[著]風見 周 [絵]おときたたかお “侵入屋”とはお金持ちの家に実際に侵入し、警備のアドバイスをするという職業。マナ達の営む“侵入屋”・トレスパスでは侵入に成功しない限りお代は頂かないという方針を持っている。ところがここ何回か、侵入の仕事は失敗続き。食事も切り詰めるほどの経営難を打開するため、伝説の怪物・ヴァンパイアを甦らせることを思いつくが…!? |
うーん、なんというかキャラクターや設定をいっぺんに出しすぎてもてあましている感じが物凄い気になる……本線のストーリーは悪くないんだけど、とにかく空気なキャラ・設定が多すぎて「え?それなんだっけ?」と気を取られてしまうのが物凄く残念。敵勢力は2つとも物凄く中途半端な印象だったし、仲間内ではジャックスの空気っぷりとか酷かった。「マナに好意を抱いているトレスパスメンバー」以外の設定が何も見えない……いっそのこと、レイヴァを巡って完全にマナとは反対立場を取ってくれたら良かったのになあ。読んでる間中「いっそレースのライバルもヴァイスにしちゃえば良かったのに」とか「ファンあたりにその設定を任せてジャックスは削ってしまっても良かったのでは…」とかひたすらお節介な事ばかり考えてました。
でも、メインとなるマナとレイヴァの関係は物凄く良かったです。マナの真っ直ぐな信頼が少しずつ堅く閉ざしたレイヴァの感情を開いていって…という一連のやりとりがベタベタなんですけど王道だからこその良さみたいなものが。そしてこの人は本当に世間慣れしてない天然ツンデレっ子を描くのがとても上手いですね!!自分が目覚める前には無かった蒸気機関に興味シンシンで、気がついたらマナに上手い事餌付けされちゃってるレイヴァの姿には思わずニヤニヤしてしまう。サクヤや龍凰院麟音の可愛さと同じものを持ってるんですよ、このツンデレ吸血鬼は。
そんなわけで読み終わったらそれなりにおもしろかったですが、続編を読みたいとは思わないかなあ…というのが本音だったり。「龍凰院麟音」と「ひめぱら」の続きが読めればいいかなあ。