[著]古橋 秀之 [絵]緋賀 ゆかり ある日、空から少女が落ちてきた。以前好きだった少女にそっくりな彼女は自分のことを「最新型の爆弾」だと主張し、爆発するためには胸のドキドキが必要だと僕をデートに誘う。どうやら胸に付いている時計が12時を指すと、爆発を起こしてしまうらしいのだが… |
「おおきくなあれ」はクシャミなど、刺激を受けるたびに記憶が退行してしまうカゼにかかった幼馴染を家まで送り届けることになった主人公のお話。噛み合わない会話にニヤニヤしながら読んでいったら、最後そう落としますか!この後何が起こったのかとか考えると、もう最高です。
「トトカミじゃ」はラストの微妙に微笑ましいオチもさることながら、トトカミ様の設定が素敵すぎます。トトカミ様の好物=●●小説という素晴らしい罠。しかも、主人公が普通に「トトカミ様はこのへんの作者が好みだよ」とか言っちゃってる件。個人的には、出来れば主人公が"おそなえモノ"に手を出した際の反応が見たかったです。ええものすごく。
「恋する死者の夜」は死者が生き返り、日常を繰り返すようになった世界の話。死者が生き返り、生者は着実に減り、生活も死者に掛かりきりになり始めて…と、基本は一応ラブコメなんですが、全体的にものすごくブラック。だがそのブラックぶりが好き。
全体的に、結構ほのぼのとした作風なんだけど、何気にそれだけじゃない終わり方が良かったです。「恋する?」なんかはもう、完全にラストで冷や水ぶっかけられますね。設定を良く見直すとかなり欝な展開が多いのに、悲壮感が殆ど無いというか、そういうものを感じさせない作風という感じで、ちょっと独特な味でしたが凄く面白かったです。雰囲気的には新井素子の短編「週に一度のお食事を」あたりに近いかな。
全体的にものすごく好みな作風でした。積読が落ち着いたら、他の古橋作品にも手をつけてみたいなあ。
コメント
電撃文庫・11月の感想2
■古橋 秀之×緋賀 ゆかり『ある日、爆弾がおちてきて』 ★★★☆☆
ある日、空から落ちてきた50ギガトンの‘爆弾’は、なぜか昔好きだった
女の子に似ていて、しかも胸にはタイマーがコチコチと音を立てていて——