[著]中村 恵里加 [絵]たけひと 兇人を殺す為、八牧の仇を討つため、動き出す捜査六課の面々。そんな中で相川虎司は自らの“人間を喰らいたい”という欲望を自覚してしまう。しかも喰いたいと思う相手はただ一人・クラスメイトの安藤希だけ。喰べたくてたまらない相手なのに、彼女を殺してしまうことにはどうしても抵抗を覚えて…… |
八牧を殺された後の捜査六課の面々の姿が痛々しい。特に大田の独白はなんていうか、無性に寂しさを覚えました。元々「傍観者」を自称しながらもどこか傍観者になりきれない大田のキャラクターは大好きなのですが、6巻を境目にしてどんどん魅力が増している気がします。ほんと、大田はいいキャラだ…。
アヤカシとして安藤を喰べたくて仕方ない気持ちと、せっかく築いた安藤との関係を自分が安藤を“殺してしまう”事で終わらせてしまう事に対する恐れの間で揺れ動く虎司の始めての戸惑いと、自分への態度が変わってしまった虎司の様子を見て寂しく思う安藤さんの様子が……こんな作品では浮いて見える言葉ですが実に「青春」してて素敵です。いえ、安藤さんはとにかく虎司の考えていることは青春なんて甘酸っぱい言葉とはかけ離れてるわけですが!!
一方、どんどんボロボロになっていく優樹に、意外な所から救いの手が。…というかこれがまたどうみても「救い」ではないだろうなって感じの救いの「手」(文字通り)な訳ですが…。このシリーズ、最後は浦木の一人勝ちで終わってもなんら不思議はない気がしてきました。エピローグで全滅したみんなの姿を見ながら浦木が高笑いとか、正直ありそうで怖いですね。
それにしても、改めて読むと安藤さんのキャラは良いですね。
虎司のあの発言に、生返事で「うん」って言っちゃうそのセンスが素敵です。