[著]魚住 ユキコ [絵]カワハラ 恋 グロンヴァール王国の第一王位継承者として、幼い頃から側近の者達の裏切りや死別を繰り返してきた王女・エルダ。人間不信に陥った彼女は自分の命を狙いに来た暗殺者・レイフェンを敢えて従者として雇う事に。暗殺者と暗殺対象である二人の奇妙な生活が続く中、野心家の公爵令息・ヒースコートが彼女に求婚を申し入れ… |
個人的に「幼い頃から暗殺組織で育てられた暗殺者が暗殺失敗して暗殺対象と同居生活送る内に情が移り、暗殺組織に連れ戻された暗殺者を暗殺対象が無茶を承知で助けに行く」というシチュエーション(長)が大好きすぎて困る私としては、好みドンピシャ。人間不信のエルダがいろいろな事いいながらレイフェンに少しずつデレていく様子にもニヤニヤで、暗殺者モノとしても主従モノとしても文句なしにドツボ。最後にレイフェンの素性が意外なところに通じていくのも面白いんだよね。彼の正体が明らかになった時は思わず唸りました。「どう上手くやっても身分的に結婚は無理だろ…身分的に」という二人なので最後の設定は上手いなあって思いました。
そしてメインの2人もいいんだけど、公爵令息・ヒースコートの腹黒っぷりが良い!!笑顔で本心隠して酷い事を考えてるかませ犬キャラって正直最高じゃないですか!!人間不信で警戒しまくりなエルダとのやり取りには、本当にニヤニヤした。あと、彼の忠実な騎士であるアナベルが良いキャラすぎたので、ぜひともイラストで彼女の雄姿を拝みたかったです。個人的にはヒースコートがラスボスくらいの展開でもいいんじゃないかと思っていたのですが、ラストのエルダとのやりとりが最高すぎたのでむしろこのオチはありあり。
そんなこんなで、最後までとにかく楽しく読めました。買ってきた3冊の中では一番お気に入りかも。続きは…さすがに期待できないのかな。こっそりとシリーズ化に期待してみます。