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少女七竈と七人の可愛そうな大人

[著]桜庭 一樹

ある日、ごく平凡な女・川村優奈は辻斬りのように七人の男と寝、灰のように燃え尽きたいと思った。狂乱のような1ヶ月の後、身ごもった彼女は誰の子とも知らない子を生んだ。そんな「いんらん」な母から生まれた七竈はみるみる美しく育っていって…
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「いんらん」な母親と人並みはずれた美貌を持って生まれた少女・川村七竈と彼女を巡る人々(一部人間外)の視点から描かれる、連作短編。

「かんばせ」を始めとしたどこか古風な言葉遣い等からしっとりとした大正文学的な印象を受けるのですが、それでいて会話のテンポは非常に軽妙で、どこかライトノベル的ですらあります。七竈の友人であり、こちらも超絶美少年な雪嵐とのちょっと倒錯気味なやりとりや、飼い犬・ビショップの視点から語られる物語も非常に良いのですが、個人的には雪嵐に憧れる後輩・緒方みすずとのやりとりが一番好き。「なんですか、後輩」「本当にヘンな人ですね、先輩」と互いに罵りながらみすずが徐々に七竈に惹かれて行く姿がみてとれて、なんだか微笑ましい。「後輩」「先輩」って呼合いが二人の複雑な心の距離を端的に表しているようで、また素敵でした。よもやラストでああいうオチに行くとは予想も付かなかったけど。

美少女でありながら男など滅べばいいと考える鉄道マニアというちょっと変わり者な七竈ですが、そんな彼女が内に抱える悩みは意外にもごく普通の少女らしくて、そのギャップに魅了されました。

既に通り過ぎてしまった青春時代のほろ苦さとか、輝いていた一瞬の思い出を思い出さずにはいられない。ハードカバーは敷居が高いから、と今まで積んでおいたのを思わず後悔せずにいられない一作でした。

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