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恋姫・無双外伝 紫電一閃!華蝶仮面 ?成都を駆ける一陣の風?

[原作]BaseSon [著]御門 智 [絵]水月 悠

ある日突然、異世界の…三国志の猛将達が皆女の子、という世界に飛ばされてしまった本郷一刀はいろいろあって現在は北郷(蜀)の王になっていた。そんな彼の領地に、次々と怪しげな輩が現れる!それに立ち向かうのは背丈を越える二又の槍を持ち、蝶の仮面を被った正義の味方「華蝶仮面」!!彼女は果たして悪を討ち、混乱に陥った成都を救う事が出来るのか……!?
   個人的お気に入り度数
18禁ゲーム「恋姫無双」のヒロインの一人・趙雲が扮する正義の味方「華蝶仮面」をクローズアップした外伝的ノベライズ。「恋姫」は発売前から気になってたエロゲーの1つではあったのですが、Alles ist im Wandelさんの感想を見たら非常に面白そうだったのでとりあえず小説だけでも…と手にとって見ました。

何故かノリはド健全な90年代の日曜朝に良くやってた特撮美少女モノ(笑)登場シーンでは絶対に高いところから現れる、仮面被っただけで正体バレバレのはずなのに何故かバレない、喫茶店に偽装したアジトにマッドサイエンティストの仲間に巨大ロボに“偽・華蝶仮面”に過去話に大切な人との哀しい再会に……と、とにかく特撮アクションものの王道展開を詰め込んじゃいましたという感じ。……というか、ものすごく面白いんですが、どうしましょうこれ。

ある程度原作につながる小ネタはあるのかもしれませんが、原作ゲームでの知識はほとんど必要ありませんし、そのテの王道熱血路線が好きな人なら間違いなく楽しめるのではないかと思います。とにかく展開がベタ。そして「萌え」差し置いて怒涛のようにやってくる「燃え」の嵐。師弟対決のくだりでは思わずホロリとしてしまいますし、お約束な展開で笑わせてもくれます。とりあえずここは三国志の猛将どもが皆萌えっ娘な世界なんだと把握しておけば楽しめるという、お手軽さ。今まで結構な数のノベライズ小説を読んできましたがここまで原作知識が必要なく楽しめるノベライズも珍しいんじゃないでしょうか。

そんなこんなで、ますます「恋姫無双」が気になってきてしまった今日この頃ですが、ここは一つエイヤっと原作にも手を伸ばしてみるべきなのでしょうか。エロゲー遍歴はそれなりにあるので特にエロがある事については気にならないし、この外伝のような雰囲気のゲームだったら大歓迎というかむしろ大喜びなのですが…教えてエロい人!


バイトでウィザード 双子の飼育も銀玉次第!

オンライン書店ビーケーワン:バイトでウィザードバイトでウィザード

発売:2006.7
発行:角川書店
[著]椎野 美由貴 [絵]原田たけひと
外伝シリーズ4作目。
なんか今回は全体的にしんみりとした話が多かったような…
「星降る夜のわすれもの」は一条兄弟の絆の強さというか、
豊花の女の子らしい一面が覗けて良かったと思います。
これといい花火の話といい今回美味しい所持ってきすぎです、豊花。

逆に家庭教師の話は個人的にはイマイチ破壊力が足りなかったです。
ギャグ話だと「クレイジーベビーでほふく前進!」がツボ。
最後の一行が色々な意味であの兄弟らしくて良いです(笑)

また、少年エースに掲載された「あの日をもう一度?」は、本編の内容を踏まえて考えるとほんと切ないというか、しんみりしてしまうストーリーでした。ほんと、あの二人には幸せになって欲しいよ…。

そういえば、先月でた本編「唱えよ安らぎの歌、と星は輝いた」を最終巻と勘違いしててコメント欄でご指摘を頂いて修正したのですが、冒頭に書いてしまったためbk1に送ったトラックバックにしっかりその文章が残ってる?…と頭を抱える毎日です。bk1に連絡したら消してくれるのかな、ああいうの…。


組織の宿敵と結婚したらめちゃ甘い2

 

組織の宿敵が合コンで前の席に座ってた……イチャ甘夫婦の馴れ初めに迫る!
「な、なななな……んで、《羽根狩り》が、ここ……に」 「それはこちらのセリフだ、《白魔》。何らかの任務か?」  かつて敵対する異能力者の組織に属し、反目し合う目的のために抗争を繰り広げていた二人。《羽根狩り》こと犀川狼士と、《白魔》こと柳良律花は……組織解散後になぜかイチャコラ付き合った上に結婚していた!  そんな彼らの馴れ初めは、じつは場末の合コン会場からはじまった。大学生になっても宿敵同士はいがみ合うし喧嘩もするし、しまいにはどっちが強いかの幼稚なマウンティングバトルをはじめてしまう。でも似た者同士な二人は結局息ぴったりで、居心地も妙に良くて、互いの魅力にどんどん気づいていって……  昨日の敵は、今日の合コン相手。そして、将来は……?   その宿敵こそが、やがて運命の人だと気付くまで。  再会して恋して愛に至る、これは彼らの青春と初恋の記憶(ラブコメディ)。

かつて《羽根狩り》の異名を持ち、異能者達を狩る組織の一員として戦いを繰り広げた男・犀川狼士。世界が平和になり、普通の大学生になった彼は大学の合コンで何故か宿敵だった最強の異能者・柳良律花と再会する。再会時の第一印象も最悪、だけどお互いにどちらが上か決着をつけようとしているうちに戦っている時には見えなかった意外な一面を目の当たりにして……!?

相変わらずラブコメと異能バトルの配分が超好み

かつては現代異能バトルの最大のライバル同士……だったけれどなんやかんやあって現在はイチャイチャ新婚夫婦に……な二人の「なんやかんやあって」の部分を紐解く過去編。前巻に引き続き面白かった!素直になれない二人が形ばかりの「勝負」に固執しながらもお互いを意識していく様子が大変甘酸っぱいし、新キャラとなる狼士の悪友ふたりもキャラが濃ゆくて最高だったし、過去も現在もお兄ちゃんは心配症だった。それはそれとして、過去の狼士と律花がもどかしい距離感のラブコメやってる合間に「現在の」彼らが過去の馴れ初めエピソードを回想しながらイチャコラしてるの本当に温度差ひどくて笑う。

そして強力な異能者である律花の孤独に寄り添うため、無能力者の狼士が能力者を圧倒して無双するクライマックスがメチャクチャ良かった!いや確かに、無能力者である狼士が異能力者と互角以上に渡り合うにはそれしかないよねっていう感じの戦闘スタイルなんだけど、「足りないもの」を水面下での努力と情報戦と冷静な判断と頭脳プレイで圧倒しているのが最高に滾る!今回もメインであるラブコメにさらりと仕込まれたシリアス・異能バトルの配分がめちゃくちゃ好み。

それはそうと、今回も前作『サキュバスとニート』のキャラクター達がさりげなく登場してましたね。高校生時代の(まだ野球少年だった和友の女房役だった頃の)琥太郎が和友と「鐘を鳴らせたら永遠に結ばれる鐘」をふたりでつきに行こうとしてるの、微笑ましいの前に割と彼らを待ち受ける未来を思うと地獄みが深いんですが……ひきニートになった和友の唯一の親友ポジを確保したことまで考えるとむしろ汚染された聖杯的な案件なのでは……いや彼らが鐘を鳴らせたとは誰も言ってないしうん……。


声優ラジオのウラオモテ #10 夕陽とやすみは認められたい?

 

2024年TVアニメ放送!渡辺千佳が本心に向き合う、第10弾!
――佐藤。泊めて。  母に一人暮らしを反対され、我慢ならず家出してきた千佳。母は自分が声優として独り立ちすることをどう思っているのか。怒りと不安に苛まれる彼女のもとへ、同じく母親と不和を抱える双葉ミントが現れる。 「声優なんて、俳優になれない人がやる仕事でしょう……?」  そう言い切るのは、世界的大女優であるミントの母親・双葉スミレ。  親に声優活動を否定されるミントと自分を重ねた千佳は、どうすれば声優のすごさを見せつけられるか頭を悩ませる。だが由美子は勝負では解決しない、歪な親子関係の『真実』に気づいていて――。  2024年TVアニメ化も決定の声優青春ストーリー、第10弾!!

高校卒業後の一人暮らしを母親から反対され、喧嘩して由美子の家に逃げ込んできた千佳。そこにさらに、将来の話で母親と衝突した現役女子小学生先輩声優・双葉ミントが逃げ込んでくる。ミントを迎えに来た彼女の母親である大女優・双葉スミレの「声優は俳優になれなかった人がなる職業」という言葉に激昂した千佳はスミレに声優の凄さを見せつけようするが、由美子はその行動に違和感を覚えて……。

似てないようでやっぱり似ている2つの親子関係が印象的だった

双葉ミントの家庭の事情に切り込みつつ、序盤に出てきたきりなぁなぁになってた渡辺家の母子関係にも改めて切り込むお話。前巻に引き続き由美子の活動休止中の出来事で、由美子の方の事情が色々と片付いた分今回は千佳側からの視点が多く入っているんですが……渡辺千佳というか夕暮夕陽さん、マジで「歌種やすみ」の評価がメチャクチャ高くて震えた。声優の凄い演技の代表として、そして自分の目指すべき高みとして──当たり前のように大御所声優の名前と歌種やすみの名前を並べて大絶賛してくるじゃん……。

今回はなによりもミントの母である大女優・双葉スミレのキャラクターが強かったです。有名人オーラを完全にコントロールしている超絶演技力、大御所俳優として千佳達と対峙した時の威圧感についてはもう紙面を通じてこちらにまで伝わってくるようなヤバさだったし、そんな圧倒的な演技力で形成された強固な心の壁をコミュ強ギャルの佐藤由美子が少しずつ崩していくまでの駆け引き、何枚もの強固な防壁の裏に隠された「母親」としてミントを気遣う彼女の不器用な本心には圧倒されるばかりでした。いやしかし、将来への迷いを振り切って心の余裕が出てきた由美子のコミュ力・フォロー力とカリスマ性が無ければ乗り切れなかったであろう局面が多すぎて……特に初手からギクシャクしてた渡辺母と双葉母を左右に並べて真ん中で相対するのとかマジで由美子にしかできないよね……これは千佳もクソデカ評価しますわ……。

そんな双葉スミレの娘である双葉ミント──オフでは小学生としての年相応な顔を見せながらも、時に同じ業界の「先輩」として大人びた一面を覗かせるというギャップが印象的でした。ミント先輩というとどうしてもライブ前の過剰レッスンで無理して倒れかけたエピソードの印象が強かったんだけど、親の七光りが届かない場所で体力面や時間面で大きなハンデを抱えながらこの業界で生き抜いてきたのは伊達じゃなかった。半ば彼女のために用意されたイベント舞台で、桜並木乙女や夕暮夕陽といった実力派若手声優の中にあっても全く臆せず、かつて目指して挫折した俳優ではなく「声優として」圧倒的な演技力を見せつけるクライマックス、母親に認められるために演技の道を選んでスミレの言う通りそこから逃げ出して声優の道を選んだ双葉ミント……母親の存在に縛られ続けてきた彼女が自らの意志で「声優」として歩む道を改めて選ぶ……という展開がめちゃくちゃアツかったです。

そして、1巻でとりあえず決着は付いたもののギクシャクしたままだった渡辺母子の改めての話し合いも凄く良かったなあ……相変わらず声優としての仕事の不安定さを不安視しつつも同じ母親として大女優である双葉ミントにすら物怖じせずに自分の意見を言う渡辺母の株がマジで上がりすぎだった。喧嘩するたびに由美子の家に駆け込む千佳に頭を抱える姿が微笑ましいし、なんだかんだで母親のことを意識すると緊張してしまう千佳にニヨニヨしてしまう。

そんなわけでふたりの将来に関する悩みも概ね振り切ったところで次巻、いよいよ「卒業」な展開でどうなる!?


美少女揃いの英霊に育てられた俺が人類の切り札になった件2

 

『最弱兵器』暗殺の危機!? 陰謀渦巻く学園代表選抜戦、開催!
美少女英霊たちの弟子となり、魔物の大軍を退ける大活躍をしたウィリアムは、今日も修行に打ち込んで――いなかった。 「この前一生分の修行をしたじゃんか」「お前という奴は!」 サボり癖の抜けない弟子に、英霊たちは四苦八苦続き。 そんな中、第三王女のカノン・ユークリウッドがクラスに編入され、何故かウィリアムに接触を図ってくるように。 「わたくしは、あなたのことをよく知りたいと思っています」 笑顔でそう告げ距離を近づけてくる彼女の本当の目的は、なんとウィリアムの身辺調査、もしくは暗殺!? 『最弱兵器』は、新たな危機をどう乗り越える――?

美少女英霊たちの弟子となって魔物のスタンピートを止めるという活躍を見せたウィリアムだが、学園の危機と自らの留年の危機から脱したのを良いことにサボり癖が復活してしまう。そんな中、ウィリアムの活躍を知った第三王女カノン・ユークリウッドが彼の正体を探るために接近してきて……否応なしに学園最強を決める「代表選抜戦」に参戦させられることに!?彼女から「聖人」という言葉を聞いたレインの様子もおかしくて……。

綺麗にまとまりすぎてた1巻からの方向転換が大変そう

強くなったウィリアムが世界を救う「切り札」になるため、前に進む動機づけをするための、そして「魔王の従者」を名乗っていたレインが自らの因縁を乗り越えてもう一人の師匠として正式に立ち上がるための物語でした。良くも悪くも1巻を追えて今後長編シリーズをやるための方向転換・下地作りの巻だったのかなという印象を受けて、面白かったんだけど1巻のパンチが強かった分少し今回は色々なものが弱く感じてしまったな……。

1巻の「自分の実力を何も自覚していない主人公が無双するのを周囲がドン引きしながらその実力を気づかせずその気にさせて修行させる」という方向性が凄く面白かったんですよね。ただ、1巻でその辺の周囲の齟齬はほぼほぼ解消してしまい……比較対象も何も知らない一般人から変わって太古から世界を裏で操る覚醒者達へと変わってしまい、覚醒めたばかりの主人公が世界を操る強大な敵に立ち向かう──という方向性になってしまっているので若干「求めてたモノと違う」と感じてしまった部分はある。前巻めちゃくちゃおもしろかった師匠達との修行シーンも、「本気になれない」という壁が立ち塞がった点を踏まえても普通に苦労してる感じでしたし。ゼスやレオナルトといった男子の友人組の影が薄くなってしまったのもさみしくて……いや、もうあらゆる意味で1巻が1冊で綺麗にまとまりすぎてたんだよ!!

ただ今回の話は色々な意味で今後への下地づくりの回だと感じたので、3巻で本格的に覚醒者達が動き始めた時にどういう方向になっていくのか気になるし、何より覚醒したウィリアムの隣に立つために物語の裏で努力を続ける幼馴染ヒロイン・セシリーがめちゃくちゃ可愛かったので二人の関係が今後どのように変化していくのかも含めて今後が楽しみです!


職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。

 

効率、出会い、トッププレイヤー争い、興味なし。 私はとにかく黙々と収拾、生産、販売作業ゲーがしたいのである。 ──そう思って、気ままにクラフトを楽しむVRMMO『きまくら。』で仕立屋になった少女・ビビア。推しキャラの服の作成やアイテム採集など、ゆるゆる服作りをエンジョイ中。図らずも革命イベントを発生させて一躍注目と賛否を集めると、お店は大繁盛&大炎上! まあ匿名世界だし、あんま気にしなくていっか、と叩いてくるアンチは全て無視、大荒れ掲示板も一切興味なし。だけど、作った服に特殊スキルが付与されるからか、注文は止まらない……。ただ楽しみたいだけの彼女は、やがて全プレーヤーを揺るがす存在となっていき──? 世知辛い世界をのんびり楽しみ尽くす、ほのぼのクラフトファンタジー!

クラフト要素目当てでVRMMO『きまくら。』をはじめたビビア。プレイヤーとの交流は殆どしないで、仕立て屋として洋服を作ったりNPCと交流する日々を続けていたがどうも周囲の様子がおかしい。どうやら彼女が偶然発生させてしまったイベントがゲーム世界前提を揺るがす重要イベントだったらしい。しかもこのMMORPG、ただのほのぼのクラフトゲーではないみたいで……!?

サバサバ女子、殺伐ネトゲで炎上しながら淡々と生きる

1巻読み終わるまでずっと動画配信モノだと勘違いしてました。この主人公がどんな流れで動画配信の道に!?ってずっと不思議に思ってたんだけど普通にそんな展開なかった。主人公がクラフト系のVRMMOしてる様子を淡々と(小説の地の文で)実況しているお話、といえばまぁ確かにそうなんだけど、配信モノの作品が増えてきた今このタイトルすこし紛らわしいなぁ……と思いつつ、「実況=動画配信ジャンル」という認識が自分の中で結構出来上がってしまっていることにも驚愕した。クラフトゲーやホラゲーの実況とか割と好きです。

ほのぼのクラフトゲーとは名ばかり、晒し上げ上等身内ノリ上等プライバシー皆無プレイヤー同士の競争要素ありという殺伐MMO『きまくら。』で淡々とクラフト要素を楽しんでいたところ、クラフト特化のプレイスタイルが福を呼び込んだのか様々な新要素を発見してしまう主人公のビビア。光速で特定されて炎上するも、全く気にせずにアンチとなんかうるせーやつは全員ブラックリストにぶちこんで淡々とクラフト&NPCとの交流を楽しむ……というサバサバっぷりが大変に良かった。NPC交流・クラフト要素に対する熱の入れように対してリアルプレイヤーに対する対応が塩すぎるの面白い。

主人公が新要素を発見しまくり、クラフトしたアイテムにスキル付けまくり……とゲーム内で無双してる要素にちゃんと理由があるのも良かった。服飾をやりたくてゲームを始めた彼女がゲームならではのショートカット系スキルを基本的に使わず、ひとつひとつ手作りで仕上げていったところそこにスキル付与の隠し要素が潜んでいたと。そりゃあ確かにゲーム慣れててゲームとしてクラフトを楽しむ層はやらないし見つけられないよなあ。おそらく、プレイヤー自身のデザインセンスの高さも関わってきている感じがするので誰でも出来るわけではないというのがまたエグい。彼女が発生させたシエルシャンタの親密度ストーリーだって完全にキャラクターへの愛情じゃなくてユーザーのデザインセンス次第じゃないですか。シエルシャンタ廃のゾエベルさんは強く生きて欲しい……。

しかし面白かったんだけど、色々と噛み合うまでが長かった。序盤はビビアが本当に淡々とクラフトゲーをやっているだけで、章間に挟まるユーザーチャットでのやりとりもある程度本編と繋がりが無いわけではないけどそんなに噛み合っておらず……中盤でビビアが「革命」イベントを発生させて炎上するまでは全体的に起伏の少ない状態が続くのでだいぶ掴みが弱い感じ。その代わりに、革命イベント発生後は一気にこれまで積み上げてきたユーザーチャットでの設定や会話が本編に生きてきて面白い。この辺の全体的な立ち上がりの遅さは良くも悪くもWeb小説ならではだなあ。

この手の、書籍化すると1巻の時点でストーリーの方向性が見えないまま終わる作品が多い感じなのもやや難で、というか1巻なのに地味に気になる終わり方するじゃないですか。リアルプレイヤーとの交流をサバサバとぶった切りすぎて、同じクラフトガチ勢であるキムチさんに怯えられてるの笑ったけど。発生させてしまったメインストーリーの展開は今後どうなっていくのか。色々不穏な要素も見え隠れするNPC交流の行方は、主人公はこのまま基本交流なしでサバサバやっていくのかそれともなんだかんだで交流が増えていくのか。「結社」とは一体………とりあえず、2巻でどうなっていくのか楽しみにしたいと思います。

それにしても、「治安の悪いネットコミュニティ」の描写がリアルすぎて地味に生々しいな。妹ちゃんの所属していたギルドの内輪もめの話も結構ネットあるある……だし、バレッタさんの初対面の相手にクレーム9:絶賛1のメッセージ投げて許されると思ってる感じとか、竹中さんの空気読めないオタクっぷりとか、『きまくら。』に「。」を付けないで発言すると自称警察が沸く流れとか。というか、この往年の匿名掲示板のようなノリのMMORPGにソシャゲもびっくりのランキング要素入れて札束でNPCの本妻争いさせるのエグいよ……。


【悲報】お嬢様系底辺ダンジョン配信者、配信切り忘れに気づかず同業者をボコってしまう 2〜けど相手が若手最強の迷惑系配信者だったらしくアホ程バズって伝説になってますわ!?〜

 

カクヨム年間総合1位の超人気作!
バズリまくってついに収益化を達成したカリン。 記念すべき初回配信に現れたのは、憧れのセツナお嬢様の“生みの親”もちもちたまご先生で……?  一方、カリンをバズらせるきっかけとなった迷惑系配信者・通称ゲロも、虎視眈々とカリンを狙っていた。 あらゆる注目を集めつづけるカリンだが、その実力はまだまだ未知数。まさかダンジョン崩壊を機に、“フィスト●ァックお嬢様”を超える伝説が生まれることになろうとは、カリン本人を含む誰も知らないのだった――。 人気すぎておハーブ大農園!!! 規格外お嬢様のダンジョン無双バズ、第2弾!

若手迷惑系配信者を成敗したチンピラお嬢様として頭角を現し、迷宮攻略生配信で各所に衝撃を与えた山田カリン。ところが、配信中のちょっとした行動や失言が原因でおかしなネットミームが生まれつつあった。マイナスイメージを払拭するため、取り急ぎ雑談配信を行うことにするが、そこで再び衝撃の事実が発覚して……!?

(読者とリスナーと配信者自身の)新鮮な悲鳴は健康に良い

1巻の時点で驚きの連続だったのでもう驚かねーぞ!!と思いながら読んだけど1巻の内容なんて全然まだ氷山の一角でしたね!!今回も最初から最後まで驚きの連続だったしめちゃくちゃ笑った……いやもう本当に、ここまで頭をからっぽにしてケタケタ笑いながら読める作品って貴重なのでこのままのノリでどこまでも行って欲しい。

1巻の時点で大分情報量が積載過多という感じあったんですけど、彼女のトレードマークであるドレスの素材の話をキッカケにしてまた次から次へと明かされていく驚きの新情報に困惑するしかない視聴者に笑ってしまう。ひょっとして今見せられてる実力も氷山の一角なのでは……?と思っているうちにそれを実証するような出来事が発生するの笑うし、それはそれとして全然関係ないところで勝手に変なことやって自滅しているお嬢様が可愛くておハーブ。

個人的には収益化記念配信の話が凄い好きで、配信を見ている限りどうみても苦学生なカリンに金を持て余した大人たちがすごい勢いで赤スパ投げるのを最初は微笑ましく眺めてたんですけど、いやいくらなんでも額がヤバすぎない!?とだんだん真顔になってきて、最後にカリンがこよなく愛するセツナお姉様の生みの親・もちもちたまご先生まで現れてしかも喋るたびにスパチャの限界額投げてくるの本当にまあそのくらい投げても全然問題ないくらい今回の件で儲かってるだろうし感謝してるんでしょうけど普通に額が怖い。そして収益化配信の時点で十分ヤバかったのにその後のカリンお嬢様が渋谷を救った後の配信に至っては彼女の活躍に感銘を受けた視聴者からガチで彼女に生命を救われた人までがこぞって限界額を投げ始めるので更にヤバい。いや本当にみんな未成年の金銭感覚壊そうとするんじゃないですよ!!???こんなん実際に貰ってしまったら頭おかしくなるわ!!!

書き下ろしの真冬ちゃんの過去話が良かった

いろいろな意味で脇の甘いカリンお嬢様の配信を影に日向に支える名サポーターが同じ高校の同級生であり親友の真冬ちゃん。本来は未成年が持ち帰れないはずの素材を活用するための裏技を伝授したり、配信についても致命的な失敗をしないように(でもできる限り自由に動けるような形で)カリンに知恵を授けていて今回じわじわと「ただの高校生じゃない」感を出してきた真冬ですが書籍書き下ろしで掲載されていた彼女の過去話がとても良かったです。優秀なダンジョン探索者として国に生かされてきた彼女が大きな挫折を味わい一線を退き、失意の中でカリンと出会い、彼女の突拍子もない言動に振り回されながらも少しずつその姿に心を癒やされていって……やがて、彼女のダンジョン配信を見守っていきたいというささやかな願いを持つに至る。一方で実は真冬ちゃんの事情や実力をなんとなく察しているカリンも同世代の強者として彼女を尊敬し、いつか彼女に恩を返せる日が来るのを心待ちにしている……という珠玉の女の子同士のクソデカ感情エピソードが大変良かった。

でも、やっぱり最後の最後でカリンお嬢様の無双っぷりとその実力を目の当たりにする羽目になり、普通にドン引きする元歴戦の猛者・真冬ちゃんの姿におハーブ生え散らかすわけですが。いやでも本当にいろいろな意味で脇の甘いカリンお嬢様の配信が普通に笑える感じで収まってるの完全に真冬ちゃんがコントロールしてるおかげだと思うので今後も仲良くしていって欲しいですよね……いや本当に主に生活費の使い方と金銭感覚のあたりは上手くコントロールしてあげて欲しい…………頼んだよ真冬ちゃん………………。


これが魔法使いの切り札 2.竜の少女

 

妹分の正体は――竜!? 波乱を呼ぶ魔法学園ファンタジー第2弾
「このままならば――貴様は退学だ」「なんでぇ!?」 その特異な体質から魔法学院の在籍を許されたリクス。だがシノの付きっ切りの指導もむなしく、壊滅的な成績を叩き出し至極真っ当な理由(?)で退学の危機に瀕してしまう。 「団へ帰るっす! それを拒むというなら、力尽くでもッ!」 さらにそこに傭兵時代の妹分・トランがリクスを連れ戻そうと学院にやってくる。学院の中で“竜”の力を存分に振るう彼女のせいでこのままでは即刻退学!? 学院に残るため、リクスはトランを自身の召喚獣にしようと彼女との契約を狙うが―― え? トランって元々は俺の召喚獣だったの? なにそれ!?

魔術師の適性が皆無と診断されたものの、なんとかエストリア魔法学院に残留できることになったリクス。ところが、ペーパーテストの成績が壊滅的という真っ当な理由で再び退学の危機に。部活動での評価アップを狙って部活見学をはじめたが、そこに傭兵団時代の同僚の少女・トランが現れて……!?

色々と謎が深まってきたなあ……!!

一難去ってまた一難、リクスを追って学院にやってきたトラン(※正体はリクスと中途半端な形で繋がっている竜の少女)を巡って騒動が勃発するシリーズ第2巻。魔術師としての才能が無いリクスとトランがどうして不完全な形とはいえ召喚契約で繋がっているのか、その契約を正式なものにするためにはどうすれば良いのか。召喚契約を不完全な物のままだと即退学という崖っぷち、さらにそこに祈祷派を黒幕としたよからぬ企みを持つ連中がトランを狙いはじめる。崖っぷちの状況を打開するまでの流れでリクスが夢を通してかつての『黎明の剣士』の旅路を垣間見ていく……という展開がなかなか楽しかったのですが、最後の最後でシノの爆弾発言で吹き飛んでしまった。色々と謎が深まってきた……!!

シノがそうだったことだし、リクスも『黎明の剣士』の生まれ変わりなんだと1巻のラストを読んで思いこんでいたけど確かに名言はされてなかったな……と。リクスのスフィアの閉じ方の話とかも自然にああなった感じではなさそうだし、1巻で軽く語られていた過去話も含めてまだまだ不穏な過去話が埋まってそうな雰囲気なんですよね。というか、どうしても前作読者としては黎明の剣士というとロクアカに登場した「彼女」を連想するわけで……生まれ変わりじゃないとすると割と血なまぐさい連想をしちゃうんですが……。匂わせだけのスターシステムかも知れないけど、ロクアカと用語や単語の重複が多いの本当に気になるな……。

個人的には1巻以上に謎めいてきたリクスの出自やますます不穏になっていく祈祷派の動きなど、ますます続きが気になる終わり方で今後の物語がとても楽しみなんですが、それはそれとして今回も部活見学で魔術師達の中でリクスが物理で無双するみたいなコミカル展開もめちゃくちゃ楽しいので、両方バランスよく摂取できると嬉しいな。というかこのシリーズ、結構普通に本誌でドタバタしてるだけの短編とか読みたいんですけど……!!本誌で連載してるロクアカが終わるまで二作同時進行は流石にないと思うけど終わったらやってほしい気持ちが凄い。よろしくおねがいします。


空戦魔導士候補生の教官10

 

≪ファルシオン≫VS≪ミストガン≫! 最終戦の切符を手に入れるのは!?
≪ファルシオン≫に勝つため、ミソラはエリスとリーゼリットに訓練を願い出る。人型魔甲蟲である彼女たちは、戸惑いながらもE601小隊と過ごすことに……。一方、カナタを賭けた会談も始まろうとしていて――?

空戦武踏祭の初戦、大波乱だったバトルロイヤルを息抜き決勝トーナメントに駒を進めたE601小隊。決勝戦でぶつかるであろうベベル代表が使う《崩力》に対抗するため、同じミストガン代表のミーナだけでなく、人型魔甲蟲であるエリス&リーゼリットにも特訓の協力を依頼する。一方カナタは、教皇アンネローゼと人型魔甲蟲のリーダー・ゼスを対面させて話し合いの場を持とうとし……!?

かくして世界の行方は「空戦武踏祭」に託された!!(責任が重い!)

一応メインは《ファルシオン》との準決勝なんだけど、E601小隊の特訓&パワーアップ回という感じでした。ノエル率いるファルシオンだってミソラたちの身に大きく余るような強敵なんですが、ノエルが本調子でないことに加えて前巻の戦いで彼女達の戦う理由の一端に触れてしまったノエルが本気で相手をしながらも彼女達が強くなるために肩を貸してくれた感じ。そして準決勝から間髪入れずに教皇派とゼスの会談、そして決勝戦へ。とにかく情報量の多い巻だった!

ゼスの言いなりだったエリスがミソラ達の特訓や教皇机下にいる人型魔甲蟲の子どもたちとの交流を通して自分の意志で兄の意見に背き人類との共存を目指す……という展開は凄く希望の未来が垣間見えてよかったんですが、それはそれとしてカナタ達の方では空戦武踏祭の優勝チームが世界の実権を握る……みたいな話に。ベベルが勝てばゼスが、コウライが勝てばアンネローゼが、そしてミストガンが勝利した場合は双方に代表者を立てて共存の道を探る。いや、軽率にE601小隊の肩に世界の命運乗せてくるカナタ教官からの信頼重すぎないですか!?それに応えようとするミソラ達の姿が目を見張る物があるのは確かなのですが。純粋に空戦武踏祭を楽しんでほしい…って話はどこへいってしまったんだ。

前巻でカナタと一度離れたことで、自分たちで戦略を立案して自発的に動けるようになったE601小隊。それぞれに新技も身に着けて、人型魔甲蟲との共存の道も垣間見えて……とほんの少しだけ希望の光が差し込むお話だったのですが、あまりにも決勝の相手は遥か高みにいて。ミソラ達の成長は確かに目を見張る物があるんですけど、これまでのバトルは相手を隅々まで観察した上でその弱点を突く形式だったり、予想外のアクシデントが起きたり……という感じで真っ向からぶつかって勝ったのではない印象も拭えないんですよね。空戦武踏祭最弱の小隊……とまでは流石に思わないけどまだまだ未熟な彼女達が文句なしに最強の小隊であるベベルにどう立ち向かっていくのか。続きがとても気になります。

絶力の代償の話も引っ張られてるんだよなあ……いやあらすじバレでなんとなく知っちゃいるんですが……。


空戦魔導士候補生の教官8

 

カナタの呪力が姿を現す! そして行われるのは……殺し合い!?
《ベベル》第一人工空島地下都市へ運ばれたカナタは、呪力の本来の持ち主エミリー・ウィットベルンと出逢う。そして――「エミリー・ウィットベルンを殺さなければ、貴方は死ぬことになります」と告げられて――!?

ミソラを庇って重症を負い、更に呪力を暴走させ《狂乱》状態になってしまったカナタ。治療のため《ベベル》第一人工空島地下都市に運ばれ……そこでベベルの教皇アンネローゼと自身の身に宿る呪力が形を取った女性・エミリーに出会う。呪力の暴走を抑えるために3日以内にエミリーを殺さなければいけないと言われるが、カナタはエミリー自身に興味を持ち……!?

色々な問題が解決するパワーアップ回!(ただし展開はますます不穏)

教え子達と別行動となったカナタが一時「教官」をお休みして持て余し気味だった自身の《呪力》と向き合うお話。6巻に引き続きメチャクチャ面白かった……!!1巻からずっと持ち続けてきた自身の問題を克服するパワーアップ回でした。

教官としてのカナタは一旦お休み……と言いながらも、やっていたことは瀕死だったカナタの命を繋ぎ止めて呪力を託した女性・エミリーと向き合い、生きるのを諦めかけていたその本当の望みを気づかせ/暴くという展開で、序盤はほぼほぼいつもミソラ達に課してる「特訓」と同じ流れなんだよなあ。そもそも幼馴染のクロエや特務小隊の後輩・ユーリも彼がきっかけで大きな成長を果たすことが出来たみたいな話がありましたし、もう根本的に生き様がこうなんだろうなと。その割に言葉が足りないのは毎度どうしたものかなんですが!

どう足掻いても3日の生命しか保証されていないエミリーに自身が本当はもっと生きたいと思っているという望みを自覚させるのは残酷とも言えるのでは……と思ったけれど、そこからお互いに全力でぶつかりあうことで両方が存続できる未来を模索していく展開はアツかったです。ただ、今回は結果的に最高の形でことが運んだけれども、生命を救われた相手だからといって彼女の望みのためであれば生命をいともたやすく投げ出してしまえるカナタの精神性にはこれまでとは違った形で危うさを感じてしまいました。これから戦いの規模もますます大きくなっていきそうだし、どうなっていくのか楽しみな一方でめちゃくちゃ不安になる顛末でもあった。

呪力を宿したことで発生していた魔力枯渇の問題を遂に解決し、人間の魔力でも魔甲蟲の呪力でもない《冥力》、そして魔力と冥力の先にある《絶力》──他の誰も持ち得ない絶大な力を獲得したカナタ。覚醒したカナタが前巻で苦しめられたエリスを相手に無双する展開は大変に胸躍る展開だったのですが、敵側もそのカナタの戦闘力を遥かに凌駕する強敵を用意してお待ちしてるの一筋縄ではいかなさすぎる。都市を大きく巻き込みながらの戦いもカナタとしては本意ではないでしょうし、色々な意味でただパワーアップして大勝利では終わらない展開が印象的でした。というか今回力を課してくれたアンネローゼ教皇の一派も味方とは言いづらいし、人類最高の能力を獲得してしまったということはカナタを巡る争いも今後は更に激化していくだろうと考えるとむしろ不穏しかないんだよな。絶力を使う代償の話も……というか先の巻のあらすじがしれっとネタバレしていくのは如何なものか!!!(今巻読んでて感じた不安的中してるじゃん!なんでだよォ!!)

人の身として最高と呼ばれる絶大な力を手に入れ、それでも世界を救う勇者ではなく落ちこぼれ小隊の教官として元の居場所に戻っていくカナタの姿が大変に良かったです。色々横道に逸れた感じはあったけど次巻こそは舞台を「空戦武踏祭」に戻していくようで、こちらの展開もどうなっているのか。もう色々不穏しかないけど続きが楽しみ!