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バイトでウィザード 双子の飼育も銀玉次第!

オンライン書店ビーケーワン:バイトでウィザードバイトでウィザード

発売:2006.7
発行:角川書店
[著]椎野 美由貴 [絵]原田たけひと
外伝シリーズ4作目。
なんか今回は全体的にしんみりとした話が多かったような…
「星降る夜のわすれもの」は一条兄弟の絆の強さというか、
豊花の女の子らしい一面が覗けて良かったと思います。
これといい花火の話といい今回美味しい所持ってきすぎです、豊花。

逆に家庭教師の話は個人的にはイマイチ破壊力が足りなかったです。
ギャグ話だと「クレイジーベビーでほふく前進!」がツボ。
最後の一行が色々な意味であの兄弟らしくて良いです(笑)

また、少年エースに掲載された「あの日をもう一度?」は、本編の内容を踏まえて考えるとほんと切ないというか、しんみりしてしまうストーリーでした。ほんと、あの二人には幸せになって欲しいよ…。

そういえば、先月でた本編「唱えよ安らぎの歌、と星は輝いた」を最終巻と勘違いしててコメント欄でご指摘を頂いて修正したのですが、冒頭に書いてしまったためbk1に送ったトラックバックにしっかりその文章が残ってる?…と頭を抱える毎日です。bk1に連絡したら消してくれるのかな、ああいうの…。


職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。

 

効率、出会い、トッププレイヤー争い、興味なし。 私はとにかく黙々と収拾、生産、販売作業ゲーがしたいのである。 ──そう思って、気ままにクラフトを楽しむVRMMO『きまくら。』で仕立屋になった少女・ビビア。推しキャラの服の作成やアイテム採集など、ゆるゆる服作りをエンジョイ中。図らずも革命イベントを発生させて一躍注目と賛否を集めると、お店は大繁盛&大炎上! まあ匿名世界だし、あんま気にしなくていっか、と叩いてくるアンチは全て無視、大荒れ掲示板も一切興味なし。だけど、作った服に特殊スキルが付与されるからか、注文は止まらない……。ただ楽しみたいだけの彼女は、やがて全プレーヤーを揺るがす存在となっていき──? 世知辛い世界をのんびり楽しみ尽くす、ほのぼのクラフトファンタジー!

クラフト要素目当てでVRMMO『きまくら。』をはじめたビビア。プレイヤーとの交流は殆どしないで、仕立て屋として洋服を作ったりNPCと交流する日々を続けていたがどうも周囲の様子がおかしい。どうやら彼女が偶然発生させてしまったイベントがゲーム世界前提を揺るがす重要イベントだったらしい。しかもこのMMORPG、ただのほのぼのクラフトゲーではないみたいで……!?

サバサバ女子、殺伐ネトゲで炎上しながら淡々と生きる

1巻読み終わるまでずっと動画配信モノだと勘違いしてました。この主人公がどんな流れで動画配信の道に!?ってずっと不思議に思ってたんだけど普通にそんな展開なかった。主人公がクラフト系のVRMMOしてる様子を淡々と(小説の地の文で)実況しているお話、といえばまぁ確かにそうなんだけど、配信モノの作品が増えてきた今このタイトルすこし紛らわしいなぁ……と思いつつ、「実況=動画配信ジャンル」という認識が自分の中で結構出来上がってしまっていることにも驚愕した。クラフトゲーやホラゲーの実況とか割と好きです。

ほのぼのクラフトゲーとは名ばかり、晒し上げ上等身内ノリ上等プライバシー皆無プレイヤー同士の競争要素ありという殺伐MMO『きまくら。』で淡々とクラフト要素を楽しんでいたところ、クラフト特化のプレイスタイルが福を呼び込んだのか様々な新要素を発見してしまう主人公のビビア。光速で特定されて炎上するも、全く気にせずにアンチとなんかうるせーやつは全員ブラックリストにぶちこんで淡々とクラフト&NPCとの交流を楽しむ……というサバサバっぷりが大変に良かった。NPC交流・クラフト要素に対する熱の入れように対してリアルプレイヤーに対する対応が塩すぎるの面白い。

主人公が新要素を発見しまくり、クラフトしたアイテムにスキル付けまくり……とゲーム内で無双してる要素にちゃんと理由があるのも良かった。服飾をやりたくてゲームを始めた彼女がゲームならではのショートカット系スキルを基本的に使わず、ひとつひとつ手作りで仕上げていったところそこにスキル付与の隠し要素が潜んでいたと。そりゃあ確かにゲーム慣れててゲームとしてクラフトを楽しむ層はやらないし見つけられないよなあ。おそらく、プレイヤー自身のデザインセンスの高さも関わってきている感じがするので誰でも出来るわけではないというのがまたエグい。彼女が発生させたシエルシャンタの親密度ストーリーだって完全にキャラクターへの愛情じゃなくてユーザーのデザインセンス次第じゃないですか。シエルシャンタ廃のゾエベルさんは強く生きて欲しい……。

しかし面白かったんだけど、色々と噛み合うまでが長かった。序盤はビビアが本当に淡々とクラフトゲーをやっているだけで、章間に挟まるユーザーチャットでのやりとりもある程度本編と繋がりが無いわけではないけどそんなに噛み合っておらず……中盤でビビアが「革命」イベントを発生させて炎上するまでは全体的に起伏の少ない状態が続くのでだいぶ掴みが弱い感じ。その代わりに、革命イベント発生後は一気にこれまで積み上げてきたユーザーチャットでの設定や会話が本編に生きてきて面白い。この辺の全体的な立ち上がりの遅さは良くも悪くもWeb小説ならではだなあ。

この手の、書籍化すると1巻の時点でストーリーの方向性が見えないまま終わる作品が多い感じなのもやや難で、というか1巻なのに地味に気になる終わり方するじゃないですか。リアルプレイヤーとの交流をサバサバとぶった切りすぎて、同じクラフトガチ勢であるキムチさんに怯えられてるの笑ったけど。発生させてしまったメインストーリーの展開は今後どうなっていくのか。色々不穏な要素も見え隠れするNPC交流の行方は、主人公はこのまま基本交流なしでサバサバやっていくのかそれともなんだかんだで交流が増えていくのか。「結社」とは一体………とりあえず、2巻でどうなっていくのか楽しみにしたいと思います。

それにしても、「治安の悪いネットコミュニティ」の描写がリアルすぎて地味に生々しいな。妹ちゃんの所属していたギルドの内輪もめの話も結構ネットあるある……だし、バレッタさんの初対面の相手にクレーム9:絶賛1のメッセージ投げて許されると思ってる感じとか、竹中さんの空気読めないオタクっぷりとか、『きまくら。』に「。」を付けないで発言すると自称警察が沸く流れとか。というか、この往年の匿名掲示板のようなノリのMMORPGにソシャゲもびっくりのランキング要素入れて札束でNPCの本妻争いさせるのエグいよ……。


【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう 2〜けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?〜

 

カクヨム年間総合1位の超人気作!
バズリまくってついに収益化を達成したカリン。 記念すべき初回配信に現れたのは、憧れのセツナお嬢様の“生みの親”もちもちたまご先生で……?  一方、カリンをバズらせるきっかけとなった迷惑系配信者・通称ゲロも、虎視眈々とカリンを狙っていた。 あらゆる注目を集めつづけるカリンだが、その実力はまだまだ未知数。まさかダンジョン崩壊を機に、“フィスト●ァックお嬢様”を超える伝説が生まれることになろうとは、カリン本人を含む誰も知らないのだった――。 人気すぎておハーブ大農園!!! 規格外お嬢様のダンジョン無双バズ、第2弾!

若手迷惑系配信者を成敗したチンピラお嬢様として頭角を現し、迷宮攻略生配信で各所に衝撃を与えた山田カリン。ところが、配信中のちょっとした行動や失言が原因でおかしなネットミームが生まれつつあった。マイナスイメージを払拭するため、取り急ぎ雑談配信を行うことにするが、そこで再び衝撃の事実が発覚して……!?

(読者とリスナーと配信者自身の)新鮮な悲鳴は健康に良い

1巻の時点で驚きの連続だったのでもう驚かねーぞ!!と思いながら読んだけど1巻の内容なんて全然まだ氷山の一角でしたね!!今回も最初から最後まで驚きの連続だったしめちゃくちゃ笑った……いやもう本当に、ここまで頭をからっぽにしてケタケタ笑いながら読める作品って貴重なのでこのままのノリでどこまでも行って欲しい。

1巻の時点で大分情報量が積載過多という感じあったんですけど、彼女のトレードマークであるドレスの素材の話をキッカケにしてまた次から次へと明かされていく驚きの新情報に困惑するしかない視聴者に笑ってしまう。ひょっとして今見せられてる実力も氷山の一角なのでは……?と思っているうちにそれを実証するような出来事が発生するの笑うし、それはそれとして全然関係ないところで勝手に変なことやって自滅しているお嬢様が可愛くておハーブ。

個人的には収益化記念配信の話が凄い好きで、配信を見ている限りどうみても苦学生なカリンに金を持て余した大人たちがすごい勢いで赤スパ投げるのを最初は微笑ましく眺めてたんですけど、いやいくらなんでも額がヤバすぎない!?とだんだん真顔になってきて、最後にカリンがこよなく愛するセツナお姉様の生みの親・もちもちたまご先生まで現れてしかも喋るたびにスパチャの限界額投げてくるの本当にまあそのくらい投げても全然問題ないくらい今回の件で儲かってるだろうし感謝してるんでしょうけど普通に額が怖い。そして収益化配信の時点で十分ヤバかったのにその後のカリンお嬢様が渋谷を救った後の配信に至っては彼女の活躍に感銘を受けた視聴者からガチで彼女に生命を救われた人までがこぞって限界額を投げ始めるので更にヤバい。いや本当にみんな未成年の金銭感覚壊そうとするんじゃないですよ!!???こんなん実際に貰ってしまったら頭おかしくなるわ!!!

書き下ろしの真冬ちゃんの過去話が良かった

いろいろな意味で脇の甘いカリンお嬢様の配信を影に日向に支える名サポーターが同じ高校の同級生であり親友の真冬ちゃん。本来は未成年が持ち帰れないはずの素材を活用するための裏技を伝授したり、配信についても致命的な失敗をしないように(でもできる限り自由に動けるような形で)カリンに知恵を授けていて今回じわじわと「ただの高校生じゃない」感を出してきた真冬ですが書籍書き下ろしで掲載されていた彼女の過去話がとても良かったです。優秀なダンジョン探索者として国に生かされてきた彼女が大きな挫折を味わい一線を退き、失意の中でカリンと出会い、彼女の突拍子もない言動に振り回されながらも少しずつその姿に心を癒やされていって……やがて、彼女のダンジョン配信を見守っていきたいというささやかな願いを持つに至る。一方で実は真冬ちゃんの事情や実力をなんとなく察しているカリンも同世代の強者として彼女を尊敬し、いつか彼女に恩を返せる日が来るのを心待ちにしている……という珠玉の女の子同士のクソデカ感情エピソードが大変良かった。

でも、やっぱり最後の最後でカリンお嬢様の無双っぷりとその実力を目の当たりにする羽目になり、普通にドン引きする元歴戦の猛者・真冬ちゃんの姿におハーブ生え散らかすわけですが。いやでも本当にいろいろな意味で脇の甘いカリンお嬢様の配信が普通に笑える感じで収まってるの完全に真冬ちゃんがコントロールしてるおかげだと思うので今後も仲良くしていって欲しいですよね……いや本当に主に生活費の使い方と金銭感覚のあたりは上手くコントロールしてあげて欲しい…………頼んだよ真冬ちゃん………………。


これが魔法使いの切り札 2.竜の少女

 

妹分の正体は――竜!? 波乱を呼ぶ魔法学園ファンタジー第2弾
「このままならば――貴様は退学だ」「なんでぇ!?」 その特異な体質から魔法学院の在籍を許されたリクス。だがシノの付きっ切りの指導もむなしく、壊滅的な成績を叩き出し至極真っ当な理由(?)で退学の危機に瀕してしまう。 「団へ帰るっす! それを拒むというなら、力尽くでもッ!」 さらにそこに傭兵時代の妹分・トランがリクスを連れ戻そうと学院にやってくる。学院の中で“竜”の力を存分に振るう彼女のせいでこのままでは即刻退学!? 学院に残るため、リクスはトランを自身の召喚獣にしようと彼女との契約を狙うが―― え? トランって元々は俺の召喚獣だったの? なにそれ!?

魔術師の適性が皆無と診断されたものの、なんとかエストリア魔法学院に残留できることになったリクス。ところが、ペーパーテストの成績が壊滅的という真っ当な理由で再び退学の危機に。部活動での評価アップを狙って部活見学をはじめたが、そこに傭兵団時代の同僚の少女・トランが現れて……!?

色々と謎が深まってきたなあ……!!

一難去ってまた一難、リクスを追って学院にやってきたトラン(※正体はリクスと中途半端な形で繋がっている竜の少女)を巡って騒動が勃発するシリーズ第2巻。魔術師としての才能が無いリクスとトランがどうして不完全な形とはいえ召喚契約で繋がっているのか、その契約を正式なものにするためにはどうすれば良いのか。召喚契約を不完全な物のままだと即退学という崖っぷち、さらにそこに祈祷派を黒幕としたよからぬ企みを持つ連中がトランを狙いはじめる。崖っぷちの状況を打開するまでの流れでリクスが夢を通してかつての『黎明の剣士』の旅路を垣間見ていく……という展開がなかなか楽しかったのですが、最後の最後でシノの爆弾発言で吹き飛んでしまった。色々と謎が深まってきた……!!

シノがそうだったことだし、リクスも『黎明の剣士』の生まれ変わりなんだと1巻のラストを読んで思いこんでいたけど確かに名言はされてなかったな……と。リクスのスフィアの閉じ方の話とかも自然にああなった感じではなさそうだし、1巻で軽く語られていた過去話も含めてまだまだ不穏な過去話が埋まってそうな雰囲気なんですよね。というか、どうしても前作読者としては黎明の剣士というとロクアカに登場した「彼女」を連想するわけで……生まれ変わりじゃないとすると割と血なまぐさい連想をしちゃうんですが……。匂わせだけのスターシステムかも知れないけど、ロクアカと用語や単語の重複が多いの本当に気になるな……。

個人的には1巻以上に謎めいてきたリクスの出自やますます不穏になっていく祈祷派の動きなど、ますます続きが気になる終わり方で今後の物語がとても楽しみなんですが、それはそれとして今回も部活見学で魔術師達の中でリクスが物理で無双するみたいなコミカル展開もめちゃくちゃ楽しいので、両方バランスよく摂取できると嬉しいな。というかこのシリーズ、結構普通に本誌でドタバタしてるだけの短編とか読みたいんですけど……!!本誌で連載してるロクアカが終わるまで二作同時進行は流石にないと思うけど終わったらやってほしい気持ちが凄い。よろしくおねがいします。


空戦魔導士候補生の教官10

 

≪ファルシオン≫VS≪ミストガン≫! 最終戦の切符を手に入れるのは!?
≪ファルシオン≫に勝つため、ミソラはエリスとリーゼリットに訓練を願い出る。人型魔甲蟲である彼女たちは、戸惑いながらもE601小隊と過ごすことに……。一方、カナタを賭けた会談も始まろうとしていて――?

空戦武踏祭の初戦、大波乱だったバトルロイヤルを息抜き決勝トーナメントに駒を進めたE601小隊。決勝戦でぶつかるであろうベベル代表が使う《崩力》に対抗するため、同じミストガン代表のミーナだけでなく、人型魔甲蟲であるエリス&リーゼリットにも特訓の協力を依頼する。一方カナタは、教皇アンネローゼと人型魔甲蟲のリーダー・ゼスを対面させて話し合いの場を持とうとし……!?

かくして世界の行方は「空戦武踏祭」に託された!!(責任が重い!)

一応メインは《ファルシオン》との準決勝なんだけど、E601小隊の特訓&パワーアップ回という感じでした。ノエル率いるファルシオンだってミソラたちの身に大きく余るような強敵なんですが、ノエルが本調子でないことに加えて前巻の戦いで彼女達の戦う理由の一端に触れてしまったノエルが本気で相手をしながらも彼女達が強くなるために肩を貸してくれた感じ。そして準決勝から間髪入れずに教皇派とゼスの会談、そして決勝戦へ。とにかく情報量の多い巻だった!

ゼスの言いなりだったエリスがミソラ達の特訓や教皇机下にいる人型魔甲蟲の子どもたちとの交流を通して自分の意志で兄の意見に背き人類との共存を目指す……という展開は凄く希望の未来が垣間見えてよかったんですが、それはそれとしてカナタ達の方では空戦武踏祭の優勝チームが世界の実権を握る……みたいな話に。ベベルが勝てばゼスが、コウライが勝てばアンネローゼが、そしてミストガンが勝利した場合は双方に代表者を立てて共存の道を探る。いや、軽率にE601小隊の肩に世界の命運乗せてくるカナタ教官からの信頼重すぎないですか!?それに応えようとするミソラ達の姿が目を見張る物があるのは確かなのですが。純粋に空戦武踏祭を楽しんでほしい…って話はどこへいってしまったんだ。

前巻でカナタと一度離れたことで、自分たちで戦略を立案して自発的に動けるようになったE601小隊。それぞれに新技も身に着けて、人型魔甲蟲との共存の道も垣間見えて……とほんの少しだけ希望の光が差し込むお話だったのですが、あまりにも決勝の相手は遥か高みにいて。ミソラ達の成長は確かに目を見張る物があるんですけど、これまでのバトルは相手を隅々まで観察した上でその弱点を突く形式だったり、予想外のアクシデントが起きたり……という感じで真っ向からぶつかって勝ったのではない印象も拭えないんですよね。空戦武踏祭最弱の小隊……とまでは流石に思わないけどまだまだ未熟な彼女達が文句なしに最強の小隊であるベベルにどう立ち向かっていくのか。続きがとても気になります。

絶力の代償の話も引っ張られてるんだよなあ……いやあらすじバレでなんとなく知っちゃいるんですが……。


空戦魔導士候補生の教官8

 

カナタの呪力が姿を現す! そして行われるのは……殺し合い!?
《ベベル》第一人工空島地下都市へ運ばれたカナタは、呪力の本来の持ち主エミリー・ウィットベルンと出逢う。そして――「エミリー・ウィットベルンを殺さなければ、貴方は死ぬことになります」と告げられて――!?

ミソラを庇って重症を負い、更に呪力を暴走させ《狂乱》状態になってしまったカナタ。治療のため《ベベル》第一人工空島地下都市に運ばれ……そこでベベルの教皇アンネローゼと自身の身に宿る呪力が形を取った女性・エミリーに出会う。呪力の暴走を抑えるために3日以内にエミリーを殺さなければいけないと言われるが、カナタはエミリー自身に興味を持ち……!?

色々な問題が解決するパワーアップ回!(ただし展開はますます不穏)

教え子達と別行動となったカナタが一時「教官」をお休みして持て余し気味だった自身の《呪力》と向き合うお話。6巻に引き続きメチャクチャ面白かった……!!1巻からずっと持ち続けてきた自身の問題を克服するパワーアップ回でした。

教官としてのカナタは一旦お休み……と言いながらも、やっていたことは瀕死だったカナタの命を繋ぎ止めて呪力を託した女性・エミリーと向き合い、生きるのを諦めかけていたその本当の望みを気づかせ/暴くという展開で、序盤はほぼほぼいつもミソラ達に課してる「特訓」と同じ流れなんだよなあ。そもそも幼馴染のクロエや特務小隊の後輩・ユーリも彼がきっかけで大きな成長を果たすことが出来たみたいな話がありましたし、もう根本的に生き様がこうなんだろうなと。その割に言葉が足りないのは毎度どうしたものかなんですが!

どう足掻いても3日の生命しか保証されていないエミリーに自身が本当はもっと生きたいと思っているという望みを自覚させるのは残酷とも言えるのでは……と思ったけれど、そこからお互いに全力でぶつかりあうことで両方が存続できる未来を模索していく展開はアツかったです。ただ、今回は結果的に最高の形でことが運んだけれども、生命を救われた相手だからといって彼女の望みのためであれば生命をいともたやすく投げ出してしまえるカナタの精神性にはこれまでとは違った形で危うさを感じてしまいました。これから戦いの規模もますます大きくなっていきそうだし、どうなっていくのか楽しみな一方でめちゃくちゃ不安になる顛末でもあった。

呪力を宿したことで発生していた魔力枯渇の問題を遂に解決し、人間の魔力でも魔甲蟲の呪力でもない《冥力》、そして魔力と冥力の先にある《絶力》──他の誰も持ち得ない絶大な力を獲得したカナタ。覚醒したカナタが前巻で苦しめられたエリスを相手に無双する展開は大変に胸躍る展開だったのですが、敵側もそのカナタの戦闘力を遥かに凌駕する強敵を用意してお待ちしてるの一筋縄ではいかなさすぎる。都市を大きく巻き込みながらの戦いもカナタとしては本意ではないでしょうし、色々な意味でただパワーアップして大勝利では終わらない展開が印象的でした。というか今回力を課してくれたアンネローゼ教皇の一派も味方とは言いづらいし、人類最高の能力を獲得してしまったということはカナタを巡る争いも今後は更に激化していくだろうと考えるとむしろ不穏しかないんだよな。絶力を使う代償の話も……というか先の巻のあらすじがしれっとネタバレしていくのは如何なものか!!!(今巻読んでて感じた不安的中してるじゃん!なんでだよォ!!)

人の身として最高と呼ばれる絶大な力を手に入れ、それでも世界を救う勇者ではなく落ちこぼれ小隊の教官として元の居場所に戻っていくカナタの姿が大変に良かったです。色々横道に逸れた感じはあったけど次巻こそは舞台を「空戦武踏祭」に戻していくようで、こちらの展開もどうなっているのか。もう色々不穏しかないけど続きが楽しみ!


美少女揃いの英霊に育てられた俺が人類の切り札になった件

 

美少女揃いの英霊に鍛えられ、「最弱兵器」は最強へ進化する!
魔術学園を退学寸前のウィリアムは、千年前の戦争で活躍したという美少女英霊たちと出会う。「弟子となり最強を目指せ」と告げる彼女たちを疑うも、その指南により彼の秘められた才能が次々と開花する――!

ウィリアムは国内で唯一魔力を一切持たない人間として実家からは追放され、入学した魔導学園では『最弱兵器』とバカにされてきた。次の試験で結果が出せなければ退学……と言われ、悪友から唆されて学園内で封印されているという噂の「超越の指輪」を探しに行くが、そこで本物の指輪とその中で眠っていた美少女英霊達を呼び覚ましてしまい……!?

「最強」を自覚させないように美少女達が一生懸命頑張る無自覚系無双ファンタジー

面白かった〜!!タイトルだけ読むと美少女に囲まれてウハウハな俺が成り上がっていく系無双ファンタジーみたいな印象を受けてしまいがちなんですが、その実態は比類なき才能を持った主人公にその自覚を持たせないようにしながら美少女英霊たちがあの手この手で修行させようとするお話でした。

実は美少女英霊達は覚醒するきっかけを作ってあとは戦うためのお手本と修行する環境を与えただけであり、魔術に覚醒した後は師匠達の戦い方を見様見真似でどんどん自分の物にしていってしまう主人公のウィリアム。ただし、とにかく上昇志向が皆無な彼は「強くなった」と自覚してしまうとサボりはじめてしまうため、自分の成長をある程度は感じさせつつまだまだ平均以下だと誤解させて過酷な修行をさせるということに一生懸命な英霊達の姿に笑ってしまう。その流れでお色気攻撃も仕掛けてくるけど、絶妙に噛み合ってないのがシュールでした。そして彼女たちに騙されて自分が雑魚だと信じ込んで「他のやつらはもっと凄いんだろうな」と素で言ってしまう主人公(いくらなんでも学園で何も学んでなさすぎでは!?)と彼を取り巻く友人達(主人公が実は凄い実力を隠し持っていた!と持ち上げてくれる)のすれ違いで更に笑った。

そんな無自覚無双っぷりがひたすら楽しい前半ですが、後半は無自覚のまま現代の誰よりも最強になってしまったウィリアムでなければ倒せない強敵が現れて……自分の実力を無理矢理にでも認識させられ、改めて戦う覚悟を問われる羽目に。自分の実力にずっと無自覚でいられたのも、学園最強になった状況でも「雑魚」といわれて違和感を持てなかったのも、全ては幼い頃から魔力なしの最弱兵器としてバカにされ続ける境遇から自分を護るために無意識に構築した自己防衛だったんだなあ。人間そのものに恨みを抱いてもおかしくないような状況で、決して対等とはいかなかったけれど「友人」として接してくれた彼ら彼女らを護るため、彼らに恥じない自分になるため戦う覚悟を決めるウィリアムの姿が印象的でした。そして対処出来る人間が他にいないとしても決して無理矢理に戦わせるのではなく、自らの生命を掛けてウィリアム自身の意志を尊重してくれようとする英霊達と、幼馴染ヒロイン・セシリーの心遣いが胸に沁みる。

どんな辛い目にあっても捨てることができなかった「大事な人を護るために強くなる」という幼い日の約束。その約束の通り、セシリーの絶体絶命のピンチに颯爽と駆けつけるウィリアムの姿がめちゃくちゃアツかったです!

それにしても前半のキモだった「無自覚無双ファンタジー」的な要素は1巻で綺麗にカタがついちゃった感じだけど、2巻からどうするんだろう?1巻は割りと学園内で話の規模が収まっていた感じでしたが次巻は色々と状況が動いていくようなので、次巻も楽しみにしたいです。


2023年に読んで面白かったラノベ10+1選

今年は!書いたぞ!!年内になァ!!!
というわけで今年もあと2時間ほどですがいかがお過ごしでしょうか。私事ながら昨日コミックマーケット103に遊びに来てくださったかた、ありがとうございました。なんだかんだで珍しく年末が早めに収まったので久しぶりに旧年中に今年のまとめを書いております。

本年、概ね50冊程度とちょっと控えめな読了冊数に収まってたのですがその合間に小説家になろうでひたすらシャンフロを読んでたりしたので読書ペース自体は落ちていないハズ……(どちらかというとブログの更新頻度の低下が酷かった)とはいえ結構わかりやすく手を出せないまま終わった新刊・脱落したシリーズが多かったので来年はもう少したくさん読んでいけるといいなあ。過去作やなろうにも読みたいものがたくさんある……。

今年読んで面白かった新作・新シリーズ

かざなみ「私と陛下の後宮生存戦略 ‐不幸な妃は巻き戻れない‐」→感想
このイケメンの顔芸がすごい2023大賞
死ぬと1日前に巻き戻る能力を持つヒロインとそのループを唯一感知出来る皇帝陛下が運命の出会い!キレ散らかしながらヒロインのデスループを阻止するイケメン陛下のめくるめく顔芸!!!冷静に考えるとめちゃくちゃ重い設定なのにそれがひたすら笑いに代わっていくというとんでもないお話でした。イケメンの奇声と顔芸がみたい人は是非。コミカライズも最高でした。
夕鷺 かのう「かなりや異類婚姻譚 蛇神さまの花嫁御寮」→感想
ヤンデレヒーローの執着で夜も眠れないけど最後は暴力で解決する
婚約者に惨殺される未来を回避するため、未来視の能力を持つヒロインが奮闘する異類婚姻譚。好きになったら一途すぎてヤンでる旦那様を始めとして曲者揃いの登場人物達に頭を抱えながらも必死にフラグ管理する姿が最高に微笑まかわいかったです。やたらスッキリして終わるラストめっちゃ好き。
ゆいレギナ「100日後に死ぬ悪役令嬢は毎日がとても楽しい。」→感想
約束された「死」に向かって凛々しく歩む姿が美しい
100日後に約束された自らの終わりを受け入れて自らが愛した人々が少しでも笑って暮らせるよう奔走する令嬢の物語。気高く美しいその生き様が最高に良かったし、彼女の死を大きな心の傷としながらも彼女の遺志を受け継いで生きていく周囲の人々の姿が印象的でした。2冊で綺麗にまとまってるのもポイント高かった。
赤城 大空「【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう〜けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホほどバズって伝説になってますわ!?〜」→感想
タイトルの圧が強すぎておハーブですわ
主人公視点だと「普通」に思えることが、コメント欄の視点を通すと冗談みたいな「規格外な無双プレイ」になっちゃってるギャップがシンプルに面白く、めちゃくちゃ笑えるお話でした!(タイトルが長すぎるのでコメント短め!!)
朝依 しると「VTuberのエンディング、買い取ります。」→感想
すべての「推し」で悩めるオタク達に捧ぐ物語
炎上によって「推し」という心の支えを失った主人公が炎上ブロガーとして様々な問題を抱えるVtuberに引導を渡していく物語。物語を通して見えてくるオタクの数だけある「推し」の形、それに引導を渡しながら自らの心に何かを問い続ける主人公の姿が印象的でした。1巻単体でも良かったけど2巻の続け方がまた好きで、続きが楽しみ。
下垣「自作3Dモデルを売るためにサキュバスメイドVtuberになってみた」→感想
クリエイターの難しさと世間の狭さを実感する物語
クリエイターとして成功したいのにVtuberとして大成功してしまい…という葛藤が大変良かったし、それはそれとして男子高校生がエッチな見た目のVtuberとしてえっちな目線を向けられるのはえっちで良かった。ネットとリアルが密接に絡み合う世間が狭い展開も楽しかったです。ところでカクヨム見たら2巻には女装ネタが入るそうなんですが続刊はまだですかね???

既存シリーズ

羊太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典24」→感想
もう今年はこれの完結なくしてラノベを語れない
オールキャストで繰り広げられる魔王フェロード&天の智慧研究会との決着、グレンの本当の力が明かされる宿敵ジャティスとの決戦、そして……どんどんギアの上がっていく展開がひたすら凄かったし、そこからの絶望的な最後の戦いがヤバかったし、そこからのめちゃくちゃハッピーな大団円エンドが最高でした!!今年は本当にロクアカの完結を抜きにしては語れない。
紫 大悟「魔王2099 3.楽園監獄都市・横浜」→感想
2年ぶりの新刊、魔王と勇者の背中合わせの共闘が最高でした!!
めちゃくちゃ好きだったけど2巻打ち切り……になっていたとおもってたシリーズがまさかのアニメ化引っ提げて戻ってきた!!3巻は仲間達全員が大活躍するクライマックスもさることながら、これまで以上に魔王と勇者の関係性が濃厚で、大変に良かったです。かつての宿敵が背中合わせで戦う展開、もう好きしかない。
南野 海風「魔術師クノンは見えている 4」→感想
クノンとジオエリオンの関係性でご飯3杯行けるので
様々なしがらみなんか気にしないでひたすら魔術探求に精を出す主人公とその級友達がとにかく楽しいこのシリーズ。魔術談義まわりだけでも十分楽しいのに3巻からクノンにジオエリオンという親友にしてライバルが爆誕してしまったのでもう大変でした。4巻の直接対決最高すぎるからみんな読んで。これまで以上にクノンが台風の目になっていきそうな2年生編にも期待!!
二月 公「声優ラジオのウラオモテ #08 夕陽とやすみは負けられない?」→感想
声優ライブのこういう演出に弱すぎるオタク私
先に進むほどギアを上げていく「声優ラジオ」なんですけど8巻のオリオンvsアルフェッカライブの演出が本当に本当に好きで……もうアイドルコンテンツの声優ライブに行ったことあるオタクとしてあの世界のオタクに感情移入してしまったので私はもう駄目です。あんな演出されたら光る棒振れなくなっちゃうでしょ!!好き!!!
硬梨菜「シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜」→感想
今年後半ずっと読んでたなろう小説大賞
アニメ化もしたしすごい今更だし書籍化していないのでこのブログでは全然話題にしてないんですが、11月12月はずっとシャンフロを読んでました…いやもう何年もジワジワと読みすすめてるんですけどディプスロさんがめちゃくちゃ私の好きなタイプの主人公のライバル枠でして…「竜よ、竜よ!」の前半戦が好きすぎるんですがこれは…アニメもコミカライズもめちゃくちゃ最高なので未読の人は読んでみて欲しい。


ゆるコワ! 〜無敵のJKが心霊スポットに凸しまくる〜

 

最強女子高生、桜井梨沙と、腹黒残念美人、茅野循が贈るとびきりの怖い話!
「私たちも部活で青春をしてみるっていうのはどうかしら?」 最強女子高生の桜井梨沙は、悪魔的頭脳を持つ残念美人の茅野循に誘われ、 オカルト研究会を結成することに。 活動内容は心霊スポットを探索し、調査結果を会報にまとめること。 早速病院の廃墟に向かうが……。 呪いの神社、最凶事故物件、そして「カカショニ」。 ヒトコワ、呪い、都市伝説もどんとこい!  ゾクゾク怖くてスカッと爽快、最強女子高生ふたりの快進撃!

元柔道部の女子高生・桜井梨沙は悪魔的頭脳を持つ友人・茅野循に誘われてふたりきりのオカルト研究会を発足させる。校内に拠点が欲しいだけの研究会、真面目に活動する気など微塵もなかったがひょんなことから過去の研究会で発行された冊子を目にして興味を惹かれ、心霊スポットと名高いとある廃病院に向かう……。

最強女子高生コンビが無双する系ホラー!!(隠し味は百合の味)

軽い気持ちでオカルト研究会を立ち上げたふたりが気になる心霊スポットに突撃取材(概ね無許可)してオカルトやそこに救う人間の悪意と遭遇・対決。好奇心を満たしまくるお話。色々な意味で我が道を行く主役の女子高生コンビがサクサク事件を解決してしまうのであまり怖くなく、ホラーが苦手な人でも楽しめるお話でした。

人間怖い系の話かとおもえばオカルトだったり、オカルトかとおもえば人間怖い系の話だったり……というジャンルの幅の広さも良かった。頭の良い循が周囲を翻弄し、危険な状況は梨沙の体術で対抗する……という感じで基本的に対人間であればおおむね敵なしで安心して見ていられるのが色々な意味で強みだと思うんですが、何割かの確率で相手がオカルトなのでいい感じに安心しきれない感じになっているの良い。ただし、頭脳や体術だけでなくメンタルも普通に強いし頭が良いので多少呪われてても呪いそのものを解決してしまい案外なんとかなってしまう。第三話の「亡者の家」とか、最強だと思われていたふたりが本物の霊を引いてしまってガチで呪われる……というお話なんですが、様子がおかしくなりつつも家族やプロの霊能力者を巻き込みしぶとく立ち回る姿が強すぎて笑ってしまうし、最終的には状況を楽しみながら自分たちで霊障を解決してしまうという展開がめちゃくちゃ心強かったです。

なにより個人的に好きだったのが、女子高生ふたりの関係性が透けて見える第二話の「黒津神社」。丑の刻参りが流行していると噂の神社を調査していたら梨沙の名前が書かれた藁人形を発見してしまい……というお話なんだけど、藁人形を作った犯人を梨沙には気づかれないように探し出し、このへんだとアタリをつけてジワジワと悪魔のような冷酷さで追い詰めていく循の執念が凄い。隠しきれない循→梨沙へのクソデカ感情が最高に良かったし、絶妙に後味の悪い結末もいかにもなホラーで良かったです。なんていうか、少女漫画誌の夏休みの付録についてくるホラー小冊子のような後味の悪さだったなと……(アラサー以上元女児じゃないと伝わらなさそうな表現)(今の少女漫画雑誌って夏のホラー冊子の付録ってあります!?)

その一方で、エピローグで描かれる梨沙→循への感情も大変に良かった。色々な意味で好意がわかりにくい不器用な女・循の伝わりにくい気遣いをしっかり理解してそんな彼女を好ましく思いつつもそれとは全く別のところで彼女とともに過ごす時間そのものを「楽しんで」いる梨沙の姿が印象的でした。それはそれとして例の2話の顛末はもう藁人形が見つかった初手からずっと梨沙には内緒にされてるのでアレなんですが……いやでも梨沙なら余裕で循の肩を持つと思うので無問題かもしれない!?

各編が短めにまとまっていてホラー苦手民でも楽しく読めて、更に主人公2人の関係性でニヤニヤ出来てしまうとても楽しいお話でした。いくらでも続きを作れそうな部活物、というか実際Web連載版ではもっともっと先があるようなので続刊にも期待したいです。


【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう〜けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホほどバズって伝説になってますわ!?〜

 

チンピラお嬢様、爆誕ですわ!
「はぁ、今日も視聴者0、登録者3……。向いてないのかしら、わたくし……」 ドレス姿でダンジョン攻略するお嬢様系配信者、山田カリン(16)。 しかし動画は伸びず、一年たっても底辺をさまよっている。 そんなある日、カリンはダンジョン下層で妙な男を発見する。 「そんじゃいまから爆破すっからな?」 その手には国が禁じる危険物質が―― 「なにやってんだてめぇオラアアアアアアア!」 「ぐはぁぁぁっ!?」 迷惑系配信者をボコったカリンは、チンピラお嬢様として人気に火が付いて……!?  おハーブすぎるダンジョン無双バズ、開幕ですわ!

世界中にダンジョンが出現し、ダンジョン探索者が「職業」として市民権を得た世界。16歳の山田カリンはとあるアニメのキャラクターに憧れてお嬢様言葉にドレス姿で優雅にダンジョン探索を行うというのをコンセプトにダンジョン探索配信を始める。だが動画再生数も登録者数も全く伸びず、たまに視聴者が来ればなぜかフェイク映像を疑われるばかり。ある日、ダンジョン探索の帰り道に違法なアイテムを使ってダンジョンの壁を爆破しようとしている探索者を発見してその場の勢いでボコってしまったのだが、それをきっかけにして彼女は「有名迷惑系配信者を成敗したチンピラお嬢様」としてネットに名を馳せていくことに……!!

現実は二次元より奇なり

序盤は「冴えない底辺配信者で探索者な山田カリン」としての視点から始まっていて、そこからボコった迷惑系配信者のリスナー達やネットの民・匿名掲示板のユーザー達の視点を通すことで「実はこの子とんでもない実力者じゃない……?」と見せていく構成がめちゃくちゃ丁寧で面白かった。ずっとソロプレイだったので比較対象がいなくて自分の能力を凄いと思っていなかったとか、迷宮内の素材を持ち帰ってないので繋がりが出来ず探索者達にも存在を認識されていなかったとか、あまりにもやってることが規格外すぎて配信を見た人もフェイク映像だと思ってスルーしていた……とかとか、トンデモな設定を成り立たせるための肉付けが全力で行われていて説得力が凄いしトンデモ設定だけど違和感がなくて、まさしく現実は二次元より奇なりな展開になっている。未成年が素材を持ち帰れない理由とかありそうすぎて唸ってしまった。

そんなこんなで自分の実力に対して完全無自覚なカリンお嬢様(中身は苦学生)が迷惑系探索者をボコったことで存在を一般認知され……バズで付いたリスナーを掴むために「いつも通りの配信」をやってみたらとんでもない規格外ぶりにみんな困惑&ダンジョン攻略動画の情報量としても規格外すぎて界隈が阿鼻叫喚、という展開がとにかく楽しい。基本的にはカリン側の視点とコメント欄(彼女の配信を見ている視聴者達)の視点で物語が綴られていくんだけど、カリンお嬢様のお嬢様言葉や元ネタに合わせてどんどんコメント欄にもお嬢様言葉が広まっていったりして会話が先鋭化していくのとかかつての2chやYoutubeのコメント欄あるあるすぎておハーブ生えちらかした。動画配信モノらしいテンポの良いコメント欄からのツッコミと、その中で繰り広げられるカリンお嬢様の規格外な無自覚無双プレイがめちゃくちゃ楽しかった!タイトルから感じる荒っぽさとは裏腹に、とにかく最初から最後まで楽しく安心して笑えるコメディになっているのめちゃくちゃ好き。

今回は結局カリンの持つスキルの正体などにはほぼ触れられず「いつもの迷宮探索配信」を見せただけの1巻だったので(でもそのただ配信をしただけの1巻がこんなに面白いのでズルい)、今後深堀りしたらどんな話が飛び出してくるのか気になりすぎる。おハーブ育てながら次巻をまとうと思います。