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断章のグリム9 なでしこ(下)

[著]甲田 学人 [絵]三日月 かける

金森琴里の死をきっかけに広がっていく「なでしこ」の泡禍。事件の糸口をみつけられないまま週末が終わり、蒼衣は否応なしに雪乃を置いて自らの“普通の”日常に戻ることになる。一人残された雪乃は泡禍の解決と当事者たちを守るため、奮闘するが……?!
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今までの物語と比較すると、割とすっきり綺麗に終わっていたような?…いえ、まああくまでこのシリーズ基準でのお話で、良く考えると後味が悪い事は変わらないんですけど。つか、後味の悪さが後からじわじわと来るタイプだ…。「なでしこ」完結編です。

プロローグでいきなり梢枝が無残な死を遂げる場面が久しぶりにクリティカルヒット。無情に食い込んでいくナイフには「もうやめて!梢枝どころか読者のHPまでもう0よ!!」と叫びたくなるような圧迫感がありました。しかし、その場面のインパクトが強すぎて、肝心の中盤以降で同時に怪奇が発生する場面がちょっと弱く感じたのは残念だったかも。あそこでプロローグ級の怖さが来れば完璧だったのになあ…なんか「グリム」になってから、全体的に暗幕が落ちるのが早い気がします。いやまあ、異能バトルメインになってる分ある程度意図的に抑えているのかもしれないけど。

<保持者>ではあるものの<騎士>ではない千恵や一真から描かれる「騎士」達の姿が、雪乃・蒼衣達の側からは見えない視点で描かれていて面白かった。そして彼らが自らの力に振り回され、どうしようもない絶望に翻弄される姿は見ていて切なくなりました。そんな彼らに救われないながらも、少しでも悔いの無い道を歩ませようとする群草老人の不器用な優しさや、騎士ではない彼らの業もすべて背負おうとする雪乃の姿がいんしょうてき。っていうか千恵可愛いよ千恵。今後の再登場&レギュラーメンバー化を熱くを希望したいです。

その一方で、こんな状況でも「普通の生活」にこだわろうとする蒼衣達の行動に、改めて歪みを感じました。個人的には今にも次の犠牲者が出るかもしれないという状況で「彼らや雪乃を守りたい」という気持ちもあって、泡禍への恐怖に負けたのでもなく、ただ「日常に戻る為に」ある意味で事件を「見捨てて」まで学校に行く蒼衣って相当歪んでると思うんだ…。

しかし今回はあらゆる意味で、最後の最後で群草氏がいろいろな所をもっていってしまった感じ。彼の事を考えると後からじわじわ後味悪くなってくる…。

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