[著]あざの 耕平 [絵]村崎 久都 “カプセル”を巡る一連の事件から数年後…平和を取り戻したかにみえた葛根市に『アロマ』と呼ばれるドラッグが蔓延し始める。親友の蘭子から、弟が『アロマ』のパーティに参加しているという相談を受けた歩美は、かつて学校を騒がせていたというトラブルシューティング「実践捜査研究会」のOGを頼ろうとするのだが… |
なんか普通にこの『アロマ』をめぐる事件で第二部とか作れそうで、なんだかこれで一応終了、というのがちょっと惜しくなっちゃう書きおろしでした。歩美と蘭子のコンビもなかなか魅力的で、彼女達を主役にして?…なんて展開も考えられちゃいますが、物語が終わってもどこかで景達は頑張ってますってな感じの終わり方で、これはこれでよかったかも。
お馴染みのキャラクターたちが主役2人を喰わない程度に上手いこと活躍していて、その度合いが絶妙でした。各キャラクターたちのその後の姿もしっかり描かれていて、それでも物語り自体はちゃんと歩美と蘭子の物語としても成立してるところが本当に絶妙なバランスという感じで…もうちょっと梓達が出張れば主役2人は喰われてしまっていただろうし、もうちょっと主役2人が活躍してしまうと「Dクラッカーズの後日談」としては物足りなかったでしょうから。このバランスは本当に凄い。
この番外編の甲斐氷太がまた実に“らしく”て素敵です。本編では最終的に共闘という形を取ったわけだけど、あくまでそれは“一時的な”共闘であり、本質的には強い奴と戦えればなんでも…みたいなフリーダムさに惚れてしまいそう。ぶっちゃけ景との対決がああなってしまったのはちょっぴり残念だったような…。そして、景達にしろ甲斐にしろ間に存在するはずの4年間の出来事がところどころ透けて見えるのがまたにくい演出ですよね。甲斐がお世話になってる悪党さん?の話とか、実践捜査研究会メンバーinロスの話はぜひとも読んでみたかった。あと茜と甲斐の追いかけっこが見れなかったのが残念で仕方が無い…!!本当に、これで終わってしまうのがもったいなくなってしまう。
個人的にドツボにハマる物語ではなかったんですが、読み始めると毎回どんどん物語りに引き込まれていって、とにかくレベルの高い物語だったなあというのが最終的な感想でした。6つ星を付けたのは6巻ラストだけなのですが、その分平均的な評価点が高かったと言うか…かなりの冊数が積読行きになりかけた中で、毎月刊行の作品をちゃんとリアルタイムでついて読んでいっただけでもなんだかんだ言って自分がこの物語に惹かれていたんだなあという証拠だったんじゃないかなあと思ってみたり。
本当に楽しい物語をありがとうございました。いつか時間があればBBBの方も読んでみたいなあ…。