ページ 45 | 今日もだらだら、読書日記。

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通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?

 

「これからお母さんと一緒にたくさん冒険しましょうね」「あり得ないだろ…」念願のゲーム世界に転送された高校生、大好真人だが、なぜか真人を溺愛する母親の真々子も付いてきて!?ギルドでは「彼女になるかも知れない子たちなんだから」と真人の選んだ仲間をお母さん面接したり、暗い洞窟で光ったり、膝枕でモンスターを眠らせたり、全体攻撃で二回攻撃の聖剣で無双したりと息子の真人を呆れさせる大活躍!?賢者なのに残念な美少女ワイズと、旅商人で癒し役のポータも加わり、救うのは世界の危機ではなく親子の絆。第29回ファンタジア大賞“大賞”受賞の新感覚母親同伴冒険コメディ! (「BOOK」データベースより)

 VRゲームの世界でチート能力を得た母親とその母親に振り回される子どもたちのお話。

 思春期の子供たちの視点から描かれる、母親との微妙な関係がとても面白かった。「子供」の領域にずけずけと土足で踏み込んでくる母親・真々子さんが壮絶にウザいんですけど、なんかあのウザさが逆にリアルの母親感あるなあ。上手く言えないけど、ただ母性が強い系のかーちゃん属性の「ヒロイン」ではなくて、見た目がヒロインっぽい「母親」になってるの、良かったと思う。

 そんな主人公母子がゲームの世界で冒険しつつ、母親らしい図々しさで息子の行動に介入したりしながら、他の上手く行ってない母子の問題を解決していく。散々流れ弾を投げておきつつもメインストーリーはアツい直球勝負なのもポイント高かったです。正直、母親視点で子供の育成の話題を議題でクライマックスされるとマジどこに視点を置いて読めば良いのかわかんないとこはあるんですけど……!まあそういう話だと割り切るしか無いのか。

 しかし、「ちょっと問題の有る母子」にこのゲームをさせて親子関係改善すると思ってるんだとしたら、ちょっと政府無能ですよね…。母親を手厚くもてなしすぎて子供を怒らせるために煽ってるようにしか思えないし、それで本格的に親子関係破綻したらどう責任取るつもりなんだろう。テストプレイ状態なのに外部から思い切り介入されちゃってるのも無能感ヤバイ。その辺は今後の物語で言及されていくと思われるので、どうなっていくのか楽しみです。

 ところで、この物語を読む前に公式制作のフリーゲーム(コメントOFF推奨/重いから)をやったんですけど、本当に母親が強すぎて子供の出番なさすぎてすごかったので読んだひとはやるといいと思います。いや、実際主人公も普通に強いんですよな。それ以上に母親があまりにも強いだけで……ほんとうに、真っ先に母親の手番が来て全体攻撃で全部ふっとばして戦闘終わるみたいなのすごすぎる……。

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自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?2

 

ゲームの結果ですべてが評価される弱肉強食の学園・獅子王学園。面倒のない日常を過ごしたい砕城紅蓮は、Sランクの生徒会役員を倒して得たポイントを妹の可憐に譲渡し、最低位のFランクを維持していた。だが、生徒会長・白王子透夜の『生徒会選賭』開幕宣言により事態はまたも激変。学園全てを巻き込んだゲームが始まってしまう―。「教えてやる。あんたらが遊び半分で望んでいた―戦争の怖ろしさをな」愛する妹との絆を断ち切ろうとする卑劣な罠を前に、圧倒的な天才の力が愚かな生徒たちを断罪する!今、最も熱い学園ゲーム系頭脳バトル、伝説再来の第二弾! (「BOOK」データベースより)

 面白かったー!1巻の腹の底が見えない妹とそれ込みで「大切な妹」な兄の関係も良かったけど、裏事情が見えてからの兄に並び立てないもどかしさを抱えた妹と彼女だけのヒーローであるところのお兄ちゃんがめちゃくちゃかっこよかった。

 空席の出来た生徒会を巡って、学園全体で勝ち抜きゲームをすることに。日常のちょっとした仕草も罠になりかねない、毎日更新の地雷行動を踏まないようにしつつライバルを蹴落とそうとする生徒達の中、もはや全く「負け抜け」させる気がなさそうな兄のお題笑った。

 なんだかんだで決勝まで勝ち残って、生徒会の面々と一騎打ちになり、思わぬ強敵、思わぬ因縁の相手がが現れて‐‐と、終盤は一気に砕城兄妹のバックグラウンドが明かされる展開。妹を戦わせないため裏社会で戦い続け、ようやく望んだ平穏を手に入れた兄と、その兄の平穏が長続きしないと知っていて、せめて今度こそ共に並び立ちたいと努力する妹。努力家だが秀才レベルでしか無い可憐の絶望と、その彼女を救うために立ち上がる紅蓮の姿が印象的でした。ほんとこの兄妹の関係は最高だな…!!

 これまでの砕城兄妹の関係性が凄い好きだったので、可憐側の事情明かしはもうちょっと焦らしても…みたいなもったいなさを感じたけど、あとがきを見た感じ3巻くらいで短くまとまるのかな。本気になった紅蓮の活躍がどうなるのか、とても楽しみです。

 それにしても、色んな意味で生徒会長兄弟が良いキャラすぎる……腹の底が見えなさすぎる弟も良いけど、普通に他人の賭けの対象にされた上に「男の奴隷になれ」と言われてノリノリで引き受けるこの生徒会長だよ……!!

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ロクでなし魔術講師と禁忌教典9

 

先の戦いから行方をくらましていた宿敵、ジャティス=ロウファン。彼の策略により、ルミアは誘拐され、さらにはフェジテ市庁舎爆破テロの容疑者として、グレンは指名手配を受けてしまい…「先生!私も先生の力になりたいんです…!」相棒として着実に成長しつつあるシスティーナ。彼女の助力のもと、事件解決にあたるべく、グレンはフェジテの街を駆け回るのだが、直面したのは存在しえない、かつての強敵で―街ひとつをまるごと崩壊する術式・“メギドの火”をめぐり、フェジテに集結する天の智慧研究会、宮廷魔導士団。それぞれの思惑が交錯し、フェジテ最悪の三日間の幕が開く!(「BOOK」データベースより)

 ギリギリの所で保ってきた平穏が崩壊する、転機の回。なんとかかんとか事件は解決したけどそのためにグレンたちが支払った代償はあまりにも大きくて、あのまま元通りの生活に戻れるとは到底思えないんだけど、その辺は一切触れないまま次の巻に続いていて…続きが気になる!

 天の智慧研究会やら特務分室やら様々な人々の思惑が交錯する混乱の中、隠れた台風の目となったジャティスの悪役っぷりたまらない。どんな立場に立っていても自らの目的を遂げようとする歪んだ歪まなさが最高に良い。そしてアルベルトの時とは一味違う、気を許せば今にもお互いの背中を刺し合いそうなグレンとジャティスの共同戦線、本当にさいこうだな!!!

 ジャティスの歪まなさと対象的に、イヴの迷走っぷりが実にしんどい。やることなすこと空回り、周囲の反感を買いながらも無茶してジャティスを狙っていたのに、自らがかつて見捨てたセラと瓜二つのシスティーナを見捨てられない姿が、なんかもうどうしようもなく人間なんだよなあ。思惑を理解した上で付いてきてくれる特務分室の面々が居るのは本当に救いだと思う。

 グレンや頼れる大人がいないと腰砕け状態なシスティーナが毎回とても見ていて(良い意味で)しんどいんですけど、それでも様々な外部要因に助けられながらも歯食いしばって立ち上がるのが好き……魔術師として良き師を得ても、精神面はそう簡単には追いついていかないのが、どんなに才能があっても「普通のの女の子」なんだなあと。

 一方で、ルミアには凄い嫌な感じのフラグが見え隠れして……彼女に関してはクラスメイト達との関係もこれまでのようにはいかなさそうで、本当に次巻の展開が気になる……。あといよいよセリカさんの過去まわりの話が不穏すぎる……。

 物語としてはジャティスを中心とした騒動が中心でしたけど、アルザーノ魔術学院内でのやりとり色々と最高でした。特にハーレイ先生とギィブルかっこよすぎる。ハーレイ先生は今までこういうかっこいい部分が見えてなかっただけなんだとおもうけど、ギィブルは1巻の頃からの成長を感じて、良かった。

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ラノベのプロ!2 初週実売1100部の打ち切り作家

 

「俺と、結婚してくれ」アシスタントで幼馴染みの結麻に、長年の秘めたる想いを告白した神陽太。もう二度とただの幼馴染み同士には戻れない。陽太の踏み出した一歩は二人の関係を決定的に変えていく―変わり始めた関係の気恥ずかしさに悶える陽太だが…一方で“業界の不条理さ”から後輩・小太郎を救う特訓を始めて!?残業代なしで多忙を極める、ラノベ作家青春ラブコメ! (「BOOK」データベースより)

甘ぁぁああああい!!!!!!!!

 1巻から幼馴染大勝利ラノベだったけど1巻ラストの展開(=告白)を経て、お互いの関係の変化に迷い戸惑いつつも顔を合わせればもはや無自覚でイチャイチャしはじめる二人のやりとりがくすぐったすぎ!!!少女向けラノベもびっくりの圧倒的な糖度に震えました。早く結婚してほしい。でも新作執筆の為にわざわざ自分からギャルのコスプレしてくれるのもう結婚済といっても良いのでは???

 そんな幼馴染カップルのイチャイチャを交えつつ、第二巻ではようやく発売された陽太の弟子・小太郎のデビュー作を巡ってシビアな話が展開されます。デビュー作を人気イラストレーターに頼んだお陰で発売が伸びまくり、話題作としてガッツリ部数増やされて、そのやっと発売された本も肝心の挿絵が間に合わず……って、もう読者から見てもわかりやすい打ち切りコースじゃないですかー!!

 1巻打ち切りを喰らってからの迷走劇がとてもつらい。「打ち切り」の悲しさをしった小太郎が陽太の作家としてのスタイルを学ぼうとするんだけど、もうほんと小太郎みたいな閃きと勢いで生きてるタイプは真似したからって堅実な陽太タイプになれるわけじゃないんだよ……書きたくないものを無理やり書く羽目になり、気持ちはついていかず、日々疲弊していく姿に心が折れる。

 そんな彼女が生み出し、「死なせて」しまった物語の「再起」を賭けて、小太郎と陽太のふたりが職業作家生命を掛けて挑んだ編集とのギリギリの駆け引きが熱かったです。しかし、作家も編集も「この本を売りたい」と思ってプロデュースした結果がこれ……というのが、そこまでの道に誰の悪意も存在しないのがやるせない(無能編集だなと言う気持ちはあまりにも揺らがないけど)(イラストレーターにもきっと悪意はないんだ……たぶん……)。

 好きなことを職業にすることの難しさ、読者に届かなければ書くことすら許されない世界で、様々な形で生き抜いていく作家達の物語が熱かったです。綺麗に2巻で終わったような、でもまだ掘り下げの余地はあるようなという終わり方だったのでちょっぴり3巻が出ることを期待してしまいます。

 それにしても、作中一番刺さったのこの台詞だったとおもう。とてもつらい。

 売れていない作品は、つまらないから売れてないわけではない。
 読まれてすらいないから売れていないのだ。

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ロクでなし魔術講師と追想日誌2

 

アルザーノ帝国魔術学院には、ロクでなしに振りまわされる三人の美少女たちがいた。彼女たちの名は、システィーナ・ルミア・リィエル。そんな彼女たちの日常は波乱がいっぱいで!?記憶喪失になったシスティーナは、不覚にもグレンに懐いてしまったり。学院へ通うルミアは、変装する何者かにストーカーされたり。アルバイト生活を始めたリィエルは、お金をピンハネされたり…そんな、ロクでなしな学園の日々。「僕は、…皆を守れる強い力が欲しいのに…ッ!」ついに明かされる“愚者の世界”誕生秘話。ロクでなしになる前のグレンの学生時代を描く、書き下ろしエピソードも収録!(「BOOK」データベースより)

 マッドな先生の実験台にされそうになったり、社会生活を学ばせるためにリィエルがバイトをしたり、アルベルトが勘違いをして暴走したり、システィが記憶喪失になったり……「ロクでなし魔術講師〜」シリーズの番外編シリーズ第二巻。本編が割とシリアス側寄せなので、富士見ファンタジアの定番のやつですけど別の展開があるのは嬉しいなぁ。王道ど真ん中をいくような展開の連続で、その「お約束」ぶりがまた楽しい。

  個人的にはやはりアルベルトが偽の情報に踊らされてグレンのストーキングをする(誤解)「任務に愚直すぎる男・アルベルトの落とし穴」が好きです。シリアスをやるとかっこいいのにコミカルもできるアルベルト、まじ有能。もう明らかに誤解してるのが伝わってくる展開なので、1話まるまるアルベルトの迷走っぷりにニヤニヤできてしまう最高に楽しいお話でした。

 いろんなコミカルな話で持ち上げて、グレンの過去話「二人の愚者」でしんみり締める感じがまた好き。学校を卒業してからの苦悩はこれまで語られてきたけど、そこに辿り着くまでにも様々な苦悩があったのだなあ。グレンとニーナ、二人の道はもうきっと交わることはないだろうけれど、確かな心の繋がりを感じさせるラストが良かったです。

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正解するマド

 

野崎まどが脚本を手がけたテレビアニメ『正解するカド』のノベライズを依頼された作家・乙野四方字は、何を書けばいいのか悩むあまり、精神を病みつつあった。ついにはアニメに登場するキャラクター、ヤハクィザシュニナの幻覚まで見はじめる。記憶をなくしたというザシュニナに、乙野は一縷の望みをかけて小説の相談をするが…傑作SFアニメから生まれた、もうひとつの「正解」とは?衝撃のスピンアウトノベライズ。(「BOOK」データベースより)

 アニメ「正解するカド」のノベライズを担当することになった主人公(作者)。ところが、いつまでたっても1文字も書けず、悩んでいるうちに、今度は部屋の中に「正解するカド」に登場するキャラクター“ヤハクィザシュニナ”を名乗る存在が現れる。幻覚だと思い好きにさせていたが、次第に流れがおかしくなってきて……?

 最初の原稿書けない描写がリアルすぎて、いま同人の原稿やってたら死んでた

 ノベライズの原稿のこと、仕事のこと、原作者である「野崎まど」さんのこと、そして自らの家庭のこと……正解するカドを題材にした私小説風のなにか…と思いながら読んでいたら、突然物語が急展開してSFのようななにかとしての本性を見せはじめて、終わってみたらまぎれもなく『正解するカド』とはまた別の『正解するマド』だった。何を言っているかわからないとおもうが俺も(略)

 カドとは何も関係ないようできちんと「カド」のアニメを追いかけるようにして作られた物語だったし、作者自身の私小説のようでありながら「カド」のキャラクターが主軸に置かれたまぎれもないスピンアウトでありました。終盤で一気に種明かしされる展開は最高にドキドキして、いかにもSF小説といった空気を感じる仕掛けの数々にゾクゾクする。とても面白かったです。

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「好きなライトノベルを投票しよう!! 2017年上期」投票します。

企画元:好きなライトノベルを投票しよう!! - 2017年上期

 今回も参加させていただきます。あと1時間ぐらいで締め切りですが、Twitterからの投票も受け付けられてますのでお気に入りの作品があるかたは是非ご参加ください!

amazon.co.jp:ラノベのプロ!2 初週実売1100部の打ち切り作家
望公太「ラノベのプロ!2 初週実売1100部の打ち切り作家」
【17上期ラノベ投票/9784040721361】
ラノベ作家主人公の業界暴露ラノベ……という名を借りた幼馴染ヒロイン大正義ラノベ(だと思ってる)。1巻までで結構さくさく仲が進展してしまうので今回は…と思ったらナチュラルにノロケる主人公とヒロインの破壊力がひたすらヤバかったのでとりあえず幼馴染スキーに絶対に読んでほしい一冊。創作者達の物語としても大変楽しくて、特に今回は打ち切りを回避するために文字通り作家生命を掛けた大博打に挑む姿が、とてもアツかったです。
amazon.co.jp:異世界取材記 〜ライトノベルができるまで〜
田口仙年堂「異世界取材記 〜ライトノベルができるまで〜」
【17上期ラノベ投票/9784040722313】
異世界ハーレム物を書くために本物の異世界に取材旅行に行くことになったラノベ作家のお話。ラノベ関係のメタネタにニヤニヤしたり、作家達が最高の物語を書くために繰り広げる熱い戦いに震えたり、最高に楽しい1冊でした。「サモン」が飛び交う最終決戦は必見。
amazon.co.jp:腐男子先生!!!!!
瀧ことは「腐男子先生!!!!!」
【17上期ラノベ投票/9784047347106】
腐女子の女子高生と隠れ腐男子のイケメン教師が繰り広げるお話。定番のネタから最新のネタまで、幅広くカバーされたオタクネタに「あるある…」となったり、主人公と先生のもどかしい関係にのたうち回ったり。腐女子(男子)モノとしてもラブコメとしても満足度の高い一冊。
amazon.co.jp:どうでもいい 世界なんて 2 -クオリディア・コード-
渡航「どうでもいい 世界なんて 2 -クオリディア・コード-」
【17上期ラノベ投票/9784094516487】
遅れてきたアニメ前日譚の千葉完結編。声優繋がりとか作家繋がりでぶちこまれるメタネタの数々と、その背後で蠢く不穏な人間関係のハーモニーのあたり、なんというかとても渡航作品を感じる……。そして千種兄妹のふたりでひとつの関係性が最高によかった。個人的に運命共同体として描かれてると思ってるんですけども、それがとんでもなく甘く描かれてしまうからたまらない。
あと、明かされた霞の真の能力の設定死ぬほど美味しかったのでアニメ二期とはいわないのでなにかこう……スピンオフとか続編話とか別の展開を……お願いします……。
amazon.co.jp:スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました
森田季節「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」
【17上期ラノベ投票/9784797390445】
過労死して魔女に転生した元OLが、最弱モンスターのスライムを倒して小遣い稼ぎをしてるうち、経験値が蓄積され続けて300年後に最強の魔女になってしまったというお話。押しかけ弟子や子供(?)達との疑似家族関係がとてもあたたかく、日々の生活に追われる社会人には眩しすぎるほどのゆったりとした時間に癒やされる……。
amazon.co.jp:Chaos;Child -Children’s Revive-
梅原英司「Chaos;Child -Children’s Revive-」
【17上期ラノベ投票/9784063815849】
あらゆる意味でゲーム本編ありきの物語なのでここで投票するのは……という部分もあるんですけど物凄く面白かったので残りの枠で。ゲームの最終EDの後、残されたヒロインたちが寄り添いながらも少しずつ新しい関係を築き、再び歩きだす姿が印象的でした。どの物語も本当に涙腺破壊レベルで泣かせてくるのでずるい。
最高に面白い物語なんですけどゲームのネタバレ全部踏まえての面白さなので気になった方は是非ゲーム本編をやってください……。

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学園交渉人 法条真誠の華麗なる逆転劇

 

七千人が通い、生徒の自治によって運営される白楊中央学園には華々しい実績の裏に、ある掟が存在した。それは「校則を破らない」こと。一見当然のこのルールは学園の特殊性から、法律のような実効力を持っている。そんな学園において唯一、法条真誠という男だけが法外な報酬と引き換えに、校則すらもねじ曲げて依頼人の問題を解決していた。とある事情で法条に借金をしてしまった少女、花咲華織は彼の助手を務めるうちに、法条の真意と学園の不自然な構造に気づいていく。ひねくれ者だが有能な主人公と、猪突猛進なヒロインによる、驚愕の学園逆転劇、ここにスタート!(「BOOK」データベースより)

 校内の揉め事を解決しているという先輩・法条に助けてもらった新入生・華織は、彼から高額な依頼料を請求され、借金を返すため法条の下僕…もとい助手をする羽目に。法条とともに様々な依頼に触れていくうち、平和だと思っていた学園の様々な暗部が見えてきて……というお話。

 タイトルからもっと俺TUEE系頭脳バトル的なものを想像していたんだけど、探偵役である法条が予想以上に人間らしいキャラクターで、傍若無人を装っているけれど、読み進めるにつれて相手への情が滲み出てるのがなんとなく察せてしまうのがズルい。学園の現体制に不満を抱きながらも最終的にその歯車のひとつとなってしまっていて、そういう自分の立ち位置を受け入れながらも、華織が自分では打ち破れない壁を破ってくれる存在となることに期待している構図が大変美味しかったです。

 そして、お人好しで他人の意見に左右されやすい助手の華織が、自らの「正義」に思い悩みながら人間的に成長していく姿も良かった。最初は嫌々だったのに、法条の不器用な本心が見えてくるうちに彼と離れがたくなっていく姿にニヤニヤしてしまう。

 そんな華織が自ら考えて周囲の力を借り、法条とは別口で事件を解決しようとする最後の事件がとても好き。どこか敷かれたレールを走って解決した部分がないわけじゃないんだけど、それまでの依頼を積み重ねて彼女なりに築き上げた繋がりを必死に活かして事件を解決に導いていく姿が印象的でした。思い切り次巻に続く形で終わったのだけど、わりとエピローグ前までで綺麗にまとまってる印象なので続きがどうなるのかちょっと気になる…。

 個人的には法条が眼鏡のオンオフで性格がよそ行きになる?みたいなのがちょっとわかりづらくて、そこだけちょっと残念。眼鏡関係なく華織への態度は一貫しているので、単に敬語使うか使わないかくらいの違いに見えるんだよな。ギャップ萌え的には華織に対してもよそよそしい態度とるようになるくらいの劇的さが欲しかった……。

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腐男子先生!!!!!

 

ごく普段の腐女子・早乙女朱葉のスペースに同人誌を買いに来たのは、ごく普通の腐男子・桐生和人。ただひとつ、ごく普通と違ったのは、二人は高校の教え子と教師だったのです―。イケメン生物教師の真の姿がもっさり残念メガネ男子かつ同じ沼の狢…だと…!?そう、これは―教え子を神(絵師)と讃えるイケメン腐男子先生と、とある腐女子の物語。こんな先生に教えられたい!?共感しすぎるオタクラブコメ登場!!!!!(「BOOK」データベースより)

 朱葉の同人誌を買いに来た一見冴えない腐男子は、イケメンと評判の生物教師だった!?それ以来、自分のファンだという桐生先生との交流が始まって……?というお話。「小説家になろう」を原作とした書籍化作品。(→原作はこちら

 面白かった…!!同人の修羅場でテンパる話とかオタクものの定番のお話も盛り込みつつ、SNSやソシャゲや応援上映など最新のトレンドネタをぶっこみつつ、大人のオタクと未成年オタクの資金力の差とかでガヤガヤしたり、ワイワイ盛り上がっていくのがすごく楽しい。特にオタネタの鮮度の速さは原作Web小説ならではですね。「好きなものには末永く課金したい」は金言。

 ふたりの距離感が重くなく軽くもなりすぎず、ラブコメ以上ラブコメ未満という感じでとても好き。学校という空間でいつも一緒にいられる反面、生徒と教師という体面を保つためには色々と関係を取り繕う必要があり、そこにひとかけらの禁断感と、素直に近寄れないもどかしさが生まれていくのが良かった。そしてラブコメっぽい展開になっても先生の面倒くさいオタクぶりが障害になっていくのにニヤニヤする。

 特に個人的に大好きなのが、ライブのチケットを譲渡するのに主人公がわざと本人の目の前でツイッターでの募集をかけ、そこに先生の取引垢(プライベート垢ではない)が初対面を装いチケットの譲渡を持ちかけるというシーン。あくまで先生が個人垢を晒さないこと、目の前で喋っているのにわざと一回SNSを介するところとか平安時代の恋文のやりとりのような軽妙さ、様式美を感じて。桐生が一オタクとしての自分(本音)と教師としての自分(建前)を使い分けてくる感じ、最高に良かったです。

 それでこの後この関係のままゆる〜く続くのかラブコメ方向に行くのか大変気になってて書籍化してない部分を読むか悩んでるんですけど書籍化されてからじっくり読みたい気もして大変悩みます。書籍化部分も未収録のネタとかあるみたいなのでそのうち読みたい。なおpixivコミックではじまってるコミカライズも大変良かったので気になる方はそちらからでもどうぞ。

「けどその代わり、今度から原稿は手伝わせないように」
 返す刀のその言葉に、朱葉はちょっと気まずい顔で笑って。
「や、やっぱ、だめでした……?」
 勝手に一方的に仲間だと思って、やりすぎたかな、と顔色をうかがうように聞いてみれば。桐生は自分の顔を覆うようにして。
「新刊は本の形で読みたいの……」

 ところでこれがわかりすぎて困る……(面倒くさいオタク全開)

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自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?

 

学業、運動、家柄、あらゆる分野のエリートだけを集めた日本最高峰の名門校・獅子王学園。だがその実態は、ゲームの結果ですべてが評価される弱肉強食の学園。絶対的な強者―獅子のみが生き残れる修羅の世界だった。裏世界のゲームで常勝無敗の伝説を残しながらも、面倒のない普通の人生を歩みたい主人公・砕城紅蓮は、入学試験で手を抜き、目論見通り最低位のFランクに認定される。しかし兄を心から愛する血の繋がった妹・砕城可憐と再会し、事態は急変。そして学園の『悪意』が可憐を襲ったとき、紅蓮は真の実力を発揮する―!(自称)Fランクの紅蓮が並み居る強敵を屈服させる、学園ゲーム系頭脳バトル開幕!(「BOOK」データベースより)

 物事が何事も勝負で決まり、勝負の結果によりランク付けされる学園を舞台に、かつて裏社会で5年間常勝無敗だった最強のお兄様が自らの能力を隠して平穏に暮らしたいけど奴隷堕ちしたクラスメイトを助けたり妹とイチャイチャ(?)したりする頭脳バトルラノベ。

 勝負によって得た「ポイント」によって生徒たちが格付けされる学園。基本からして露骨な学園カーストでエグいんだけど、ポイントをすべて失うと「隷徒」として俗に言う「奴隷堕ち」状態になるシステムが猛烈にエグかった。弱みを見せた生徒は誰かのカモにされ、隷徒になれば主人となった生徒に学園内での人権全てを握られてしまう。全寮制?の学園という閉じた世界の中での仄暗い悪意がエグかった。

 チート能力を持った主人公がわざと学園ランク最下位に収まってでも「日常」に拘る理由、それでも特に仲が良いわけでもないクラスメイトが苦難に陥いると立ち上がってしまうための理由付けがしっかりと描かれているのがポイント高い。あくまで求めるのは、5年間体験することができなかったクラスメイト達との平穏な日常と年頃の高校生らしい青春。人間社会の闇を見続けたからこそ人並みの日常を送りたいのに、彼を引き戻そうとする様々な人々の思惑と戦い続けなければいけないのは業を感じる。

 そして、5年間を経て変わってしまった妹との距離感が良かった。どこかストーカーチックだったり、平穏な日常を送りたい兄を勝負の世界に引きずり戻そうとするような得体のしれなさがあるんだけど、それはそれとしてただ彼女が「妹」である時点で深い愛情を注ぐという関係性が好きでした。

 しかしこの状態だと苦難に陥ったクラスメイト救いまくってハーレムが出来てしまいそうだけど大丈夫なのか。あとBL力高すぎる生徒会長と彼の弟であるクラスメイトとの関係はどうなってしまうのか。続きがとても気になります。

 生徒会長兄弟のBL力高すぎて興奮する。(大事なことなので2回言った)

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