というわけで、またやらかします、バカとテストと召喚獣男の子キャラ中心本。
2007年冬コミ・LNFと1冊ずつ出したので今回が一応第三弾な、微女の子向けなギャグ本。
(※前回複数から「もっと凄いのかと思ってました」という素敵な感想を戴いたので「女性向」の文字は外しました。でもやっぱり男子キャラメインです。含秀吉。)
なお、今年のコミケは例のワンフェス事故その他もろもろの影響で手荷物検査実施・エスカレーター使用中止など色々大変な事になっているようなので、参加する予定の方は事前の情報集めをしっかりしていきましょう。
何はともあれ、下記の公式告知は一度目を通しておいた方が良いような気がします。
■ コミックマーケット準備会からの緊急のお知らせ(コミックマーケット公式)
本の詳細は「続きを読む」からどうぞ?。
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▼ 最近の記事
戦場のエミリー 鉄球姫エミリー第四幕
[著]八薙 玉造 [絵]瀬之本 久史 ラゲーネン王国を襲った惨劇。諸侯から責められる兄・パーシーの姿や、絶望し悲しみにくれるエミリーの姿を見て自らの無力さを実感したグレンは、護衛騎士の身分を捨てて自ら戦場に赴く。少しでも兄やエミリーの役に立てれば、という強い思いからの行動だったのだが、父の護衛騎士であったライオネルはパーシーに疑いを向けて…… |
2巻、3巻で見えた希望が何かの冗談だったかのように悪趣味全開です。やっぱこっちが作者の本性か…(違)
ラゲーネンを襲う惨劇の真犯人については、読者側からは「花園のエミリー」の時点でしっかりと明かされているわけだけどグゼンやエミリーにとっては謎のまま……というわけで。読者側からも犯人を曖昧にしておいて、ラストでどーんと落としたほうがショックが大きいのではないかという印象があるのですが、とにかくこの巻だけ見ると真犯人が「イイ人」にしか見えないというトラップがありまして。「グレン、まえまえーーーっ!!」的な何かもあるわけだけどそれ以上に、「あれ、じつはこの人じゃなかったんだっけ…?」みたいな、目撃した読者までを惑わすいい人っぷりがとても憎い。え?惑わされたの私だけ?
事件の真相を知っているだけに、グレンの行動がどんどん裏目に出て行くのが判ってしまっていたたまれない。今までの容赦ない死にっぷりを知っているといつ死亡フラグが成立してしまうのかハラハラしながら読んでました。
それだけに、終盤でエミリー姫が戦場に現れた時の爽快感、喜びといったら無かったです。様々な想いはあれども復活した、セクハラ姫様の言動を聞いただけでも思わずニヤリとしてしまう何かが!!そしてエピローグでのツンデレっぷりはもう垂涎モノですよ。エミリー姫のごとく涎じゅるりですよ。漢らしい戦いっぷりを魅せる「鉄球姫」の雄姿も、セクハラ発言しまくるご無体なセクハラ姫の姿もとっても素敵なのですが、なんだかんだいいつついざとなると素直になれないツンデレ全開なエミリー姫様、マジ可愛いっ!!
彼女の復活があったとはいえ、ラゲーネンの置かれた状況はどうしようもなく絶望的なのですが、今後どうやって彼らが再起を図り、持ち返していくかがとても楽しみです。今ラノベの中でも有数に続きが楽しみなシリーズかも。
余談ですが、絵師さんの後書きでおーいお茶噴きました。ラ イ オ ネ ル さ ん … !
恋愛前夜?キレイなキス?
[著]深谷 晶子 [絵]くさなぎ 俊祈 高校生の月夜、チハル、光太郎、俊の4人の元に「キレイナモノサガシをしませんか?」というメールが届く。適当に授業に出て、適当に遊ぶ毎日に不満はないが、どこか物足りないものを感じていた4人はそのゲームに乗ってみることにするのだが… |
「イマドキ」の高校生達がレンアイしたりちょっとキケンでアブナイことをしてみちゃったりするお話で、なんていうか、良くも悪くも雰囲気を楽しむお話というか、なんというか。若さゆえのアヤマチというやつを「キレイナモノ」という言葉でスイーツ(笑)的に美化しているようなお話で、まぁ悪くはないんだけど私の好みではなかったかな。ちょっとこの物語を素直に楽しむには若さが足りないというか。
そもそも彼氏彼女とか「レンアイ」とか、そういうのとは無縁で割と健全なオタク生活まっしぐらな学生時代を送ってきた私には、登場人物たちに1ミリたりとも共感できなかったのが致命的か。
まろんさんの感想でも言われているけど、挿絵が絶妙すぎ。正直「くさなぎ俊祈のマンガのノベライズだよ!」といわれたら素で疑わないと思う…。しかし、だとしたらくさなぎ俊祈のマンガはツボにくるのに、こちらがツボにこないのは何故だろう。あっちは割とキャラクターの魅力に引きずられて読んでるから?
それにしても、未成年と思いっきり明記されている登場人物が堂々と飲酒したりタバコしたり妊娠したり自殺したり集団リンチしたり……昔のコバルト凄すぎる。コバルトというと、学生時代に折原みととか氷室冴子とか山浦弘靖あたりを作者買いした程度で本当に人気どころしか読んだことがなかったので、こんな作品があったんだーというのが一番の衝撃だったり。
AURA 魔竜院光牙最後の闘い
[著]田中 ロミオ [絵]mebae 順調な「高校デビュー」を果たし、充実した生活を送っていた佐藤一郎。彼の「日常」は蒼いローブを羽織り、リサーチャーと名乗る神秘的な美少女・佐藤良子と出会い、崩壊した…——!ある時は共闘し、またある時は敵対するドリーム・ソルジャー達。二人に襲い来る“敵”。二人の絆が崩れそうになったその時、眠りに付いた筈の戦士・魔竜院光牙が目覚め最後の闘いが始まる——……! |
というわけで田中ロミオの新作。仮題は「流行の学園ラブコメを目指してみる」……ああうん、確かに目指してみるといってるだけで、学園ラブコメだとはいって無いですよね。一部特定の経験を持っている人々に効果覿面の、ラブコメもといトラウマ抉りコメディです。タネを明かせばイタイ設定をとくとくと語るドリームソルジャー(=妄想戦士)を一足早く中学で卒業した元戦士が、妄想戦士を卒業できてないクラスの大勢(なぜかやたらと沢山いる)に振り回されて涙目になりつつ、現実と戦っていく物語です。
なんていうか、空気読めない妄想戦士達を見て指差して笑おうとする常識的な自分が大半を占める中、主人公のように妄想戦士達の妄言を他人事とは受け止められない、かつて妄想戦士を卒業していて主人公の一郎の心労に感情移入してしまう自分と、未だどこかそんな妄想の世界に憧れ続けて、純粋にその世界に現実逃避している彼らをちょっと羨ましく思える自分まで居て、痛いような痒いような、正視出来ないような……もうなんていうか、まさに「ふ……触れるなッ!!俺の……俺の古傷に……(何故か倒置法)」って感じ。「ドージンワーク」や「辣韮の皮」のような痛いオタクネタ作品を読んだときに感じる時々「楽しんでいいのか痛がって悶え苦しむべきか判らない!」というあの感覚に近いかも。
登場人物達ほど強烈な妄想戦士だった人は稀だと思いますが、オタクなら高確率で似たような経験あると思うんですよね。自分の前世はどっかの戦士でかっこいい闘いを繰り広げ……てたらかっこいいのにな!とかちょっと思ったり、漫画の登場人物みたいな正義感溢れる美形な人格者がどこからともなく現れて何だかわかんないけど自分といい感じになってみたり…くらい、一度は妄想してみたことあるでしょう!?思うだけならタダだよ!?あといつか何かに使えるかなと漫画の主人公のかっこいいセリフを人知れず心に刻んでみたり(絶対使わないよ日常でこんなセリフみたいなのを)、日常生活で使うありきたりな言葉を“感情(きもち)”とか“時空(とき)”とか謎の当て字をして喜んでみたり、「竜破斬」の正式名称と呪文をうっかり暗記してしまって、未だ諳んじられちゃったり……きっとこの世界にはそんな同志達が一杯いるはず!!(※なお、断じてこの記事を書いた人間がそういう経験があると言っている訳ではありません。ないったら。)
……それはとにかく。なんかそういう、自らの胸の中だけに秘めておきたい恥ずかしい過去を容赦なく抉り出されるような作風です。
エンディングは少々強引というか、ご都合展開な何かを感じずにはいられませんでしたが、どちらかというとこの物語、「普通」の人間だって妄想戦士達と同じように現実と戦ってるんだよ!という風に落とすと見せかけておいてエピローグで「でもなんだかんだいって、みんな程度の違いはあれど邪気眼の素質もってるんだよねー!」って主張したかったんじゃないかという気がする。あのエピローグには、思わずニヤリとしてしまいました。
……でもなんていうか、色々評価できねえ。
「面白かった」とはとても素直にいえない。精神とかいろいろな所に痛かった。
色々な意味で凄い作品だとは思うけど。
吉永さん家のガーゴイル4
[著]田口 仙年堂 [絵]日向 悠二 “夢”として過去を疑似体験できる「記憶発掘装置」を使い、3日も眠り込んでしまったイヨ。そろそろ起きなければ死んでしまうかも…と東宮に言われてガーゴイルと双葉と和巳は同じ装置を使って彼女を内側から起こすため、彼女の意識に潜り込む。昭和2年の過去にたどりついた3人は東宮やイヨにそっくりな人物と、完成前のガーゴイルと出会うのだが… |
ガーゴイル誕生秘話ももちろん面白いんだけどそれ以上に自らの家業と錬金術の間で板挟みになる雅臣の奮闘がとても魅力的で、惹きこまれました。家の都合で自らのやりたいことを貫き通すことが出来ず、さまざまな想いを抱えながらも二人と離別する雅臣の姿がかっこよかったです。琴子とイヨの間で苦悩したり、自らが何もできないことを悔やんだり……とヘタレな部分も多いのですが、3人のなかで一番人間らしい魅力を詰め込んだキャラクターだったかなあと。東宮の家がイヨにとっての「ライバル」になった由縁にもニヤリとせざるをえませんでした。そしてイヨが年を取らず20代当時の姿を保ち続ける理由に、普段能天気彼女の笑顔の裏に秘められた重い過去を感じて思わずジーンとしてしまいました。
戦前の日本で考え方をはじめとして様々な部分の違いに驚く吉永家の二人も良かったですが、今までよりもコミカル要素が薄く感じてしまったのはやはり双葉の破天荒な活躍の影が薄かったからかなあ。どうにもならない時代の違いを問答無用で蹴っ飛ばそうとする双葉のパワフルな姿は健在なのですが、それ以上に前回のお話で受けたショックからまだ立ち直りきれていない姿が印象深かったです。今回はどちらかというと彼女よりもお兄ちゃんの和巳の方が目立ってた気が。
ところで、作中に登場する「先生」の正体って宮沢賢治のことでいいんでしょうか?
生徒会の三振 碧陽学園生徒会議事録3
[著]葵 せきな [絵]狗神 煌 夏休みを目前に控え、全校集会で生徒会が恒例で行っている生徒会役員による「寸劇」について話し合う生徒会メンバーたち。珍しくやる気の無い会長に知弦、まともな意見を出せない鍵と真冬……頼みの綱として残った一人・深夏は「戦隊モノ」を提案するが…!? |
碧陽学園生徒会のメンバーが部室を舞台にまったりとした日常を繰り広げるシリーズ第三弾。1巻から右肩上がりに軽妙な会話の面白さが増してきて、現在私の中で髄一の電車の中で読めないラノベと化しております。中目黒くんの実体化を経て、真冬の腐り具合も大幅アップの印象ですが、それ以上に会長がどんどんダメな子になってるよーーー!?
とにかく各キャラクター達のボケとツッコミの応酬が面白すぎる。それでいて時々ちょっといい話を織り交ぜてくるので手に負えません。個人的には各メンバーが全開で暴走する「取材される生徒会」と、さりげない鍵の頑張りが顔を覗かせる「働く生徒会」、そして深夏・深冬姉妹の過去と絆を描く「差し伸べる生徒会」が面白かったです。余談ですが、「取材される?」で深夏が熱血ラノベとして「ムシウタ」「禁書目録」「バカテス」を推してますけど……「ムシウタ」って熱血?私はどっちかというと泣きゲー(違)ジャンルに分類したなあ……。あと、やっぱ作者の人はバカテス読んでたんですね。ああ、深夏さんとバカテスの熱さについて熱く語りたい……彼女とは普通にラノベの趣味が合いそうです。
ラブコメパートでは、普段押せ押せな鍵が深夏に対して強く出られず、わたわたしてしまう姿にニヤニヤ。正直、正ヒロインは会長だとおもってたんだけど、実はこれって深夏が正ヒロインなんじゃね?とか思ってしまう勢い。いえ、鍵に言わせれば全員平等に愛してこそのハーレムルートなんでしょうけど。「働く生徒会」で、会長の居ないところで何気に頑張ってる一面を覗かせる鍵にもキュンとしました。
エピローグで、遂にこの本に挿入されていた「存在し得ない?」シリーズの実態が少しだけ明らかに。そういえば2巻で出てきたマギル先生とかいましたね、3巻の影が薄すぎて正直あれはいかがなもんかとおもいましたが。どうせ出すなら、しっかりギャグパートにも絡ませてほしかったかも…本編の方には本当に一瞬しか出てこないからなあ…。次回以降は新展開?でも出来れば今後も今までのようなまったり具合を貫いて欲しいです。
……というよりも、正直ラストの鍵がかっこよすぎて鼻血噴きそうです。
挿絵が、挿絵が何気に反則だーーーっ!
おと×まほ5
[著]白瀬 修 [絵]ヤス 此方が請け負ったファッションモデルの代役として、明日野丈や委員長に連れられ都心のブティックに行くことになった彼方。そのブティックに向かう途中で彼方は思いもよらぬ人物と再会を果たす。ヒラヒラの服を着せられてぐったりしていた彼方だが、そこにノイズが現れて…!? |
ここのとこ、萌えキャラかなたんの狙いまくった「男の娘」っぷりにイマイチ萌えを見いだせない日々が続いていたのですが、今回は割りとそういうあざとさを感じずに素直に楽しめました。いえ、相変わらずあざとすぎる男の娘萌え展開は健在なのですが、エフェクトの、周囲の『かなたんかわいいよかなたん』時空に流されない天然クールなキャラクターが良い緩衝材になっていたような気がします。久しぶりに魔女っ娘ステッキを武器代わりに投擲したりと、容姿とは正反対の漢らしい彼方の姿が見れたのもポイント高かったです。
とにかく、人間形態を取ったエフェクトが良いキャラなのです。「かなたんかわいいよ」な異空間を冷静に観察し、ぼそっとズレた感想(時にツッコミ)を入れる姿がとても良い。そして此方や彼方たちとの出会いを契機に少しずつ人間らしさを獲得していく彼女の姿が印象でした。……しかし、人間形態をとる前は、なんとなくしゃべり方から渋い男性のイメージを想像してたのに、天然クールな妙齢の女性形態をとるとは予想外(いえ、此方の陰謀以外の何ものでもないですが)
そんなエフェクトの処遇を巡り、過激な思考を持つその街の担当魔法少女と激突することになる彼方。かわいいかなたんも嫌いじゃないですが、他人の為に命を懸けて戦える男らしい白姫彼方がやっぱりわたし、大好きです。今回のエフェクトとのやりとりは本当に胸が熱くなった……。
“鑑賞”や暴走、モエルの正体などなど、作品に秘められた謎が少しずつ姿を現してきた感じで、その辺も面白かったです。いいんちょの魔法を復活させた人物についての謎もありますし、久しぶりに続きが楽しみになりました。6巻が楽しみです。
ちなみに限定版、作曲は「メルト」「恋は戦争」等でボカロ界隈では有名なryoさんで、この人の曲が好きなら買って公開しないのではないかと。ニコニコで曲を聴くことができるので、気になる人はチェックしてみると良いです。収録曲のひとつである「キボウノネイロ」は「ワールドイズマイン」っぽい気がする。しかし、ボカロ目当てに限定版買う人がこの作品そのものに開眼してくれるかはすごい微妙な気がするんですけど…シリーズ5巻ってそろそろ非文字読みにはつらい巻数になってくるし、いくら最近人気上がってるとはいえ、“男の娘萌え”はまだまだ日陰者であることを少しは自覚すべきだと思う…。
個人的な意見ですが、この時期に限定版でCDをつけるならイメージソングよりもドラマCDのお試し版みたいなものを収録してほしかったです。2?3分でいいんだ…とりあえずメインキャストの声を2?3言聴いてみたかったんだ…!!正直、ドラマCDは当たりはずれが大きい分よほど好きな作品(or声優)じゃない限り、声優イメージがつかめなければ買わないので…。
とくに彼方は昔好きだったアニメのヒロインやられてた方なのでなんとなく予想付くんだけど、これだと完全に女の子だよなー…という不安があったりして。いや、世間のファン的には完全に女の子な声のほうがいいの…か?
メイド刑事7
[著]早見 裕司 [絵]はいむら きよたか 海堂から殺人事件の捜査の助手を依頼された葵。海堂は「翌朝までに、極秘裏に犯人を突き止めてほしい」という。さらに探偵役として送り込まれたのは海堂家の執事である朝倉老人で…!?3人のミステリーマニアを相手に、執事探偵・朝倉老人の推理が冴えわたる! |
というわけで普段の「メイド刑事」とは雰囲気が異なる「マニアック?殺人事件 朝倉老人の華麗な推理」がなかなか面白かったです。自称『ミステリマニア』な3人兄妹の発言から矛盾を見抜き犯人を捜し出すというお話で、学生時代に読んだ海外モノの安楽椅子探偵ミステリを思い出しました。朝倉老人のちょっとトボケてひょうひょうしたキャラクターも探偵役にピッタリで、1回きりの特別編にするのはちょっとだけ惜しいなあ…と感じてしまったり。いつかまたこういう話もやってほしいです。ほら、今なら執事需要も高いことですし!!
そして世界最高の頭脳を持つコンピューター「オフィリア」と葵の心の交流を描く3編目「オフェリアよ眠れ…… 最凶の敵出現!」がめちゃくちゃ熱い。正直プログラムに心を自覚させるには、葵との時間は短すぎるようにも感じたのですが、その辺は短編なので仕方がないのか…ラストのオフィリアの行動には思わず涙がこみ上げてきてしまいました。
そして最後の最後で、木ノ上に代わる最凶の敵が出現。なんかあの展開からして、黒須姉妹とのまさかの共闘とかも期待できそうな気がするんですが、どうなんでしょう!?続きがますます楽しみです。
銀色ふわり
[著]有沢 まみず [絵]笛 街を歩いていた安住春道は雑踏の中、銀色の髪を持つ美しい少女と出会う。酷く驚いたような彼女の様子を少しだけ不思議に思いつつもあまり気には止めなかったのだが、実は彼女はデジタルツールを介さなければ知覚する事が出来ない、“黄昏の子供たち”と呼ばれる子供の一人だった。それを知覚することが出来る春道は大人たちの頼みで、暫く彼女を預かる事になり…。 |
生きている物を何も知覚出来ない銀花が初めて自らの肉眼で認識できる春道に出会って頑なに閉ざしていた心を開いていく姿も素敵なのですが、過去に深い傷を持ち今もなお悪夢に悩まされ、人生に対して流されるばかりの日々を送っていた主人公・春道が銀花の為に少しずつ前向きに変わっていく姿が印象的でした。
“黄昏の子供たち”には発祥すれば逃れる事が出来ないいわば『死に至る病』のようなものがあって…というあたりから、物語はただ優しいだけの物語から切ない物語へと変化します。彼らの前に提示された、やがて至るであろう未来は酷く哀しく、絶望的で。でもそれを半ば予想しながら、それでも銀花の傍にいると決めた春道の強い覚悟に胸が熱くなりました。そして出番は少ないけど春道とは対照的な性格の明るいクラスメイト・戸荻とのやりとりが凄く良かったです。最初「正直要らない子じゃね?」なんて思ってて悪かった!
表紙やタイトルにも現されるとおり「白銀」のイメージがぴったりの、ちょっと優しく暖かく、切なくて儚い物語。
…余談ですが、この作品がツボに来た人は、是非「インフィニティ・ゼロ」も読めばいいと思う。
なんか感想漁ってたら「いぬかみっ!」以降の有沢まみずしか知らない人多くてびっくりした!
インフィニティ・ゼロ—冬‐white snow (電撃文庫)有沢 まみず メディアワークス 2002-02 by G-Tools |
2008年上半期ライトノベルサイト杯投票します。
今回も参加させてもらいます?。
■ 2008年上半期ライトノベルサイト杯 開催のお知らせ(平和の温故知新さん)
↑詳しいルールや投票の仕方等はこちらから↑
タイトルクリックで当サイト内の感想ページに、書影クリックでBK1の該当ページに飛びます。
また、基本的にオススメ度の高い順に並んでいます。
★新規作品部門
【08上期ラノベ投票/新規/9784829132524】 ■生徒会の一存 碧陽学園生徒会議事録(⇒感想) 生徒会室を舞台に、生徒会メンバーがひたすらくっちゃべるという異色のライトノベル。根本的なストーリーが皆無に等しいのでいかがなものか…と思いきや、とにかくキャラクター達のハイテンションな掛け合いがとんでもなく楽しい。間違った方向に一途で、アホなのにカッコイイ杉崎鍵のキャラクターにも超惚れました。個人的には真冬ちゃんと語り合いたい。鍵は受です受け。(大事な事なので2回言いました) |
【08上期ラノベ投票/新規/9784086304054】 ■ベン・トー(⇒感想) 閉店間際のスーパーで半額になった弁当を巡り、《狼》と呼ばれる猛者どもが無意味に熱い闘いを繰り広げる熱血爽やか系バカ小説。全力で熱さを無駄遣いするその姿に、何だか判らないけどとりあえず胸が熱くなること請け合い。間違っても読んでる最中我に返ってはいけません。そして魅力的なキャラクター……洋は受ですね、判ります。 「筋肉刑事」の書籍化マダー? |
【08上期ラノベ投票/新規/9784829132753】 ■SH@PPLE?しゃっぷる?(⇒感想) 双子の姉弟がそれぞれの目的の為、男装・女装で互いの学校に通う…という女子校系ラブコメ。萌え萌えな表紙と偽あらすじ(帯の下をめくってください)に騙され、萌えラブコメだと思っていたら大間違い、超・正統派のラブコメでした。とりあえず、この作品はもっと女の子に読まれるべきだと思うんだ!! |
【08上期ラノベ投票/新規/9784829132852】 ■L 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説(⇒感想) 嘘が下手なヘタレ詐欺師・フラットランドが竜の力を持つ人間達の争いに巻き込まれて、最初は周囲を利用して一攫千金……とか思っていたのにいつの間にやらツンデレ少女・アーティアを護る為一念発起!という熱血ラブコメ。ベタベタな王道展開に胸を熱くすること請け合いです。コメディ要素も含みつつ、決めるところはしっかり決めてくれるキャラクター達も魅力満点で、続きが楽しみな作品。 |
【08上期ラノベ投票/新規/9784086304023】 ■征服娘。(⇒感想) 「千剣」とどっちに入れるか悩んだのですが、より「続きが読みたい」方に投票する方向で、こちらを。商才に恵まれる賢い貴族の娘が自らの運命に抗う為、野望の為に知略を尽くす物語。男ばかりの世界で、女ならではの感覚で親兄弟と渡り合っていこうとするマリアの姿が印象的。親友・アッシャとの関係も印象的でした。 |
【以下次点】
・千の剣の舞う空に …ネトゲーモノなのにスポ根!爽やかな読後感に満足できる作品。
・リトルバスターズ!SSS …1巻だけの破壊力なら投票余裕でした。女装理樹可愛いよ女装理樹。
・モーフィアスの教室 …1巻はドツボだったんだけど、巻を重ねる毎“いつも通り”に…。
★既存作品部門
【08上期ラノベ投票/既存/9784048670654】 ■ダブルブリッド10(⇒感想) 今期、これに入れずに何に入れろっていうんだ!! ほぼ完結を諦めかけていた最愛のライトノベル、4年半ぶりの続編にして完結編。絶望的な状況からまさかのハッピーエンド。広げまくった伏線も綺麗に回収されて、本当に美味しい最高の最高の結末でした。もうとりあえず、表紙の優樹さんの笑顔に何かを感じたら何も言わずに読め。読めったら読め。 |
【08上期ラノベ投票/既存/9784757739796】 ■バカとテストと召喚獣3.5 / バカとテストと召喚獣4(3.5巻感想 / 4巻感想) 2008年上半期の萌えはこの作品に捧げたといっても過言ではない。ドラマCD化も良作で、今後最大の期待株ラノベといっても良いのでは。今期は萌えとギャグがふんだんに詰まった3.5巻、胸を熱くするバトル展開と両ヒロインが可愛すぎるラブコメ分増強な4巻でワンツーパンチです。というかもう「明久かわいいよ明久」で全部片をつけていいんじゃね?バカテスの真ヒロインは明久です!!明久は総受けです総受け。(大事な事なので二回ry)…とりあえず、玲の性別が気になってしょうがない。 |
【08上期ラノベ投票/既存/9784086304313】 ■花園のエミリー 鉄球姫エミリー第三幕(⇒感想) 容赦なく人が死ぬ1巻、新たな仲間を得た2巻、そして新たな局面へと足場を固める3巻……とおもったら最後でそれかよ!!!…という感じに一気に先が見えなくなった3巻ラスト。セクハラ大好きで粗野だけど強くて心優しいお姫様・エミリーの前途にハラハラしつつグレンとの微妙な関係にもニヤニヤしましょう。人が死にまくったりグロい展開が大丈夫なら是非読むべき。 |
【08上期ラノベ投票/既存/9784048670197】 ■とらドラ7!(⇒感想) もう鉄壁すぎるくらい鉄壁な学園ラブコメ作品ですが、それでも投票せざるをえない何かを感じる。最初は明るく破天荒なラブコメだったのに、少しずつ綻び、歪んでいった関係が露出する最新刊ではかなり胸の痛くなる展開が目白押し。本当に彼らの関係はどうなってしまうんだろう…少しでも皆が幸せになれる結末を祈るばかりです。応援の意味も込めて1票。 |
【08上期ラノベ投票/既存/9784829132609】 ■黄昏色の詠使い5 全ての歌を夢見る子供たち(⇒感想) 黄昏色の詠使い6 そしてシャオの福音来たり (⇒感想) 白熱するラストバトルなんて飾りです。この物語の真の魅力はクルーエルとネイトのラブラブにあるんですよ!!!と主張せざるをえない、第一部完結編と女装ネイト可愛いよお持ち帰りぃぃ?☆な短編集。とりあえず女装好きとして女装ネイトに1000票投じる所存。あれは良い女装話だった……。 |
【以下次点】
・吸血鬼のひめごと …何もなければ下半期で入れると思うので。最終巻が神。
・フルメタル・パニック! …入れなかったの初めてなんじゃ…完結編に期待して今回は自重。
・“文学少女”シリーズ …こちらも8月発売の完結編に全力で期待。