ページ 132 | 今日もだらだら、読書日記。

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女帝・龍凰院麟音の初恋 2

[著]風見 周 [絵]水月 悠

夏休みが明け、2学期も継続して麟音と恋人ごっこを続けることにした悠太。風紀委員長として恋愛を取り締まってきた麟音の交際を学校内で公にすることは憚られ、周囲には知られないようにしてきたつもりだったのだが、ライバルにして巨乳生徒会長の姫神美麗に勘付かれてしまう。麟音を挑発する為、悠太を誘惑する生徒会長におっぱい道3段の悠太はメロメロだが…!?
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世間知らずの"非モテ"貧乳お嬢様・龍凰院麟音と巨乳至上主義の非モテ男子・悠太が恋人ごっこを繰り広げるラブコメ第二弾。今回はラブコメ戦線に巨乳生徒会長乱入でどうなるどうなる!?というお話。相変わらずあざといツンデレっぷり全開の麟音と超鈍感でおっぱい至上主義な悠太の掛け合いが面白い。1巻と比べてもコメディとしての楽しさは爆発的に上がっていたような気が。電車の中で何回か決壊しそうになりました。

麟音のライバルで生徒会長で悠太には憧れの巨乳生徒会長こと姫神美麗の誘惑にすっかりメロメロな悠太にヤキモチ焼きまくり、舌噛みまくりの麟音の姿に思わずニヤニヤ。見た目とのギャップが大きい美麗さんとの遊園地デートで、美麗がだんだん悠太に惹かれていくあたりは思わずきゅんきゅんしてしまいます。悠太の身の翻しようは正直女としてはヒくものがあったのですが…まあ元々憧れの女性だったというんだからしょうがないのかなぁ。あのメロメロっぷりがあるからこそ、悠太が麟音の不在に徐々に物足りなさを感じていくあたりが最高に引き立ってる感じがしますし、終盤の熱血展開も凄く良かったし。

ただ、なんかちぐはぐなモノを感じて戸惑う場面も。
どんなに後で「実は頑張りやさんな良い人」みたいな描かれ方をしても、序盤で麟音に対して行われた虐めがあまりにも陰湿すぎてちょっとドン引きしてしまった、というのが最大のネックでした。なんか後半になると皆が「あの虐めは麟音の今までやってきたことが酷すぎたからしょうがないよね」みたいな感じになってるのが凄い不思議で…もう明らかに「自業自得」で済むレベル超えてたと思うんだけどなあ。あれってヘタすりゃ怪我人や自殺が出るレベルなんじゃと思ったし。……あの場面がもうちょっとライトなものだったらまだ許せた気がするんだけど……なんだろう、この得体の知れないモニョモニョ感。

その部分以外は文句なしに面白かったんですが。悠太のバカかっこよさも相変わらずだし、ギャップ萌えの私としては実は努力屋で可愛い人な生徒会長にも、基本的にはとても萌えておりました。時々麟音のツンデレっぷりや悠太の鈍感ぶりがあざとすぎるなあと感じる場面もありましたが、あれはあれでこのシリーズの味ってことでなんとか…。

今後は生徒会長も恋愛戦線に加わってきそうだし、麟音と悠太の失われた1ヶ月についても新展開がありそうなんで、続きがとても楽しみです。

あ、個人的に今回一番ツボったのは各章毎に差し込まれるメールのやりとりだったかも。誤字脱字だらけ、トンチンカンな顔文字・絵文字使いまくりな麟音の文章も相当おかしいのですが、冷静すぎる悠太のツッコミと蘇芳さんの絶賛ぶりの対比に噴いた。お嬢様莫迦もいい加減にしろよこのメイド。(←褒めてます)

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GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン1(下)

[著]川上 稔 [絵]さとやす(TENKEY)

三河消滅の責任を問われ、聖連により"自害"を迫られるホライゾン。自害の刻限が迫る中、総長としての権限を剥奪されたトーリとその仲間達は必死にホライゾンを救う方法を模索しはじめる。トーリは彼女を救い、無事に彼女に告白する事が出来るのか!?
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ラノベ界にまたひとり、とんでもねえバカが誕生したよっ!!

うわあああああトーリかこいいよトーリ!!なんだこの燃えるバカ!!正直1上読んだ状態で「主人公が佐山ほど燃えないんだよなー」とか思っててすいませんごめんなさい。いや、佐山も好きだけどトーリが凄い勢いでバカ好きの私のハートをずぎゅんとぶち抜いていったよ萌え!!!

というわけであとがきでも語られるとおり、1巻からもう既に最終回もびっくりな盛り上がりっぷり。1巻上での怒涛の世界観設定やキャラクターの多さに半分うんざりしかけていたものですが、下巻になっていざメインキャラたちが動き始めるとあれだけ辛い辛いと言っていたキャラクター達が凄い勢いで私の脳に活躍を刻み付けてくる。後半では固有名詞が出ても殆ど最初のキャラクター紹介を見なくなっていたという辺りに、川上作品の恐ろしさを感じます。1上は正直苦痛でしたが…もうなんていうかあれだよな、川上作品好きって割とマゾいよな!色々な意味で!!

とにかく2桁にも上る大漁のキャラクター達それぞれに魅せ場があり、それをいちいち語っていくとキリがないのですが、個人的にはやはり葵姉弟とヨシナヲ王の下りが好きです。ヨシナヲ王は1上ではただのかませ犬的嫌な奴というイメージしかなかったので、1下の展開はびっくりだった。アデーレとのやりとりにはホロリと涙が。

喜美と二代のバトル、そして葵姉弟の過去の一幕も最高。傲岸不遜のわがまま姉ちゃんかと思わせておいて実はめちゃくちゃ弟想いな喜美姐さんに一生着いて行きます私。というかこのラノ2008投票既刊にこの本が出ていたら間違いなく女性キャラ部門2位で姉ちゃんに投票したね!?……というか鈴の作文から始まってヨシナヲ王にセージュンに喜美姉さんに……とにかく何箇所で泣かせれば気がすむのよこの本。

そして何はともあれバカ主人公トーリですよ。いつでもどんなときでも前向きに、そして一途に一生懸命なバカっぷりに感動した!!佐山のように頭脳を駆使して敵に立ち向かうですらなく、全力で味方を信じるという事だけで、後は一種のカリスマで周囲を動かして行くという"戦い方"も新しい。そして何よりも壮絶だったのが、彼が能力を得る為に交わした『契約』の内容。それが明かされた時には思わず鳥肌が立った…あまりにもその設定はシビアだと思うの…。

テンポの良いキャラクター達の会話の応酬、予想も付かないバトルの展開、そして魅力的なキャラクター達が繰り広げる、それぞれの闘い。交渉場面ではちょっと置いていかれそうになったりもしたけど、700ページを余裕で越えるページ数を使って怒涛のように繰り広げられる展開に圧倒されました。壁のように厚い1巻の世界設定説明を乗り越えてでも読む価値はあるシリーズではないかと。今のうちなら2冊しか出てないからまだハードルは低いですよ!!超オススメ!!

…しかし、申し訳ないけど、AHEAD1巻にも言える事だけど"1巻上"のハードルの高さはなんとかならないものか。陸上競技のハードルのレース中、最初にいきなり高跳びのバーが出てきたってくらいの壁を感じる……



余談ですが、1上だけで設定・キャラが理解できなかったという貴方は是非とも下を読む前と読み終わった後に公式で公開されている紹介ムービーを見てみると良いとおもいます。1上読了後は名前やグラフィックを見ても半分も判別できなかったキャラが、あっさり全キャラ判るようになったことにちょっと感動した!すごい勢いでGENESIS世界に洗脳された自分を自覚してなんか感動した!!


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ガーゴイルおるたなてぃぶ

 

普段はガー助って呼ばれてる自動人形、俺の名はガーゴイル。遠くの町を守る最強の門番にあやかって名づけられた。猪崎市のとある雑居ビルが俺と相棒の住処だ。そこで駆け出し錬金術師のひかるとなんでも屋「鳥屋」を開業し、普通じゃ解決できない仕事を引き受けてる。暴走ダチョウの捕獲が済んだら、次の依頼は見たことも聞いたこともない巨大生物の相手だと!?どーすんだ。俺に任せすぎんなよ尻デカ天パー女!新“錬金”コンビが贈るハートフルコメディ。(「BOOK」データベースより)

吉永さん家のガーゴイル」と世界を同じくし、本編でも少しだけ登場した古科学者と新米錬金術師・ヒカルともう一人のガーゴイルの戦いを描く番外編的シリーズ。

バトルメインの展開自体は悪くはないんだけど、無理にバトルシーンを増やそうとして持ち味である人情味とかご近所成分が潰されてしまってる印象で、それがかなりキツイかなぁ…というか、物語の裏にはちゃんと「ご近所成分」がありそうな気配がするのに、それを描いて貰えないというのが凄くもどかしい。ご近所成分不足でとても欲求不満。

キャラ立てが終わる前にバトルに入ってしまっているので、各キャラに感情移入しづらい。特に高原喜一郎という、本編でしっかり描かれているキャラが登場するとどうしてもそっちに目が行ってしまう。ていうか喜一郎可愛いよ喜一郎。

ヒカル達が古科学を憎むようになった理由も中途半端にしか語られず、当事者であった千秋はとにかく、ヒカル達がそこまで彼らを憎む理由がイマイチ伝わってこなかったり。基準がどうしても本家本元の吉永家&ガーゴイルになってしまっているからか、ヒカル達の心が狭いように感じてしまう。うむむ……。バトルもいいけど、もうちょっとその前にキャラ立てをがんばってほしいというか…。

とりあえず、本家「ガーゴイル」とのクロスオーバーが気になるのでもう少し読んでみたいと思いますが、できれば次はもうちょっとバトル置いておいてキャラメインの展開にしてほしい……。

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さよならピアノソナタ

 

音楽を聴くことと機械弄りを趣味にする少年・ナオは「心からの願いの百貨店」と名付けた海辺のゴミ捨て場でピアノを弾いている少女と出会う。彼女はかつて天才ピアニストとして名を馳せた蛯沢真冬だった。彼女の演奏に心惹かれるナオだが、数日後転校してきた真冬は何故かナオが密かに使っていた空き教室でギターをかき鳴らし始めて…!?

ついった界隈でオススメ攻撃を喰らったので手を出してみました、というかなんかオフ会行ったら実物が回ってきました。3巻が発売されてからのオススメ攻勢は異常だったと思うんだ…と呟いてみる。(発掘できただけでもこのへんとかこのへんとか)

自分で演奏はしないけど音楽を聴くことが大好きなナオが自分の放課後の平穏な音楽ライフ(笑)を取り戻すため、空き教室を占拠してしまった天才音楽少女(本職はピアノだけどギターも超絶上手い)・真冬に音楽勝負を挑もうとする……というお話。

本線であるナオと真冬のラブコメも素敵なのですが、個人的にはナオをたきつけて音楽の世界に引きずり込もうとする神楽坂先輩が最高!!ゴーインで姉御肌でかっこいい姉貴キャラはどの世界でも良いものですが、神楽坂先輩のオトコマエっぷりとかっこよさは半端じゃありません。そしてどんどん彼女の思惑通りに「音楽を演奏すること」にハマっていくナオの姿にニヤニヤが止まりませんでした。

神楽坂先輩や幼馴染の千晶と3人ではじめて曲を合わせた時、そして真冬と二人で曲を奏でた時に主人公が感じるワクワク感や一体感が凄く心地良い。"曲を奏でる"ということの楽しみがこちらにまで伝わってくるようなシーンで物凄くツボに来る。

後半には真冬がピアノを辞めた理由や彼女の持つハンデが明かされ、熱い展開になったりホロリと泣かされたり。王道な青春ラブコメ路線で始終胸がきゅんきゅんいいっぱなし。どこか独特な雰囲気があって、それがまたとても素敵でした。これは続きが楽しみです!

余談ですが「ゴミ捨て場」「捨てられた楽器」「ボーイミーツガール」というと、こちらよりも先に富士ミスの「フォルマント・ブルー」を髣髴する私です。あれも好きだったな?。ちょっと異能とかSF要素入りますが「ピアノソナタ」がツボにハマった人でそういう要素が大丈夫ならかなりお勧めかも。



4829162872カラっぽの僕に、君はうたう。?フォルマント・ブルー (富士見ミステリー文庫)木ノ歌 詠
富士見書房 2005-01

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電撃コラボレーション 最後の鐘が鳴るとき

[著]電撃文庫記念企画
(壁井ユカコ、渡瀬草一郎、三上 延、佐藤ケイ、柴村 仁、有沢まみず、鎌池和馬、成田良悟)
[絵]片瀬 優、文倉 十
 
3ヶ月連続刊行のコラボシリーズ最終巻。ちょっと不思議な噂のある"MW(マリー・ホワイト)学園"が廃校になり、その最後の1日に起こった様々な出来事を描く連作コラボ短編集です。それぞれの作品のいろいろな所で他作品のキャラクター達が顔を覗かせ、2作目「MW号の悲劇」よりも各作品のリンク率が上がってる印象。

どれも面白かったですが、コラボシリーズ皆勤賞の有沢まみず・成田良悟はやはり別格だった気がする。好き勝手バラバラな各短編にリンクを持たせて補完までしてしまう成田作品の凄さは言わずもがな。よもや完全に各作品の中でも異色作だった「学園ホロたん」まで関連性をつけるとは誰が予想したことだろうか。そして泣きゲー系&ラブコメ作家の印象しかなかった有沢さんの作品は1作目でホラー、2作目で中年の悲哀モノ…と、いちいち毎回意外性ありすぎで驚かされました。というか、なんで最後の最後で腐女子大喜びなホモネタ書きますか有沢まみずの守備範囲SUGEEEEEEE!!!

他作品も結構平均的に面白くて、これといって飛びぬけてツボにきたものはなかったけど、どれもこれも隔たりなく楽しめました。作風的には佐藤さんの「MW学園の崩壊」が一番ツボ。怪奇的な"自殺"を遂げた少女を巡り、彼女の友人グループの3人がそれぞれの思惑を持って時計塔に集まる…という話なのですが、各キャラクターの語りから浮かんでくる少女の人物像のブレやどんどん狂気的な方向に向けて進展するキャラクター達の思考が不気味で、最初はラブコメ的な雰囲気すら漂っていたのがどんどんホラーな雰囲気になっていくのが素敵。ただ、個人的な嗜好として終わり方が唯一(成田さんの補完を持ってしても)いまいちスッキリしなかったのが残念だったり。確かに、一応事件のきっかけや真相はわかって綺麗に終わってはいるんだけど、色々明らかにならない部分が気になってしょうがない…。しかし、有沢さんといい佐藤さんといい、今回はラブコメ作家にしてやられまくりだなぁ。

個人的には、「マヨイガハレルヒ」の続きが普通に読みたい。最後のぼやかし方がまたニクイんだっ…。

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キノの旅XII The beautiful world

[著]時雨沢 恵一 [絵]黒星 紅白

山の中に80歳前後の長老と10歳くらいの少年という2人の山賊が居ました。彼らは2人とも大きな望遠鏡を持ち、山の下にある道路を見つめています。ある日、そこに緑色のバギーが通りかかり、長老が尋ねます。「さて、あの連中は儂らの"獲物"として相応しいか否か?」……。「山賊達の話」他、全16編を収録。
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いつのまにか「本編は10月に1冊」というペースがお決まりになってきたような気がする(感想で確認したらこれで最低3年連続10月刊行だった)キノの旅シリーズの第12弾。今回もちょっと殺伐としてちょっぴりブラックな短編が収録されてます。良い意味で安心の短編クォリティ。

とりあえず今回は最初の「山賊達の話」が最高すぎて笑いが止まりませんお頭!!ストーリーの内容もなかなか凄いですが、挿絵との相乗効果が凄い。見開き2枚目のキノのキラキラッ☆具合に噴出したのは私だけじゃないはず。もうなんというか、山賊少年が青春ど真ん中ストライクすぎます。なんという妄想フィルター…。

個人的に、やはりキノの中編・長編話はあまりツボにこないので短編詰め合わせな今回はとても楽しめました。個人的には「日時計の国」が一番お気に入り。というか、なんとなくそんな予感はしたものの、オチがシュールすぎる。そして普段は役立たずなエルメスが大活躍の回でした。キノにはさっぱりわからない科学的な事を指摘したり、落下地点の計算を瞬時にしてキノをそれとなく避難させる機転など…まるでいつものエルメスじゃないみたいだよ!実はどうしようもないことばかりいってるように見えて、凄いスーパーメカだったりするのでしょうかエルメス。

良い意味でいつも通りであまりコメントすることがないシリーズではありますが、文句なしに面白かったです。やはりこのブラック具合、大好きだなあ。

…それにしても、あとがきはそろそろネタ切……ゲフンゲフン。カバー裏の短編は途中まで普通に気付かなくて「あれ?この話って前に他の巻で出てきたやつだっけ??」とか思ってましたが。

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とらドラ9!

[著]竹宮 ゆゆこ [絵]ヤス

雪山で大河の本当の気持ちを聞いてしまった。しかし、ようやく学校に復帰した大河は"あの時"のことをはっきりとは覚えておらず、今まで通りの態度を取ってくる。戸惑いを隠せない竜児だが、同じ頃家では進路を巡って泰子とのすれ違いが表面化しており…
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8巻で散々やきもきさせられた竜児×大河・実乃梨・亜美の関係が少しずつ進展を見せ、漸く……と思ったところで新たな試練が大河と竜児に襲い掛かる、というお話。

何より一番大きかったのはずっと奥歯に物の挟まったような展開だった竜児と実乃梨の関係に一応の決着がついた事でしょうか。このままどっちともつかずにな関係を続けてしまうのが一番不安だったので、竜児が実乃梨への気持ちに決着を付けたこと、実乃梨が遂に竜児への気持ちを隠すことなく打ち明けた事が読者として嬉しかった。決して竜児の言うような「強い」女の子ではない気がするけど、実乃梨のサッパリとした前向きな考えは同じ女としてかっこいいと思う。

そして今まで実乃梨並みかそれ以上に本心を隠しとおしてきた亜美の本音が……なんか普通にけなげ過ぎて泣ける…。大河や実乃梨以上に自分の行動に責任を感じて動けなくなってしまっていたのが実は亜美で。なんでも判ってる、大人の女のように振舞っているけど一番不器用で臆病で純粋なのは彼女だったんじゃないかという気がします。そんな彼女に実乃梨が全力でぶつかっていこうとする姿が頼もしい。ほんと、この子には幸せになってほしいと思う。

実乃梨や亜美が頑張る一方で、今回は大人たちにスポットが当たった話でもありました。竜児の気持ちを見抜いて懸命に進路指導をしようとする独身(30)とか、トボケた言動の裏に様々な気持ちを隠したやっちゃんとか。そして竜児が自らの進路で悩むあたりのやりとりは、なんか殆ど親と衝突しないままなんとなくで大学行った自分としては凄く眩しく映りました。

絡まっていた様々な糸を解いて、一つの大きな山を越えて、見ないフリをしていたお互いの気持ちに向き合おうとした大河と竜児の前に、新たな試練が立ちふさがる……ってえええ、ここで終わりですか!?しかも電撃は12月まで予定出てるから年内には出ないんだよなあ…なんという蛇の生殺し。

とりあえず早く新刊を、新刊を!!

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ダナーク魔法村はしあわせ日和 ただしい幻獣の飼い方

[著]響野 夏菜 [絵]裕龍 ながれ

ダナーク村の警察署長に着任以来、休みも取らずに働きづめだったイズーはシーカーの勧めで休暇を取ることにした。「今日こそ、魔法とは関係のない一日を過ごす」と固く心に決めるものの、やっかいな魔法の騒動(ビー)は自分の方から近づいてきて…!?
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「ダナーク魔法村」シリーズ最終巻にして短編集。うっ…良い胸キュンシリーズなのに終わってしまうなんてもったいない…。着任後のイズーが初めて休暇を取る話、ライとの邂逅をきっかけにビーの名前に興味を持ったイズーが「エラ」という言葉の語源を探して奔走する話、ギャラントとビーの関係をいぶかしんだイズーがうっかり禁句を口にしてアガードの使い魔にされた話、謎の卵から孵った魔獣(?)がイズーになついてしまう表題作の4編が収録されてます。

本編と並行して時間軸が進んでいくので、イズーがいかにしてビーに対してデレていったかが如実にわかるのがとても楽しいです。序盤だと好意よりは迷惑という気持ちが強かったイズーが、最後の方はあんなことに…とか思うと、そのギャップに笑いが止まらない。

妙に仲の良いギャラントとビーの関係を疑って嫉妬心丸出しだったり、自分の子供が生まれたらという話で普通にビーとの子供の名前だと仮定してしまったり。いや、あとがきでも書かれてるけどほんと色々な意味で壊れましたよね、この人。

ラストの短編でちょっとだけ今までとは違う、ビーとイズーの姿が垣間見えただけにここで終わってしまうのが本当に残念です。というか、イズーの過去話とかが完全にスルーされたまま終わったあたり、打ち切りなのかなぁ。もうちょっとこの2人のほのぼのとした日常を見たかった?とか思うと、残念でなりません。

あとがきの「きっとイズーはなんだかんだ言いながら<環の中>に骨を埋めるのでしょう」という言葉になんとなく胸がきゅんとしました。本当に素敵なシリーズをありがとうございました。

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死神姫の再婚 私の可愛い王子様

[著]小野上 明夜 [絵]岸田 メル

フェイトリン5家の中でも最下位だったはずのロベル家が、アリシアの実家であるフェイトリンのお屋敷を売ってほしいと言い出した。物に執着を持たないアリシアが唯一最後まで手放さなかった屋敷ということもあり、招待を受けてフェイトリンに赴いたカシュヴァーン達だったが、そこでは豪奢な舞踏会とこれまで幾度となくカシュヴァーンを亡きものにしようと画策してきた男・ジスカルドが待ち構えていて!?
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天然ボケでちょっと変わった“死神姫”と暴君…と言われてはいるけど実は領民想いな成り上がり領主様の新婚生活コメディ第四弾。今回はついに宿敵ジスカルド・オーデル公爵との直接対決が描かれます。

…とはいえ、地方伯として権力をもつ完璧男のジスカルドには、流石のカシュヴァーンも大きく出る事が出来ず、ネチネチと続く嫌味攻撃にストレスばかりを貯める羽目に。しかもジスカルドはアリシアに、そしてジスカルドの妻・エルティーナはカシュヴァーンを誘惑し始めて恋模様も大波乱。完全に空気と化しているロベル家当主(ごめん名前忘れた)が可哀そう。

そんなこんなで否応なしに揺れ動くアリシアとカシュヴァーンの関係ですが、ひたすら天然で鈍感な妻と過去のトラウマに囚われて愛することに憶病な旦那ということで、なかなか関係が進展しないのがもどかしいかぎり。正直カシュヴァーンは最後の最後で自発的には関係を進めようとしない予感がするので、そろそろアリシアが自分の気持ちを自覚して動くような展開がほしいなあ…。このもどかしさが美味しいのだ、というのも実際あるのですが。

とはいえ、アリシアがカシュヴァーンとエルティーナを見て嫉妬のような感情を持ち始めたり、いつもの空気読めない発言を躊躇ったり…と、少しずつ二人の関係が変わり始めているのも確か。特にラストの展開はとても美味しかったです。

新キャラ的には、序盤はシィルとアリシアのすれ違いまくりの会話にニヤニヤし、終盤はエルティーナ様のオトコマエっぷりに全部持っていかれた感じ。特にエルティーナ様のキャラが最高すぎます。上流階級にありがちな淫らな大人の女性と思わせておいて実は結構純情乙女キャラ!!た、たまんねー!!!ぜひとも今後とも活躍して頂きたい。

あと、花婿候補乱立でいろいろおもしろすぎることになってるノーラにもさりげなく進展が?ティルナードとノーラのやりとりが正直たまらないのです。ノーラはティルに嫁いで舅(セイグラム)にいびられながら玉の輿すればいいとおもう!

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