[著]田中 ロミオ [絵]山崎 透 前回の一件の罰として自慢の髪を切られてしまったので、しばらく外に出たくありません……などという主張がこのご時世に通じるわけもなく、今となっては貴重な肉を得るため町の娘さん達とお手伝いにやってきました。ところが慣れない作業に手間取った挙句、鶏さんたちを逃がしてしまって… |
1編目は衰退してしまった人類の乏しい食糧事情に妖精さんたちが鋭いメスを入れる(違う)「妖精さんの、ひみつのこうじょう」。相変わらずなんとなく癒されるようせいさんの言動に癒されつつ、要所要所で挟まれるブラックさがたまりません。特に序盤で、この世界での食糧事情がそれとなく明かされたのは地味に衝撃でした。なんかあまりにもまったりとスローライフ送っているからわからなかったけど、実は結構食糧事情からして深刻だったのですね…。
お菓子を作くれない“私”から聞かされた、意外に深刻な食糧事情を改善するためようせいさんたちが立ち上がるのですが……微妙な味の缶詰が量産されたり、加工済鶏肉が村を駆け回ったり……と例によってしっちゃかめっちゃかに。喜んでいいのか悲しんでいいのか複雑な気分なオチといい、いろいろと最高でした。文化局長の駄目人間っぷりがさらによい味出してる。
とりあえず小学館は早くこの「助手さんの絵本」を商品化すべき。
子供には間違っても読ませたくない一品になりそうだけど私がほしい!前回の「ごちそうさまぁっ♪」と合わせて、ぜひお願いします。
2編目はようせいさんが過密に集まりすぎてしまった弊害でネガティブになってしまったようせいさんたちと"私"のサバイバルな国家興亡を描いた「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」。これ以上のようせい過密状態を防止するため、ネガティブになってしまったようせいさんたちを元に戻すため、そのようせいさんたちを連れて村から離れた場所で生活を余儀なくされた“私”の話。
ようせいさんたちをポジティブな方向に持ち上げようとしつつもさりげなく自分の主張を通しまくり、気がつけばようせいさんたちが築いた王国の女王として君臨してしまっている主人公。後半でようせいさんが●●を製造してしょっぴかれるシーンとか、結局国が滅んだ理由とか、無駄に現実味あって猛烈にシュールだ。でも自分はしっかり楽して過ごすようせいさんとのサバイバル生活はとても楽しそうです。
不思議科学力に頼って、増長し、最後やりすぎて自滅するパターンはかの有名な「ド●えもん」を思い出すなぁ。何か来年は「新展開」があるそうですが、案外15分1話形式の子供番組風アニメとかも向いてるのかも知れないとか思いました。