妹の好きなVtuberが実は俺だなんて言えない | 今日もだらだら、読書日記。

妹の好きなVtuberが実は俺だなんて言えない

 

妹の初恋の相手が俺らしいのだが、どうすればいい?
「爽坂くんは、私の一番好きな人……だから」  上目遣いで瞳をキラキラさせ、頬を染めつつ告白してくる可愛い妹、ひおり。 「……ひ、ひおり?」 「爽坂くんは、私の王子様なんです……」  あのな、ひおり。爽坂はVtuberであって、人間じゃないんだぞ。わかってるのか? しかも、お前は知らないだろうが、爽坂の中の人は俺……。あ、あれ?  ま、まじか……この流れ、やばい。 「あのな、実はな、爽坂はな……」  妹の恋心を壊さないために身バレを防ごうとするも、次々と新しい女の子たちにまとわりつかれることになる庵原玲仁。人気Vtuberと陰キャ高校生の二足のわらじは、無事に成し遂げられるのか?  憂鬱さを吹き飛ばす、一点の曇りもない抱腹絶倒のVtuberラブコメ、登場!!

個人勢の男性Vtuber「爽坂いづる」として一定の人気を得ている男子高校生・庵原玲仁。家庭の事情で一人暮らしをしている彼が久しぶりに実家に戻ったある日、妹のひおりが爽坂のファン(しかもガチ恋)であると知ってしまう。彼女の夢を壊さないように正体を隠して接するが、兄のことを爽坂の親友だと勘違いした妹はオフ会やイベント参加に同伴を求めるようになってしまい…!?

Vtuberの主人公とガチ恋勢な妹を中心にしたドタバタラブコメ

男性主役のVtuberモノが2冊連続炎上ネタで、どちらもとても面白かったんだけど「燃えない男Vtuberモノはないのか!?」と叫んで見つけたのがこちらの作品でした。

妹を巻き込んだドタバタラブコメでVtuberモノとしての要素はかなり薄めなんですけど、こういう恋愛要素が薄めの頭を軽くして読めるドタバタラブコメが大好物なので楽しかった!Vtuberらしい展開がもう少しあっても良かったなとは思うんですが、主人公のチャンネルが「いつも同じ時間帯に安定した配信をしているので作業用BGVとして需要が高く、バズも炎上もなくコンスタントに人気になった」という説明があってなるほどと思いました。たしかにそういうタイプの配信者だと配信をメインにしても特に面白くないだろうし、実際そういう需要あるよな……私もVじゃないけどリモートワーク中になんとなく流しておくための、声が耳障りじゃないタイプの喋りの部屋の片付け動画とかデザイン動画とかゲーム攻略動画をいくつかチャンネル登録してたな……。

妹が自分が演じているVtuberのファン……というだけでもえらいこっちゃなのに、妹が本人の全ツイートに長文リプ送りつけてくるタイプのガチ恋勢だったの本当に笑ってしまうし、ボイスチェンジャーを使っているわけでもない主人公がそんな彼女に対して必死に正体を隠そうとするのがコミカルで笑ってしまうし、どうみてもお粗末な隠蔽なのに兄の正体を1ミリも疑わない妹ちゃんがチョロくて可愛い。オタクだったら結構声でバレてしまいそうな気がするのですが……いやでも対面で話してる相手の声なんかそういう方向で疑って聞かないよな。

そんな複雑すぎる兄妹関係のドタバタに、小さな頃から主人公のことが好きだった妹の幼なじみ(中学デビュー系)と配信者として気心がしれた仲のVtuber(ロリ)がラブコメ要員として乱入してくるのでますます人物相関図がしっちゃかめっちゃかに。とはいえ、妹とロリは恋愛対象になってないとおもうのでこの場合恋愛的には妹の幼なじみ一択なのか。どこか背伸びした言動で主人公に迫る姿が微笑ましい反面、「(妹に対して)秘密を共有する共犯者」としての一面も兼ね揃えた関係がどこかくすぐったくて良かったです。

ところでそんなことより主人公の親友がパパという概念に無駄に興奮してしまいました。爽坂のパパ(※Vtuberが配信時にアバターとして使用する立ち絵を描いた人を指す)という意味で何も間違ってないんですが、主人公がことあるごとに親友のことをふざけて「パパ」呼びするのからしか摂れない養分がある……。

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