突然学園にやってきた世界最大のオートマタメーカーのCEO・ハウエルズから国内最大のオートマタイベント、ディーツェ・フェアに招待されたカノン。彼女の護衛も兼ね、水無月とリタも同行することに。吸血鬼や白檀式に懐疑的な発言をするハウエルズに反感を覚えつつも目を輝かせるカノンだったが、とんでもない罠が待ち受けていて…。
自分の「意志」でカノンを守ることを決めたけど、人間の感情の機微にはまだまだ疎い水無月がカノンを守ろうとしてから回ったり、いろいろな意味で誤解させるような行動を取ってリタやカノンを振り回す姿が微笑ましい。気感情を学びはじめたばかりの彼に恋愛感情の機微や気遣いを求めるのはいくらなんでもハードル高いのでは…!?と思ってしまうのですが、ふたりともなんだかんだと恋する乙女だから仕方ないね。
カノンを守ることに執着して周囲が見えなくなっている水無月と、そんな水無月に人間の男の子としての気遣いを求めてしまうリタが衝突してしまうのはある意味当然のことで。気まずい状況でカノンが敵の手に落ちてしまい、水無月も前回の戦いから本調子ではなく…と転がり落ちるように悪化していく展開に圧倒される。
いろいろな意味で前巻以上の水無月の空回りぶりにハラハラしてしまった2巻だったんだけど、1巻と同じく一人で抱え込んでしまおうとしていた水無月がリタときちんと対話することで、「何が悪かったのか」と自ら見つめ直し成長していく姿が頼もしくもありました。「守るべき相手」としてのカノンに続き、プログラム上では敵だったリタを「背中を預けられる仲間」と認識し、ともに戦う姿が熱かったです。
そして新キャラのユーリがまた可愛かったなぁ…!!軽妙な言動の裏に隠された水無月達への複雑な感情が印象的でした。水無月がカノンの家で目を覚ます前の出来事もちょっとだけ明かされて、少しずつ確信に近づいている感じ。続刊も楽しみです。