今までの戦いとは別側面から見えてくるシスティーナの成長が熱い魔術祭典、過去の記憶を追体験することで物語の核心に迫っていくグレンの過去探索、各国各勢力の思惑の入り乱れまくり殺意入り乱れ過ぎな首脳会談。そこからのラストのアレ…って1冊に詰め込み過ぎではーー!?(でも面白いから困る)
前巻とは別側面から描かれるシスティーナの成長物語
魔術祭典の準決勝まで勝ち上がったアルザーノ帝国代表。準決勝で日輪の国のメインウィザード・サクヤと対決するシスティーナだが、突然攻撃に迷いが出はじめて、調子を崩してしまう。それは相手チームに潜む『呪言師』による精神攻撃で……。アルザーノ代表チームメンバーそれぞれのバトル面での活躍、そしてシスティーナによる統率や判断力の高さが面白かった前巻とは打って変わって、今回は相手方がシスティーナの弱点である精神面の脆さを突いていく展開。完全に跳ね除けることは出来ないけど違和感に気づけてなんとか対処しようと足掻くことができる彼女の姿に確かな成長を感じました。そしてグレンの言葉を得てからのシスティーナの頼もしいこと。この一件を経て改めて自分の気持ちを自覚して…の展開は胸アツだったけどクライマックスへのお膳立て感を感じてそちらの意味でもドキドキする。
不調なシスティーナを支える仲間たち、そして彼女の頑張りを知った上で敢えて憎まれ役を買って出ようとするリズ先輩の姿も良かった。何割か知り合いが混ざっているとはいえ急造のチームであるアルザーノ帝国代表チームが、「優勝」という利害の一致をもってここまで団結出来る姿がアツかった。
いよいよ、物語の核心へ…
準決勝も終わり生徒たちが温泉に覗きに勤しむ中、グレンはフォーゼルが解読したアリシア3世の手記を読み解こうとしていた。ところが、本に仕掛けられていたトラップによってグレンは本の中に閉じ込められてしまう。アリシア三世の半生を綴る「書記」によって明かされる、様々な謎。幼馴染の少年二人と共に無邪気に研究に打ち込んでいた少女が女王になり、考古学者となり、長年追い求めてきた古代の謎の一端に触れてしまう。しかしそれは、あまりにも危険なものだった──研究者でありながら国を統べる立場の彼女が少しずつ研究に傾倒し、残酷な真実を知り、正気を失っていく。散り散りになっていく幼馴染たちの姿がしんどかった。
謎の存在による“検閲”を受けて核心である『禁忌教典』こそ謎のままでしたが、嘆きの塔の謎や『異能者』が迫害され続けてきた理由など、これまで登場した様々な事件や遺物が一本の線で繋がれていくさまに最高にワクワクしました。しかしこれまでのいろんな事件、だいたいアリシア三世のせいじゃないですかやだー!!
情報量が多い…でも面白かった!!
魔術祭典最終日。アルザーノ帝国vsレザリア王国で繰り広げられる決勝戦の裏ではアルザーノ帝国とレザリア王国の首脳会談が行われる。アルザーノとレザリアの巨頭会談──であるんだけど、その裏ではアルザーノの実権掌握を目論むイグナイト、エリサレス教皇庁の強硬派と融和派、天の智慧研究会までが絡み合い一歩も気を抜けない展開に。融和路線で進んでるはずなのにみんなして殺意高すぎじゃないですかね!?っていうか今更ですけどシスティーナ達の魔術祭典パート、グレン達の過去探索パート、そしてこの首脳会談って1冊に入ってる情報量多すぎじゃないですか!?キャラ何十人どころか2桁近い勢力が別々に動いてるのいろいろな意味で凄いし、それなのに(実際若干空気になってたキャラやキャラがぱっと思い出せなくて混乱することはあったけど)この縦横無尽に張り巡らされる駆け引きの数々が最高に面白いからホント困る。こんなに面白いのに内容的には完全に次巻への種まき巻なんですよ…次がコレ以上に面白いだろうことが半ば確定なんですよ…こんなんずるいでしょ……。
ルミアやリィエルだけでなくシスティーナにも色々な伏線がはられてきた感じだしグレンはいわずもがなだし…でほんと楽しみすぎるんですけど、ここで続くの!?早く続きを!!