姉が失踪してから8年…高校生となった霧沢景介は、中学時代に親友が失踪して以来塞ぎ込む少女・灰原吉乃に親近感を抱いていた。クラスの中でも孤立する彼女をなんとかしてやりたいと思った景介は友人達と遊びに出かける計画を立て、吉乃を誘うことにしたのだが……
「電撃の黒い太陽」が全開すぎる件について。
序盤読んでレジンキャストミルク的な「ほのぼの×ダーク」な学園異能再びかと思ったらむしろ「ルナティックムーン」もかくやな暗黒展開だったよ!!ごく普通の高校生達が日本の片田舎にひっそりと隠れ住んでいた「あやかし」の一族の諍いに巻き込まれてしまうという、和風伝奇ファンタジーです。
第一巻だというのに、カラーページで紹介されるメインキャラクターの半分近くが死んだり敵に回ったりするという状態で、まさに血みどろ青みどろ。そういえば藤原作品だと「レジンキャストミルク」は割合控えめだったけど、「ルナティックムーン」は結構盛大に人が死にまくったよなあ…と懐かしく思い出しました。まず初っ端で身も蓋もなくヒロインが死亡して、しかも結構グロテスクな展開が待ってたりするあたり、とってもとっても全開です。ていうか、もう1巻でいきなり日常殆ど崩落してるような気がするんだけど、今回は完全に「ほのぼの」分は無しなの…か…?
とにかく序盤で一族の本家跡取り娘である枯葉が“喪着”を執り行う場面が物凄い衝撃で。残酷で、恐ろしくグロテスクな場面の筈なのに、どこか凄絶な美しさがあるというか、なんというか。その他作品全体にも、醜いのに美しいというか、古き日本の様式美みたいなのが漂ってるといいますか…なんかそんな雰囲気がとてもツボでした。あぁ、語彙の無さが悔やまれる…。
キャラクター的には吉乃も枯葉も良いけど、やはりオトコマエな棗さんが良いです。殊子先輩といい、藤原作品のオトコマエ女子キャラはとてもツボだ…そして毎度の如く、ツンデレ全開な主人公がとても良いですね。枯葉の気高く美しく矜持も高く直球な物言いと、どこか世間知らずを漂わせる発言に翻弄されてツンツンしちゃう主人公にニヤニヤします。重苦しい雰囲気の本編の中、中盤移行は枯葉と景介のやりとりだけが唯一の息抜きポイントだったように思えます。
とにかく、「レジンキャストミルク」のダーク分や「ルナティックムーン」が好きだった人なら文句なしに楽しめるかと。かなり容赦ない展開が続くので、ほのぼの分お目当ての人にはちょい厳しいかも…?色々な意味で大変なところで次巻に続いちゃってるので、続きが楽しみでなりません。
コメント
うららさんこんにちわ。
藤原さんの新作読んだんですが作者サイトで
「話の雰囲気なのですがレジンキャストミルクに比べると
やや明るい感じになっているのではないかと思います。」
って書いてあったんですけど・・・・・?
藤原さんの脳内で「明るい」ってどう訳されてるんでしょう?w
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穂墨さんいらっしゃいませ、コメントありがとうございます?。
作者さんと読者の間に認識の違いが発生するのは良くあることなので、あまり気にしてはいけないと思います。
私は某なんとかのグリムで、「グロじゃないですメルヒェンです!」って主張してる作者さんの後書きを読んだときにつくづくその辺を実感したので、怖いものはもうありません…!
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アカイロ/ロマンス—少女の鞘、少女の刃 (電撃文庫 ふ 7-16) 作者: 藤原祐 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス 発売日: 2008/08/10 メディア: 文庫 「ちょー、メインヒロインと思った子があっさりとー、それに黒いよー」 と思った新シリーズです。 まあ、なんと
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