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雪蟷螂

[著]紅玉 いづき [絵]岩城 拓郎

長いこと争いを続けてきたフェルビエ族とミルデ族。死の病に瀕した両族の族長達は、戦いに終止符を打つためにそれぞれの子供達を召し合わせる事を約束する。そして父の跡を継いだフェルビエ族の女族長・アルテシアは結婚の儀を執り行うため、2人の従者を従えミルデ族の若き族長・オウガの元にやってくるが…
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『ミミズクと夜の王』『MAMA』に続く“人喰い物語”の第三弾にして最終章。想い人を喰らいたいと願うほど情熱的に愛するという女傑の蛮族・フェルビエと死んだ人々の遺体をミイラとして死後も保存し“永遠生”として信仰の対象とする狂人・ミルデという、凍てついた大地に暮らす対称的な2つの種族を巡る物語。誇り高く凛々しい女族長アルテシアと彼女の影武者で苛烈な“愛”を持つ少女ルイ、アルテシアへの硬い忠誠心と醜い容姿を持つ寡黙な男トーチカ、とある事情からフェルビエに対して嫌悪感を抱くミルデの族長オウガという対照的な4人を中心に繰り広げられるお話です。

メインの4人よりも、物語の途中で語られるアルテシアの叔母・ロージアの物語が鮮烈な印象を残しました。言葉通り“愛する人を喰らってしまうような恋心”に痺れる。しかしその分、メインである筈のアルテシア達の物語がちょっと物足りない…。特にアルテシアについてはそれまでの恋や愛とは無縁の孤高な少女というイメージが強すぎたので、彼女が恋心を思い出す場面はもうちょっと言葉を尽くしてほしかったかなあ、と。ルイの心の動きなんかは結構印象的なんですが。

でも真っ白い雪原に佇む少女、村の地下で“永遠生”を送る故人達、そしてロージアの結末など、物凄く印象的なシーンが多く、やはりこの人の作品は素敵だなあと思ってしまいました。「ミミズク」を読んだ際に「ラノベらしくない」と表現したけど、なんていうか良くも悪くも読者に一切“媚びない”作風というか、穢してはいけないような雰囲気があるというか、その辺が他のラノベとは一線を画しているというか…なんか流行とかに流されることなくどんな時でも等しく楽しめるみたいな雰囲気がある気がする。

とにかく「ミミズクと夜の王」「MAMA」がツボに入った人なら絶対に楽しめるであろう一作、非常に面白かったです。次回作も期待してます!

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