魔王もドン引きするレベルの成人向け漫画(汁多め)を描くことで!? 痴的好奇心旺盛の残念姫と、 なし崩し的に原稿まで手伝っちゃう魔王のイチャラブファンタジー、開幕!!

 絶大な魔力を持つのに世界征服の野望など微塵もなく、夢は「転職して愛する妻と小さな家で幸せな生活を送ること」……という、魔王らしくない魔王の元に(臣下が勝手に)攫われてきた姫君。自分を恐れることもしない彼女の態度にときめきを見出したのも束の間、彼女の趣味が陵辱物のエロマンガを描くことであると聞かされてしまう。しかもなぜか、彼女の原稿を手伝う事になってしまい!?というお話。

 ファンタジー世界を舞台にしてるけどファンタジー的なことは殆どしてなくて(触手が大活躍するくらい)ひたすら男性向け同人作家の姫様とマイペースな魔王城の家臣達にどこまでも常識人な魔王が振り回されるお話。ウブな魔王がお姫様や配下のレクトールに触手陵辱やらエロやら言われて顔を赤く染めながら「破廉恥な!!」と叫ぶ姿にニヤニヤが止まらない。臣下には毎夜お盛んですねとかいわれてるのに、実際何もないどころか魔王の方が完全に精気抜かれてる感じなのやばい。

 あと、お姫様のネット同人活動に関する細かい描写が妙にリアルなのがヤバイ。ツイッター(らしきもの)で自作絵アイコンで嬉々として状況中継をしていたお姫様が魔王と喧嘩して、アイコンをデフォルトの卵に戻して誘い受け全開な鬱postしてるのに凄いジワジワきた。身内用の愚痴吐き出し専用裏ブログとかなんかこう……リアルです……!どうしてこんな細かい所をリアルにしてしまったのか!!面白かったですが!!

 しかし、ファンタジーというよりも同人創作モノとしての側面が強かったのでタイトルから内容が見えてこないのは正直もったいないなあ。アキバブログのコラムで当初のタイトル案としてでていた「魔王と姫と薄い本」のほうがわかりやすかったとおもいます。次巻があるならイベント参加ネタな予感しかしないので、続編を楽しみにしています。

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クレイジーな彼とサバイバーな彼 〜嘘と誤解は恋のせい〜

 

*歩いていたら、ふと無線式のイヤホンを拾ったあなた。何とはなしに耳に挿してみたら──
『……ああ、結哉……俺のマーメイド……』『あ…ヤダ、生クリームで僕に習字なんて……』
『ユイユイのパイパイ、モミモミチュッチュする! 』『あぁっ…仁お兄様っ、ぁあああ……!!』
──ハイ。これを聞いたあなたのリアクションは?
a.和久井と結哉がトチ狂っているワケを探る b.同じものを聞いた騎一と尚の動向を知りたい
OK、ならば本書必読!! 愛と笑撃の第3弾★

 所属する劇団で、主役を演じる事になった尚。だが、内容はBLで相手は同じ劇団に所属するいけすかない男・六車騎一だった。プライベートと演劇では別、と精一杯良い演技をしようとするがどうしてもうまくいかない。男同士の恋愛を学んで来いと、騎一と共にリゾート島で男同士のバカップルの覗きをしてこいと言われてしまう。「嘘と誤解は恋のせい」シリーズの第3巻。

 一応メインのストーリーは前作で登場した騎一×尚の「リアル編」。一枚上手の騎一に少しずつほだされていく尚のツンデレっぷりがとても可愛いんですけどそんなことより和久井さんと結哉の更にパワーアップしたバカップルぶりどうしよう(震え声) 双方恋人バカ全開な頭の悪い会話を繰り広げ、他に人が居ない(と彼らはおもっている)のをいい事に孤島の真ん中で愛を叫びまくり、そして隙あらば事に及ぼうとする貪欲な姿勢に震えた。とりあえず和久井さんは一度落ち着いて自分の姿を見直していただきた……いや面白いからもっとやっていいんですよ。

 そんなふたりを観察(覗き)しながら的確なツッコミを入れてくる騎一と尚の姿に笑いが止まらないんだけど、それと並行でなんだかんだで少しずつ縮まっていくふたりの距離にもだもだする。というか、騎一自身は旅行の前段階から気のあるそぶりがあって、尚が上手いこと言いくるめられた感ぬぐえないけど。

 「演技のため」といって既成事実を作ってしまった頃には既に尚も内心では殆どデレてた感あって、その後のお約束的なすれ違い展開含めて大変かわいらしかったです。しかし、尚さんせっかくのクールビューティツンデレキャラなんだから喘ぎ声はもうちょっと抑え目でもよかったとおも……ゲフンゲフン。


B003ANMHDM
 ところで、BL系のドラマCDはどうしても苦手意識が強くて、未だに1人で聞けたことないのですがこれのドラマCDだけはちょっとだけ気になってしまっています。

 だって、騎一の声が鈴木達央さんて……物凄いナチュラルに脳内で騎一が鈴木ボイスで再生で来てしまって、つらい(色々な意味で)

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バカとテストと召喚獣12

 

ここで勝たなきゃ男じゃない!あわや敗北か!? という劣勢の中、遂に年貢を納――否、開き直った雄二の策により、首の皮一枚繋がって試召戦争の一日目を終えた二年生。依然戦力差が大きく開いたまま突入した二日目だったが、雄二の指揮の下、二年生は勢いを取り戻す。そんな激戦の最中、作戦行動中の明久の前に三年生代表の高城が立ちはだかる。瑞希の悩みとその真意を聞かされ、明久は……!?「なぁ、明久」「なに、雄二」「――面白ぇな、俺たちの学校」バカたちの狂宴、ついに終幕!

 本編完結編。これだけの熱量を持って追いかけ続けた作品は今まででも早々なかったので何か本当に感慨深い。そして期待を裏切らない、最後までバカテスらしいおバカでアツくてちょっとホロリとする、最高のシリーズ完結編でした。

 2年生vs3年生の試験召喚戦争の間に水面下で繰り広げられてきた、明久と高城先輩の姫路さんを巡る鞘当てと、美波の日記帳を巡る一連のハプニング。これまでずっと不穏な動きを見せてきた高城の策謀にまんまとはまってしまう明久。シリーズを通してどんな事があっても決して折れることがなかった明久が打ちのめされ、絶望の中を彷徨う姿は前巻のやさぐれ雄二以上に衝撃だった。

 そして高城先輩のラスボス感が凄い。彼は明久と似たような立場の「バカ」でありながら(まさか観察処分者的な意味でまで立ち位置一緒だとは思わなかったけど(笑))、同時に明久とはどこまでも絶対に相容れない人間として描かれているのが鮮烈でした。同じ「学年1のバカ」でありながら2年生のヒーローとして描かれる明久と、一貫してシリーズ最悪の敵として描かれる高城の対比が面白い。

 自らを犠牲にしても明久に再起の機会を与えた姫路さんと、不信と絶望に囚われた明久をどん底から救い出した美波。どっちのヒロインにも華を持たせる展開で、良かったなあ。挿絵の2人の表情が本当に凄くて。2人とも可愛い、本当に可愛いよ。あと個人的に今回の美波の立ち位置が本当に好きなので……!!!一応3人の恋路に決着はついた感じだけど、なんだかんだで逆転の目がある終わり方なのがさりげなく嬉しい。

 そして何より、悪友よりも一足先に吹っ切れた雄二の立ち位置が本当に好きだ!!再起するかどうかもわからない明久を守る為に多大な犠牲を払い、それでも役に立たないとなれば突き放してそれでもなんだかんだ最後は全部明久においしいところを持っていかせる作戦を立てて待ってる雄二がマジかっこいい!!メインは明久・姫路・美波の恋路の決着でしたが、絶望し倒れそうになる明久を影から支える雄二の活躍が本当にたまらない。11巻の展開は正直色々おもうところがありましたが、そのもやもやを全部吹っ切ってくれるような雄二の活躍ぶりでした。そんな面々に支えられて、なんとか復活した明久のヒーローっぷりがやばい。あと最後の最後で悪友挿絵ありがとうございます!!!

 バカテストから本編の展開まで、過去の巻のエピソードを拾いながらそれと対になるような展開が絶妙にちりばめられていて、これで本当に終わりなんだなとしみじみしながらかつての展開を思い出したり、本当に感無量の1冊でした。バカテストで泣かせてくるのは本当にズルい。

 本編は完結だけど、この後短編集もあるそうなので、あと1冊のお祭騒ぎを楽しみにしていたいとおもいます。個人的に、最後のオチで「一昔前の青春ドラマか!!!」と爆笑したのでその後の彼らの話に期待したいです。あと明久の過去編もうちょっと詳しくやってほしいのとスポットの当たらないキャラの短編=久保君とか期待しちゃっていいんですかね!!!!

 最高に楽しい物語を、ありがとうございました。

……ところで、最後のリンネ君どうみても久保君のご同類にしか見えないんですけどそこんとこ詳しく!!
しかも久保君と違ってたちの悪いやつだこれー!!

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東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_

 

『D』による陰陽塾襲撃事件からしばらく。その傷跡は大きく、陰陽塾は一時閉鎖に追い込まれ、退塾する生徒も続出していた。そんな中、『D』と大友の熾烈な呪術戦に心を奪われたままの春虎は、夏目とともに訪れた陰陽塾屋上の祭壇で、一人の少女と出会う。「君たち二人のことはよく知ってる。初めまして―ぼくは相馬多岐子」。その出会いが、のちにもたらす意味を知らないままに。時同じくして、呪捜部公安課による双角会掃討作戦が密かに始動。陰陽庁内部に潜む“敵”の炙り出しが行われるのだが!?―。 (「BOOK」データベースより)

 『D』と大友先生の呪術対決を見て以来、胸のうちに違和感を感じてぼーっとすることが多くなった春虎。そんな中、双角会のあぶりだしが行われる事になり、その間の夏目の護衛としてあの鏡がやってきて……。

 6巻でこれまでずっと戦ってきた『D』との決着がつき、色々不安要素はあるもののひとだんらくついた印象を受けていたんだけどむしろここからが本番だった!意味ありげな新キャラ達が登場しての新展開なんだけど、盛り上がりがすごい。

 新キャラクター・多軌子の登場や春虎の能力覚醒、夏目の件も含めて本当に動きの多い回だったんだけど、子供達の知らないところで動き出す大人達の思惑がとても不穏。誰を信用すれば良いのかわからない展開にこれからどうなってしまうのかとてもドキドキする。そして京子の件は……内心事態を悪くしようとする気はないのに、どうしても言わずにはいられなかったであろう最後の言葉が悲しい。

 しかし、鏡さんはどんだけツンデレなんですか憎んでるとかいいつつ大友先生好きすぎるじゃないですか!!Dとの術比べの話を春虎とするときのまるで憧れのヒーローの話でもするようにって表現にハートを打ち抜かれざるをえないんですけどどういうことですか!!憎んでるのに憧れてるとかどういうことなんですか!!(大事な事なので3回いいました)

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(仮)花嫁のやんごとなき事情 〜離婚の裏に隠れた秘密!?〜

 

本物のシレイネにより(仮)花嫁をクビになったフェルは、故郷に強制送還!のはずが、鬼畜な旦那さまクロウの策略により、召使として黒龍城に引き留められていた。そんなある日、クロウが突然、シレイネは別人じゃないかと疑いだした。焦るフェルをよそに、なんとクロウがシレイネを拷問!慌てて止めに向かうフェルだったが!?秘密がついにバレ…る?うっかり婚ラブコメ逆襲の第5弾! (「BOOK」データベースより)

 前巻からの続き。シレイネ姫本人から身代わり解消を言い渡されたフェル。故郷に帰ろうと考えるがシレイネの体調を心配して一端黒龍城に戻ることに。ところが、召使の姿で遭遇したクロウから城に引き止められてしまい、召使「フェル」として城に留まる事に。ところが今度はクロウがシレイネが別人ではないかと疑い出して!?というお話。

 ずた袋仮面のインパクトが!!!ここの所の展開がかなり「シレイネ」寄せというかラブコメ寄せだった気がするので、久しぶりに破天荒なフェルの勇姿を見た気がします。恩人であるシレイネ様の危機となったら自らの危険も顧みず(怖いけど)飛び込んで行っちゃうフェルかっこ可愛い。

 これまでの物語では不気味なヤンデレ臭ばかりを漂わせていたシレイネ様の素顔が可愛かった!蓋を開けてみれば、本当の自分を見せることを怖れるシレイネ様も一人の恋する乙女。正直、本命・フェルなんだとばかりおもってたので意外な流れでした。そしてなんかわかりやすく火花を散らしてる義兄弟が可愛かったです。

 でもシレイネ様黒幕だとばかり思っていたので今回の展開はとても意外というか最後に出てきたあのひとで色々叫ばざるをえない。フェルとクロウの関係もあわせて、今後どうなっていくのか楽しみです。

 しかし、個人的にはフェルがクロウへの気持ちを自覚する前の本気の嫌がりっぷりがとても好みだったので今回の展開はちょっと残念でもあり……なんだかんだで元鞘もどった感じなので2人の関係性がどうなるのかは次巻読んでみないとわからないですけど。店舗特典ペーパーやフェア冊子で読んだ短編くらいのじゃれあいの距離感が一番好みなので、あの編の短編まとめて短編集出してくれないかなあ。

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隣人は真夜中にピアノを弾く

 

出会った男は悪魔だった。彼は私に言った。望みを叶えてやろうと―。ひとりの男が殺された。“悪魔”だと名指しされたその男の死について調べるため、とある街へと派遣されたバド。同僚のリッチとともに、不可解な殺人事件に関わっていくうち、彼らは仕掛けられた罠にはまり込んでいく。悪魔に魅入られた権力者、悪魔と関係する女、さらには悪魔を狩る組織…。人間社会に寄り添い、『隣人』として生きる悪魔たちには厳しい掟があった。契約に縛られた元人間の悪魔の生き様を描くサスペンス・ハードボイルド。 (「BOOK」データベースより)

 こちらも表紙につられてホイホイ購入。性格の違う悪魔2人がバディを組まされて殺人事件の謎を追う、ハードボイルドなミステリー小説。様々な人間と人間ならざるものたちの思惑が絡み合っていく展開が面白かったです。

 人間として生まれ、悪魔としての二度目の“生”から抜け出そうと足掻き、未だ後悔の中にあるバドと、悪魔として生を受けてその職務に忠実な男・リッチ。生きかたも性格も対称的な2人が本当にちょっとだけコンビらしくなっていくのが楽し……いのですが、個人的にはもうちょっと主人公2人は絡んでもいいのよ!?と思いながら中盤までもだもだしていました。あんまり絡む(深い意味は無い)とハードボイルドじゃないのかもしれないけど。最後の背中合わせの挿絵でとてもテンション上がったので満足ですありがとうございます。

 ピアニストのシェリにかつての自分を重ねて助けたいと葛藤して後手後手に回ったり、犯人の思惑に乗せられてピンチに陥ったり……とイマイチ有能ぶりの伝わってこないバドなんだけど、最後の犯人との対決には思わずにやりとしてしまう。彼の“有能”さは決して戦闘でも能力的な方向でなく、良くも悪くも人間らしい「生き汚さ」にあるのではないかと思ってしまうのでした。

 大変どうでもいいはなしだけどこれ、一般レーベルから出るかニトロプラスあたりのエロゲだったら絶対シェリとの濡れ場があるなと思ってすいませんでしたそういう話じゃない。

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クレイとフィンと夢見た手紙

 

金髪でいつもにこやかな自称頭脳労働担当の美形少年、フィン。黒髪で目つきが悪くいつも肉体労働担当を押しつけられる青年、クレイ。彼らが回収し、配達をするのは「出されなかった手紙」「書かれなかった手紙」「本当に欲しかった手紙」「普通じゃない手紙」など、本来なら届かなかったはずのメッセージ。彼らは“永遠の昼下がりの森”から輝く霧を通り、時には吸血鬼の城砦に、時には半獣半人の異種族にと、時も空間も超えて「手紙」を回収し、配達に行く。世界をささえる、ささやかな祈りを、明日をつなげる夢を、どこにでもいる「あなた」に届ける。“郵便屋”たちの物語が、今、始まる。 (「BOOK」データベースより)

 コンビで不思議な『郵便屋』をやっているクレイとフィンが、つぎはぎだらけの世界で不思議な手紙を届ける短編連作。

 各編ごとのつながりは薄いんだけど、読んでいくうちにどこか淡々とした物語の中に透けて見えてくる色々なものがとても好き。世界をこれ以上ばらばらにしように様々な形で働きかける人たちと、世界を更にばらばらに引き裂こうとする人間達の戦い。そして、現在の世界と同じようで少しずつ違った道を歩んだ人々が懸命でそこで生きる姿が印象的。そして最後にばらばらだった糸を縫い合わせたようなラストシーンにちょっとだけ胸が熱くなりました。

 何よりクレイとフィンの凸凹『郵便屋』コンビの相棒ぶりが凄く好みでした!一枚上手の先輩・フィンに振り回されるクレイの猪突猛進ぶりにはほんとニヤニヤさせられる。そしてまさかのおかんキャラ!!

 MF文庫Jというとラブコメ偏向女子お断りのイメージ強かったので表紙見て思わず買ってしまったシリーズだったけどとても面白かったです。かといって乙女系でも腐向けというわけでもなく男子も女子も美味しく楽しめる感じの物語で、今後こういうシリーズがもっと増えていけばいいのになあとおもいました。

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甘城ブリリアントパーク2

 

「人が足りない!」東京西部の遊園地、「甘城ブリリアントパーク」の支配人代行に就任した高校生の可児江西也は、会議室で声を張り上げた。放火(!)までやらかして、潰れかけの遊園地を救ったことはよかった(よくない)のだが、問題は山積み。中でも深刻なのは『人員不足』。急いで人を募集してみたら、集まったのは珍妙な女の子ばかり。ある者は清純派の元○○女優、ある者はドジっ子な血まみれ女子高生、またある者はどうみても小学生。…こんな奴らと働くことなんてできるかぁぁぁぁぁ!!果たして、西也は再び「甘ブリ」を救うことができるのか!? (「BOOK」データベースより)

 魔法の力や汚い手口を用いてなんとか閉鎖の危機を乗り切ったのも束の間、今後のノルマやら人員不足やら問題は山積み。とりあえず人員不足を解消すべく、スタッフ募集をしてみたが…?というお話。面接カラー口絵見て「すわっ、美少女大量登場のテコ入れはいっちゃったーー!?」と思ったら光速でモブキャラ落ちさせていて笑った。実に酷いもっとやれ。

 ラティファからもらった魔法を乱発してセコい脅迫から大企業への渡りをつけてくる西也がいろんな意味で凄い。笑ったけどこの乱発ぶりはあとで手痛いしっぺ返し食らいそうだ。交渉という場面においては最強のカードだけど、1人に1回しか使えないという使いどころの難しさが序盤こそ万能間あれど今後じわじわとクビを絞めていきそう。魔法の世界関係の伏線っぽい会話仕込みつつ思い切り3巻に続く展開だけどどうなるのか楽しみ。

 それにしても、1巻はラティファのけなげさ・可愛さにによによせざるを得ない展開だったけど今回はいすずの素直になれないツンデレっぷりにとてもによによしてしまった。特に、本音しか離せなくなってしまって不審者全開になってしまういすず可愛い。マスコットキャラたちの良いおっさんぶりも健在で楽しかったです。

 しかし、他のキャラクター達が魅力的な分、西也のナルシー設定が浮いてるどころか作者も時々思い出して書いてるよね状態の不自然さかげんなのはなんとかならないものか……普通に生真面目な自信家くらいでよかったのに(ってこれだとただの世間慣れした宗介になっちゃう気がしなくもない)

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