[著]竹宮 ゆゆ子 [絵]ヤス 食欲の秋。何を食べても美味しい季節……欲望の赴くがままにご飯をたべまくってしまった大河はすくすくと太ってしまった。主夫として家族の食事管理を怠ったことを後ろめたく感じた竜児はなんとか大河をダイエットさせようとするのだが…!? |
しかし表題作「虎、肥ゆる秋」は食欲の秋→ダイエットしなきゃ!→でも美味しい→脂肪定着を毎年繰り返している私としては激しく他人事ではありませんでした……あああああ、とらドラ史上もっとも心に痛い短編だったかもしれません……結局、食事を控えるか運動するかしかないのか……楽して痩せたい。私も大河のクラスメイトくらい協力的なクラスメイトがほしいです。
一番ツボだったのは、クラスメイトのバカ代表・春田がひょんなことからであった女性の為に奮闘する「春になったら群馬に行こう!」。9巻で連れていた“年上の彼女”との馴れ初めが語られます。いやー、バカがバカなりにがんばるお話は大好きだよ!!しかも春田もただバカなだけではなくて自分のクラス内での立ち位置を正確に把握していて、その為クラスメイトには悩みを打ち明ける事ができないと思っているのがなんかいいなあ。ただのオバカキャラが空回りするお話ではなくて、ちょっとしんみりする良い話に仕上がっているのがとても良かったです。しかし、よりによって独身(30)に相談しなくても……コイバナを独身に語るのはいろいろと可哀そうな気がするよ!!!
書き下ろし短編はそんな独身(30)の過去のお話を描いた「先生のお気に入り」。ああ、もうなんていうかこのころから不幸キャラというか、報われない役回りは始まっていたんだなあ……としみじみ。仕事熱心で生徒思いの良い先生なんですけどね…。