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アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭

[著]須賀 しのぶ  [絵]駒田 絹

幼いころに両親を亡くして東京の沖合に浮かぶ神流島の親戚の元で暮らしている天海陽菜は「誰にも嫌われたくない、目立ってはならない」という不安や軍事訓練による重圧と闘いながら鬱々とした日々を過ごしていた。彼女の唯一の安らぎは森の奥に居る不思議な存在「マリア」と過ごすことだったが、彼女の元で不思議な少年と出会い…!?

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「天使病」と呼ばれる奇病が蔓延し、その病気から人間外の存在になった者達と人類との闘いが勃発する架空の現代日本を舞台にした現代ファンタジー。夏コミで補完本買ってしまったのに本編読んでなかったので、今さら手をつけてみました。

序盤は目立たなく大人しいけど、どこか人間関係に対して冷めた観点を持ち、どこか攻撃的で投げやりな陽菜の考えにイライラしていたのですが、そんな彼女が隣の中学に通う明るい少年・湊尚吾と出会う事によって少しずつ変わっていき、それによって今まで内に閉じこもっていた彼女が周囲に対して心を開いていく姿がとても良かったです。「どうせ親友なんて名ばかり」といって馬鹿にしていた理子・楓に悩みを打ち明けたり、「きっと好かれていない」義母と親娘らしい会話が出来るようになったり……と、徐々に前向きになっていく姿に好感が持てました。

しかし、その直後に起こったとあるアクシデントにより、それまで彼女が築き上げてきたすべての関係を打ち砕かれてしまう場面が辛い。周りの人々が陽菜につきつけてくる言葉はどれもこれも、自分が前半を読んでいたときにうすうす感じていた事だったので否定できない一方、「それでも、陽菜は変わろうとしていたのに…」という悲しさが先に立つ。

付きつける言葉は冷たいけど、なんだかんだいって陽菜のことを気遣っている(ような気がする)幼馴染・覚野のちょっとキツイ励まし(?)により陽菜が再び立ち上がった時には本当にホっとしましたが、間髪いれずにさらなる悲劇が彼女を襲うのには本当に戦慄した。持ち上げたと思ったら再びどん底に突き落とし、まさに容赦ない展開にどんどん引き込まれた。

ラストはドン底の中でも、陽菜が前を向いて「親友を救うため」目の前の現実に立ち向かっていこうとする姿が印象的でした。信じようとした人から裏切られて四面楚歌な状態からのスタートだけど、一方でかけがえのない何かを得る事が出来たはずの彼女には、くじけずに頑張ってほしいなあ。続きを読むのが楽しみです。

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