シリーズ完結編。幾度も結衣の発作に巻き込まれるうち、現実と空想の区別がつけられなくなってしまう「現空混在症」に罹患してしまった景。自らが空想して作り上げた「結衣のいない世界」に引きこもりがちになった景を現実に引き戻す為、蒼井は結衣と協力してとある芝居を計画する。
最後までどちらが現実でどれが空想か、伏線も意味ありげな設定も全てを曖昧にしたまま霧の向こうへ。足元が覚束なくなるような不思議な読後感を持つ物語でした。あと最後まで森崎まじイケメン。正直わからないまま終わった部分の方が多いんだけど、曖昧ななか唯一これが「景と結衣の物語」として完結した事だけがはっきりしていて、これが一番この作品らしい終わり方だったなと納得してしまう。
しかし、これ典型的な“セカイ系”だなあと思ってしまうのは色々と解らないまま読者置いてきぼりに進行する物語といい、随所に挿入される楽屋裏のような「空想の世界」と「舞台上の物語」が並行する様子といい、なんだか新世紀エヴァンゲリオンを思い出してしまったからか(ちょうど直前に新劇見てたからかもしれない)。
「おめでとう」「ありがとう」で終わりそうな話だな、とおもってたら大体間違ってなかった!
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僕と彼女のゲーム戦争3
僕と彼女達のゲームハード戦争
1巻から存在を匂わせてきた図書室の少女にして幼馴染の「みやびちゃん」登場……したのはいいんですけど任天堂好きの天道先輩、箱○派の杉鹿、そしてセガ信者のみやびちゃんとなんか色々揃っちゃった感が凄い。これでソニー信者が居れば完璧ですねわかります。
初回登場から岸嶺への恋愛度MAXなみやびちゃんと1巻かけてじっくりフラグ熟成した杉下との板ばさみハーレム展開炸裂な「ファミリーフィッシング」話にニヤニヤする。しかし、恐らく本命ヒロインじゃないかと思われる肝心の天道先輩が1ミリもデレないな……LOVEの欠片もみあたらない。
女子の華麗な活躍に押されて隠れがちだけど、初期はただの変態なイメージが強かった瀬名先生の隠れた策士ぶりが大変美味しい。色々とスレスレな方法で敵を翻弄したり、個性豊かなメンバーをまとめあげる司令塔具合が頼もしい。女子の活躍の裏をしっかり支える男性陣2名、という構図が大変美味しかったです。
次巻は、ライバル校のゲーム部と格ゲー対決話になりそう。格ゲーはある程度やったことあるし、そういう意味でも楽しみです。っていうか他校にまで版図広げてヒロイン増えちゃうのか!?
僕と彼女のゲーム戦争2
新キャラ登場+FPS・TPS対決回。宵闇の魔術師さんとのリベンジバトルは近いうちにあるだろうなとおもってたけど予想以上に早かったですね。中二病系社畜っぷりが光ってる。
FPSやTPSは全くやった事ないんだけど、未プレイでも十分楽しめました。Haloでポイント貯めてヘリ呼ぶのめちゃくちゃ楽しそうだな!!まどかの複雑な事情を知り、未熟ながらも負けられないゲーム対決に挑もうとする岸嶺が主人公らしい熱血ぶりで、かっこいい。典型的なツンデレ娘の杉鹿が様々なハプニングやバトルを経てデレていくのも可愛かったです。
しかし、オマケで載ってたラグについての話は、正直ゲームやってないと全くわからないネタで、正直読んでても何が面白いのか全く解らなかった。「そのゲームをやってなくても楽しめる」のは凄く強みのシリーズだと思うので、こういう話ちょっと……となってしまう。まあ、だからこそ「あとがき」の後ろにあるんでしょうし興味が無ければ読み飛ばせってことなんでしょうけど。
H+P(9) ‐ひめぱら‐
BOOK☆WALKERの完結記念キャンペーンやってた+最終巻のあらすじ見たら大変楽しそうな展開になってたので購入。久しぶりに読んだけど安定のくだらなさ(※褒めてる) この巻数で、基本短編の寄せ集めみたいな構成で、未だにセクハラエロコメのネタが尽きないのは驚嘆に値する……んだけど、カタルギアくんだりまできて過去編としてトレクワーズでのエロコメ回想ばかりしてるなら、ぶっちゃけカタルギア行った意味なくね?作者が心底楽しんで書いてるかんじなのはたいへんよいことなのですが。プロローグとエピローグとピコルの穴以外全部回想ってどゆこと…
本編は現在お姫様達が敵国に捕まって処刑待ちとかシチュエーションからして萌え的にも燃え的にも美味しいのに、わざわざ回想してまで話を引き伸ばす意味がわからないよ。捕まったヒロインたちが尋問で危機一髪!!な展開とか、捕まっても主人公を信じて待ち続けるお姫様達とか上手いこと隙を見て逃げ出そうとしてねじ伏せられて連れ戻されてもいいし、処刑場に連れて行かれて拘束されるヒロインたちとか、処刑直前に新たな能力or新しい味方を得た主人公が乱入+無双!!みたいな展開あったら燃えるとおもうんですよ!!ここまできたらそういうのみたいじゃないですか!!
エロコメ的には、若干というかかなりレイシア偏重気味で、すごくおっぱいでした…。初期のエリスやユフィナとのラブコメみたいな展開が普通に好きだったので、天然淫乱おっぱい担当のレイシア様メイン回ってノリが苦手…。ユフィナがただのオチ要員の暴力ツンデレと化し、エリスに居たっては思い出してはツンしてデレるだけのにぎやかしにしか見えない現状つらいなぁ。
本編の続きは次巻に期待したいけど、それよりも表紙だったアルトの本編空気化が露骨すぎてなんか涙でてきた。
読了記録まとめ[2012年10月分]
完全に忘れてた。読了冊数は13冊でした。
2012年10月の読書メーター
読んだ本の数:31冊 / 読んだページ数:7656ページ / ナイス数:134ナイス
ROBOTICS;NOTES 1 キルバラッド・アノテーション (角川スニーカー文庫)の感想
フラウの一人称だと、原作でもちょくちょく表面に出てきてた腐妄想とかだだ洩れ状態なのにとてもニヤニヤするな。海翔からは見られないツイぽの「フラウのタイムライン」が物凄く面白いというのもあるけど、典型的非コミュオタ系腐女子なフラウの、一見ひょうひょうとしているような言動の裏に隠された迷いや戸惑いが本当に可愛い。あと眼鏡と八汐先輩の薄い本はよ。
ROBOTICS;NOTES プロジェクト・プレアデス (ファミ通文庫)の感想
昴が一度の挫折を経て、正体を隠して「ROBO-BAN」で再び優勝するまでを描いたスピンオフ前日譚。彼が父親を欺いたままホビーロボットを開発し続けられた理由とかプレアデスになった経緯とか凄く面白かったけど、原作を見る限り完全に一人でホビーロボット弄りをしてるんだとおもってたので普通に身内の協力者に恵まれてる状況はやや違和感があったかも。この終わりかたなら少なくても真帆や直樹とは何らかの形で関係を保持していただろうと思うし。もう少し上手いこと、原作開始当初の「現在」につなげて欲しかったかなあ。
ハイキュー!! 3 (ジャンプコミックス)の感想
西谷さんマジ男前!!!ばらばらになっていたチームが、少しずつ一つにまとまっていく流れがたまらないそして試合中の日向への影山の一喝がもう殺し文句すぎてやばかった…。
わたしに××しなさい!(10) (講談社コミックスなかよし)の感想
逆ハー全開な見開きに萌える前に噴いた…こ、こういうのは扉絵だけにしてほしいw もう完璧に時雨ルート確定という感じなんだけど、時雨が本気になってきたせいで雪菜がいまだに「恋愛ごっこ」のノリで通そうとしてるのが少々きつい。あと一歩で恋を自覚しそうでできない姿はとてもかわいらしいんだけど、同時に時雨に対しても晶に対しても恋愛ミッションを隠れ蓑に真面目に向き合うのを避けてる感を受けて「ちゃんと向き合ってあげて」という気持ちになる。ドルチェの件や小説の身バレ問題も含め、あともうちょっとで色々動きそうではあるんだけど
薄氷あられ、今日からアニメ部はじめました。 (このライトノベルがすごい! 文庫)の感想
正直、アニメ製作における創作に関する云々とかそれを作る上での部員達の青春的な何かを期待してたので終盤の展開にがっかりした。なぜ一番肝心の、部員たちのみによるアニメ製作エピソードをダイジェストにしたし。
はたらく魔王さま! 6 (電撃文庫)の感想
祝・アニメ化!ここはひとつマクドナルト・ドコモ・ユニクロとのコラボを是非お願いします!!//千穂ちゃんまじ男前。魔族・人間・天使の枠組みを越えて少しずつ露わになる真奥の新しい「世界征服」のビジョンが興味深い。考えなしにフリーターしてるわけじゃないんだなあ。あとサリエルが愛に一直線すぎて腹筋辛い。
死神姫の再婚 2 (B's-LOG COMICS)の感想
カシュヴァーン様にもこんなに残念じゃないただのイケメンだった時代が(略)漸くルアークがでてきたくらいのところまでで、かわいいし丁寧なコミカライズだけど進行遅いなあとちょびっと思ったり。
おこぼれ姫と円卓の騎士 (ビーズログ文庫)の感想
姫様マジ男前!!生まれ持った異能みたいなものはあっても極力それには頼らず、2人の優秀な兄の方が自分より王に向いてるのではないかと思いながらも良い女王になれるよう精一杯努力する姿がかっこよかった。過去/未来の生まれ変わりの王達と話せる設定面白いなあ。
(仮)花嫁のやんごとなき事情 -離婚できなきゃ大戦争!?- (ビーズログ文庫)の感想
壁ドン!!!!!これはいい壁ドン!!!!!すっかりフェルにデレデレなのに、しっかりと彼女をドSに弄ぶ旦那様が据え膳前でお預け喰らって悶々としてるのがもうほんとたまりません壁ドン!!ストーリーはまだまだこじれそうな感じだけどっていうか最後に出てきたあの人……
死神姫の再婚 -怪物王子の死神姫- (ビーズログ文庫)の感想
お腹痛い→お腹壊れる→お腹壊れた→お腹すいた←new! カシュヴァーン様がアリシア世界一可愛いよいいすぎでもうほんとに…おめでとうございました!
男子高校生のハレルヤ! (GA文庫)の感想
名門女子高の中で女装男子と性別不明のバカどもが繰り広げるドタバタ騒ぎ。性別が行方不明すぎてカオス。途中完全にベツモノになってたけどとても面白かったです。ところで、イラストというよりもむしろ全体的な装丁・デザイン部分で全力で露骨に俺妹をオマージュしようという意思が見受けられるんだけど、いったいどういう効果を狙ってそういうことをしたのかが良くわからなくて物語と全く別の場所で消化不良を感じた。なんか発売前にパクリの汚名という悪評流されてイメージを落としただけな気がするんだけど…
オレを二つ名(そのな)で呼ばないで! (このライトノベルがすごい! 文庫)の感想
ラブコメ薄め、高校生達が異能に振り回されつつドタバタ楽しくバトってる感じでとても楽しかった!バカやってるだけでなくちゃんと熱血で青春な要素もあるのがとてもよかったです。猫執事はギリギリだとおもってたけどイラスト見たら割りとギリギリセウトだとおもうので一匹ください。学園内限定箱庭的な異能空間で若干某ラノベを髣髴するけど、あれよりも異能バトル押しで、似た題材でも違うことをやってる感じ。
空色パンデミック Short Stories (ファミ通文庫)の感想
森崎ハイスペックにもほどがある。発作で特定作品のなぞらえをやっていく展開なんだけど、本来の人間関係やら性格が絡んで色んな所に脱線していく姿に笑った。TVA版のエヴァ+αなネタでさりげなく新劇までからませてくるのが巧妙すぎる。
ROBOTICS;NOTES?ロボティクス・ノーツ?(1) (富士見ドラゴンブック)の感想
キャラ解釈でモヤモヤすることが多かった。あと、とあるキャラが消えてかわりに他のキャラにそのキャラの設定を上乗せしてるのがちょっと気持ち的にきつい。そこはあらゆる意味で絶体に消しちゃいけないキャラだろ…
好きっていいなよ。 1 (デザートコミックス)の感想
ちょうどアニメ最新話まで。アニメがえらい性急に二人の仲が進展していくように見えたんだけど、原作だとそこまでの違和感なくて、やっぱり若干削ってる部分あるんだなあなどと。若干デレるの早い気はするけどなんだかんだでデレていくめいが可愛い。しかし「今のは挨拶代わりのキス」あたりの黒沢君の男子力にはうっかりふく。
そらのおとしもの (16) (カドカワコミックス・エース)の感想
流れるように喧嘩の仲裁からフラグ構築までを一挙にやっちゃう智樹さんマジパネエっす…(ごくり)しかし、カオスのフラグも回収してないのにこれ以上フラグ立ててどうするんだ!
うそつきリリィ 9 (マーガレットコミックス)の感想
修学旅行の話が!!先輩が男前女子すぎてしんだ!!直太の意外な一面にもときめく。
境界線上のホライゾン4〈下〉?GENESISシリーズ (電撃文庫)の感想
色々な人達の、再起の回。トーリの決意とか二代の再起とかネシンバラ解凍とかウルキアガ嫁GETとかいろいろあって楽しかったけど、最後の『狐の嫁入り』がほんとに泣ける……//色々な意味で触手がおかしなフラグを立ててるのと、景勝様がかわいすぎて目が放せませんでしたがなんだかんだで最大破壊力だったのは挿絵も含めまして成実さんの ?おっぱい!!!/ ではないかと。 ラストのウルキアガの“嘘”にニヤニヤしすぎて頬の筋肉やばい。
バラ色の聖戦(9) (KC KISS)の感想
所用で序盤読んだらなんか止まらなくなってしまって一気読み……とりあえず2巻くらいからずっと「早く旦那と離婚しよう!!」としか思えなかったので9巻で漸く円満離婚してくれてほっとしました。職場ではデキるひとなんだろうけど、とにかく旦那の家でのクズっぷりが光りすぎてフラストレーションすごい。美鈴さん関連のエピソードでほろり。
神のみぞ知るセカイ 19 (少年サンデーコミックス)の感想
ラストのちひろが切ない。でも、“女神”として“攻略”されなければいけなかった歩美をはじめとした女神を内に秘めたヒロイン達と、最後の最後で攻略対象ではない「一人の女の子」としてフってもらったちひろ。どっちが幸せなのかは少し考えてしまうな。
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。3 (ガガガ文庫)の感想
さりげなく雪乃さんのデレが見え隠れして、ちゃんと青春ラブコメしてるじゃないですかやだーばくはつ!けなしつつもなんだかんだで仲良しーな八幡と材木座にニヤニヤした(だがパン1だ)。あとラストの平塚先生せつない……。
お金がないっ 1 (バーズコミックス リンクスコレクション)の感想
凄い昔に何かの折に小説のほうは読んだことあったんだけど、漫画版が攻視点だと聞いて。……で、よんでみたら物凄い狩野が残念でふいた。綾瀬の天然純白っぶりは正直あまり好みじゃないんだけど、天然に振り回されて徐々に残念な人になっていくドSさんはとても好みだw
お金がないっ 2 (バーズコミックス リンクスコレクション)の感想
「ありえないシチュエーション」と言われてとりあえず雪弥とのいちゃラブ新婚家庭を思い描いてる狩野さんがまじ残念…(※褒めてる)色んな意味でやってることはアウトー!なのに、ここまでこう、可哀想になる攻って希少だ。小説の1巻の話を随分長い事やるんだなあ。
読書メーター
僕と彼女のゲーム戦争
本が好きで好きで、集中すると物語の世界に「入り込んで」しまう岸嶺は、ある日先生に言われて特別待遇で2年前に共学になったばかりの伊豆野宮学園に転入する事に。クラスの女子生徒からは遠巻きにされ、読書に集中できると思ったのも束の間、なぜか変な教師と美人の生徒会長の2人しかいない現代遊戯部に勧誘されてしまう。
これまで殆ど食わず嫌いをしていたゲームに触れた岸嶺が、ゲームという物語が持つ媒体の本とは違う「自由さ」に惹かれ、少しずつ夢中になっていく姿にどっちも好きな身としてはとても楽しい。特に、「スペランカー」に天道先輩が即興でこじつけた物語の世界の続きを岸嶺が更に広げていく様子にニヤニヤした。
ゲームは殆どやった事がない初心者同然の岸嶺だけど、のめりこむとゲームの世界に「入り込んでしまう」事で発揮する強い集中力を買われて、結局正式な現代遊戯部のメンバーになる事に。大きな才能の兆しを覗かせるもののやはり初心者は初心者、という感じの彼が始めての大会でボロ負けし、悔しさと執着を憶えていくのがとてもよかったです。今後の成長展開が凄く楽しみ。
ゲームが大きな市民権を持ち、各地で頻繁にゲームの大会が繰り広げられている、現代とはちょっとだけ違った現代が舞台。ゲームで対戦するのが大きなウェイトをしめてくるので対戦ゲームがメイン。正直この手の対戦ゲームは殆ど触れた事がないので解らないジャンルなんだけど、丁寧な解説や臨場感溢れる描写でゲーム勘が無くても十分楽しめる。とはいえ、ゲームやってたほうが楽しめるんだろうなあ……2巻まで読んだところやはりTPSとかFPSと呼ばれるジャンルのゲームがメインで語られていくっぽいのですが、今回の「スペランカー」みたいなゲームの話も時々やって欲しい気がする。
流石にこういうコンセプトの物語だと難しいんだろうけど、RPGとかをプレイした場合にどうなるのかもちょっと気になるんだよね。流石に対戦要素皆無のゲームだと難しいかもだけど…。
STEINS;GATE 閉時曲線のエピグラフ
2010年11月。β世界線。これは岡部倫太郎が、7月28日に牧瀬紅莉栖を救えないまま戻ってきた後の物語。倫太郎は紅莉栖への想いもタイムマシンへの情熱も封じこめ、ラボへもほとんど足を運ばず、ごく普通の大学生活を送るようになっていた。そんなある時、大学のセミナーで一人の女性と出会う。その女性の名前は比屋定真帆(ひやじょうまほ)。紅莉栖と同じヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所の研究員で、セミナーにて講演を行うレスキネン教授の助手として来日したのだった。そのレスキネン教授が研究している『Amadeus』と呼ばれるシステムが、やがて自身を再び陰謀のはびこる世界へと導くことになるとは、このとき岡部はまだ知らなかった。そう、そこに『彼女』は今もいる――(公式サイトより)
コミックマーケット82の企業ブースで先行発売されていた「Steins;Gate」のノベライズ。β世界線で紅莉栖を救えなかった岡部が再びタイムマシン研究と向き合うまでの物語です。
全3巻構成ということで、色々な意味で物語が動き出す前で終わった印象。リア充を目指すもリア充達の空気についていけてないオカリンかわいい。また、コミケ会場で阿万音由季と出会ったダルが未来の嫁と未来の娘に囲まれつつ、今まで自分が出会った女子とはどこか違う彼女に振り回される姿が可愛いのなんの。未来のダルからさりげなく岡部への想いが透けて見えるのにもニヤニヤ。
紅莉栖の大学での先輩・比屋定真帆との出会いをふまえつつ死んだ紅莉栖の周囲で尚も蠢く影の姿が見え隠れするのがとても気になります。ドラマCDβ「無限遠点のアークライト」とは同一世界線の出来事の筈なんだけど、あちらのドラマCDから比較するとびっくりするほどオカリンが前向きなんだよなあ……そんなオカリンの心を折るような出来事が多分今後起きる筈なので、その辺も踏まえて楽しみです。
氷雪王の求婚 〜春にとけゆくものの名は〜
恋人と引き裂かれ、皇帝エドリックの元に嫁ぐ事を強いられたアイリス。『氷雪王』との異名を持つエドリックは色々と曰くつきの人だった。妻を妻とも思わない態度に憤っていたが、やがて……というお話。
最初は反発しあっていた二人が徐々に志を通わせ、同士としても夫婦としても距離を近寄せていく様子がとても甘酸っぱいんだけど、要所ごとに当時を生きた人々の『手記』の形で明かされていく、二人の物語の悲しい結末にゾクゾクが止まらない。
腹を据えてからは夫の冷たい態度にもめげずに彼を伴侶として支えようとするアイリスは、ただ破天荒なだけでなく古い常識に囚われない斬新な発想の持ち主。同じように古きしきたりを捨てて新しい国づくりを目指すエドリックとこの国の新しい形について語り合う姿がとても素敵なんだけど、彼の理想を支えるだけの後ろ盾を持たない実家や“皇后”だからこそ制限されてしまう部分もあってもどかしい思いをしているのに、こちらまでもだもだしてしまう。
二人の恋の結末はあまりにも悲しいものだったけど、二人の意思を受け継ぐ人々がかつて彼らが語った理想の国を少しずつ築き上げていくエピローグにじんわりしました。めちゃくちゃ面白かった!!
しかし、LOVE分も大変美味しかったけど、シュタイン帝国の一代記としての部分が物凄く濃厚だったので、色々な意味で挿絵で損してるなあと……この表紙だとキラキラしたお姫様と王子様のラブロマンスしか想像できないよ!!挿絵が出てくるたびに若干違和感に戸惑いました。
魔法少女育成計画 restart (前)
宝島社様より献本をいただきました!
キャラを一新してのシリーズ第二巻。魔法少女として活動していた16人の魔法少女達が『魔法少女育成計画』というゲームに巻き込まれる。前巻では現実を舞台にしたマジカルキャンディ争奪サバイバルだったんだけど、今回は仮想ゲームの世界で理不尽なルールに苦しめられながらゲームのクリアを目指すお話です。
しょっぱなのルール提示から既に嫌な予感しかしなかったんだけど、予想とおりというか、『こうなったら嫌だなー』というのを全て的確にぶち抜いてくる感が一周回って爽快なほどで、今回も安定のエグさ。持ち上げて落とす事にかけてはむしろ前回以上で、ちょっと気を抜いたら途端に絶望の展開が待ってるよ!!
また、ゲーム内で3日過ごした後現実で3日過ごす、というシステムが凄く面白く働いてた気がする。リアルでの3日が事実上の探偵パートみたいになっていて、いつも通り日常を過ごす魔法少女がいる一方でゲームの裏を突き止めようと動く魔法少女達の動きがアツかった。挙動不審な魔法少女も結構居て、その辺の秘密が明かされるのもたのしみ。
メインキャラクター自体は前回から一新だけど、さりげなく前巻キャラの姿も見え隠れしたり…で、その辺がどう後編に掛かってくるのかが楽しみです。前巻の展開を知っていると、どうかんがえても凄い事になるのはこれからという所で終わってしまうので残念というか、早く続きが読みたい…!
キャラクター的にはプフレさんが大変好きですが後編の一番いいところあたりで華々しく散る予感しかしない……あと前回があれだったせいか魔法生物が猛烈に可愛らしく思えます。
ROBOTICS;NOTES 瀬乃宮みさ希の未発表手記
2009年夏。日蝕が観測されたその日、種子島に住む中学三年生の瀬乃宮みさ希は、当時まだ珍しかった携帯端末(スマートフォン)を拾う。携帯を覗くとそこにはアイリがいた。アイリとは人工知能を持つAR(拡張現実)。つまりバーチャルの中にだけ存在する人格。彼女と話をしながら、携帯を返すため持ち主の家を訪れたとき、みさ希は恋に落ちた。持ち主は君島コウという科学者だった。みさ希は自分を子供扱いしない大人の男性、君島に惹かれていくが…。『ROBOTICS;NOTES』ゲーム本編では語られなかったあらゆる謎を解き明かす、科学AVGファン必読の一冊。 (「BOOK」データベースより)
瀬乃宮あき穂の姉・みさ希の過去を描く外伝ノベライズ。
本編の真相に関わるネタバレを含むため、全力でゲームクリア後に読むことをオススメします。
ゲームではクールビューティ本来はアツい女、みたいなポジションだったみさ希の姉馬鹿一代ぶりがヤバイ。めちゃくちゃ頭いいのに本気でアキちゃんマジ人間界に降臨した天使だし、アキちゃんいたら宇宙人とも分かり合えるし地球の環境問題全部解決すると思ってるシスコン具合が可愛すぎて腹筋崩壊した。みさ希だけでなく昴父やドクなど原作ではわかり辛い人々の本音が見えたのもよかった。
頭の出来が良すぎる故に周囲に馴染むことが出来なかったみさ希が君島コウと出会い、仄かな恋心を抱きながらも君島の言葉を胸に少しずつ周囲に打ち解けようと努力していく姿がとても甘酸っぱく、仲間を得て互いに衝突しながらも不器用に人間関係を構築していく姿がとても暖かく、だからこそ、真実が明かされていく後半の展開が辛い。終盤は完全にホラー展開で、本編へと続くからこそできる最悪の終わり方が物凄く後味悪くて。「その目誰の目」万能だなあ……。
同時に、幕間で語られる彼のひとの行動がやばい。これ本当に原作公式設定だとするとこれまで全て「事故」や「偶然」で片付けられてきた事まで全てに関連付けがされてしまうんですが……本人にその後の展開を予見できたとは思えないのですが、ある意味全ては仕組まれていたというか、この後、種子島で『彼ら』が出会いひとつになって巨大ロボットを作ろうとする流れは必然だったんだなあと。彼らの持つ全ての傷に彼の人が関わっていたのだとしたら。これ、語られていないけどこれおそらく瑞榎さんの事故も……ですよね。
めちゃくちゃ面白かったけど、これほどゲームをクリアする前に読まないで欲しい本もない。っていうかこれのコミック連載がはじまるらしいんですが、こんな全開でストーリーの核心に触れるものを雑誌で連載って大丈夫なんでしょうか……ネタバレテロにもほどがある。