本が好きで好きで、集中すると物語の世界に「入り込んで」しまう岸嶺は、ある日先生に言われて特別待遇で2年前に共学になったばかりの伊豆野宮学園に転入する事に。クラスの女子生徒からは遠巻きにされ、読書に集中できると思ったのも束の間、なぜか変な教師と美人の生徒会長の2人しかいない現代遊戯部に勧誘されてしまう。
これまで殆ど食わず嫌いをしていたゲームに触れた岸嶺が、ゲームという物語が持つ媒体の本とは違う「自由さ」に惹かれ、少しずつ夢中になっていく姿にどっちも好きな身としてはとても楽しい。特に、「スペランカー」に天道先輩が即興でこじつけた物語の世界の続きを岸嶺が更に広げていく様子にニヤニヤした。
ゲームは殆どやった事がない初心者同然の岸嶺だけど、のめりこむとゲームの世界に「入り込んでしまう」事で発揮する強い集中力を買われて、結局正式な現代遊戯部のメンバーになる事に。大きな才能の兆しを覗かせるもののやはり初心者は初心者、という感じの彼が始めての大会でボロ負けし、悔しさと執着を憶えていくのがとてもよかったです。今後の成長展開が凄く楽しみ。
ゲームが大きな市民権を持ち、各地で頻繁にゲームの大会が繰り広げられている、現代とはちょっとだけ違った現代が舞台。ゲームで対戦するのが大きなウェイトをしめてくるので対戦ゲームがメイン。正直この手の対戦ゲームは殆ど触れた事がないので解らないジャンルなんだけど、丁寧な解説や臨場感溢れる描写でゲーム勘が無くても十分楽しめる。とはいえ、ゲームやってたほうが楽しめるんだろうなあ……2巻まで読んだところやはりTPSとかFPSと呼ばれるジャンルのゲームがメインで語られていくっぽいのですが、今回の「スペランカー」みたいなゲームの話も時々やって欲しい気がする。
流石にこういうコンセプトの物語だと難しいんだろうけど、RPGとかをプレイした場合にどうなるのかもちょっと気になるんだよね。流石に対戦要素皆無のゲームだと難しいかもだけど…。