かつて《羽根狩り》の異名を持ち、異能者達を狩る組織の一員として戦いを繰り広げた男・犀川狼士。世界が平和になり、普通の大学生になった彼は大学の合コンで何故か宿敵だった最強の異能者・柳良律花と再会する。再会時の第一印象も最悪、だけどお互いにどちらが上か決着をつけようとしているうちに戦っている時には見えなかった意外な一面を目の当たりにして……!?
相変わらずラブコメと異能バトルの配分が超好み
かつては現代異能バトルの最大のライバル同士……だったけれどなんやかんやあって現在はイチャイチャ新婚夫婦に……な二人の「なんやかんやあって」の部分を紐解く過去編。前巻に引き続き面白かった!素直になれない二人が形ばかりの「勝負」に固執しながらもお互いを意識していく様子が大変甘酸っぱいし、新キャラとなる狼士の悪友ふたりもキャラが濃ゆくて最高だったし、過去も現在もお兄ちゃんは心配症だった。それはそれとして、過去の狼士と律花がもどかしい距離感のラブコメやってる合間に「現在の」彼らが過去の馴れ初めエピソードを回想しながらイチャコラしてるの本当に温度差ひどくて笑う。そして強力な異能者である律花の孤独に寄り添うため、無能力者の狼士が能力者を圧倒して無双するクライマックスがメチャクチャ良かった!いや確かに、無能力者である狼士が異能力者と互角以上に渡り合うにはそれしかないよねっていう感じの戦闘スタイルなんだけど、「足りないもの」を水面下での努力と情報戦と冷静な判断と頭脳プレイで圧倒しているのが最高に滾る!今回もメインであるラブコメにさらりと仕込まれたシリアス・異能バトルの配分がめちゃくちゃ好み。
それはそうと、今回も前作『サキュバスとニート』のキャラクター達がさりげなく登場してましたね。高校生時代の(まだ野球少年だった和友の女房役だった頃の)琥太郎が和友と「鐘を鳴らせたら永遠に結ばれる鐘」をふたりでつきに行こうとしてるの、微笑ましいの前に割と彼らを待ち受ける未来を思うと地獄みが深いんですが……ひきニートになった和友の唯一の親友ポジを確保したことまで考えるとむしろ汚染された聖杯的な案件なのでは……いや彼らが鐘を鳴らせたとは誰も言ってないしうん……。