[著]中村 恵里加 [絵]たけひと 出向期間が残り1週間と差し迫った頃、山崎太一朗はとある決意の元、普段は出勤しない日曜日の捜査六課を訪れた。「今日は特別な日にしたい」そう思って、片倉優樹に自らの気持ちを伝える為に。ところが二人の前に死んだ筈の高橋幸児が現れ、優樹は彼を匿うと言い出してしまう。太一朗の苛立ちは収まらず、二人のすれ違いは大きくなるばかりで…… |
それまでなんとなく絶妙なバランスで成り立っていた二人の“友情”が太一朗が関係を踏み出した事、そしてそれ以上に再び現れた高橋幸児の存在によって最早修復不可能な所まで完膚なく破壊されていく姿が、ほんと見てられない。一途になればなるほど空回りして、自ら築いた関係をぶち壊して行ってしまう太一朗の、半ば結末を予想しながらも起さずにいられなかった最後の行動も。どんなに憎もうとしても、自分の写し身のような彼を憎みきれずに奇妙な感情を持ってしまった優樹にも、そして本当は分かり合えたかもしれないのに、こんな終わりを迎えるしかなかった“もう一人のダブルブリッド”にも、なんでもっと上手くやれなかったんだよ、と言いたくて仕方がない。一つ歯車を間違えなければ最良の未来を迎えられた筈なのに、不器用な彼らが辿り着くのは思いつくだけの選択肢の中でも、おそらく最悪の結末。
ここで終わってしまったらある意味綺麗に終われたかもしれない物語は、“主”や浦木達が率いる『特高』や奇妙な少年・片倉晃達の『クロスブリード』を交え、新たな局面を見せつつもまだまだ続きます。9巻まで読むと、何度も「ああ、こんなことなら4巻で終わってくれた方が良かったんじゃ…」と思う場面があるのですが、この後も最悪の選択を選び続けるこのシリーズで、それでも最後の最後の1巻に意地汚く「ハッピーエンド」の奇跡を期待してしまうのは、優樹と太一朗の関係がそれだけ気に入っていたからに他ならないと実感。
終わらないのは、今より僅かでも希望の見える終わり方をするためだ、と今でも信じてる。
本当に、あと1度だけ、笑い合う優樹と太一朗が見たいなぁ…。
(ていうかここで明らかにまとめに入ってる自分ってどうなんですか!!
落ち着いて!概刊だけでもあと5冊あるのよ!!!)
コメント
はじめまして、蒼風といいます。
自分ダブルブリッドはとても好き、というか、
ダブルブリッドからラノベの世界に入ったようなもんなので・・。
なかなかダブルブリッドの感想を懇切丁寧に書いてるサイトが見つからなかったもんで、とても嬉しいです。
あと5冊の感想も楽しみにしてますー。
蒼風さんいらっしゃいませ、コメントありがとうございます!
ダブルブリッド、私も本格的にラノベを読み始めるきっかけになった作品なのでこうやって記事を書いていると色々と感慨が……古い作品なのでリアルタイムに読んでいた人の感想というのはなかなかみつからないかもしれませんね。うちの感想が少しでもお役に立てば幸いです^^
あと5冊も頑張って感想書かせていただきますので、もしよかったらまたお越しくださいませ?。