ページ 136 | 今日もだらだら、読書日記。

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ウォーターソング

[著]竹岡 葉月 [絵]竹岡 美穂

惑星開発が進み、人々は宇宙に飛び出した。しかし、都市整備に失敗したこの惑星では濃酸の雨が降り、人々はスペーススーツを着込まなければ外に出られない。そんな都市で子供達は男女の微妙なバランスを保ちながら日々を過ごしていたが、地球から転校生がやってきて…!?
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「しゃっぷる」の竹岡葉月さん&「文学少女」の挿絵担当の竹岡美穂さんが姉妹コンビで贈る作品にして竹岡葉月さんのデビュー作。後書きの仲良さそうな姉妹っぷりがとても楽しそうなのですが?…いいなあこのほのぼの具合w 宇宙開発で人類が宇宙に飛び出した世界を舞台に、2つの惑星を舞台に繰り広げられる2つのお話です。

酸の雨が降る惑星を舞台に、子供達の小さな戦いを描く「僕らに降る雨」が凄くお気に入り。まず屋外ではもっさりとした宇宙服を着てもさもさと投稿する風景がなんともおもしろい。しかもそれでは音が聞こえないので内臓マイクによる通信で会話したり、金づちや何かで相手の宇宙服を叩いて呼び止めたり……という設定が妙にシュールで、そしてリアルに想像できるのが楽しい。メインのお話は転校生・アサヒがやってきたことをきっかけにバラバラになったクラスを主人公のナットが再びまとめあげ、大人たちにある形で反抗をするのですが、子供ならではの万能感というか、クラス皆で団結して大人たちに対抗するワクワク感が伝わってきてとても楽しいお話でした。

そして表題作となる「ウォーターソング」は「僕らに降る雨」で台風の目となった転校生・アサヒの両親と過去に纏わる物語。少々序盤で間延びした印象…というか、おもしろくなってくるまでにちょっと時間がかかったなあという印象を受けたのですが、美しくもちょっと哀しいお話でした。狂気要素のない新井素子的というか、天野こずえのSF短編を読んだ時のような読後感というか。

物語から感じる爽やかな透明感というか、そんな感じのイメージが竹岡美穂さんの挿絵ともぴったり合致していて、文章と挿絵の調和も良かったです。突き抜けたおもしろさはないけどほんのりと心が癒される一冊でした。

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“文学少女” と神に臨む作家 下

[著]野村 美月 [絵]竹岡 美穂

様々な人に追い詰められる中、ななせの「書かなくてもいい」という言葉に救われた心葉。しかし、それが許せない流人の「琴吹さんのこと、壊しちゃうかもしれませんよ」という言葉が心葉の不安をかきたてる。そして、ななせを大切にしたいと感じる一方で遠子の事を見捨てて置けない自分も自覚して…
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様々な人々の想いが結実する「文学少女」シリーズ完結編。

上巻から引き続き、ひたすら重い展開の連続で、読んでるこちらの心臓的にも気が気じゃなかったのですが、それまでの鬱屈とした展開があっただけに事件が解決に向かい始めてからが凄すぎて、ただただ次々に明かされていく真実に息を呑むばかり。上巻を読んで立てていた予想が殆どひっくり返されるような状態で、本当に凄かった。最強ヤンデレ決定戦も美羽→流人→回りまわって元祖“文学少女”シリーズが誇るヤンデレ・竹田さんが優勝カップを持っていくような状況(それ関係ない)いや、今回の彼女は変な意味で光輝いていたなぁ…そして流人、あれだけかっこよくひっぱっといて後半ヘタレすぎる…(笑)

全然関係ありませんが、丁度これ読んでる最中地元では記録的集中豪雨と酷い雷に見舞われており、この物語の序盤を読むにはあまりにも雰囲気ぴったりすぎる状況に陥ってました。このゴロゴロ言いっぷりはきっとヤンデレカップルの呪いに違いない。

一見無関係だとばかり思っていた1巻からの全てのエピソードが少しずつ小さな役割を果たしてこのラストへと繋がっていくという展開が非常に素晴らしかった。そして全てのエピソードを経て大きく成長した心葉が今まで探偵役を務めてきた“文学少女”に代わって、“文学少女”自身の事件を解決していくシーンでは胸が熱くなりました。

そして遂に迎える遠子先輩の卒業シーン。この作品を読み返す前に「月花に孕く水妖」のエピローグから「神に臨む作家(上)」までを再読したのですが、2回目に読んだ時に「水妖」で語られる“未来”の解釈について物凄く違和感を感じて「あれっ?」と思ったのですが……(具体的に言うとななせを思わせる表現を使っておきながら一度もこの女性に関する人物名が断固として明かされなかった辺り

あああああこういう結末か……。

再読時に一瞬だけ脳裏をよぎった展開が割りと冗談になってなかったという…個人的には、私は元々こっちの展開支持派だったんで嬉しいことは嬉しいんだけど、どんでん返しすぎて素直に喜べないというか……とりあえずななせのけなげな一途っぷりに涙が止まらない……。心葉と付き合いだしてからはヒロイン的な守られポジションに立っていた彼女ですが、精神的に一番強かったのは彼女だったんじゃないかしら。エピローグでの言葉が胸に刺さる。

というか、唯一不満点を挙げるとすればこの卒業の部分だったりします。叶子にあんな言葉を突きつけた以上、心葉と遠子はどんな形であっても「狭き門」を通ってはいけないんじゃないかと思ったんです。お互いに暖かい時間を築きながら、お互いを支えあいながら作家として再生してほしかった…。(以上ネタバレ)それが心葉のために必要な行動だったとはいえ、なんかそこだけは少しだけ残念でした。

とはいえ、最後の最後まで予想を裏切られる展開の連続でありながらも、物語のおもしろさという点では最後まで期待を裏切られない名シリーズでした。素晴らしいエンディングを、本当にありがとうございます。




コラボアンソロ、竹岡さんのコノハちゃん楽しみですハァハァ
(意訳:あとがきが色々と台無し!)

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ラッシュ・くらっしゅ・トレスパス!

[著]風見 周 [絵]おときたたかお

“侵入屋”とはお金持ちの家に実際に侵入し、警備のアドバイスをするという職業。マナ達の営む“侵入屋”・トレスパスでは侵入に成功しない限りお代は頂かないという方針を持っている。ところがここ何回か、侵入の仕事は失敗続き。食事も切り詰めるほどの経営難を打開するため、伝説の怪物・ヴァンパイアを甦らせることを思いつくが…!?
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風見周さんのデビュー作。買ったあとしばらく積んでいたのですがちょうど今月風見さんの新シリーズラッシュだったので手を出してみました。魔法と科学(蒸気機関)が共存する世界を舞台とした、かなり正統派なファンタジー作品です。

うーん、なんというかキャラクターや設定をいっぺんに出しすぎてもてあましている感じが物凄い気になる……本線のストーリーは悪くないんだけど、とにかく空気なキャラ・設定が多すぎて「え?それなんだっけ?」と気を取られてしまうのが物凄く残念。敵勢力は2つとも物凄く中途半端な印象だったし、仲間内ではジャックスの空気っぷりとか酷かった。「マナに好意を抱いているトレスパスメンバー」以外の設定が何も見えない……いっそのこと、レイヴァを巡って完全にマナとは反対立場を取ってくれたら良かったのになあ。読んでる間中「いっそレースのライバルもヴァイスにしちゃえば良かったのに」とか「ファンあたりにその設定を任せてジャックスは削ってしまっても良かったのでは…」とかひたすらお節介な事ばかり考えてました。

でも、メインとなるマナとレイヴァの関係は物凄く良かったです。マナの真っ直ぐな信頼が少しずつ堅く閉ざしたレイヴァの感情を開いていって…という一連のやりとりがベタベタなんですけど王道だからこその良さみたいなものが。そしてこの人は本当に世間慣れしてない天然ツンデレっ子を描くのがとても上手いですね!!自分が目覚める前には無かった蒸気機関に興味シンシンで、気がついたらマナに上手い事餌付けされちゃってるレイヴァの姿には思わずニヤニヤしてしまう。サクヤや龍凰院麟音の可愛さと同じものを持ってるんですよ、このツンデレ吸血鬼は。

そんなわけで読み終わったらそれなりにおもしろかったですが、続編を読みたいとは思わないかなあ…というのが本音だったり。「龍凰院麟音」と「ひめぱら」の続きが読めればいいかなあ。

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今からでも書ける!?読書感想文にお薦めしたい10冊のライトノベル

さてさて、夏休みも残り1週間となりました。
夏休みの宿題に追われる学生さんも多いと存じますが、いかがお過ごしでしょうか。
昨今では読書感想文のコピペが社会問題になったりしているようですが、
当ブログにも「(作品名) 読書感想文」で検索された方が少数ながらおられます。

うちのブログでの、栄えある読書感想文検索数第1位は「ミミズクと夜の王」です。無難な選択ですね。
そして、第二位は「終わりのクロニクル」でした。本気ですか。
あの分厚いシリーズを読んだことにしようとする根性はある意味立派ですが
先生がうっかり内容を知っていた場合、色々と気まずい思いをすることになりそうです。

というわけで、当サイト的にお勧めな読書感想文にお薦めな10冊のライトノベルをご紹介。
せっかくなので残りの5日弱、素敵な読書体験してみませんか?
(え?宿題忙しくてそんな暇ない?それはごもっともで……)

【ご利用上の注意】
・中学・高校生向けです。小学生にはあまりお勧めできません。
・基本的に1冊完結物を取り上げていますが一部シリーズものがあります。
・感想のコピペはしないで、とりあえず読んでみましょう。どれもすごく面白いよ!
(つかコピペするくらいなら真面目な文学で感想文を書くべきではないかと思う…)
先生から題材について文句を言われても、当方は一切責任を負いません。


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コミケお疲れ様でした(今更)

当スペースにお越しになった皆様、本当にありがとうございました!
せっかくなので何かオマケでも……とポストカードを用意したのですが
こちらの手違いで枚数が作れず、昼前後にはなくなってしまっていました。
もらえなかった方には申し訳ありません。

というわけで、問題の画像を9月中旬くらいまで当ブログの拍手に仕込んでおきました。
もしよかったらポチっとしてやってください。
ちょっとわかりづらい位置にありますがその辺は気合でカバーだ!

内容は某人気投票で日の目を見れなかった「秀吉部門」で次点だった何か。

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ダナーク魔法村はしあわせ日和 ドラゴンが出たぞ!

[著]響野 夏菜 [絵]裕龍 ながれ

213年ぶりにドラゴンが現れたという報告が!?魔女長アガードからの依頼で、イズーはビーと共にドラゴンの調査をするハメに。調査に向かった国境で、二人は魔法使いの少年・ライと出会って、協力することに。何かと仲良さげなビーとライに複雑な思いを感じるイズーだが…
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続き読むの1年も放置してたよ!なダナーク魔法村シリーズ。魔法の存在は既におとぎ話の中になりつつある世界で、ダナーク村が未だ“魔女の村”である理由やビーの秘密がちょっとだけ明かされるシリーズ第三弾。今回は暴走魔女ビーが始めてダナーク村の“外”の世界に出て、イズー達とドラゴンの調査をするお話です。

とりあえず今回はイズーかわいいよイズー。ツンデレカタブツ警察署長が暴走魔女に遂に陥落されはじめたよ!?2巻でもちょっとそんな兆候があった気がしますが、今回はイズーを良く知っているらしい「魔法使い」のライバル・ライが登場し、ヤキモキするハメに。本人にまだ自覚はないようですが、魔法使いと魔女だからこそ分かり合える部分を持った二人を見て複雑な気分になったり、ビーのことを“セルビー(麗しい)”と呼ぶライに嫉妬してしまうイズーが可愛くて堪りません。

物語本編の方ではイズーの宿命の敵であるあの人が登場したり、ビーの隠された能力がちょっぴり発揮されたり……とだんだん核心に入ってきた様子。長らく放置してたけど、一応(大人の事情で)あと2冊だし、そろそろ最後まで手を付けたいなあと思います。2巻まではほのぼのメインなカンジで好きな作風ではあるんですがイマイチ盛り上がりに欠けているなあと思っていたのですが、ここにきて一気に物語が加速してきた感じ。残り少ないですが、続きが楽しみです。


それにしても、オチが最高すぎてマジで飲んでた麦茶噴きそうになった。終盤のイズーはマジで宿敵のあの人やドラゴンより、「魔法定量」と戦ってた感じがww

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H+P(1) —ひめぱら—

[著]風見 周 [絵]ひなた 睦月

魔法の力で諸外国の脅威から守られていたトレクワーズ王国は未曽有の危機にあった。病に倒れた女王の位を5人娘たちが継ぎ、王国の危機を救うためには強い魔力を持つ『お世継ぎ』を持つことが必要条件となる。ところが「王仕さま」として選ばれ、異世界から召喚された高校生・神来恭太郎はものすごいカタブツで…!?
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風見周さんの新シリーズその2。なぜか異世界のお姫様5人姉妹とお世継ぎを作らなきゃいけなくなったカタブツ少年のお話。ツンデレ長女、おっとりエロな次女・天然タカビー三女、自虐系ドジっ子な四女、大胆幼女な末っ子ととりあえず人気のありそうなヒロインをまとめて取り揃えてみましたという感じが素敵。ちょっとエッチなギャグコメです。

いやー、なんていうか、ほんとバカだなーこの人たち(爽)最近流行の、一連の「バカ小説」とは違う方向でオバカなお話で、気も張らずに軽く読める感じが素敵。エロコメといっても描写が行き過ぎてないのも個人的には好印象。つか、女の身としてこれ以上の表現描写があったら“ギャグ”として受け取れないだろうなぁ…そういう意味でこの描写表現はいろいろな意味でギリギリだと思う。

良い意味でも悪い意味でも90年代のあかほり作品(「MAZE」とか「爆れつ」とか「セイバーマリオネットJ」あたり)を彷彿させる、ちょっぴりお下品でテンション高くてちょっぴりバトルもあるよ!なラブコメで、とても面白かったです。ヒロイン的にはタカビーなのに超初心な三女様がお気に入り。そして戦線からは一歩外れた感じの四女様にヤンデレフラグが立ってる気がするのにもちょっぴり期待。正直「エロコメ」と聞いてジャンル的にほとんど期待してなかったんですが、ヒロインに露骨な狙いすぎ臭と前作ヒロイン臭を感じてしまった「女帝・龍鳳院麟音の初恋」よりも素直に楽しめたかも。こちらはバトル要素もあるみたいなんで、ぜひとも適度にシリアスバトル展開も加えつつ、頑張ってほしいです。

…しかし、個人的に「殺×愛?きるらぶ?」がドツボだった私としては、2本も同時に新シリーズ始めるなら1本くらい旧シリーズ路線で行ってくれれば良かったのに、と呟かざるをえないです。10月に一迅社文庫でもう一本新作の予定があるらしい?ので、そちらに期待するか。

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L2 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説

[著]坂照 鉄平 [絵]水城 葵

ひょんなことから飲み込んでしまった《罪人竜の息吹》を取り出す方法を探すため、竜徒の研究をしている昔の恋人・フェイの元を訪れたバーンとアーティア。ところが彼女は街を牛耳るマフィアグループととある魔剣を巡って対立していた。更に『アビスパス』のメンバーやアーティアを慕う竜徒の少年までが現れて…!?
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ヘタレな詐欺師・バーンと世間知らずで“竜徒”という一族の少女・アーティアが繰り広げる熱血系ラブコメ第二弾。今回はバーンの昔の恋人とアーティアに好意を寄せる竜徒の少年が現れ、バーンとアーティアがお互いにヤキモチ焼きあうお話です。うん、何も間違ってない。割と。

臆病者の詐欺師で元々戦闘能力など皆無に等しい(無いわけじゃないけどその能力を使うには危険が伴う)バーンが、アーティアと背中を向けて戦い合うミロの姿を見て自分がその位置に並び立てないことにもどかしさを感じて暴走しちゃったり、恋愛に疎いアーティアが、バーンとフェイの長年連れ添った者同士の気の置けない関係を目の当たりにして得体の知れない感情に襲われたり……と、そんなもどかしい関係にニヤニヤしっぱなし。特に、フェイに対してアーティアとの関係をぼやくバーンの場面とか、ヘタレ男好きーとしてはもう!百戦錬磨(…?)の詐欺師が本物の恋をして、今までとは違う感情に戸惑う姿がたまりません!

そして相変わらず後半のバトルが熱い。戦闘的にはダメダメなバーンがアーティアへの恋心を糧に知略を駆使して立ち回る姿は毎度胸が熱くなります。そして同時に、こちらまで恥ずかしくなるような青春真っ只中な会話展開がとても素敵です。アーティアの前ではそんな事いえないくせに、粋がっちゃうバーンの叫びに、胸が熱くなりつつもまたニヤニヤ。

物語的には少し不穏な風が吹いて来たようで、《罪人竜の息吹》の件も含めて二人が今後どうなっていくのか続きが楽しみです。

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召喚士マリア6 堕天使に安らぎを、真の名に微笑みを。

[原案]安田 均 [著]北沢 慶 [絵]四季 童子

聖都サザンで司教を含む6人の人間が連続的に惨殺される。一見何の繋がりもない6人には思わぬ秘密が隠されていて、それに気付いた時は既にイスファン王子の計略を止めることは出来なかった。大混乱に陥ったサザンを、マリア達は救う事が出来るのか…!?
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本編5巻が出たのってもう2年以上前なんだなあ…短編集がどうしても肌に合わなくて切ってしまったら、そのあと見事に短編集しか出ないという最悪のオチが待っていて、久しぶりに読んだらすでに基本設定から忘却していましたな「召喚士マリア」シリーズ完結編。

イスファン王子の肉体を乗っ取って王国の中で着々と準備を進めていた魔神オセの策略が遂に発動。ナナは行方不明になり、国王は生死の境をさまよい、王国騎士団はほぼ壊滅、大学院と教皇庁は指揮権を巡ってグダグダな争いを繰り広げ、挙句計画の鍵を握るマリアを始末しようとする始末……と超劣勢なところから始まり、フレイムとの意思疎通が図れなくなってどん底に落ち込むマリアを仲間達が助け出す辺りから段々ふたたび盛り上がってくるという構成。序盤はもう本当に転がり落ちるように辛い展開の連続で、一気に絶望のどん底という感じでした。設定忘れてたのでちょっと置いてきぼりくらったのは内緒(おい)

しかし、そこから後半の盛り上がりっぷりがまた半端じゃなかったです。仲間達の奮闘、フレイム復活から始まってどんどん盛り上がってきたところに加えて今まで登場したキャラクター達が応援に駆け付けるシーンは、ベタだけど胸が熱くなる。落ちこぼれだったマリアが、自らの“魔物フェロモン体質”を利用して魔物達を召喚するあたりは最高潮。ていうか初登場時は間違いなくギャグキャラだったのに美味しいところもってきすぎだオッサン!!!

ラストはちょっと駆け足というか、予定調和な終わり方をしてしまったように感じられたけど、正直完結編が出るかどうかは五分五分かなあと思っていたシリーズなので最終巻が見れただけでも満足です。本当にありがとうございました。

……とはいえ、最終巻の盛り上がりっぷりが半端じゃなくて、猛烈に面白かっただけに最後に5巻を読んでから年数経ってたのが残念でしょうがなかったなあ…短編を切ってしまった自分が悪いと言えなくもないけど、せめて1年開かないペースで読みたかった気がする。そして彼らの活躍がこれで終わりだとおもうとちょっと寂しい。短編シリーズは正直、他六門ワールドを知っているのが前提な設定が多すぎて読む気しなかったんですが…今更ながら手を出してみようかなあ。

個人的にはアルとフレイム、どっちとくっつくのかはっきりしないままおわったのが一番残念。いやまああの設定からして、どっちつかずのまま終わってもある意味アリかもしれないけど……どっちもイケる的な意味合いで。

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黄昏色の詠使い7 新約の扉、汝ミクヴァの洗礼よ

[著]細音 啓 [絵]竹岡 美穂

サリナルヴァからの依頼で凱旋都市・エンジュで披露される触媒の調査にやってきたネイトたち。コロシアムでは学園対抗の名詠対決が行なわれており、そこで彼らはとある名詠学校の生徒たちと知り合うが…。一方、シャオとその一派もエンジュに侵入していて…
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「第二楽章」本格始動なシリーズ第七弾。漸くクルーエルの体調も戻り、いつも通りの日常に戻ったネイト達に再び試練が襲い掛かる……というお話。舞台をトレミア・アカデミーから凱旋都市・エンジュへと移した新展開。……さて、段々キャラの把握が追い付かなくなってき……げふげふ。味方はとにかく、敵側のキャラクターが予想以上に把握できていない自分に気がついてびっくりした。そして今回もまたキャラが増えます。

今までの物語の舞台は基本的にトレミア・アカデミーという枠組みの中に閉塞していたので、もうまず他に名詠学校があって、学校によって様々な教育方針を持っているということが物凄く新鮮だったり。いや、考えてみたら当たり前なのですが…。ネイトとクルーエル、エイダとミオの4人を除き、舞台と共に彼らを取り巻くキャラクター達もほぼ一新されてます。しかし、物語の展開が5巻から引き続きクライマックス直前といった雰囲気なのであまり「心機一転・新シリーズ開幕!」という感じではないかも。

新キャラでは色名詠の使い手・レフィスが良い味出してました。天然系朴念仁は良い…ヘレンとのカップルぶりもなかなか良いのですが、異端の名詠士同士となるネイトとのコンビっぷりが中々美味しいものがあってお気に入りだったりします。しかし、何より少しずつ単なるクラスメイトから仲の良い友達、そしてかけがえの無い親友と一歩一歩進展していくネイトとクルーエルの関係が素敵。やはりクルーエルのために頑張るネイトの姿はかっこいい反面どこか可愛らしいというかなんというか。クルーエルに触発されて少し女の子らしい一面を覗かせるエイダにも色々と先行き不安ながら何かのフラグが見えたり見えなかったりします(なんていうか、とても先行き不安なフラグだけど)。

何かと言葉を濁す半面、不穏な言葉を口にするアーマにアマリリス、再びクルーエルを襲う不穏な影、動き出したシャオ一派、そしてネイトとシャオの邂逅……と、物語はこのまま一気にクライマックスに突入する模様。今回はその序章といった感じで散々盛り上がった4巻5巻あたりと比べるとちょっと急展開すぎる部分が気になってしまったのですが、これからまたぐんぐん盛り上がっていくと思われる8巻以降が楽しみです。

…ていうか、ひょっとしてミオにも何か秘密があったりするんだろうか…物語の根幹に関わりそうなキャラクターを残してキャラクターが一新される今回で唯一居残ってる件といい、なんか微妙にそう受け取れるような表現が見え隠れ……。

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