[著]中村 恵里加 [絵]たけひと 虎司と安藤の前に現れたのは、童子斬りに取り付かれた“兇人”山崎太一朗だった。安藤への気持ちに迷いを抱えながらも太一朗に立ち向かう虎司だが、一方的な攻撃を受け続ける羽目になってしまう。何故か“童子斬り”での攻撃を行わない太一朗。そして、虎司の“アヤカシ”としての姿を目の当たりにした安藤は…… |
本文といい挿絵といい、ラストページが酷い引き。7巻のアレから続いて、3巻連続酷い引きってどうなんですか!!というわけで遂にクライマックス直前!!のシリーズ第9巻。
物語はまんま8巻の続き。虎司と太一朗の闘い、そして虎司の安藤への気持ちに一応の決着が付きます。安藤さんと虎司の捜査六課でのやり取りは大好きなんだけど、こうやって改めて読み直すと物凄く色々不安なフラグを孕んでいるように思えてなりません。最後に虎司がいったように、安藤さんと喰うの喰われるかのギリギリのラインで本編終了後も適当にお付き合いしていければいいんでしょうけど…。というかですね、全くの気のせいかもしれないけど、これってものっそ安藤さんが「鬼斬り」に寄生されるフラグ立ってません……か……。虎司との会話が始まる直前のアレとか、凄い気になるんですけど…!!
一方、喪われていく自らの記憶に対する執着を徐々に失っていく優樹と“未知”ではない過去の自分を忘れ去りたい未知に対し、自分の考えをぶつける大田がまたもや良い味を出してました。なんていうか、改めて読み直すと大田の微妙な立ち位置とか、自らも迷いながら、それでも「傍観者」を貫いていこうとする様子が凄く良い。八牧を喪った後の大田はまた更に良いキャラになった気がしますね。彼が最終巻でどのような立ち位置を取ろうとするのか期待。
しかし、改めて読み直してみて自分がどれだけ前回8巻を読んだ際、それまでの内容を忘れたまま読んでいたかを実感しました。読み直してみると、他の巻と比べて明らかに読み落としている部分や理解できないまま読み進めたのであろう部分が多くて、びっくり。太一朗の様子についても、ちょっとだけ明るい展望が見えたように見せかけて、実はもっと酷い方向にフラグが立っちゃってる気がします。今の太一朗ヤバイマジヤバイ。特に最後の挿絵が気味悪くてめちゃやべえ…!!
もうなんていうか、全滅エンド以外のエンディングが思い浮かばないくらいの最悪な状況での幕引きで終わっている9巻。5月に発売される最終巻で、このヒトとアヤカシの物語にどのような決着が付くのか非常に楽しみです。片倉晃の過去とか“オメガサーキット”の秘密とか空木とか“主”とか浦木の思惑とか、未回収の伏線が大量にあって、本当に1巻で終わるのか激しくドキドキするというのも微妙にあったりするんですが。
願わくば、最期の一瞬だけでもいいから、優樹と太一朗が平和な時間を過ごせますよう……。