[著]成田 良悟 [絵]エナミ カツミ 強盗団にギャングにテロリストに泥棒カップル、そして不死者…様々な思惑をもった人々を乗せて、列車「フライング・プッシーフット号」はNYへ向かう。泣き虫少年・ジャグジーは泥棒カップルから「線路の影をなぞる者(レイル・トレーサー)」の怪談を聞かされ、怯えるままに車掌室へ向かうのだが…… |
うっかり間違えて「特急編」から読んでしまったバッカーノの1931年シリーズ「鈍行編」。続編となる「急行編」と合わせて、列車「フライング・プッシーフット号」で起きた事件を描きます。様々な人間の視点から物語が語られていきますが、鈍行編では泣き虫な強盗団のボスの少年・ジャグジーとその仲間達の動向が中心。ちょっと貨物室に眠るお宝を強奪するだけのはずがギャングやテロリスト達と乗り合わせてしまい、さらには正体不明の怪物まで現れて大変な事に…!?というお話。
…なんていうか、もう、とりあえず、うっかり「急行編」を先に読んでしまったのが痛すぎる。なんであのキャラが死んでるのかとか、ラッドがなんで車掌室の事をやたらと聞いてきたのかとか、何よりレイルトレーサーの正体とか…とか。とくに「正体不明の」「赤い怪物」のおどろおどろしい描写を読むたびに「正体知っててごめんなさい」状態でorz
2つで一つの物語構成になっていながら、「鈍行編」から「急行編」を読むと最高に面白くなるようにできているお話なので、この物語を正当に楽しめなかったのがとても残念。というか、やはりもう少し順番わかりやすいように作っておいてくれないかなあ…というのが本音だったり。
しかし相変わらずバカップル二人のやりとりは楽しい。あとジャグジーの「いつも泣いている理由」にはちょっと胸がキュンとなりました。