[著]細音 啓 [絵]竹岡 美穂 サリナルヴァからの依頼で凱旋都市・エンジュで披露される触媒の調査にやってきたネイトたち。コロシアムでは学園対抗の名詠対決が行なわれており、そこで彼らはとある名詠学校の生徒たちと知り合うが…。一方、シャオとその一派もエンジュに侵入していて… |
今までの物語の舞台は基本的にトレミア・アカデミーという枠組みの中に閉塞していたので、もうまず他に名詠学校があって、学校によって様々な教育方針を持っているということが物凄く新鮮だったり。いや、考えてみたら当たり前なのですが…。ネイトとクルーエル、エイダとミオの4人を除き、舞台と共に彼らを取り巻くキャラクター達もほぼ一新されてます。しかし、物語の展開が5巻から引き続きクライマックス直前といった雰囲気なのであまり「心機一転・新シリーズ開幕!」という感じではないかも。
新キャラでは灰色名詠の使い手・レフィスが良い味出してました。天然系朴念仁は良い…ヘレンとのカップルぶりもなかなか良いのですが、異端の名詠士同士となるネイトとのコンビっぷりが中々美味しいものがあってお気に入りだったりします。しかし、何より少しずつ単なるクラスメイトから仲の良い友達、そしてかけがえの無い親友と一歩一歩進展していくネイトとクルーエルの関係が素敵。やはりクルーエルのために頑張るネイトの姿はかっこいい反面どこか可愛らしいというかなんというか。クルーエルに触発されて少し女の子らしい一面を覗かせるエイダにも色々と先行き不安ながら何かのフラグが見えたり見えなかったりします(なんていうか、とても先行き不安なフラグだけど)。
何かと言葉を濁す半面、不穏な言葉を口にするアーマにアマリリス、再びクルーエルを襲う不穏な影、動き出したシャオ一派、そしてネイトとシャオの邂逅……と、物語はこのまま一気にクライマックスに突入する模様。今回はその序章といった感じで散々盛り上がった4巻5巻あたりと比べるとちょっと急展開すぎる部分が気になってしまったのですが、これからまたぐんぐん盛り上がっていくと思われる8巻以降が楽しみです。
…ていうか、ひょっとしてミオにも何か秘密があったりするんだろうか…物語の根幹に関わりそうなキャラクターを残してキャラクターが一新される今回で唯一居残ってる件といい、なんか微妙にそう受け取れるような表現が見え隠れ……。