修学旅行の後ギクシャクしたままの奉仕部の元に持ち込まれた依頼。とある人物の生徒会選挙当選を避けるためにこれまで通り自分をもち下げることで依頼を完遂しようとする八幡に残りの2人は反対し、それぞれ違うやり方で依頼をこなそうとするのだが……。
葉山グループの瓦解を繋ぎ止めるために行動してしまったが故に壊れかけてしまった「何か」を元の形に戻そうとなんとか頑張ってみたけど、やはりどこか周囲を顧みない八幡の独善的な解決法では綺麗にまとまりはしなかったという話。
なんだかんだで色んな人に好かれているのに、その事実に気づくことができない八幡がどこか痛々しく、見ていられなく、そういう八幡の言動のたびに自らの好意と存在を否定されて傷つく彼女達のもどかしさにもだもだし、瓦解しようとしているものの大きさに気づいた彼がそれを壊すまいと動きはじめてしかしどこか空転している様が見ていられない。八幡が「自分のため」に動いたのは大きな進歩だと思うのだけど、それだけじゃどうしようもなく足りなかった。
例えば八幡が動く前に雪乃の本心を聞き出すことができていれば……とも思うのだけど、それが出来ればこの物語なんてそもそも存在すらしていないだろうし、雪乃だって八幡が本意を問いただした所で真意を見せるとは限らない。そしてその真意を見せたところで八幡が素直に信じるとも思えない。八幡のやり方を彼女達が容認できなくなった時点でこの物語は多分詰んでた。「彼」や「彼女」が居心地良いと感じた場所が、そのままであって欲しいと望む気持ちによって致命的に居心地よくない場所へと変えてしまったのがどうしようもない皮肉。
6巻くらいからずっとこういう重苦しい展開が続いていて、読むたびに角材で殴られたような衝撃を受けるシリーズではあるんだけど、今回のが一番キツかったです。9巻以降で少しでも持ち上がってくれることを期待したいんだけど、ほんとどうなるんだろうなあこれ……。
しかし、女の子と遊んでても八幡しか見てない感ばりばりの葉山はほんとどこまで八幡のこと好きなんですか。お互いのやりかたを相容れないと感じながらも、双方が意識せずにはいられないというこの複雑な関係性がとても好き。あと、材木座さん地味にかっこいい。基本ハズレクジ引かされる役どころの材木座だけど、それだけ他人を巻き込む事を嫌う八幡が巻き込んでもいいと思う程度には心を開いて貰ってる存在なんだろうなあ。