天使や悪魔や聖人の生まれ変わりな人々が繰り広げる、下ネタ満載のドタバタホームコメディ(?)。「ばけらの!」方向というか、重くない杉井光。…っていうか、コミカル方面に走ると何でこの人はいつも色々とギリギリなんですか?(各方面から苦情が来そう的な意味で)
色々な意味でネジが飛んでる美少女達と割合常識人な主人公のハイテンションな掛け合いが楽しい。また、彼らが借金をしている「三十銀貨財団」がたまにやらかしてくる取り立ての為の嫌がらせがみみっちすぎて笑える。一応主人公の前世である「イスカリオテのユダ」の死因を巡る謎とか「神の子」の生まれ変わりであるレマ・エリの2人組と主人公の前世での関係など、色々本線の物語はあるんだけどそういうのは抜きにして楽しめる。
あと、特筆すべきなのは主人公が異能持ちであることではないでしょうか!他の杉井光作品と同じく「ヘタレ」で「平凡」な「ツッコミ役」といういわゆる“スターシステム”的な主人公なのだけど、彼の中に「イスカリオテのユダの罪痕」という異能が眠っていて…という設定が(杉井作品的に)新しい。一応この作品で杉井光の著作はすべて制覇したことになるはずだけど、男主人公が明確な異能を持ってるのは他になかった気がする(「死図眼のイタカ」はどうだったっけ?)。
やたらと女装させられそうになったり、美少女達(ていうか主にガブリエル先生)からセクハラされそうになったりといろいろな意味で杉井作品にしては萌え度の高い主人公だったのですが、異能力発動シーンで一気にツボにハマりました。二面性ばんざい!!!能力がまた主人公らしからぬ方向なのがまた良い。
しかし、色々ツボにハマった作品だったけど、一番噴きだしたのはラストで明らかになるタイトルに関する叙述トリックだな。なんで主人公の○○が伏せられてるのかと思ったらそんな理由かよ!!!