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MAMA

[著]紅玉 いづき [絵]カラス

生粋の魔術師の家計に生まれながら、全く魔術の才能に恵まれなかった少女・トト。<サルバドールの落ちこぼれ>と周囲から冷たい目で見られていた彼女はある日、偶然迷い込んだ神殿の書庫の奥深くで、封印された“人喰い”の魔物と出会う。魔物を封印から解き放った彼女は魔物にホーイチという名を与え、“ママになる”と宣言するが…
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「ミミズクと夜の王」の紅玉いづきさんの新作。表題作である「MAMA」と、その後日談的作品の「AND」が収録されています。前作「ミミズク」よりも本作のほうが児童文学的な印象が少しだけ薄くなって電撃(というかライトノベル)っぽいイメージが強くなったような気がしますが、やはりどこか童話というか児童文学風というかな世界観を持つ素敵な物語でした。

落ちこぼれといわれてバカにされる少女が『人食いの魔物』の母となり、どこか歪んだ依存関係を築きながらも魔物を従えたが故に、あれほど逃げ出したかったサルバドールの狭い世界に縛られる事になるという物語。「ミミズク」もそうだったのですが、この方の描く、どこか危うげなまでの純粋さを持った主人公が大人の世界の中で一人で生きていく為に凛々しく成長していく姿が密かに大好きだったりします。「わたくしを護りなさい」とホーイチに命令するトトの姿は非常にかっこよかったなあ。

物語の開始当初は確かに孤独だった主人公はしかし、後半では既に『ふたりぼっち』ではなくなっている。でもなかなかそれに気付けなくて、周囲の人たちの暖かい心が透けて見えてくるのがもどかしいかった。大人たちの中で虚勢を張る彼女に「あなたはもう独りじゃないよ」と言ってあげたい衝動に駆られた。

個人的にはトトも凄く良いキャラなんだけど、彼女を変えるきっかけとなったティーラン王女が大好き。大人たちの世界に巻き込まれて大人にならざるを得なかった子供というのは基本的に大好きなキャラ属性なのですが、そんな中でもティーランの生き様は恐ろしくかっこよかった。そんな強い彼女だけに、トトがサルバドールを出奔した際のセリフが胸に来る。「AND」での確信犯たっぷりな彼女も素敵。

そして「MAMA」の後日談となる「AND」は、ホーイチがかつて喰らった少年の耳飾を盗み出した盗賊の兄と、嘘つきなその妹が、ティーランの頼みでそれをしかるべき人物に返すために旅をするというお話。血のつながった兄妹ではない二人の、冷たいようで暖かい関係がとても見ていて楽しかったです。

「虚言だな」
「ええそうよ」

という本当に短いやり取りの中で透けてくる二人の関係が非常に好きで、もっと沢山二人の旅を見たいと思ってしまいました。

物語もキャラクターもとにかく素敵な、どこか暖かい物語でした。
ほんと名作。紅玉さんの次の作品がとても楽しみです。

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2 Comments

  • >そんな中でもティーランの生き様は恐ろしくかっこよかった。
    全面的に同意しちゃうなあ・・・。

    ちなみにこの本をうららさんが読んだ時にどんな風に感じるのかもの凄く興味があったので、楽しみに待ってました?。
    この話は・・・女性にしか書けない類いの物語だと思いませんか? なんというか、愛の深さが。

    hobo_king |2008/2/15(金) 23:59 | Permalink
  • コメントありがとうございますー。
    感想を待っていただけてたとはありがたい限りです!

    確かに、これは女性でなければ書けない物語という感じがしますね。
    本文では言及してないのですが、電撃というよりも少女レーベル的な雰囲気を感じました。
    タイトルの通り“母”の強さとか“女性”の強さ・優しさが伝わってくる作品ですね?。

    ティーランはマジでかっこよすぎですw

    うらら |2008/2/17(日) 10:57 | Permalink