ページ 111 | 今日もだらだら、読書日記。

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黒椿姫 雷鳥の暗殺者と公爵令息

[著]魚住 ユキコ [絵]カワハラ 恋

グロンヴァール王国の第一王位継承者として、幼い頃から側近の者達の裏切りや死別を繰り返してきた王女・エルダ。人間不信に陥った彼女は自分の命を狙いに来た暗殺者・レイフェンを敢えて従者として雇う事に。暗殺者と暗殺対象である二人の奇妙な生活が続く中、野心家の公爵令息・ヒースコートが彼女に求婚を申し入れ…
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ためしに3冊ほど買ってきたティアラ文庫最後の一冊は、暗殺者とお姫様のちょっとエッチな主従ラブ。ところで全くストーリーと関係ありませんがヒースコートがスザクにしか見えないの私だけですか……。

個人的に「幼い頃から暗殺組織で育てられた暗殺者が暗殺失敗して暗殺対象と同居生活送る内に情が移り、暗殺組織に連れ戻された暗殺者を暗殺対象が無茶を承知で助けに行く」というシチュエーション(長)が大好きすぎて困る私としては、好みドンピシャ。人間不信のエルダがいろいろな事いいながらレイフェンに少しずつデレていく様子にもニヤニヤで、暗殺者モノとしても主従モノとしても文句なしにドツボ。最後にレイフェンの素性が意外なところに通じていくのも面白いんだよね。彼の正体が明らかになった時は思わず唸りました。「どう上手くやっても身分的に結婚は無理だろ…身分的に」という二人なので最後の設定は上手いなあって思いました。

そしてメインの2人もいいんだけど、公爵令息・ヒースコートの腹黒っぷりが良い!!笑顔で本心隠して酷い事を考えてるかませ犬キャラって正直最高じゃないですか!!人間不信で警戒しまくりなエルダとのやり取りには、本当にニヤニヤした。あと、彼の忠実な騎士であるアナベルが良いキャラすぎたので、ぜひともイラストで彼女の雄姿を拝みたかったです。個人的にはヒースコートがラスボスくらいの展開でもいいんじゃないかと思っていたのですが、ラストのエルダとのやりとりが最高すぎたのでむしろこのオチはありあり。

そんなこんなで、最後までとにかく楽しく読めました。買ってきた3冊の中では一番お気に入りかも。続きは…さすがに期待できないのかな。こっそりとシリーズ化に期待してみます。

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ヴァンパイア・プリンセス

[著]水戸 泉 [絵]南国 ばなな

若くして、死んだ人間を“屍鬼”として復活させることが出来る「リリス」になってしまった少女・ファウスリーゼ。屍鬼達は本能的に彼女に恋心を抱いて従ってしまうので本当の恋を知らぬ彼女だが、ただ一人・真木名という男だけは違っていた。そんな真木名が拾ってきた少年は、ファウスリーゼがかつて短い間を過ごし、忘れられなかった人間に瓜二つで…
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キスとDO-JIN!」シリーズ書いてる小林来夏さんの本職名義でティアラ文庫創刊ラインナップのヴァンパイアもの。屍鬼達の争いを避けるために個人的な関係を築く事を出来る限り避け、淫魔でありながら純潔を護り続けてきたファウスリーゼが、屍鬼でありながらなぜか彼女の命令に従わない真木名に犯されてしまって……というお話。

すごくエロエロだった。
創刊ラインナップはこれしか買ってませんが、先日読んだ「紅の勾玉」くらいがティアラ文庫のアベレージラインだとしたら突き抜けすぎだと思われる。本番が確か4回だか5回だかあった。いや水戸さんのBLは以前読んだ事あるので予想してたけど!!

割と典型的な「最初はイヤイヤだったのに段々それが快感に…!」的なお話。ゴーカンからはじまる恋もあるよ系。とりあえずエロシーンがとても読み応えがあったよ、くらいしか感想が出てこない…いや一応褒め言葉なんですが。若いうちから「リリス」となり、無条件に屍鬼達から愛されてしまうため愛されるという事のを理解できていないファウスリーゼが、少しずつ真木名への思いを自覚していくという過程が素敵。

ただ、個人的には彼女の周囲にこれだけの人間が居るのに真木名以外が相手のエロが殆ど出てこないのには不自然感を感じたかも。彼女の決めた命令に逆らえない屍鬼である鳴瀬や純情少年っぽい波留がエロに絡んでこないのは仕方ないとはいえ、ラスボスである“彼”とは一悶着くらいあっても良かったんじゃ…と思ってしまう同人脳。この手の小説で微妙な立ち位置の幹部級の敵が触手攻撃してくるというお約束だけは忠実に護ってましたが、そのくらいか。敵にけしかけられた男子生徒が処女厨丸出しの発言をかまし出した時にはうっかり爆笑した。

後書きでページ数制限を大幅に突破してかなり圧縮を迫られたみたいな話がありましたが、実際本来もっと長い小説だったんじゃないかなあと思わせるような消化不良感をなんどか感じました。もうちょっと色々な展開があったのに物語をとりあえず終わらせるために真木名とファウスリーゼの関係だけに絞って収録しました、みたいな。というかいっそ波留とか居ない方が物語のバランスとしては綺麗だったんじゃあ…。作中では彼が一番ツボだったので、主役級の扱いっぽく物語りに絡んできた割には思いっきり脇役だったのが残念。もういっそ上下巻で連続刊行にしちゃえばよかったのに。

……波留が出てきた瞬間、真木名×波留とか、真木名が波留を連れ込んでファウスリーゼと3Pとかそういう展開をうっかり期待した私は、そろそろ一度どこかの神社で邪念をお祓いしてもらったほうが良いでしょうか。

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魔女っ子サラリーマン

[著]高将 にぐん [絵]さらちよみ

ある日突然、父親から少女趣味全開な魔女っ子ステッキを手渡された普通のサラリーマン・津島弘文。どうやら死んだ母親はホンモノの魔法少女で、その力が弘文に受け継がれちゃったらしい!?しかも取引先の社長・江南誠が、変身した“彼女”に一目ぼれしたといい出す。魔法少女を辞めるには処女(処男?)を喪失するしかないのだが…
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いい年したサラリーマンが、なぜか魔法少女に変身しちゃって……というリーマンモノのBL。…魔法少女なのにリーマンジャンルなんだ!?とかおとまh……なんて思っちゃ駄目だ!!飛び出すカラーピンナップもついてるよ!!!タイトルを見て先月の「猫耳父さん」的色物を想像しましたが、TSなので主人公普通に可愛かったよ。残念です

飛び出すピンナップといいタイトルといい、色物臭しかしないこの作品ですが、読んでみたら意外過ぎるほど正統派(?)なラブコメでした。変身後の弘文(=るりか)に一目ぼれしたという江南とデートしたりしていくうちに、ヒラ社員と取引先の社長というだけの関係の時には見えてこなかった意外な一面が見えてきて、でもその笑顔を向けているのは“本当の自分”じゃなくて…というのはTSものの王道展開ですね!多分!(あんまりそのテのものはBLじゃなくても読まないけど)

そして、るりかの“ガーディアン”(=マスコット)としてパンダに変身してしまう従兄弟のトーヤが実にいいキャラだった。元々主人公の事が好きで、弘文が魔法少女を継いでからは「魔法少女を引退させるために」と言って処男を狙ってくる彼が、なんだかんだと江南との仲を取り持ってあげちゃうという展開がとても好きだー。そして割合ノリノリに魔法少女やってるらしいトーヤくんの今後がとても気になりますw

TSとはいえ二人の関係の障害として異性が登場してくるせいか、BL小説を読んだ時に毎回感じる独特のファンタジー感覚(というかないない感)も薄く、すんなり「ああ、この二人は本当にお互いが好きなんだなあ」と世界観に没入できたかも。軽いノリで楽しく読めました。

…唯一、個人的に行為のシーンでいきなり、弘文の一人称で展開されていた地文での江南の呼び方が「」になったのは凄い違和感だった。それまで本当にBL小説を読んでいる時特有の違和感薄い作品だったので、特にかも。…え、いや普通、男→男の呼び方で「彼」とか言わないよね…?たいしたことではないんだけど、そこだけが物凄い引っかかった…。

しかし付録の「飛び出すピンナップ」は…どうなんですか実際BL読みの人的に……正直、読む時にすごい邪魔だったんですけど…

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紅の勾玉 姫君の幼馴染は陰陽師

[著]大槻 はぢめ [絵]ひだかなみ

帝の姫君・桜子の幼馴染は稀代の陰陽師・阿倍清明の孫である光彰とそのライバルであった芦屋道満の孫の泰雅だった。幼馴染の二人に護られて平和な毎日を送る彼女の最大の悩みは、結婚適齢期を過ぎた16歳になっても恋文の一つも来ない事。「このままでは行き遅れてしまう!!」と気色ばむ桜子の元に、遂に一通の恋文が…!?
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ティアラ文庫は創刊の辺りから密かに気になっていたのですが、大好きな「平安で陰陽師モノ」と聞いて手を出してみました。ぶっきらぼうでややツンデレな清明の孫とイケメンで冷静沈着な兄貴分な道満の孫と帝のお姫様で三角関係平安ラブ。“清明の孫”ってどうかんがえてもビーンズ文庫のアレ思い出すよ……

正体の見えない相手との逢瀬を重ねながら少しずつ桜子が自分の恋心に気付いていく心の様子が丁寧に描かれていて、あまずっぱくて可愛かった。“憧れ”と“恋”という一見似ているようで全く違う感情の違いを少しずつ自覚していくのは定番ですがやはり甘酸っぱくて良いですね。読んでいる方からすると結構早い段階で彼女が本当に好きな相手がわかってしまうので、自らの恋心に戸惑い、相手の様子に一喜一憂する桜子の姿はかなりニヤニヤもの。

そしてこのお話で一番ツボに入ったのは本番シーンでの光彰。
ぶっきらぼうな熱血ツンツンだと思っていたら、本番入ったら桜子の可愛さにキュンキュン止まらないよなデレデレ言動と歯の浮くような愛の言葉を囁きまくりで、今までお前どれだけ溜め込んでいたのかというか、「正直お前が一番可愛いわコンチクショウ!!!」と叫んでいました。エロシーンはあってもなくてもどうでもいいくらいの薄さでしたが、エロがないと光彰がデレないと考えると実にこの本はエロがあってしかるべきだなあとしみじみ思ったり。

ただ、手紙が来た辺りで「ああ、手紙の主は実は○○…と主人公が思い込んでいたら実は△△で、××の正体は□□で最後◎◎なんじゃね?」って思った内容そのまんまだった…ってくらい展開が読みやすいので、出来ればもう少し捻ってほしかったかも。特に、恋文の相手や桜子を狙っている相手の正体を謎解きっぽい感じで後半まで秘めているので、それが序盤からミエミエだとちょっとむなしいものが…

あと、なんとなく「陰陽師はなんか悪霊っぽいの退治する人」「平安時代は16歳になったら行き遅れ」「とりあえず3晩夜這いされたら結婚完了☆」くらいの平安知識で書いちゃったんだろうなーっていうのが透けて見えるのは、平安要素を楽しみにしてた身としては少し残念。「陰陽師の末裔の男の子達と、現代にはびこる悪霊たちに狙われるヒロイン」みたいな設定の現代学園異能にしちゃったほうがすっきりした気がします。

…どうせエロレーベルなんだから、闇の魔物にヒロインが襲われるところはもうちょっと……イヤナンデモナイ。

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紫色のクオリア

 

女子中学生の女子高生・波濤マナブは自分以外の人間がすべて『ロボット』に見えるという毬井ゆかりと出会い、その秘密を知ることに。彼女の瞳が持つ不思議な能力を知りながらもそれを受け入れ、親友としてかけがえのない時間を過ごしていたが、ゆかりの周りで奇妙な出来事が起こり始めて…!?

「悪魔のミカタ」のうえお久光と「JINKI」の綱島志朗が贈る、コラボレーション小説。生きている物がすべてロボットに見えてしまうという力を持つ少女と、彼女を巡る事件を描く異能系SFモノです。

久しぶりに完全な絵師買いだったのでどうなることやら不安だったのですが、めちゃくちゃ、面白かった!前半のちょっとゆる?い空気のSFっぷりも素敵ですが、後半以降のダークでハードな展開も凄いツボ。巻末オマケ4コマはニヤニヤ連続だし…いやあ、本当に最初から最後まで全力で楽しめた!オマケ4コマの七美の可愛さは異常と言いたい

序章の「毬井に関するエトセトラ」では、生き物をロボットという「無機物」という形でしか捉えられないゆかりと、親友としてゆかりのすべてを受け入れようとするマナブと、彼女の能力を受け入れられないが故にゆかりと距離を置いてしまったかつての親友・七美という3人のやりとりを中心に描かれます。視点を中心にその五感だけが特異な力となってしまっている彼女とどのように付き合っていくかという物語なのかとおもったら、最後で彼女の持つ思わぬ能力の真実が明かされ、ゾクっとなりました。特に、『殺人犯』の末路についてはゆかりに一切悪意がなさそうなのがなんとも……!!

しかし、物語は後半の「1/1,000,000,000のキス」に入ってから更に一変。っていうか一変してからが本当にすごかった!!前編のネタバレに触れまくりなのでどこから語ればいいのかわかりませんが、一言で強引に表現するなら異能+ヤンデレ+百合+ループもの。ゆかりの持つ性格のせいか、どこか暖かな雰囲気が流れていた前編とは打って変わってシリアスでハードな物語が展開されます。どこか胸の中で自らのやってきたことに間違いを感じながらも、それを永劫に認めることはできないという所まで来てしまったマナブの想いがとにかく痛くて、胸に重く圧し掛かる。

何度となく未来への分岐を辿っても、自分すべてを投げ打ってでも変えたかったたった一つの「確定された運命」だけは覆す事が出来ないという展開は先日読んだばかりの「運命のタロット」シリーズを思い出しました。

“彼女”にとってあまりにも永い時を経て、漸く望んだ結末にたどり着いた時には思わずジーンとしてしまったのですが、そうしたら…ラストが!前編でちょろっと出てきたものの普通にゆかりの能力の一部なのかとあまり気にしていなかったのに、のに!!様々な意味で深読みしてしまうラストの展開に、再び背筋が寒くなった。ハッピーエンドだと思ってたけど実は……なんてことがあったらと思うともう、恐ろしすぎます。しかしそれが良い。

ところで、綱島志朗というとJINKIもいいけどデビュー作「LIFE:ERRORS」の大ファンだった私がここに居る訳ですが、「紫色のクオリア」と「LIFE:ERRORS」って雰囲気似てるよね、と呟いてみる。最初設定の割にはギャグ率高めなSFだったのが徐々にハードな展開に化けるあたりとか、ほのかに香ってくる百合臭とか、最後の方に主人公が色々な意味で病む辺り(待て)

4861270243LIFE:ERRORS 1 (ブレイドコミックス マスターピースコレクション)綱島 志朗
マッグガーデン 2004-03-26

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嘘つきは姫君のはじまり 恋する後宮

[著]松田 志乃ぶ [絵]四位 広猫

乳姉妹の馨子の身代わりとなり、御匣殿として1年間後宮に上がることになった宮子。次郎君や桐壺の更衣親子と再会できたのはうれしいけれど、後宮には一筋縄ではいかない人たちばかり。しかも様々な人々の思惑が絡み合った結果、東宮妃候補である鳩子姫と『美女合わせ』の勝負を行うことになってしまって…
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主君であり乳姉妹の姫様と入れ替わってお姫様になることになってしまった女房・宮子と彼女の周囲の人々が巻き起こす平安ミステリー。シリーズ3巻目にして舞台は後宮に移り、ますます個性豊かな面々がドタバタ騒ぎを巻き起こします。

女の子大好きな鳩子姫、とても九条家の血筋な藤壺の中宮、昼行灯(?)な宣耀殿の女御などなど、とにかく色々な意味でフリーダムな面々ばかりに囲まれてますます振り回されるばかりの宮子ですが、彼女たちの生き様を見て巻き込まれたなりに自分のできる事をしよう、と前向きに現在の自分の状況を受け止め始めた姿に思わずニヤリとする。個人的には、ラストの命婦との意外な告白のシーンが特に印象的でした。

そして、そんな宮子を真摯な思いで見守る一途な次郎君と明らかに気があるっぽいツンデレ蛍の宮の二人がかっこいいんだよなあ。特に今回は完全に次郎君のターン!!!という感じで、宮子をドキドキさせるその姿を見るたびにゴロゴロ悶え転がってしまいました。1巻で出たときには可愛い要員だとおもってたのに、恋する男の子の成長は早い。次郎君かっこいいよ次郎君……!!

…しかしその一方で真幸(略)あーもう、他のライバル男達がみんなみんな魅力的なだけに、イチャつき要員でヘタレ一辺倒の彼の存在が正直マジうざ(強制終了)舞台が後宮に移って出番そのものが減ってしまったからある程度仕方ないとは思うのですが、今のところ彼を魅力的だと思える要員が何もないんですよね…次巻ではもう少し、彼の活躍もありそうな感じの前フリがされているので、次巻で少しでも活躍してくれる事を祈ってます。

やっぱ、私の「ヘタレ萌え」は時々見せる有能な一面があってこその萌えなんだよなー。

ところで、今回のメインとなる文化系闘技大会とも言うべき「美女合わせ」の場面ですが、
参加する男子陣は帝だろうが東宮だろうが当然女装だよね!?とか、
蛍の宮は宴に参加するために女装させられるんだよね?とか、
九条家三兄弟が美女合わせを見るためにいそいそと女装して紛れ込むんだよね!?
とかそんな、御伽草子的展開を期待した私は間違ってますか?

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七夕ペンタゴンは恋にむかない

 

七夕の日に必ず雨が降る星無町に7年に一度だけやってくる“晴れ七夕”の日に、永遠の友情を誓いあった5人。幼いころ両親を亡くした湊は、5人の友情がいつまでも続くと当たり前のように信じていたが、その期待はあかりの唐突な転校によって裏切られることに。それから2年後、高校生になった彼らの元にあかりが再び現れて…

七夕に関する不思議な伝承が残る星無町に住む5人の幼馴染達が繰り広げる、少し切ない恋と友情のお話。表紙の魅力がとてもヤバイ。「ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート」もかくやというほどの吸引力。あらすじと合わせて突発買い余裕でした。

少しずつ大人になるにつれて変化しはじめた4人の関係が、とある想いを持って帰還した5人目の少女・あかりの存在によって明確な不協和音を奏で始める姿が切ない。年不相応に子供っぽい考えを持ち、ひたすら空気が読めない湊が彼らの関係を保とうとして立ち回るのですが、読者側からみると踏まなくてもいい地雷を片っ端から踏んでいるようにしか見えず、中盤はいつ彼らの間にある薄い氷のような関係を踏み砕いてしまうのかが心配で心配でなりませんでした。

一方で、既に“大人”としての考えを持った上で5人の幼馴染関係を大切に思っている橙との対比が印象的。「最近一緒に帰れなかったから疎遠になったみたいな気がした」と言う湊に対し、「そんなことで距離が出来るような関係なら本当の親友関係ではない」と思っている橙。作中では深く語られないけど、本当に5人の関係を尊んでいたのは彼なんじゃないでしょうか。

そういう意味で個人的には、タイトルが素晴らしいと思う。綺麗な「ペンタゴン(5角形)」を形作るためには限りなく全員が全員に対して同じような距離感を持っていなくてはならなくて、彼らが恋をすることによってそのペンタゴン内の距離感が崩れ、歪な形になってしまうという意味なのかな、と。それに気付いてペンタゴンを壊そうとするあかり、形に拘らず新たな関係に進もうとする橙、意識的に関係を保とうとする伊緒。そしてその「ペンタゴン」という形に拘泥していた湊が恋によっていつまでもその形ではいられないということを自覚し、彼らと新たな関係を築いていく事を受け入れるという物語なのではないかと思う。鈴は空気だったのでどういうスタンスだったのか良く判りませんg……ゲフンゲフン。

一方、終盤であかりとの関係に決着がつかないまま突然トンデモ設定が展開され、伊緒と主人公の恋愛関係に主軸が移ってしまうのには少し疑問を覚えました。序盤から少しずつ不穏な伏線が張られ、読者の興味を惹きつけていったあかりの物語は途中からいきなり入ってきた伊緒の物語によって結末を明確に語られないまま終わってしまうし、一方で伊緒の物語はトンデモ設定な割に序盤で彼女の存在感がイマイチ高くないせいかかなり強引に挿入されている印象を受ける。どちらの物語もとてもよかったのですが、良かっただけにちゃんと語られていないのが残念でした。せめて湊・伊緒・橙が織りなす三角関係の結末くらいは描いて欲しかったなぁ。



しまった!!これ明日読めば七夕ドンピシャだったのに!orz



余談ですが、「田舎町に住む幼馴染達」「恋によって変わりゆく関係と変わらぬ友情」「流れ星に掛けた願い」というキーワードから、どうしても「キラメキ☆銀河町商店街」を思い出した私が居る。
不思議要素はないけどこの物語の幼馴染成分や青春成分にキュンとなった人は読むといいよ!併せてお薦め。
キラメキ銀河町商店街 1 (花とゆめCOMICS)キラメキ銀河町商店街 1 (花とゆめCOMICS)ふじもと ゆうき

キラメキ銀河町商店街 2 (花とゆめCOMICS) キラメキ銀河町商店街 3 (花とゆめCOMICS) キラメキ銀河町商店街 4 (花とゆめCOMICS) キラメキ銀河町商店街 5 (花とゆめCOMICS) キラメキ銀河町商店街 6 (花とゆめCOMICS)

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真・運命のタロット9(上下) 《世界》。

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

《世界》に巻き込まれた<エセックス>は時空を跳躍し、片桐と《愚者》がフェーデを行っていたモントーク機関へと飛ばされる。彼らの出現は、片桐にとって思わぬフェーデの結末を与える事に…。一方、ロシアの雪原に出現した《女教皇》とライコは虚数強化体の襲撃を受けて…
個人的お気に入り度数
《世界》。—真・運命のタロット 9 (上) (講談社X文庫—Teen’s heart)《世界》。—真・運命のタロット 9 (下) (講談社X文庫—Teen’s heart)
「真・運命のタロット」完結編。それで第三部はまだですか?(正座)

片桐先輩久しぶりすぎて存在感忘れてたとか、相変わらず田村さん鬼畜ヤンデレ娘ですねわかりますとか(田村さんとライコの関係は、《死神》と《愚者》の関係に近いものを感じるのです。愛情表現歪みすぎてるけど実はライコのこと大好きだよね田村さん!!)、あああの人があんなことに…!!とか、《審判》と《女教皇》、《力》とのやりとりに頭がパァンとなったり、「最終巻なのに《魔法使い》が出てこないよ!?」「これ本当に残り100P弱で終わるの?」とか思ってたら……

な、なんだってーーーーーーー!?

シリーズ名通りに“運命”を感じさせずにはいられない結末に、思わず鳥肌たった。やたらと大河視点が挿入されているのを読みながら「もう、大河は運タロの裏主人公ってことでいいんじゃね?」とか思ってたんだけど割りとそれシャレになってなかった……真実の意味で、彼はこの「運命のタロット」というシリーズにおけるもうひとりの主人公だったんですね…。しかし、ライコのこの後辿る道、大河が辿ってきて、これからも辿る道筋を考えると、「大河がライコ→《女教皇》→《女帝》ってことを知っていたら…」とか「《女教皇》が《女帝》の正体を知っていたら…」とか考えてしまいます。でも最終的に、たとえその“記憶”が彼の中に存在しなくても、最終的にその想いを遂げる事が出来たのは喜ぶべきなのか。とにかくなんか、なんかもう最後凄すぎて全部もっていかれた……もうなんかあのラストだけで色々満足してしまえる自分が不思議だ……。

しかし、読み終わった直後はラストの衝撃が高すぎてあまり気にならなかったけど、冷静になって考えてみるとまだ繋がってない時間軸で起こった物語とか、語られていない部分で気になる部分が何気に多すぎてとてもうずうずしてきました。その辺の謎を読み解くためにもぜひとも第三部を!発行されていたティーンズハートはなくなってしまったけどここはひとつホワイトハート移籍とか、作風合わないなら徳間エッジあたりに移籍するとかでもいいんじゃないかと思う私が!

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真・運命のタロット8下 《吊るされた男》、そして…

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

大河と《戦車》、《魔法使い》はミッドウェイ実験の最中、実験体としてユニットの中に閉じ込められた水元頼子を奪還しようとする。ところが、彼らの前には《星》とリンダ、《悪魔》とカインが立ちふさがる。それぞれが勢力を超え、自らの思惑の為に戦っている最中、今度は異形の身体を持つタロットの精霊《吊るされた男》が現れて…!?
  個人的お気に入り度数
“吊るされた男”、そして…—真・運命のタロット〈8下〉 (講談社X文庫—ティーンズハート)
「運命のタロット」に関する様々な謎の一端が明かされる、《吊るされた男》完結編。これで大体、「女教皇」と「教皇」の間にあった記憶の空白は埋まった感じですね。なにより、久しぶりにライコ・《女教皇》と《魔法使い》コンビのやりとりが見れて、凄くうれしい。場所を気にせずにさっそく《女教皇》とイチャつく《魔法使い》の姿に超ニヤニヤした(ライコと大河は色々な意味で不憫ですが!)

恋する大河の葛藤がもどかしいなあ。前シリーズであれだけ無謀にも考えなしに突っ込んでいく一直線さを知っているからこそ、もうちょっとライコ達の間に踏み込んでくればいいのに、と思ったり。当時は"知らなかったからこそ"の無謀さというのはあったんだろうけど…。しかし、その彼の葛藤を知っているだけにライコが大河の名前を呼んだシーンではちょっとでも彼の頑張りが報われたような感慨を受ける。

しかし、「真」シリーズになって以来一切姿を見せなかった“彼女”の名前が章題として出てきたときには凄く驚いた。確かに、ライコと大河の関係を語るには欠かせない人材だけど…彼女は結局、今後物語には絡んでこないのかなあ。流石に以前のようなライコとの掛け合いは期待できないかもしれないけど。

下巻は次々と驚愕の事実が明らかになり、「な、なんだってー!?」の連続なのですがさりげなく上巻ラストのキャラクター解説に下巻のネタバレが混ざってるのはどうかとおもった!特に上巻時点ですでに《女帝》《運命の輪》の項目にアレが書いてあるのは酷すぎると思うんだ…どうかんがえても下巻最大のサプライズでしょうに!!

次の「《世界》。」も上巻の年表ネタバレが酷いらしいのでうっかり読まないように気をつけよう…。

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真・運命のタロット8上 《吊るされた男》、そして…

[著]皆川 ゆか [絵]乱魔 猫吉

頼子を拉致した鴻桂グループが行おうとしていたのは、“肉体を持たない超能力者”を意図的に作り出す実験だった。その実験体として囚われた頼子を救い出すためミッドウェイ海峡に向かった大河達の前に、頼子を抱いた《魔法使い》が現れるが、そこで大河は《魔法使い》の思わぬ姿を見ることに…!?
  個人的お気に入り度数
“吊るされた男”、そして…—真・運命のタロット〈8上〉 (講談社X文庫—ティーンズハート)
謎が謎を呼ぶ「カイン編」3冊目。というか、重ッ……とにかく物語が重ッ……そして爛れてるというよりももう、生々しい。前巻は重いなりに《悪魔》と《戦車》の凸凹コンビとか、どこかしら息をつく場所があったのですが。

ここまできて《悪魔》ちゃん下克上だと!?
例のシーンを読んで思わず既刊を読み直しましたがそうか、《悪魔》って両性具有だったんだよね……ひょっとしてタロットに転写される前の彼女の正体って“妹”じゃなくて……ゲフンゲフン。こ、ここここここでまさかの兄×弟フラグ!!!

それにしても、ラスト4巻にしてまた話がわからなくなってきたなあ。《魔法使い》の異変は、ひょっとして過去と未来の《魔法使い》が完全に合一することで《皇帝》になるっていうのを示唆してるのか?あと《星》コンビがライコと《世界》に関係があるっぽいこと言ってたけどなんなんだろう。っていうか二人の会話が微妙に死亡フラグっぽいのが気になる。《戦車》と《力》は人間時代、元恋人同士だった?残り3冊で、全てとは言わずとも物語りに関わってくる謎だけでも解明されるのかしら。

あと、“ミナモトヨリコ”の行動があまりにも後ろ向きなのがちょっと気になる。「女教皇」ラストのなんだかんだいって前向きっぽい発言をしてた彼女の立ち位置を考えると、どこかちぐはぐな印象を受けるんだよなあ。カインとの間にあったことを加えて考えても何かおかしい気がする。大河も言うとおり、“運命のタロット”シリーズの彼女と現在の彼女が繋がらない。ヨハネスブルグで見つかってカインに保護されるまでの間に何かがあった?それとも保護されてから、カインに(肉体関係以外の意味で)何かされたのか?不可解な動きを見せる田村桂子と《死神》の仕業とか?それとも、坂崎の呪いがじわじわと彼女を侵食していったということなのか…。正直、何事にも後ろ向き・受動的で他人に責任転嫁してばかりの今回の頼子には正直かなりイラっとするものがあったり…思考パターンが田村桂子っぽいのがとても気になるといえば気になるんだけど…あの問答を聞いてると、普通にリンダがいい人に見えてくるから不思議だ。

何はともあれ主人公コンビ不在(精神的な意味で)のままあと3冊。そろそろ“ライコ”や《女教皇》と《魔法使い》の主人公コンビの活躍が見たいぞ!と思ったり。謎だらけの「カイン編」がどのような形で終着に向かうのか楽しみです。

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