[著]かたやま 和華 [絵]風都 ノリ 九尾の狐・紗那王に取り憑かれてしまった桐緒は、芝居を見に行った帰りにお尋ね者の高札を見かける。武士の刀を奪っていると言う辻斬りに怒りを覚えた彼女は、三百両という破格の賞金と“狐憑きの器”を認めてもらいたいという想いもあって夜のシン宿へ向かったが…!? |
口では散々言いながらも紗那王が気になってしょうがない桐緒と、態度には出さないけど桐緒のことが心配でしょうがないらしい紗那王のすれ違いっぷりが可愛らしくて、読んでて飽きない。二人のとにかく不器用なやりとりに時にはニヤニヤ、時にはハラハラさせられながら一気に読みきってしまいました。
今回は自称「桐緒姫の一の家来」と彼女を慕う、紗那王にとっては恋のライバル(?)なシデンが登場し、いい具合に二人の間を引っ掻き回してくれます。シデンの妨害やら紗那王の家の事でなかなか誤解を解く暇を与えてもらえず、内心右往左往な二人が可愛い。また、そこに1巻であんな分かれ方をした藤真様の影が見え隠れして…と、事態がどんどんややこしい方向に。紗那王は、桐緒に信頼してほしいって思って敢えて何も言わないんだと思うんだけど、そういうところがますます二人の空回りの原因になってしまっているのがちょっともどかしかったです。猫にはあんなに優しく出来るのに?!!という桐緒の気持ちもちょっと判ります。
そしてとにかくトラブルメイカーな紗那王の姉・翠蓮王様がとっても素敵な役回りでした。最初は典型的なイヤ?なヤツかと思っていたら、正体がわかってみたらこれが非常に可愛らしい女性でして。見てくれは大人なのになんだか子供らしい一面を持っているというギャップが本当に可愛らしいお姉さんでした。今後も是非とも活躍して、事件をややこしくしていただきたい人材です。
紗那王の「斑取り」の事といい、また話がややっこしくなってきそうな気配がするので、今後どんな風に話が進んでいくのか期待。